『ジャップ・ロック・サンプラー 戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか』(原著2007/邦訳2008年刊)をApple Musicで聴く

《はじめに》


この記事は、

『ジャップ・ロック・サンプラー 戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか』
(Julian Cope著・奥田祐士訳)
(原著は2007.9.1刊、日本語版は白夜書房 2008.8.1.刊:絶版)
の巻末に掲載された「著者のトップ50」アルバムについて、その全てをApple Musicで検索し、存在する作品についてリンクを添付したものです。

この『ジャップ・ロック・サンプラー』は、アンダーグラウンドなロック〜現代音楽の超絶的なレコード・マニア兼ミュージシャンである著者
(詳しくはhttps://en.m.wikipedia.org/wiki/Julian_Cope参照:ドイツのいわゆるプログレ周辺について書いた「Krautrocksampler」('95年刊)という著作などあり)
が、自身は全く日本語がわからないのにも関わらず、膨大な音源と資料(日本語が解る友人に訳してもらったとのことです)を通して70年代周辺の日本の音楽シーンを語り尽した作品です。そのため、事実関係に大きな誤りがある箇所も多いのですが、その一方で(その後の日本の音楽メディアにおいてもなかなか認識されてこなかった)重要な関係性を鋭く見出している場面も多く、こういったシーンをこれほどの情報量とともに語っている類書がほぼ存在しないということもあって、「孤高の奇書」としてのポジションにあり続けている一冊です。
(巻末には折田育造(シーンの当事者)インタビューと近田春夫×マーティー・フリードマンの対談が載っていて、事実関係などを詳しく補足してくれています。これがまた非常に興味深い内容です。)
いわゆる「日本語ロック論争」以降のシーンで注目されがちな「はっぴいえんど」〜YMOラインは殆ど扱われておらず、フラワー・トラヴェリン・バンドや裸のラリーズ、スピード・グルー&シンキやJ.A.シーザー、タージ・マハル旅行団のような、ブルースロックや現代音楽に通じる(アンダーグラウンドアヴァンギャルド寄りの)ラインナップで埋め尽くされている本書は、60〜70年代の日本が世界的にみても屈指の優れたシーンだったことを全力で説得してくれるものです。扱われている音楽は他にない個性と実力を兼ね備えたものばかりで、いわゆる音響系やノイズミュージックを通過した耳には驚きをもって迎えられる傑作で溢れています。ドゥーム〜ストーナー方面を好む方にとっても最高級の逸品が揃っており、聴く価値の高いものばかりです。

この本のメインは、先に挙げたようなバンド・音楽家について想像力を逞しくした詳細なバイオグラフィ記事なのですが、巻末には「著者のトップ50」が載っており、そのひとつひとつに冴えた(知的屈折のある)レビューが加えられています。ただ褒め称えるだけでなく場合によっては容赦ないダメ出しもしており、好き嫌いをためらわず表明することでむしろ「価値基準がはっきりした」「一般的に通用する評論」にしてしまえているものだと思います。単なるオススメリストに留まらない、読む価値の高い文章です。

このブログ記事では、原著からの引用は一切せず、リストアップされた50枚のCDについて
・邦題
・発表年
Apple Musicへのリンク(※存在するもの)
のみを書き加えて並べています。作品評などが読みたい場合は、ぜひ原著を購入されることをお薦めします。この本の定価は¥2800+税で、現時点で¥4000ほどの中古価格がついているのですが、その位の値段なら十分安いと言える内容です。手元に置いておく価値は高いです。


《表記について》


〈なし〉:参考盤(メインのアルバム一つにつき一枚紹介)もApple Musicにない

〈このアルバムはなし〉:メインのアルバムも参考盤もApple Musicにないが、他の作品は比較的多数ある

など。メインのアルバムがApple Musicになくても、他の傑作とされるアルバムが多数用意されている場合もあります。

なお、Apple Musicにあった枚数は

50枚中23枚

でした。
(2015.8.7現在)


それでは以下が本編になります。
何かのお役に立てれば幸いです。




【著者のトップ50】


第50位:ヘルプフル・ソウル『ソウルの追求』'69

ソウルの追求

ソウルの追求


〈なし〉


第49位:四人囃子『一触即発』'74

一触即発(+2)(紙ジャケット仕様)

一触即発(+2)(紙ジャケット仕様)




第48位:◯△□『まるさんかくしかく』

○△ □(まるさんかくしかく)

○△ □(まるさんかくしかく)

  • アーティスト: ○△□(まるさんかくしかく)
  • 出版社/メーカー: CAPTAIN TRIP RECORDS キャプテン・トリップ・レコーズ
  • 発売日: 2001/12/24
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る


〈なし〉


第47位:五つの赤い風船『New Sky・Flight』'70〜71

New Sky・Flight

New Sky・Flight


〈なし〉


第46位:一柳慧 / マイケル・ランタ / 小杉武久『Improvisation Sep. 1975』'75

Improvisation Sep 1975

Improvisation Sep 1975




第45位:オムニバス『幻野』'71

幻野 幻の野は現出したか 〜`71日本幻野祭 三里塚で祭れ [2CD+DVD / 豪華ブックレット入りボックス仕様] (FLPB001)

幻野 幻の野は現出したか 〜`71日本幻野祭 三里塚で祭れ [2CD+DVD / 豪華ブックレット入りボックス仕様] (FLPB001)


〈なし〉




〈なし〉


第43位:3/3『さんぶんのさん』'75

3/3

3/3


〈なし〉


第42位:ジャックス『ジャックスの世界』'68

ジャックスの世界(紙ジャケット仕様)

ジャックスの世界(紙ジャケット仕様)




地球空洞説

地球空洞説




第40位:グループ音楽『Music of Group Ongaku』'60

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第39位:湯浅譲二『舞踏劇のための音楽』'58・63

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第38位:青触器『Organs of Blue Eclipse'75〜77

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第37位:タージ・マハル旅行団『August 1974』'74

Aug-74

Aug-74




第36位:一柳慧『オペラ横尾忠則を歌う』'69

一柳慧作曲「オペラ横尾忠則を歌う」

一柳慧作曲「オペラ横尾忠則を歌う」


〈なし〉


第35位:タージ・マハル旅行団『July 15. 1972』'72

26495 [12 inch Analog]

26495 [12 inch Analog]




第34位:ツトム・ヤマシタ&佐藤允彦『ものみな壇ノ浦へ』'71

ものみな壇ノ浦へ

ものみな壇ノ浦へ


〈なし〉


第33位:イースト・バイオニック・シンフォニアイースト・バイオニック・シンフォニア'76

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第32位:だててんりゅう『1971』

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第31位:裸のラリーズ『December's Black Children』'89出版(ブート)

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第30位:外道『外道』'74

外道 (紙ジャケット仕様)

外道 (紙ジャケット仕様)


〈なし〉


第29位:J.A.シーザーと四瑠舞『身毒丸'78

身毒丸 -PERFECT BOX-(限定盤)

身毒丸 -PERFECT BOX-(限定盤)


(2015年Perfect Box版)


第28位:フラワー・トラヴェリン・バンド『エニウェア』'70

エニウェア

エニウェア



第27位:石川晶とカウント・バッファローズウガンダ'72

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第26位:ブラスト・バーン『Debon』'74

Debon [12 inch Analog]

Debon [12 inch Analog]




第25位:クニ河内とかれのともだち『切狂言'70

切狂言

切狂言


(『僕の声が聞こえるかい』との2in1プレイリスト:トラック15〜21が『切狂言』)


第24位:マジカル・パワー・マコ『ジャンプ』'77

JUMP!!

JUMP!!


〈なし〉


第23位:タージ・マハル旅行団『Live Stockholm July. 1971』

LIVE IN STOCKHOLM1971(紙ジャケット仕様)

LIVE IN STOCKHOLM1971(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


第22位:マジカル・パワー・マコ『マジカル・パワー』'74

マジカル・パワー

マジカル・パワー


〈なし〉


第21位:佐藤允彦&ニュー・ハード・オーケストラ『邪馬台賦』'72

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第20位:裸のラリーズ『Flightless Bird(Yodo - Go - A - Go - Go)』'06出版(ブート)

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


第19位:カルナ・カヤール『Alomoni 1985』'74

Alomoni 1985

Alomoni 1985


〈なし〉


第18位:フラワー・トラヴェリン・バンド『メイド・イン・ジャパン』'72

メイド・イン・ジャパン

メイド・イン・ジャパン




第17位:ブルース・クリエイション『悪魔と11人の子供達』'71

悪魔と11人の子供達

悪魔と11人の子供達




第16位:ピープル『Ceremony - Buddha Meets Rock 仏教とロック』'71

セレモニィー?ブッダ・ミート・ロック

セレモニィー?ブッダ・ミート・ロック




第15位:スピード・グルー&シンキ『スピード・グルー&シンキ』'72

スピード・グルー&シンキ

スピード・グルー&シンキ

  • アーティスト: スピード・グルー&シンキ
  • 出版社/メーカー: ストレンジデイズ
  • 発売日: 2009/09/19
  • メディア: CD
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る




Nipponjin

Nipponjin



第13位:東京キッドブラザーズ『書を捨てよ町へ出よう』'71

書を捨てよ町へ出よう?サントラ

書を捨てよ町へ出よう?サントラ




第12位:裸のラリーズ『Blind Baby Has Its Mothers Eyes』'03出版(ブート)

Blind Baby Has It's Mothers Eyes

Blind Baby Has It's Mothers Eyes



第11位:ファーラウト『日本人』'73

Nihonjin

Nihonjin


〈アルバム単位ではなし:https://itun.es/jp/w-CYy


第10位:J.A.シーザー邪宗門'72


〈なし〉


第9位:小杉武久『キャッチ・ウェイブ』'75

CATCH WAVE

CATCH WAVE




第8位:芸能山城組『恐山』'76

恐山

恐山


〈なし〉


第7位:佐藤允彦サウンドブレーカーズ『恍惚の昭和元禄』'71


〈なし〉


第6位:LOVE LIVE LIFE + ONE『Love Will Make A Better You』'71

LOVE WILL MAKE A BETTER YOU

LOVE WILL MAKE A BETTER YOU


〈なし〉


第5位:J.A.シーザー『国境巡礼歌』'73

国境巡礼歌

国境巡礼歌


〈なし〉


第4位:ファー・イースト・ファミリー・バンド『多元宇宙への旅』'76

多元宇宙への旅

多元宇宙への旅



第3位:裸のラリーズ『Heavier Than A Death in the Family』'95出版(ブート)

Heavier Than a Death in the Family

Heavier Than a Death in the Family




第2位:スピード・グルー&シンキ『イヴ 前夜』'71

イヴ 前夜

イヴ 前夜

  • アーティスト: スピード・グルー&シンキ
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1998/06/25
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る



第1位:フラワー・トラヴェリン・バンド『Satori』'71

サトリ

サトリ





『200CD プログレッシヴ・ロック』(立風書房 2001.12.15刊)をApple Musicで聴く

《はじめに》

200CDプログレッシヴ・ロック

200CDプログレッシヴ・ロック


この記事は、

『200CD プログレッシヴ・ロック』(立風書房 2001.12.15刊:絶版)
に掲載された200枚のアルバム(※参考盤を除いた枚数)全てをApple Musicで検索し、そこに存在する作品についてリンクを添付したものです。

立風書房のディスクガイド『200CD』シリーズは、各ジャンルの基本を手際よく踏まえた上でそこから外れる範囲もそつなく押さえたものが多く、この「プログレ」篇もそういう方針のもとで優れた編集がなされています。ジャンルの常識を知り、より深いところに分け入って行くためのガイドとして非常に有用で、いまなお参照する価値の高い一冊と言えます。

この記事では、原著からの引用は一切せず、リストアップされた200枚のCDについて
・邦題
・発表年
Apple Musicへのリンク(※存在するもの)
のみを書き加えて並べています。作品評などが読みたい場合は、ぜひ原著を購入されることをお薦めします。中古価格も高くなく、お手頃な一冊です。


《表記について》


〈なし〉:参考盤(メインのアルバム一つにつき一枚紹介)もApple Musicにない

〈このアルバムはなし〉:メインのアルバムも参考盤もApple Musicにないが、他の作品は比較的多数ある

など。メインのアルバムがApple Musicになくても、他の傑作とされるアルバムが多数用意されている場合もあります。

なお、Apple Musicにあった枚数は

【第1・2章(基本・70年代まで)】:110枚中66枚

【第4章(80年代以降・レコメン〜アヴァンギャルド系)】:67枚中24枚

でした。

それでは以下が本編になります。
何かのお役に立てれば幸いです。








【第1章 プログレ原論 最重要10アルバムからのプログレ入門】


KING CRIMSONクリムゾン・キングの宮殿』(In The Court of The Crimson King)'69

In The Court Of The Crimson King (CD+DVD)

In The Court Of The Crimson King (CD+DVD)


〈「Moonchild」のみ:アルバムの中では例外的な作風なので、知らない方はここでは聴かない方がいいかも


PINK FLOYD『原子心母』(Atom Heart Mother)'70

Atom Heart Mother  (Remastered Discovery Edition)

Atom Heart Mother (Remastered Discovery Edition)




YES『危機』(Close to The Edge)'72

Close to the Edge(CD+Blu-ray)

Close to the Edge(CD+Blu-ray)




Emerson, Lake & Palmer『タルカス』(Tarkus)'71

Tarkus

Tarkus


〈なし:吉松隆編曲・藤岡幸夫指揮の交響曲版はこちらhttps://itun.es/jp/djqUw


GENESIS『眩惑のブロードウェイ』(The Lamb Lies on Broadway)'74

Lamb Lies Down on Broadway

Lamb Lies Down on Broadway


〈他は大体あるがこのアルバムはなし〉


PINK FLOYD『狂気』(The Darkside of The Moon)'73

狂気  <FOREVER YOUNG CAMPAIGN 2015>対象商品

狂気 対象商品




SOFT MACHINE『3RD』(Third)'70

Third (Bonus CD)

Third (Bonus CD)




GONG『ユー』(You)'74

You

You




CAN『フューチャー・デイズ』(Future Days)'73

Future Days

Future Days




area『1978』(1978 - gli dei se ne vanno, gli arrabbiati restano!)'78

1978(紙ジャケット仕様)

1978(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


【第2章 プログレのハード・コア 代表的名盤100選】


KING CRIMSONリザード』(Lizard)'70

Lizard: 30th Anniversary Edition

Lizard: 30th Anniversary Edition


〈なし〉


KING CRIMSONアイランズ』(Islands)'71

Islands: 30th Anniversary Edition

Islands: 30th Anniversary Edition


〈なし〉


KING CRIMSON『太陽と戦慄』(Larks' Tongues in Aspic)'73


〈なし〉


KING CRIMSON『レッド』(Red)'74

Red: 30th Anniversary Edition

Red: 30th Anniversary Edition


〈なし〉


PINK FLOYD『ウマグマ』(Ummagumma)'69

Ummagumma  (Remastered Discovery Edition) (2cd)

Ummagumma (Remastered Discovery Edition) (2cd)




PINK FLOYD『炎〜あなたがここにいてほしい』(Wish You Were Here)'75

Wish You Were Here

Wish You Were Here




YES『こわれもの』(Fragile)'72

こわれもの

こわれもの




GENESIS『フォックストロット』(Foxtrot)'72

Foxtrot: Special Edition

Foxtrot: Special Edition




GENESIS『月影の騎士』(Selling England by the Pound)'73

Selling England By the Pound

Selling England By the Pound




GENESIS『セカンズ・アウト』(Seconds Out)'77

Seconds Out

Seconds Out





Trilogy

Trilogy


〈なし〉


Emerson, Lake & Palmer『恐怖の頭脳改革』(Brain Salad Surgery)'73

恐怖の頭脳改革 40周年記念デラックス・エディション 【DVDオーディオ+2HQCD】

恐怖の頭脳改革 40周年記念デラックス・エディション 【DVDオーディオ+2HQCD】


〈なし〉


VAN DER GRAAF GENERATOR天地創造』(H to He, Who am the Only One)'70

H to He Who Am the Only One

H to He Who Am the Only One


〈なし〉


VAN DER GRAAF GENERATOR『スティル・ライフ』(Still Life)'76

Still Life

Still Life




GENTLE GIANT『フリー・ハンド』(Free Hand)'75

フリー・ハンド <Progressive Rock1300 (SHM-CD)>

フリー・ハンド




GENTLE GIANT『プレイング・ザ・フール』(Playing the Fool)'77

プレイング・ザ・フール~ライヴ <Progressive Rock1300 (SHM-CD)>

プレイング・ザ・フール~ライヴ


〈なし:参考盤『ザ・パワー・アンド・グローリー』(The Power and the


SOFT MACHINE『2』(Volume Two)'69

Volume 2

Volume 2




SOFT MACHINE『4』(Fourth)'71

4(紙ジャケット仕様)

4(紙ジャケット仕様)




Robert Wyatt『ジ・エンド・オヴ・アン・イアー』(The End of an Ear)'70

The End Of An Ear

The End Of An Ear


〈なし〉


Robert Wyatt『ロック・ボトム』(Rock Bottom)'74

Rock Bottom

Rock Bottom




MATCHING MOLE『そっくりモグラ』(Matching Mole)'72

そっくりモグラ

そっくりモグラ




Kevin Ayers『コンフェッションズ・オヴ・ドクター・ドリーム』(The Confessions of Dr. Dream)'74

Confessions of Doctor Dream & Other Stories

Confessions of Doctor Dream & Other Stories




Mike Oldfield『チューブラー・ベルズ』(Tubular Bells)'73

Tubular Bells

Tubular Bells




Mike Oldfield『呪文』(Incantations)'78

インカンテイションズ (Incantations)

インカンテイションズ (Incantations)




EGG『エッグ』(Egg)'69

Egg

Egg




HATFIELD AND THE NORTH『ロッターズ・クラブ』(The Rotter's Club)'75

The Rotters' Club

The Rotters' Club


〈なし:参考盤『ハットフィールド&ザ・ノース』(Hatfield and the North)https://itun.es/jp/GuxlR


CARAVAN『グレイとピンクの地』(In the Land of Grey and Pink)'71

グレイとピンクの地+5 (紙ジャケット仕様)

グレイとピンクの地+5 (紙ジャケット仕様)




CARAVAN『夜ごと太る女のために』(For the Girl Who Grow Plump in the Night)'73

夜ごとに太る女のために+5(紙ジャケット仕様)

夜ごとに太る女のために+5(紙ジャケット仕様)




QUIET SUN『メインストリーム』(Mainstream)'75

Mainstream

Mainstream




NATIONAL HEALTH『ナショナル・ヘルス』(National Health)'78

National Health

National Health




HAWKWIND『宇宙の祭典』(Space Ritual)'73

Space Ritual

Space Ritual




BARCLAY JAMES HARVEST『ライヴ』(Live)'75

LIVE

LIVE


〈なし:他の作品は多数あり〉


Steve Hillage『フィッシュ・ライジング』(Fish Rising)'75

Fish Rising

Fish Rising




Steve Hackett『侍祭の旅』(Voyage of the Acolyte)'75

Voyage of the Acolyte

Voyage of the Acolyte




RENAISSANCE『シェヘラザード』(Scheherazade and other stories)'75

Scheherazade

Scheherazade


〈なし:参考盤『燃ゆる灰』(Ashes Are Burning)https://itun.es/jp/El1SQ


THIRD EAR BAND『マクベス』(Music from Macbeth)'72

マクベス

マクベス


〈なし:参考盤『天と地、火と水』(Third Ear Band)https://itun.es/jp/YwhnP


GRYPHON『女王失格』(Red Queen to Gryphon Three)'74

女王失格  (紙ジャケット仕様)

女王失格 (紙ジャケット仕様)

〈なし〉


Anthony Phillips『ワイズ・アフター・ジ・イヴェント』(Wise after the Event)'78

Wise After the Event

Wise After the Event


〈なし:参考盤『ザ・ギース・アンド・ザ・ゴースト』(The Geese & The Ghost)https://itun.es/jp/9NV66


JETHRO TULL『スタンド・アップ』(Stand Up)'69

Stand Up

Stand Up




JETHRO TULL『パッション・プレイ』(A Passion Play)'73

パッション・プレイ

パッション・プレイ




THE MOODY BLUES『童夢』(Every  Good Boy Deserves Favor)'71

Every Good Boy Deserves Favour

Every Good Boy Deserves Favour




CAMEL『スノウ・グース』(Snow Goose'75

Snow Goose (w/ bonus track)

Snow Goose (w/ bonus track)




Bill Bruford『フィールズ・グッド・トゥ・ミー』(Feels Good to Me)'78

Feels Good to Me

Feels Good to Me


〈なし〉


BRAND X『マスクス』(Masques)'78

マスクス(紙ジャケット仕様)

マスクス(紙ジャケット仕様)




U.K.『U.K.』(U.K.)'78

憂国の四士+2(紙ジャケット仕様)

憂国の四士+2(紙ジャケット仕様)




MANDALABAND『マンダラバンド』(Mandalaband)'75

MANDALABAND I - 曼陀羅組曲

MANDALABAND I - 曼陀羅組曲


〈なし〉


Daevid Allen『グッド・モーニング』(Good Morning)'76

Good Morning

Good Morning


〈なし〉


Patrick Moraz『I』(The Story of I)'76

ストーリー・オブ・アイ(紙ジャケット仕様)

ストーリー・オブ・アイ(紙ジャケット仕様)




PFM(Premiata Forneria Marconi)『幻想物語』(Storia di un Minuto)'72

Storia Di Un Minuto

Storia Di Un Minuto


〈なし:参考盤『甦る世界』(L'Isola di Niente)


PFM(Premiata Forneria Marconi)『クック』(Cook)'74

Cook

Cook




Mauro Pagani『地中海の物語』(Mauro Pagani)'78

マウロ・パガーニ~地中海の伝説(紙ジャケット仕様)

マウロ・パガーニ~地中海の伝説(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


FORMULA 3『神秘なる館』(La Grande Casa)'73

La Grande Casa

La Grande Casa


〈なし〉


area『自由への叫び』(Arbeit Macht Frei)'73

自由への叫び(紙ジャケット仕様)

自由への叫び(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


area『アレアツィオーネ』(Are(A)zione)'75

アレアツィオーネ“アレア・ライヴ”(紙ジャケット仕様)

アレアツィオーネ“アレア・ライヴ”(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


BANCO DEL MUTUO SOCCORSO『ダーウィン』(Darwin!)'73

Darwin

Darwin


〈なし〉


ARTI & MESTIERI『ティルト』(Tilt)'74

Tilt

Tilt


〈なし〉


IL VOLO『イル・ヴォーロ』(Il Volo)'74

イル・ヴォーロ(紙ジャケット仕様)

イル・ヴォーロ(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


OSANNA『パレポリ』(Palepoli)'73

パレポリ

パレポリ




LATTE E MIELE『受難劇』(Passio Secundum Mattheum)'72

受難劇+1(紙ジャケット仕様)

受難劇+1(紙ジャケット仕様)




NEW TROLLS『コンチェルト・グロッソ1』(Concerto Grosso)'71

Concerto Grosso

Concerto Grosso


〈なし:参考盤『Concerto Grosso Trilogy Live』https://itun.es/jp/pHmc5


PICCHIO DAL POZZO『ピッキオ・ダル・ポッツオ1』(Picchio Dal Pozzo)'76

ピッキオ・ダル・ポッツォ(紙ジャケット仕様)

ピッキオ・ダル・ポッツォ(紙ジャケット仕様)




CELESTE『チェレステ』(Celeste Principe di un Giorno)'76

Celeste

Celeste




IL BALLETTO DI BRONZO『YS』(YS)'72

Ys

Ys


〈なし〉


OPUS AVANTRA『内省』(Introspezione)'74

オパス・アヴァントラ

オパス・アヴァントラ




MAGMA『ライヴ』(Live)'75

MAGMA LIVE

MAGMA LIVE




MAGMA『未来からの鼓動〜ウドゥ・ヴドゥ』(Üdü Wüdü)'76

Udu Wudu

Udu Wudu




Yochk'o Seffer / Neffes Music『ギルグール』(Ghilgoul)'78

Ghilgoul

Ghilgoul




ALBERT MARCOEUR『アルベール・マクール』(Albert Marcoeur)'74

Albert Marcoeur [Explicit]

Albert Marcoeur [Explicit]




ATOLL『組曲夢魔」』(L'Araignée - Mai)'75

組曲「夢魔」

組曲「夢魔」


〈なし〉


ANGE『Tome Ⅵ』(Tome Ⅵ)'77

Ange Tome VI

Ange Tome VI




TAI PHONG『タイ・フォン』(Tai Phong)'75




HELDON『終わりのない夢』(Un Rêve Sans Conséquence Spéciale)'76

結末のない夢

結末のない夢


〈なし〉


APHRODITE'S CHILD『666』(666)'71

666~アフロディーテズ・チャイルドの不思議な世界

666~アフロディーテズ・チャイルドの不思議な世界




VANGELIS『Earth』(Earth)'73

Earth

Earth




FOCUS『ムーヴィング・ウェイヴス』(Moving Waves'72

ムーヴィング・ウェイヴズ

ムーヴィング・ウェイヴズ




SUPER SISTER『ナンシーからの贈り物』(Present from Nancy)'70

Present from Nancy

Present from Nancy


〈なし


PEKKA『数学家の空中広告』(The Mathematician's Air Displey)'77

The Mathematician's Air Display

The Mathematician's Air Display


〈なし


SAMLA MAMMAS MANNA『踊る鳥人間』(Klossa Knapitatet)'74

Klossa Knapitatet (Reis)

Klossa Knapitatet (Reis)




Frank Zappa『フリーク・アウト』(Freak Out'66

Freak Out!

Freak Out!




Frank Zappa『アンクル・ミート』(Uncle Meat)'69

Uncle Meat

Uncle Meat




HAPPY THE MAN『クラフティ・ハンズ』(Crafty Hands)'78

Crafty Hands -Reissue-

Crafty Hands -Reissue-


〈なし


SEBASTIAN HARDIE『フォー・モーメンツ(哀愁の南十字星)』(Four Moments)'75

Four Moments

Four Moments




四人囃子『一触即発』'74

一触即発

一触即発




マジカル・パワー・マコ『マジカル・パワー』'74

マジカル・パワー

マジカル・パワー


〈なし:『Super Record』などはあり〉


J.A.シーザー『国境巡礼歌』'73

国境巡礼歌

国境巡礼歌


〈なし:『身毒丸 Perfect Box』などはあり〉


Amon Düül II『地獄!』(Yeti)'70

Yeti

Yeti




CAN『カン・ライブ 1971 - 1977』(Can Live Music Live 1971 - 1977)'99

Can Box Music: Live 1971-1977

Can Box Music: Live 1971-1977


〈なし


FAUST『ファースト・アルバム』(Faust)'71

ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)


〈このアルバムはなし


KRAFTWERKアウトバーン』(Autobahn)'74

アウトバーン

アウトバーン




TANGERINE DREAM『アテム』(Atem)'73

Atem

Atem




Klaus Schulze『イルリヒト』(Irricht'72

Irrlicht

Irrlicht




POPOL VUH『ホシアンナ・マントラ』(Hosianna Mantra)'73

Hosianna Mantra

Hosianna Mantra




ASH RA TEMPEL『インヴェンションズ・フォー・エレクトリック・ギター』(Inventions for Electric Guitar)'75


〈なし〉


GURU GURU『UFO』(UFO)'70

UFO

UFO




CLUSTER『クラスターⅡ』(Cluster Ⅱ)'72

Cluster II , from UK)

Cluster II , from UK)




NEU!『ノイ!』(Neu!'72

ノイ! [紙ジャケット仕様]

ノイ! [紙ジャケット仕様]




Fripp & Eno『ノー・プッシーフッティング』(No Pussyfooting)'73

ノー・プッシーフッティング(K2HD/紙ジャケット仕様)

ノー・プッシーフッティング(K2HD/紙ジャケット仕様)


〈なし〉


Brian Eno『ビフォア・アンド・アフター・サイエンス』(Before and After Science)'77

Before & After Science

Before & After Science




HENRY COW『アンレスト』(Unrest)'74

Unrest

Unrest




ART BEARS『ウィンター・ソングス』(Winter Songs)'79

ウィンター・ソングス

ウィンター・ソングス


〈なし


【第3章 プログレ解剖学 音楽・楽器・イメージ】
(他の章で既に取り上げられている作品はここでは省いています)


《メロトロン》

THE MOODY BLUES『ディス・イズ・ムーディ・ブルース』(This is the Moody Blues)

This Is the Moody Blues

This Is the Moody Blues




10cc『オリジナル・サウンドトラック』(The Original Soundtrack)

The Original Soundtrack

The Original Soundtrack




《アナログ・シンセ》

U.K.『ナイト・アフター・ナイト』(Night After Night)

ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)(紙ジャケット仕様)

ナイト・アフター・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


REFUGEE『レフュジー』(Refugee)

Refugee (Reis)

Refugee (Reis)


〈なし〉


《ピアノ》

Keith And Julie Tippett『カップル・イン・スピリット2』(Couple
in Spirit 2)

Couple in Spirit 2

Couple in Spirit 2


〈なし〉



THE ART ENSEMBLE OF CHICAGO『ファンファーレ・フォー・ザ・ウォリアーズ』(Fanfare for the Warriors)

Fanfare for the Warriors

Fanfare for the Warriors




John Coltrane『オラトゥンジ・コンサート』(The Olatunji Concert)

オラトゥンジ・コンサート(ザ・ラスト・ライヴ・レコーディング)

オラトゥンジ・コンサート(ザ・ラスト・ライヴ・レコーディング)




《長尺曲の構造》

VAN DER GRAAF GENERATOR『ポーン・ハーツ』(Pawn Hearts)

ポーン・ハーツ(紙ジャケット仕様)

ポーン・ハーツ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2013/11/27
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る


〈なし〉



YES『イエスイヤーズ』(Yesyears)

Yesyears

Yesyears


〈なし〉


ASIA『アルファ』(Alpha)

Alpha

Alpha





PINK FLOYD『ナイス・ペア』(A Nice Pair)

Nice Pair [Analog]

Nice Pair [Analog]


〈なし〉


WINGS『ヴィーナス・アンド・マーズ』(Venus and Mars)

Venus & Mars

Venus & Mars




《キーフ》

AFFINITY『アフィニティ』(Affinity)

Affinity

Affinity




NIRVANA(UK)『Local Anaesthetic』

局部麻酔(紙)

局部麻酔(紙)


〈なし〉


《ポール・ホワイトヘッド》

Peter Hammill『フールズ・メイト』(Fool's Mate)

Fool's Mate

Fool's Mate




LE ORME『Elementi』

Elementi

Elementi




《ロマンティシズム》

Robert John Godfrey『太陽神ヒュペリオンの堕落』(The Fall of Hyperīōn)

ハイペリオンの没落

ハイペリオンの没落




Amon Düül II『ファルス・ダイ』(Phallus Dei)

Phallus Dei

Phallus Dei


〈なし〉


《幼年期の夢想》

BAND OF HOLY JOY『フェン・スターズ・ケイム・アウト・トゥ・プレイ』(When Stars Came Out To Play)

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉

Ghédalia Tazartès『ヴォワイヤージュ・ア・ローンブル』(Voyage À L'Ombre)

(アマゾン取扱なし)

〈このアルバムはなし〉


《怪物》

CURVED AIR『ライヴ』(Live)

Live

Live


〈このアルバムはなし〉


DARRYL WAY'S WOLF『サチュレーション・ポイント(飽和点)』(Saturation Point) 

サテュレーション・ポイント(飽和点)

サテュレーション・ポイント(飽和点)

  • アーティスト: ダリル・ウェイ&ウルフ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2001/06/13
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る


〈なし〉


《異界》

David Bedford『老水夫行』(The Rime of the Ancient Mariner)

Rime of the Ancient Mariner

Rime of the Ancient Mariner


〈なし〉



新月

新月


〈なし〉


《宇宙》

KING CRIMSON『Earthbound』

Earthbound

Earthbound


〈なし〉



喜多嶋修『弁財天』

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


LOS CANARIOS『四季』(Si - Wan)

シクロス(紙ジャケット仕様)

シクロス(紙ジャケット仕様)


〈なし〉


《狂気》

Syd Barrett『帽子が笑う……不気味に』(The Madcap Laughs)

帽子が笑う・・・不気味に(紙ジャケット仕様)

帽子が笑う・・・不気味に(紙ジャケット仕様)




Mayo Thompson『コーキーズ・デット・トゥ・ヒズ・ファーザー』(Corky's Debt To His Father)

Corky's Debt to His Father

Corky's Debt to His Father


〈なし〉


《学歴》

Dave Soldier『クロポトキンズ』(The Kropotkins) 

The Kropotkins

The Kropotkins


〈なし〉


《プレ・プログレ

SILVER APPLES『シルバー・アップルズ』(Silver Apples

Silver Apples / Contact

Silver Apples / Contact




Joe Meek『アイ・ヒア・ア・ニュー・ワールド』(I Hear A New World)




《ポスト・プログレ

Vincent Gallo『When』




シカラムータ 大熊ワタルユニット『凸凹』(deko - boko)

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


【第4章 プログレ進化論 80年代以後 / ポスト・プログレ


Peter Gabriel『Ⅲ』(Peter Gabriel'80

Peter Gabriel 3: Melt

Peter Gabriel 3: Melt




Kate Bush『ドリーミング』(The Dreaming)'82

ドリーミング  <FOREVER YOUNG CAMPAIGN 2015>対象商品

ドリーミング 対象商品


〈なし


KING CRIMSON『スラック』(Thrak)'95

スラック

スラック


〈なし


GONG 2000『ゼロ・トゥ・インフィニティー』(Zero To Infinity)'00

Zero to Infinity

Zero to Infinity




MASSACRE『キリング・タイム』(Killing Time)'81

Killing Time

Killing Time




Fred Frith『ステップ・アクロス・ザ・ボーダー』(Step Across The Border)'90

Step Across the Border

Step Across the Border




SKELTON CREW『ラーン・トゥ・トーク』(Learn ty Talk)'84

(アマゾン取扱なし)

〈なし

SLAPP HAPPY『サ・ヴァ』(Ça Va)'98

サ・ヴァ

サ・ヴァ


〈なし


THE WORK『スロウ・クライムズ』(Slow Crimes)'82

Slow Crimes

Slow Crimes




CASSIBER『マン・オア・モンキー』(Man or Monkey)'82

(アマゾン取扱なし)



HEINER GOEBBELS & ALFRED 23 HARTH『ゲッペルス・ハート』(Goebbels Heart)'92

(アマゾン取扱なし)

〈なし



This Heat

This Heat




Charles Hayward『ニア+ファー ライヴ・イン・ジャパン』(Near + Far)'98

(アマゾン取扱なし)

〈なし


Chris Cutler / Lutz Glandien『ドメスティック・ストーリーズ』(Domestic Stories)'92

Domestic Stories

Domestic Stories




THE (EC) NUDES『ヴァニシング・ポイント』(Vanishig Point)'94

Vanishing Point

Vanishing Point




CAVEMAN HUGHSCORE『ケイヴマン・ヒュースコア』(Caveman Hughscore)'95

Caveman Hughscore

Caveman Hughscore


〈なし


Bill Frisell『イズ・ザット・ユー?』(Is That You)'90

Is That You

Is That You




THE Muffins『185』'81

185

185


〈なし


AKSAK MABOUL『ならず者のように』(Un Peu de L'ame des Bandits)'80

無頼の徒

無頼の徒


〈なし


ZNR『人間機械学概論』(Traité De Mécanique Populaire)'79

Traite De Mecanique Populaire

Traite De Mecanique Populaire


〈なし


UNIVERS ZERO『祝祭の時』(Ceux du Dehors)'81

Ceux De Dehors

Ceux De Dehors




ART ZOYD『ファーズ・カトル』(Phase Ⅳ)'82


〈このアルバムはなし


Lars Hollmer『アンデターク』(Andetag)'97

Andetag

Andetag


〈このアルバムはなし


L'ENSEMBLE RAYE『Meme En Hiver / Comme Un Pinson Dans L'Eau』'90

Comme Un Pinson Dans L'eau

Comme Un Pinson Dans L'eau




NO SECRETS IN THE FAMILY『イン・ア・サートゥン・ライト・ウィ・オール・アピアー・グリーン』(In A Certain Light We All Appear Green)'87

(アマゾン取扱なし)

〈なし


X-LEGGED SALLY『スロウ・アップ』(Slow - Up)'93

スロウ・アップ

スロウ・アップ




5uu's『ハンガーズ・ティース』(Hunger's Teeth)'94

Hunger's Teeth

Hunger's Teeth




DOCTOR NERVE『スキン』(Skin)'95

Skin

Skin


〈なし


MR. BUNGLE『オペラ座の変人』(Mr. Bungle)'91

Mr Bungle

Mr Bungle




MARK NAUSEEF『パーソナル・ノート』(Personal Note)'82

パーソナル・ノート

パーソナル・ノート


〈なし


Trilok Gurtu『アスフレット』(Usfret)'88

Usfret

Usfret


〈なし


David Torn『ドアX』(Door X)'90

Door X

Door X


〈なし


RAIN TREE CROW『レイン・トゥリー・クロウ』(Rain Tree Crow)'91

レイン・トゥリー・クロウ(紙ジャケット仕様)

レイン・トゥリー・クロウ(紙ジャケット仕様)


〈なし


Tony Hymas『オヤテ』(Oyate)'90

Oyate

Oyate


〈なし


Michael Riessler『ヘーニッヒ・ウント・アッシェ』(Honig Und Asche)'98

HONIG UND ASCHE-HONEY AND ASH

HONIG UND ASCHE-HONEY AND ASH


〈なし


Valentin Clastrier『エレジー』(Hérésie)'92

Heresie

Heresie


〈なし


Tim Brady『イマジナリー・ギターズ』(Imaginary Guitars)'97

Imaginary Guitars

Imaginary Guitars


〈なし


Rene Lussier『ル・トレゾール・ドゥ・ラ・ラング』(Le Trésor De La Langue)'89

Le Tresor De La Langue

Le Tresor De La Langue


〈なし


Jean Derome『Carnets De Voyage』'94


〈なし


Un Drame Musical Instantané『Trop d'adrénaline nuit』'77

(アマゾン取扱なし)

〈なし


Dan Ar Braz『テーマ・フォー・ザ・グリーン・ランズ』(Theme for the Green Lands)'94

Theme for the Green Lands

Theme for the Green Lands


〈アルバムはなし:https://itun.es/jp/rq99t?i=335009227


MALICORNE『ル・ベスティエール』(Le Bestiaire)'79

Le Bestiaire [LP]

Le Bestiaire [LP]




Makam és Kolinda『マカム・エーシュ・コリンダ』(Makam és Kolinda)'89

(アマゾン取扱なし)

〈なし


BEGNAGRAD『コンツェルト・フォー・ア・ブロークン・ダンス』(Konzert For A Broken Dance)'82

(アマゾン取扱なし)

〈なし


Mari Boine Med Band Allians『Mote I Moskva』'92

(アマゾン取扱なし)

〈なし

Värttinä『ヴィヒマ』(Vihma)'98

Värttinä

Värttinä


〈このアルバムはなし


HEDNINGARNA『異教徒』(Trä)'94

Tra

Tra




Lluis Llach『スタード・ドゥ・バルセロン』(Stade de Barcelone)'86

Stade De Barcelone

Stade De Barcelone


〈このアルバムはなし


Fabrizio de Andre『アニメ・サルヴェ』(Anime Salve)'96

Anime Salve

Anime Salve


〈なし


Franco Battiato『フィータス』(Fetus)'72

胎児(紙ジャケット仕様)

胎児(紙ジャケット仕様)




アフター・ディナー『アフター・ディナー』(Editions)'90

Editions

Editions


〈なし〉


美狂乱『パララックス』'83

パララックス(紙ジャケット仕様)

パララックス(紙ジャケット仕様)


〈このアルバムはなし


ケンソー『夢の丘』'91

夢の丘(紙ジャケット仕様)

夢の丘(紙ジャケット仕様)


〈このアルバムはなし


KILLING TIME『フィリング・タイム・ウィズ・キリング・タイム』(Filling Time with Killing Time)'88

Filling Time with Killing Time

Filling Time with Killing Time


〈なし〉


ティポグラフィカ『フローティング・オペラ』(Floating Opera'97

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


ルインズ『ヴレスト』(Vrresto)'00

Vrresto

Vrresto




ボンデージ・フルーツ『ボンデージ・フルーツ』(Bondage Fruit'94

Bondage Fruit

Bondage Fruit


〈なし〉


Egberto GismontiCidade Coração』'85

心の街(BOM24196)

心の街(BOM24196)


〈このアルバムはなし


BACAMARTE『Depois Do Fim』'83

Depois Do Fim

Depois Do Fim


〈なし〉


THADD COMSTOCK『ワン・オヴ・メニー・フェイシズ』(One Of Many Faces)'95

(アマゾン取扱なし)

〈なし〉


Isildurs Bane『シュヴァル』(Cheval)'89

Cheval Volonte De Rocher

Cheval Volonte De Rocher




Mats & Morgan『トレンド・アンド・アザー・ディジージズ』(Trend And Other Diseases)'96

Trends & Other Diseases

Trends & Other Diseases


〈なし〉


KADA『Bucsuzas』'01

Bucsuzas

Bucsuzas


〈なし〉


Nels Cline『ジ・インクリング』(The Inkling)'00

Inkling

Inkling




Michael Manring『ソンク』(Thonk)'94

Thonk

Thonk


〈このアルバムはなし〉


TORTOISE『ミリオンズ・ナウ・リヴィング・ウィル・ネヴァー・ダイ』(Millions Now Living Will Never Die)'96

Millions Now Living Will Never Die

Millions Now Living Will Never Die




Björk『ヴェスパタイン』(Vespertine)'01

Vespertine

Vespertine








2015年・上半期ベストアルバム

【2015年・上半期ベストアルバム】



・2015年上半期に聴いたアルバムの個人的ベスト10です。
(年末に選定するベスト20(+次点)においては微妙に順位が入れ替わる可能性もあります。)

・評価基準はこちらです。
個人的に特に「肌に合う」「繰り返し興味深く聴き込める」ものを優先して選んでいます。

・これはあくまで自分の考えなのですが、ひとさまに見せるべく公開するベスト記事では、あまり多くの作品を挙げるべきではないと思っています。自分がそういう記事を読む場合、30枚も50枚も(具体的な記述なしで)「順不同」で並べられてもどれに注目すればいいのか迷いますし、たとえ順位付けされていたとしても、そんなに多くの枚数に手を出すのも面倒ですから、せいぜい上位5〜10枚くらいにしか目が留まりません。
(この場合でいえば「11〜30位はそんなに面白くないんだな」と思ってしまうことさえあり得ます。)
たとえば一年に500枚くらい聴き通した上で「出色の作品30枚でその年を総括する」のならそれでもいいのですが、「自分はこんなに聴いている」という主張をしたいのならともかく、「どうしても聴いてほしい傑作をお知らせする」お薦め目的で書くならば、思い切って絞り込んだ少数精鋭を提示するほうが、読む側に伝わり印象に残りやすくなると思うのです。
以下の10枚は、そういう意図のもとで選ばれた傑作ばかりです。機会があればぜひ聴いてみられることをお勧めいたします。もちろんここに入っていない傑作も多数存在します。他の方のベスト記事とあわせて参考にして頂けると幸いです。

・ランキングは暫定です。聴き込み次第で入れ替わる可能性も高いです。



上半期Best10



第10位:Tigran Hamasyan『Mockroot』

Mockroot

Mockroot


ティグラン・ハマシアンは現代ジャズシーンを代表するピアニストの一人で、自身の出自であるアルメニアの音楽とアメリカのフォーク音楽、そしてMESHUGGAHのようなエクストリームメタルの要素を統合して独自の音楽を作る俊才です。レパートリーの殆どを占めるオリジナル曲は大部分が予め構築されたもので、ジャズならではの(コードやモードといったルールに則った)即興(=ライヴでの瞬間作曲)も用いはするのですが、その比率は多くありません。曲の土台になっているのはピアノによるリフで、頻出するボーカルパートとあわせてはっきりした展開を描いていきます。硬く締まったタッチで“重く跳ねる”グルーヴはいわゆるdjentに通じるもので、ピアノやドラムスの音作り自体がメタルを強く意識していることなどもあって、プログレメタルのファンなどにもアピールする要素が多いのではないかと思います。実際ティグラン本人もそちら方面の熱心な愛好家のようで、'11年に行われた日本語インタビュー(http://tower.jp/article/feature/2011/11/21/eg_tigranhamasyan)でも「MESHUGGAHのFredrik Thordendalに共演を求めて断られた」という話が出てきます。MESHUGGAHの「複雑な変拍子が連発されるようにみえて実は(4〜8〜16小節単位でフレーズ構成が一周する)4/4拍子のみで占められている」リズム構成をしっかり理解した上で、ジャズ方面の演奏スタイルでなければできない柔軟なひねりを加えていく。テクニカルでありながら(フュージョン的な“技術のひけかし”に陥らない)音楽的必然性を失わない作編曲が見事で、繰り返し聴き込むに足る構造的強度と深みある表現力が生まれています。“刺激的でしかも聴き飽きにくい”音楽を探している方はぜひ聴いてみてほしい、とても優れたミュージシャンです。

本作『Mockroot』は、優れた内容で評判になった前作『Shadow Theater』('13年発表)に続く作品で、独自の音遣い感覚が一層味わい深く熟成されています。わかりやすく“立った”リードフレーズがつかみの強さを発揮していた前作と比べると多少地味な感じはするのですが、聴き減らない中身の濃さとアルバム全体の構成力は本作の方が数段上で、捻りあるリズム構成にも一層磨きがかかっています。MESHUGGAH的なリズムアイデアを複合拍子・複合連符(5連符による4/4拍子など)でチューンアップするだけでなく、演奏の段階でも“訛り”“揺らぎ”を加えて複雑なニュアンスを生んでいく。これはいわゆるdjent方面のバンド(プレーンでブレないグルーヴを用いる場合が多い)ではなかなか太刀打ちできない部分で、現代ジャズ・シーンのトレンド(ヒップホップなどから学んだ“つんのめる”演奏感覚を高度な技術で掘り下げていく)に通じる要素としても興味深いのではないかと思います。この人の音楽のトレードマークであるアルメニア的なメロディ感覚も魅力的で、同じくアルメニアのコミュニティから出てきたバンド(SYSTEM OF A DOWNやTHE APEX THEORYなど)を好む人にはかなり強く“刺さる”ものなのではないかと思います。

ティグラン・ハマシアンの音楽は、薫り高い個性と構造的な強度を高度に両立するもので、本作『Mockroot』ではそれが渋くまとまりのあるかたちで示されています。聴き込みがいのある優れた作品です。



第9位:THE POP GROUPCitizen Zombie』


ストパンク〜ニューウェーブを代表するグループの実に35年振りの新譜です。現時点での評判は微妙で、ロック〜オルタナティヴの歴史を代表する名盤1st・2ndと比べ「あまりにも覇気がなく“普通”でつまらない」という声がたくさん聞かれます。しかし、これは実のところ非常に味わい深い作品です。過去の作品を意識し同じ聴き方で接するのでなく、このアルバム特有の“過ごし方”を見つけてしまえば、とても興味深く聴き浸れてしまいます。一聴してピンと来なかった人もぜひ繰り返し聴いてみてほしい一枚です。

このアルバムには、過去の作品で特徴的だった(ハードコア的とも言える)高速で暴れる曲調は殆どなく、テンポを大きく落としたダビーなホワイト・ファンクばかりが収録されています。そしてその完成度が素晴らしいのです。ブラックミュージックにおける(無限に分割されるビートの)“歯車の目が細かく合う”ファンクと比べ明らかに“目が粗い”(ビートがあまり分割されていない)アンサンブルなのですが、そうやって緩くたわむグルーヴが不思議な完成度をみせていて、ブラックミュージックのタイトなファンクでは出せない深い味わいを獲得することができています。これはひとたび慣れると病みつきになる極上の珍味で、ニューウェーブの時代から様々なかたちで試されてきたホワイト・ファンク・スタイルの一つの完成系ではないかとすら思える心地よさがあります。過去作品の窮屈にもつれるアンサンブルにはなかった大らかな隙間感覚も好ましく、バンドの新たな境地として歓迎されてもいい達成なのではないかと思います。
こうした演奏だけでなく、音遣い〜作編曲もかなり良い出来になっています。2ndなどで聴ける(ノーウェーブの無調ファンクに通じる)不協和音も巧みに活用されており、スウィートなレゲエに通じる明るい音進行との対比が良い効果を生んでいます。2曲目「Mad Truth」などはManuel Göttschingの『E2-E4』をダブ・ファンク化したような響きが素晴らしいですし、演奏の魅力を除いてみても、耳を惹く場面の多いアルバムになっているのではないかと思います。
一枚モノとしての構成も良い作品で、繰り返し聴き込みたいという意欲を引き出してくれる快適な流れがあります。
(日本盤は1曲目「Citizen Zombie」の別バージョンが最後に入っており、アルバムの完成度を一段高めています。聴くならこちらをお薦めします。)
一聴の価値がある、優れた作品だと思います。

キャリア全期と比較しての具体的なレビューとしては、行川和彦氏のブログが詳しいです。併せて読まれることをお勧めします。



第8位:ももいろクローバーZ青春賦』


ももクロの魅力としてよく言われる「全力」というキーワードがあります。「全力」で歌い踊る姿がなにより感動を呼ぶ、それがももクロの魅力なのだ、という話です。
これは確かに間違いではないのですが、個人的にはややピントがズレていると感じます。「全力」でやるパフォーマンスの“力強さ”よりも、むしろ、「全力であることを暑苦しく感じさせない」パフォーマンスの“質”こそが魅力の肝なのではないかと思うのです。

ももクロの重要な個性として「呑気だけど能天気ではない」というのがあると思います。力みすぎない飄々とした軽やかさがあるけれども、何も考えずヘラヘラしているわけではない。彼女たちなりに悩み、深刻に考えることもあった上で、それにとらわれ過ぎずにまっすぐ突き進んでいく。「屈託があるけど屈折してない」とでも言いましょうか。肩肘張らないのにエネルギーに満ちている、押し付けがましくないアツさがあって、出し惜しみせずに「全力」で行くところでもそれが暑苦しく感じられないのです。接する側に「何か重たい」というような心理的負担を一切かけず、さりげなく活力を与えて心を震わせてしまう。こういう絶妙の“力加減”があるからこそどんな相手の懐にもスッと入っていけるのでしょうし、テンションの高い人からも低い人からも丁度いい立ち位置にあって、その両者を取り込めてしまうのだと思うのです。ももクロがここまで広く強い支持を得ることができたのは、パフォーマンスの凄さはもちろんのこと、こうした人柄によるところが大きいのではないかと思います。

そして、こうした人柄は、動いているところを見なくても、録音されている声だけを聴いても伝わってくるものです。むやみやたらにスコーンと抜けたりしない(発声技術的な話でいうなら「頭頂部をひらいて高域のヌケをよくする」ようなことをあまりしていない)程よく“くぐもった”声質は、お行儀よく快活なJ-POP的発声とか、「私上手いでしょ?」というような自意識を力強く押し付けてくるR&B系ディーヴァの歌い上げなどとは異なる、どこか謡曲的な湿り気や“控え目”な落ち着きを感じさせます。そうした力加減が基本的なテンションとして維持されているから、どんなに力強く歌うところでも不躾で暑苦しい印象が生まれない。抑え気味な陰翳とまっすぐで衒いのない活力が自然に両立されているのです。
ももクロの楽曲について「別の上手い人が歌えばもっと良くなるのに」ということを言う人はわりと多いですが、フレージングの滑らかさというような「整った技術」に関して言えばその通りでも、上記のような人柄とか力加減について言えば、代わりになるものはそうありません。そして、音楽においては(少なくとも、完璧に整ったバッキング・トラックの上にのるリードボーカルに関して言うなら)そうした「味」の部分がなにより重要なのです。このメンバーの声質やパフォーマンス(そしてその源となる人柄)がなければ、ももクロの楽曲がこれほど“伝わる力”に満ちたものになることはなかったと思います。

このように、ももクロが成功したのはメンバーのキャラクタ・音楽的個性によるところが大きかったのではないかと思うのですが、運営側の音楽的ディレクションもそれと同じくらい大きな貢献をしているのではないかと思われます。幅広い音楽要素をつぎ込みめまぐるしく展開させる作編曲スタイルは「ジェットコースター的な」刺激と滋養の豊かさを両立するもので、小難しいことに興味がないライト層にも、細かく聴き込んで分析するのが好きなマニア層にも、ともに強く訴求する構造を勝ち得ています。
(この点RUSHあたりに通じるポジションにいるのではないかと思います。)
様々なジャンルを節操なく網羅する持ち曲も、そうして増やしていくうちに「何でもありなグループ」「どんなジャンルを追加しても方向性がブレない」という印象が生まれ、何をやっても(時間をかければ)受け入れられるようになっていく。こういう流れを作ることができたのも(この先の活動における自由度を確保できていることも含め)成功の大きな要因なのではないかと思います。

2015年に入ってから発表された3枚のシングル『夢の浮世に咲いてみな』(KISSとの共演盤)・『青春賦』・『『Z』の誓い』は、上記のような「何でもあり」な流れをよく表すものです。そしてその中でも『青春賦』(4曲入りCD版)は大変素晴らしい仕上がりで、1枚モノとしての構成の良さもあわせ、名盤と言っていい出来なのではないかと思います。
まず表題曲が良いです。発表直後に10回続けて聴き通した感想
にも書きましたが、「卒業式で歌われる合唱曲を、大学のアカペラサークルでよく用いられる“ジャズ〜ゴスペル的なコードワーク”(Donald Fagen〜TAKE 6あたりに通じるスタイル)でアレンジした感じ」の編曲を担当しているのが、まさにそのSTEELY DAN〜Donald Fagenスタイルを得意とする国内屈指のアレンジャー冨田恵一で、キリンジの名曲「Drifter」に絶妙な“つまずき”を加えたような音進行により、「卒業」(ちょうどメンバーはそのあたりの年齢です)に伴う「爽やかな決意表明とそこに伴う困難」を表現しているのです。それに取り組み先述のような「屈託があるけど屈折してない」雰囲気を醸し出すパフォーマンスも見事で、このグループにしか表現できない素晴らしい味を生んでいると思います。
他の曲も良いものばかりです。グループの代表曲である「走れ!」の現編成ver.では、爽やかな原曲に程よい渋みと切実さが加わっていて、この歌詞を良い意味で“身の丈に合った”ものとして歌いこなせている感がありますし、残りの2曲も、ちょうど高校の卒業を控えた最年少メンバーをメインに据えつつ卒業済みの他のメンバーと対比させるなど、巧みな仕掛けで優れた表現力を生んでいる場面が多いです。アルバムとしての流れまとまりもとても良く、心震わされながら何度も聴き返してしまえる快適な居心地が備わっています。このグループのカタログにおいて出色の作品というだけでなく、日本のポピュラーミュージックシーン一般でみても傑作と言える内容なのではないかと思います。
機会があれば(「食わず嫌い」の流し聴きをせずに)ぜひ耳を傾けてみてほしい一枚です。



第7位:SIGH『Graveward』

Graveward

Graveward


SIGHは、日本が生み出した最高の音楽珍味の一つであり、ジャンルを問わずに聴かれるべき優れたバンドです。よく「アヴァンギャルドブラックメタル」と言われますが、音楽の成り立ちからみれば「アヴァンギャルド」でも「(現在の一般的な意味でいう)ブラックメタル」でもありません。演歌〜歌謡曲特有の音遣い感覚に膨大な音楽要素を溶かし込み、独自のやり方で料理したようなスタイルは、日本特有の音遣い感覚が生み出した究極の珍味のひとつであり、NWOBHMから初期スラッシュに連なるカルトメタルの最高進化形とみるべきでしょう。

SIGHの音楽は、世界各地の食材や技法に精通した料理人が、あくまで醤油にこだわった味付けに徹しているようなものです。現代音楽やフリージャズ、70〜80年代のジャーマンロックやノイズミュージック、アジア〜ユーラシア大陸民族音楽など、非常に豊かな音楽的語彙が巧みに溶かし込まれているのですが、基本となる下味はあくまで80年代クサレメタル(VENOM、MERCYFUL FATE〜KING DIAMOND、CELTIC FROSTや初期スラッシュ各種)であり、“アヴァンギャルド”な仕掛けは、単なるギミックでもないにしろ、メインの要素ではありません。高度な音楽技法を駆使しながらも、音楽史上における未踏の領域を探索し新たなセオリーを見出そうとするのではなく、既存の語法を誰もやっていないやり方で深く掘り下げるのを主眼とする。80年代クサレメタルを味わいの面でも作曲・音響技法の面でも最高度に深化させているバンドであり、その点において(良くも悪くも)大きな変化はしない音楽性を貫いているのです。

そして、そうしたクサレメタル的な音遣い感覚には、日本の演歌〜歌謡曲における音遣い感覚に通じるものがあります。70年代の英国ロック〜80年代のNWOBHMからブルース成分が希釈されていく過程で生まれたクサレメタルの音遣い感覚は、ブルース成分を吸収・定着させる以前の日本のポピュラー音楽、つまり演歌〜歌謡曲における音遣い感覚とかなり似た進行感を持っており、両者の食い合わせは非常に良いと言えます。SIGHの音楽においてはこうした成分が理想的なバランスをもって融合されており、それが豊かな音楽技法で巧みに捻られながら提示されていくのです。
(先に挙げた「現代音楽やフリージャズ、70〜80年代のジャーマンロックやノイズミュージック、アジア〜ユーラシア大陸民族音楽など」もブルース成分が薄めなものばかりで、こうした音遣い感覚との相性は抜群です。)
下味となる音遣い感覚を図太く貫きつつ、多彩な仕掛けで微妙な変化をつけ続ける。同じ味わいに浸らせながらも単調にせず飽きさせない構成が素晴らしく、慣れるとどんどん惹き込まれていきます。格好良いキメを連発するシンフォニックメタルの物理的刺激を心地よく感じ聴き込んでいるうちに、そうした音遣いに反応する“回路”が形成され、味わいの質を理解してハマり、離れられなくなっていくのです。本当に巧みな成り立ちをしている音楽性であり、このジャンルが生み出したものとしては最高の珍味のひとつと言えるでしょう。聴いたことのない方はぜひ体験してみてほしいです。

今年発表された新譜『Graveward』は、前作の洗練された構成から一転し、めまぐるしく展開する場面を増やした作品で、「MERCYFUL FATE〜KING DIAMONDにMASTER'S HAMMERを注入し、優れた演奏力でまとめ上げた」ような趣があります。
SIGHの過去作品で言えば『Hail Horror Hail』『Imaginary Sonicscape』『Hangman's Hymn』のどの作品のファンにもアピールしうる要素があり、膨大な情報量をすっきりまとめて聴かせてしまう作編曲が見事です。22年間在籍したギタリストが諸事情により交代して初めて作られた作品でもあるのですが、ヘタウマで定評のあった前任者とは異なる味を加えつつ技術レベルを大きく引き上げる演奏は素晴らしく、全体のまとまりをみても何も違和感がありません。ジャンル特有の深みある胡散臭さ(仏頂面のユーモア感覚)に満ちているのも好ましく、このバンドならではの高度な音楽性と「SクラスのB級」感がとても良いかたちで示されています。SIGHの新たな代表作と言える、非常に充実した作品です。

なお、国内盤と輸入盤はマスタリングが異なっており、新加入のギタリストが膨大な時間をかけてやりきったバージョンが採用されている国内盤の方が、各パートの抜き差しなどの音楽的な表現や音質の陰翳ほか、あらゆる面において優れた仕上がりになっていると思います。これからチェックされる方は、是非こちらを聴いてみることをお勧めします。

本作関連の情報としては下の記事が詳しいです。併せてご参照ください。

リーダー川嶋未来による作品解説(HMVコラム)

インタビュー(奥村裕司ブログ)



第6位:ceroObscure Ride』

Obscure Ride 【初回限定盤】

Obscure Ride 【初回限定盤】


各所で大絶賛されているceroの新譜。確かに非常に優れた作品です。90年代のネオ・クラシック・ソウル(ヒップホップのグルーヴ感覚や“なんでも取り込む”音楽的アイデアを通過した上での高度なソウルミュージック)を、ジャズや南米音楽の音遣い感覚と、ブラックミュージックに留まらない様々なビートミュージックのリズムアイデアでチューンアップし、細かく多様なひねりを加えながらすっきりまとめ上げている、という感じでしょうか。複雑で多様な仕掛けを何重にも施しているのに、それを気にせず快適に聞き流してしまうこともできる。もちろん聴き込もうとすればいくらでも楽しめる。居心地のよさと聴き減らない強度を両立する仕上がりが素晴らしく、超一流の「挑戦的なポップ・ミュージック」と言える傑作なのではないかと思います。

レビューなどではD'Angeloがよく引き合いに出されますが、似ているのは1曲目や8曲目くらいで(しかも最新作『Black Messiah』より1st〜2ndあたりの方が近い)、アルバム全体としては通じる要素は多くありません。音進行の引っ掛かり感覚などで比べるならキリンジあたりが近く(ソウルミュージック〜ゴスペルの“クリーミーな”濁り感)、ボーカルの声質が似ていることもあって、『Fine』などが好きな方にはかなりアピールするものになっていると思います。ただ、声質が似ているとはいえ歌い回しのキャラクタはかなり異なっていて、わりとシニカルに枯れた味のあるキリンジ(特に堀込泰行)に比べ、落ち着きながらもわりと“イキッた”ヤンチャ感が前面に出ています。そうした雰囲気のせいもあってか、音楽全体にどこか“涼やかに尖った”“沸騰しきらないけれどもざわついている”感じが生まれていて、個人的にはなんとなくじゃがたらの「都市生活者の夜」を連想させられたりもします。
(音進行とか主な雰囲気などはかなり異なるので、あくまでその「都市生活者の夜」という言葉のもつイメージで繋がっている、というところでしょうか。)
スムースなだけでない“静かにたぎるテンション”があって、快適に聴き浸っているうちに少しずつ温められていく。そういう効き目の部分も含め、強力な表現力のある一枚だと思います。

各曲がごつごつした輪郭をもって主張しているのに、アルバム全体としては共通した温度感や仄暗さが貫かれていて、かたちの良いまとまりができている。微妙な不親切さを伴う居心地のよさが絶妙で、馴れ馴れしくない親密な距離感を生んでいると思います。繰り返し聴きたいという気にさせてくれる、非常に優れた作品です。


《参考》メンバーのインタビューがいくつかネット上にあがっています。併せてご参照ください。



第5位:ARCTURUS『Arcturian』

Arcturian

Arcturian


ARCTURUSは「シンフォニック・ブラックメタル」の始祖の一つとされるバンドですが、現在の型にハマった多くのそれとは一線を画す音楽性を持っています。
ノルウェー特有の“薄くこびりつく”引っ掛かり感覚(こちらの記事http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/03/27/050345参照)を音遣いの芯に置き、シンフォニック・ロックの壮麗なメロディ感覚と(アメリカのブルースにも通じる)鈍く引っ掛かる進行感を統合する。華やかに変化するリードメロディと(彩り豊かではあるけれども)意外と色の種類が変化しないモノトーンなコード感が両立されていて、展開がはっきりしている歌モノなのに“同じような雰囲気に浸り続ける”酩酊感を与えてくれるのです。きびきび流れる構成なのにアンビエントな聴き味がある音楽性は意外と稀なもので、歌モノのファンにも電子音楽や70年代ジャーマンロックなどのファンにもアピールする懐の深さがあります。
また、エクストリームメタルが敬遠される大きな理由となっている「がなり声」「低域を強調した轟音」のような要素もほぼなく、(メタル的なエッジを確保しながらも)J-POPのファンにも抵抗なく受け入れられうる“うるさ過ぎない”音像が主になっています。北欧特有の底冷えする空気感と独特の親しみやすさを両立する音楽性は(マニアックながらも)とても聴きやすいもので、ブラックメタル特有の味わいや“気の長い”時間感覚を抵抗なく身につけられる素材としても好ましく、そうしたものの入門編として最適なバンドなのではないかと思います。

一度の解散・再結成を経て10年振りに発表された新譜『Arcturian』は、一言「完璧なアルバム」です。2nd『La Masquerade Infernale』の暗黒舞踏アヴァンギャルド・オペラ的な雰囲気が、4th『Sideshow Symphonies』で完成された先述のような“薄くこびりつく”音遣い感覚で強化された上で、3rd『The Sham Mirror』の洗練された“歌モノ”スタイルでまとめ上げられている、という感じの仕上がり。濃密な作り込みをさらりと聴かせる作編曲の語り口は殆ど理想的で、よく動く歌メロに注目しながら展開を追うだけで、独特の深い味わいにどんどん酔わされていきます。ノルウェー・シーンを代表する名人揃いの演奏も素晴らしく、それを快適に聴かせるサウンドプロダクションも極上です。アルバムの構成も実によく出来ていて、聴きやすく聴き込みがいのある内容に負担なく接し続けることができます。上記のような音遣い云々に興味がなくても、優れた歌ものロックアルバムとして楽しめる作品。気軽に手を出してみてほしい傑作です。

ブラックメタルやエクストリームメタル一般を好む方向けに言いますと、この『Arcturian』は、ARCTURUSのどの作品が好きなファンも納得できる出来だと思いますし、この手の音楽性では前人未到の境地に到達している作品なのではないかと思います。単にこのバンドの最高傑作(個人的な意見です)というだけでなく、HR/HMの歴史が生み出した一つの達成と言える傑作です。広く聴かれてほしいアルバムです。



第4位:Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

トゥ・ピンプ・ア・バタフライ

トゥ・ピンプ・ア・バタフライ

  • アーティスト: ケンドリック・ラマー,ジェイムズ・フォンテレロイ,ラプソディー,ジョージ・クリントン,ビラル,ロナルド・アイズレー,K.ダックワーズ,D.パーキンス,マシュー・サミュエルズ,T.マーティン,C.スミス
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2015/05/20
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る


2015年グラミー賞の「最優秀ラップ楽曲」「最優秀ラップパフォーマンス」部門を受賞し、名実ともに現在のヒップホップシーンを代表するラッパー・Kendrick Lamarの3rdアルバムです。これは本当に驚異的な傑作で、歌詞云々を無視して作編曲と演奏〜アンサンブルだけをみても、あらゆるジャンルの代表的な名盤に勝るとも劣らない圧倒的な格があります。ヒップホップ(〜ブラックミュージック一般)に偏見や抵抗感のある人にこそ聴いてほしい作品です。

本作においては、たとえばFLYING LOTUSの『You're Dead!』(Kendrickも客演)で聴けるような、初期SOFT MACHINEや電化マイルス(Miles Davisのエレクトリック楽器導入期)〜初期WEATHER REPORTなどに通じる、60年代末から70年代初頭にかけてのジャズやプログレッシヴロックを意識した音進行が、独自のやり方で柔らかく解きほぐされ、引っ掛かりと滑らかな浸透性を両立した、非常に魅力的なものに仕上げられています。Lil LouisやMOODYMANNのような(上記のジャズからトロピカルなフュージョンに繋がっていくあたりの音遣い感覚を活かした)薫り高いハウスを連想させるパートもあり、ゆったりした流れを保ちながら檄を飛ばし続けるバランス感覚は驚異的です。79分の収録時間を全くダレさせない、程よい緊張感を保った居心地の良さがあり、戦闘的でスムースな雰囲気にどこまでも快適に浸ることができるのです。複雑でしかも効果的なリズムアイデアも素晴らしく、それをかたちにする演奏〜アンサンブルも、“訛り”“揺らぎ”を巧みにコントロールする見事なものばかり。そしてそれをのりこなすKendrickのラップは最高で、歌詞を一切聴き取れなくても楽しめるどこまでも“音楽的”なフレージングは音楽全体の顔として完璧です。
このアルバムは、アメリカの社会問題(昨年7・8月に起きた白人警官による黒人暴行事件ほか)に反応した濃密な歌詞世界も勿論すごいのですが、そんなものを一切聴き取れなくても楽しめる圧倒的な音楽的クオリティがあって、ヒップホップやファンク(特に、James Brownのワンコード・ファンクに連なるモノトーンの音進行)に抵抗のある人も、驚くほどすんなり惹き込まれてしまえる作品になっていると思います。ジャズやプログレッシヴロックのファンにもぜひ聴いてみてほしい、最高の「ブラックミュージック入門篇」と言える傑作です。

たとえば先に挙げたFLYING LOTUS『Until The Quiet Comes』のライナーノートでは、「最近はGENTLE GIANT、SOFT MACHINEの『Volume Two』、CANなどを聴いている。良いものなら何だって聴く。」という発言が紹介されています。そもそも「ロック(白人音楽)はブルースなどの黒人音楽のパクリだ」というよく言われる話と同じくらい黒人音楽も白人音楽からの影響を受けているのですが
Miles DavisやSly Stone、P-FUNK、PRINCEなどの時代からそういう傾向がありましたし、KRAFTWERKYMOに連なるジャーマンロック〜ニューウェーブテクノポップのラインが土台の一翼を担っているヒップホップなどは良い例です)、ここ数年、上記のような(ビートの効いたものに限らない)高度な白人音楽を掘り下げ自分達のものにしてしまう、という黒人音楽からの動きが、どんどん面白い結果を出すようになってきている感があります。Kendrick Lamarの3rdアルバムはその最大の好例と言える作品で、あらゆるジャンルのファンが(流行り云々関係なく)聴いてみるべき大傑作なのだと思います。

なお、本作の国内盤には、膨大な歌詞(輸入盤には掲載されていない・ブックレット16ページ分)、そして「どのパートを誰が歌っているか」の詳しいクレジットが、丁寧な日本語訳(ブックレット20ページ分)とともに完全掲載されていて、作品を理解するための大きな助けになってくれます。これは大変な労作。買うならこちらの方が遥かにお得です。



第3位:DHG(DØDHEIMSGARD)『A Umbra Omega』

A Umbra Omega

A Umbra Omega


ノルウェーブラックメタルシーンを代表する奇才Vicotnik(ex. VED BUENS ENDE・〈CODE〉)のリーダーバンド。8年ぶりの新譜です。

DØDHEIMSGARD('94年結成)は作品ごとに大きな方向転換を繰り返してきたバンドです。
初期はDARKTHRONEに通じるプリミティブ・ブラックメタル(1st・'95年)やBATHORYなどを意識したと思しき荒々しいブラック・スラッシュ(2nd・'96年)といった(当時のシーンからすれば)割とオーソドックスなスタイルをとっていたのですが(その中で強力な個性を示していました)、シンフォニック爆走ブラックメタルの名作とされるEP『Satanic Art』('98年)の翌年に発表した3rd『666 International』で一気に奇怪な音楽性を確立することになりました。
この作品にはCarl-Michael Eide(別名Czral:VIRUS / ex. VED BUENS ENDE)やSvein Egil Hatlevik(別名Zweizz:FLEURETY)といったノルウェー・シーンを代表する天才奇才が大集合しており、ブラックメタル特有の音遣い感覚をインダストリアル(非メタル含む)要素などでミュータント化したような個性的な仕上がりに貢献しています。(VicotnikはSveinとのデュオAPHRODISIACでインダストリアル〜ノイズ的な作品を発表しています。)アヴァンギャルドブラックメタルを代表する名盤(迷盤)であり、ボーカルAldrahnの脱力感溢れる不思議な歌い回しも含め、他の何かでは替えのきかない味を持つ作品です。
この8年後に発表された4th『Supervillain Outcast』('07年)は、3rdのスタイルを引き継ぎつつ様々なアイデアを試す短めのトラック(15曲)の集合体になっており、音遣いの熟成度やサウンドプロダクションの出来は前作を上回っているのですが、アルバム全体の流れまとまりという点では少しパッとせず(前作はその点完璧だった)、今ひとつ冴えない印象を持つ作品になってしまっていました。そうしたこともあってか、バンドは本格的な活動を停止し、Vicotnikはイギリスのブラックメタル風バンド〈CODE〉(これも非常に個性的で強力なバンドです)への参加('02〜'10年)など、他での活動を主とすることになったのでした。

本作はそうした流れを経たVicotnikが久しぶりに発表した作品であり、その個性的な音楽性が最も良いかたちで示された大傑作です。『666 International』をVED BUENS ENDEやVIRUSの音遣い感覚で強化したようなスタイルなのですが、そこにはVIRUS(というかCarl-Michael)の音楽に常につきまとうKING CRIMSON〜VOIVOD的な要素が一切なく、VED BUENS ENDEのクラシック〜現代音楽成分を最高度に熟成させた感じの仕上がりになっているのです。収録曲は(冒頭の1分ほどのイントロ曲を除き)全て10〜15分の長尺(×5)で占められており、その長さを全くダレさせず快適に浸らせる構成が見事。奇怪に入り組んだ世界観を直観的に理解させ惹き込んでしまう力に満ちています。『666 International』では完全にはこなれていなかった感のあるAldrahnのボーカル(Vicotnikによれば「独自の解釈力では比肩する者のいない凄いシンガーで、ノルウェー・シーンを代表する一人」とのこと)も、曲に完璧に合った素晴らしい表現力を発揮しており、音楽全体の説得力を大きく高めています。こうしたスタイルの音楽に慣れていない方がいきなり聴いた場合は取っつき辛く思えるかもしれませんが、VED BUENS ENDEやVIRUS、〈CODE〉などに少しでも惹かれるもののある方はぜひ聴いてみてほしい大傑作です。

このアルバム、現時点では(そもそも知名度が低いことに加え、聴いた方からも)あまり芳しい評価を得られていないようなのですが、個人的には今まで聴いてきたあらゆるブラックメタル関連作品の中で最も好きな一枚ですし、作品の深み・それを伝える巧みな語り口という点でも、ジャンルを問わず最高級の傑作なのではないかと思います。できれば広く評価されてほしいアルバムです。

《参考》ここで出てきた各バンドについてはこちら
で詳述しています。よろしければ併せてご参照ください。



第2位:Jim O'rouke『Simple Songs』

シンプル・ソングズ

シンプル・ソングズ


ジム・オルークの6年振りの新譜にして『Insignificance』('01年発表)以来実に14年振りの歌入りアルバムです。この14年というのは実際に制作にかかった時間のようで、'13年に行われたTime Out Tokyoのインタビュー(http://www.timeout.jp/s/ja/tokyo/feature/7388)には「12年かかってしまった新しい歌のアルバムがもうすぐ完成する」「5曲はすでに録音済みで、でもまだ完成はしていません」という発言があります。その時点でバンドのメンバー(山本達久・石橋英子・須藤俊昭)は既に固まっており、気の合う達人たちと時間を気にせず納得いくものを作りあげてきたのだということが窺い知れます。そうした感じは実際に作品に反映されていて、極めて緻密に作り込まれているのに窮屈にまとめられた印象がなく、同じ部屋の中でそっと寄り添ってくれているような親密さと、ダイナミックに弾け広がっていくようなスケール感とが、無理なく自然に両立されています。

その点、全てのパートを一人多重録音で作り上げた前作『The Visitor』('09年発表)の密室感に通じるものがあるのですが、アメリカ音楽的な要素が前面に出ていたそちらに比べ、本作『Simple Songs』では、60〜70年代のイギリス音楽に通じる風合いが強まっています。初期GENESIS(ボーカルの声質もあって連想させられる場面が多い)や初期SOFT MACHINEのような、いわゆるサイケデリックポップからプログレッシヴロックが生まれてくるあたりの、不定形で混沌とした豊かさを持つスタイル。それがFrank Zappaやミニマル寄り現代音楽の(ブルース的な引っ掛かりの薄めな)進行感と混ぜ合わされ、両者の中間あたりの音遣い感覚に仕上げられているのです。
(上記インタビューでLED ZEPPELIN『Presence』を「完璧な、最高に完成されたアルバム」と言っているように、もともと英国ロックの味わいも深く吸収してきているのだと思われます。)
そうした音遣い感覚は「フォークをベースにしたポストロックの味わいを70年代英国ロックに寄せた」ようなものでもあり、そしてそうした味わいが、極めて滑らかに流れていきながらもしっかり印象に残りこびりつく、さりげなくよく“立った”フレーズにより表現されています。ミニマル音楽〜ポストロック特有の、長いスパンで解決していく“気の長い”時間感覚が、コンパクトに洗練された強力な歌モノにより、ゆったりした居心地のよさを保ちながら形にされる。このような聴き味を生み出す作編曲・演奏が本当に素晴らしく、「いつどのような場面が現れるか」の配置が絶妙ということもあって、何度繰り返し聴いてもモタれない、しかも聴けば聴くほど味が出て酔わされるという、最高に快適な音楽体験をさせてもらえるのです。この手の音遣い感覚に馴染みのない人でも、滑らかに流れていく居心地の良い構成に浸っているだけで、いつの間にかそれを味わうための“回路”が形成されていき、深く惹きつけられ離れられなくなってしまう。こんなによくできた(それでいて作為を全く感じさせない)アルバムはそうあるものではありません。
(先のインタビュー文末にあるジムの『Presence』評「細部にこだわっていないようで、ものすごくこだわっている。それなのにあたかも即席でつくられたかのように聴こえる」がそのまま当てはまるように思います。)
ぜひ手にとってみて、何度か聞いてみることをお勧めします。

かくいう私も、聴き始めてから数回はピンときませんでした。7/1に選んだ「残す100枚」(http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/07/02/120531)からも落としていましたし、まさかここまで急激に惹きつけられるとは思っていませんでした。ふとしたきっかけで勘所をつかんだら最後、みるみるうちになじんでいき、さりげなく盛り上がる展開に心震わされるようになる。本当に素晴らしいアルバムです。これからも楽しく聴き込んでいきたいです。 



第1位:cali≠gari『12』

12(狂信盤)

12(狂信盤)


cali≠gariというのは本当に凄いバンドで、作詞作曲・演奏表現力のすべてにおいて替えのきかない味と実力をもっています。
完璧な発声と絶妙に突き放した歌い回しが心地よいボーカルに、タッチは雑なものの卓越したリズム処理能力と音遣い感覚で唯一無二の個性を誇るギター、そして世界的にも超一流の技術&フレージングセンスが素晴らしいベース。そうしたメンバーが集まってできるアンサンブルは、メタル的な安定感(ベース)とニューウェーブ的な隙間感覚(ギター)を両立しハードコアパンクの瞬発力で強化したような質感をもっており、滑らかな機動力の味で替わりになるものはありません。
音楽性も実に強力です。広く豊かな音楽的バックグラウンド(ニューウェーブ〜ハードコア〜オルタナティヴ、ジャーマンロック〜テクノ〜クラブミュージック、歌謡曲〜J-POPなど)を活かした自在な曲想が、各メンバーの個性的なフレージングにより細かく巧みにひねられる。オーソドックスなコード進行をするところでも複雑な陰翳を生んでしまうアレンジセンスは驚異的で、このバンドにしか作れないタイプの名曲を数多く生み出しています。

本作『12』は、長く在籍していたドラマーが諸事情(主に技術的限界?)により脱退したことをうけ、4人の卓越したサポートドラマーを招いて製作された作品で、残ったメンバー3人の技術や個性が制限を受けることなく発揮され、素晴らしい結果を生んでいます。各曲のスタイルはバラバラなのですが、それがうまく並べられることにより出来るアルバム全体としての“かたち”がとても良く、程よい隙間(=想像の余地)を伴いながら滑らかに流れまとまる構成が絶妙。緩急のバランスが非常に良く、ほどよい勢いを保ちながら息切れせず走り抜くことができています。強力な疾走感とゆったり浸れる居心地のよさが両立されており、複雑な作り込みをすっきり呑ませてしまう作編曲・演奏の良さもあって、もたれず何度でも聴き返してしまえる一枚になっています。アルバムとして理想的な成り立ちをした、掛け値なしの大傑作です。

ところで、このアルバムが「もたれず何度でも聴き返してしまえる」ようになっているのは、cali≠gariというバンド特有の“さばけた親しみやすさ”によるところも大きいのではないかと思います。聴き手に安易な感動を提供したり馴れ馴れしく手を差し伸べるようなことはなく、むしろ“客をあしらう”ような感じでクールに突き放す。しかし全く取りつく島がないわけでもなく、微妙な温度感を保ちながら側にいてくれる。仏頂面になりながらもそれとなく寄り添っていてくれるような付き合いの良さがあり、聴き手との間に絶妙な距離感を保ち続けてくれるのです。先述の「オーソドックスなコード進行をするところでも複雑な陰翳を生んでしまうアレンジセンス」はそうしたバランス感覚の賜物で、本作で言えば終盤の「フィラメント」「あの人はもう来ない」「さよならだけが人生さ」など、何も考えずストレートにやったら鼻につくものになってしまう曲調に、そうした素直な叙情が上滑りしないだけの裏付けを与えています。このような“節度”を感じさせる人当たりはまことに得難いもので(60〜70年代の優れた音楽に通じるものでもあります)、cali≠gariの音楽の魅力である“べたつかない湿り気”の大事な源になっているのだと思います。こういう点でも素晴らしい味のある作品です。

唯一無二の魅力をもつバンドの持ち味が最高のかたちで発揮された大傑作。広く聴かれてほしいアルバムです。


《参考》本作発売前後のインタビュー記事です。具体的な情報についてはこちらをご参照ください。



【残す100枚】(2015.7.1 暫定版)

 【残す100枚】(2015.7.1 暫定版)

中山康樹(音楽評論家)の発言に「コレクション100枚の真理」という話があります。
「『集める』ことと『聴く』ことが無理なく並存できる限界は、せいぜい100枚までではないかと思います」
中山康樹「超ジャズ入門」(集英社新書、2001)p166より引用)
というものです。

「100枚」というのが適切な数字かどうかは場合によると思いますが、これだけ限定された枚数に絞るということは、「自分にとって本当に大事な作品はどれなのか」考えるきっかけを与えてくれるものであり、実際やってみると、かなり面白い結果が得られます。

というわけで、「2015年7月1日(下半期初日)の時点における『この100枚』」を選んでみました。
所持アルバムの総数は(リストは作っていますがカウントは途中で放棄してまして)4000枚+α程度でしょうか。(全てフィジカルコピーです。)そこからぴったり100枚。次点なども作らず、厳密に選びぬきました。
はじめの3枚以外は、思い入れの多寡を問わず単にアルファベット順で並べています。

「この100枚それぞれについて何かしら書く」ことを今年の目標としたいと思います。

それでは。



MESHUGGAHNothing(remix)
 
聖飢魔ⅡThe Outer Mission

PUGSSPORTS




AMERICAN FOOTBALL:American Football

ARCTURUS:Arcturian

AREA:1978

ATHEISTUnquestionable Presence

THE BANDMusic from Big Pink

THE BEATLESRevolver

THE BEACH BOYSPet Sounds


Bob DylanBlood on The Tracks


caligari12
 
Che – SHIZU:約束はできない

CONFESSORCondemned

THE CONGOSHeart of the Congos

CORONERGrin

Curtis MayfieldThere’s No Place Like America Today

CYNICFocus

D`Angelo:Voodoo

DAFT PUNKRandom Access Memories

DARK TRANQUILLITYCharacter

DISCHARGEWhy
 
DISHARMONIC ORCHESTRAPleasuredome

DØDHEIMSGARD(DHG):A Umbra Omega

DOOM:Illegal Soul

THE DOORSStrange Days

ENSLAVED:In Times

EXTOLThe Blueprint Dives

EYEHATEGODTake as needed for pain

FLEURETYDepartment of Apocalyptic Affairs

Frank ZappaOne Size Fits All

Fripp & Eno:No Pussyfooting

GASTR DEL SOL:Upgrade & Afterlife

G.I.S.M.DETESTation

GENESISSelling England by The Pound
 
Glenn Gould:(J.S.BachThe Goldberg Variations81

GORGUTSColored Sands

IHSHANAfter

じゃがたら:ニセ予言者ども

JAPANGentlemen Take Polaroids

Jimi HendrixElectric Ladyland

JUDAS PRIESTScreaming for Vengeance

割礼:ゆれつづける

Kendrick Lamar:To Pimp A Butterfly

KILIING TIMESkip
 
KING CRIMSONIn The Court of The Crimson King

キリンジ:ペイパードライヴァーズミュージック

KRAFTWERKThe Mix

Les Rallizes Denudes裸のラリーズ):Le 12 mars 1977 a Tachikawa

Lightnin` HopkinsLIGHTNIN` STRIKES

Manuel GottshingE2-E4

Marcos ValleVento Sul
 
Marvin GayeI want you

MAUDLIN OF THE WELL:Leaving Your Body Map

Mats & Morgan[schack tati]

Meshell NdegeocelloComfort Woman

MESHUGGAHKoloss

三上寛Bang!

Miles DavisNefertiti

Milton NascimentoMilton76
 
ももいろクローバーZ5th Dimension

MOODYMANNMahogany Brown

MORBID ANGELAlters of Madness

MORRIEHard Core Reverie

No Lie-SenseFirst Suicide Note

OBLIVEONCarnivore Mothermouth

岡村靖幸:家庭教師

大槻ケンヂUnderground Searchile-スケキヨ
 
OPETH:Heritage

PARLIAMENT:Mothership Connection

Peter Hammill…all that might have been…

Peter IversTerminal Love

PRINCESign of The Times

佐井好子:蝶のすむ部屋

SIGH:Imaginary Sonicscape

SLEEPDopesmoker
 
SLINTSpiderland


SOILWORKNatural Born Chaos

SOLEFALDNeonism

SPEED, GLUE & SHINKIEve

SWANSTo Be Kind

Syd Barrett:The Madcap Laughs

TELEVISIONMarquee Moon

Thelonious MonkThelonious Himself

THE 3RD & THE MORTAL:In This Room

TRIPTYKONMelana Chasmata

ULVERMesse .Ⅹ-Ⅵ.

UNDERWORLDBeaucoup Fish


VED BUENS ENDE…:Written in Waters

THE WAYNE SHORTER QUARTETWithout A Net

XYSMA:Girl On The Beach

やくしまるえつこRadio Onsen Eutopia

YESClose to The Edge

Youssou N` DourSet

2015年・上半期ベストライヴ

【2015年・上半期ベストライヴ】


・2015年上半期に参加したライヴの個人的ベスト15です。
(年末に選定するベスト20(+次点)においては微妙に順位が入れ替わる可能性もあります。)
個人的な評価や思い入れを比較してランキング化したもので、「音楽や演奏、音響や演出の出来映え」そして「自分が終演直後にどれだけ満足できたか」ということはもちそろん、「自分がそれを通してどのような気付きを得られたか(=そういう気付きを与えてくれる興味深い要素がどれだけあったか)」ということなども考え、総合的な手応えの多寡を感覚的に比べたものになっています。

・複数回観たものは、その中で最も良いと思えた公演ひとつを選んでいます。

・リンクは各公演のライヴレポートです。観終わった直後の紐付けツイートで、比較的鮮度の高い感想になっていると思います。よろしければあわせてご参照ください。


[上半期Best15]


第1位:SWANS@渋谷O-EAST1/27


第3位:Morrie@東京キネマ倶楽部(3/4)

第4位:佐井好子@渋谷O-NEST5/29)

第5位:AMERICAN FOOTBALL@渋谷O-EAST(6/30)

第6位JAZZ非常階段+JAZZめるモ!階段@新宿Pit Inn3/28

第7位:O.L.H.@渋谷WWW(6/27)

第8位:岡村靖幸@Zepp Tokyo(5/16)

第9位:MAGMA@渋谷O-EAST(6/5)

第10位:大森靖子&THEピンクトカレフ@新宿LOFT5/12


第11位:Keith Tippett@新宿Pit Inn(2/7)

第12位:JUDAS PRIEST@EX Theater Roppongi(3/6)

第13位:SUN KIL MOON@渋谷Club Quattro(3/17)

第14位:BLUEBLUT@六本木Super Delux(5/10)




[参加したライヴ一覧]


1/12:VIOLENT ATTITUDE 2015@川崎Club Citta
DOOM・CASBAH・JURASSIC JADE・BAKI・ZENI GEVA・セウ・SHELLSHOCK・SURVIVE・TRANSPARENTZ)

1/22:FKA Twigs@恵比寿Liquidroom

1/27:SWANS@渋谷O-EAST

2/7:Keith Tippett@新宿Pit Inn

3/1:THE POP GROUPZAZEN BOYS・KK NULL@恵比寿Liquidroom

3/3:KISS・ももいろクローバーZ@東京ドーム


3/6:JUDAS PRIEST@EX Theater Roppongi

3/13:No Lie-Sense・MEN'S 5・坂本頼光ポカスカジャン@マウントレーニアホール 渋谷プレジャープレジャー




3/28:JAZZ非常階段+JAZZめるモ!階段@新宿Pit Inn

3/30:RHYE@恵比寿Liquidroom



4/30:OPETH@EX Theater Roppongi

5/3:DOOM@新代田Fever


5/10:BLUEBLUT・る*しろう@六本木Super Delux

5/12:大森靖子&THEピンクトカレフ@新宿LOFT

5/15:真夜中のヘヴィ・ロック@マウントレーニアホール 渋谷プレジャープレジャー
(非常階段 featurinゆるめるモ!・GLIM SPANKY・谷山浩子×ROLLY・オ-ケン初音階段・夏の魔物ROLLY・非常階段 featuring 戸川純・野左怜奈とブルーヴァレンタインズ・東京エロティカルパレード。)


5/23:じゃがたら@西麻布 音楽実験室新世界

5/29:佐井好子@渋谷O-NEST

6/4・5:MAGMA@渋谷O-EAST


6/13:TOMY WEALTH・降神kamomekamome・COHOL@渋谷EGGMAN

6/27:O.L.H.・中村愛・SEX山口@渋谷WWW

6/28:LUNATIC FEST@幕張メッセ
LUNA SEABUCK-TICK・D'ERLANGER・GLAY・[Alexandros]・KA.F.KA・AION・minus(-)・ROTTENGRAFFTY・凛として時雨・LUNACY)

6/30:AMERICAN FOOTBALL・BRAID・BIRTHMARK@渋谷O-EAST


プログレッシヴ・アンダーグラウンド・メタルのめくるめく世界【ハードフュージョン・djent以降】(解説部分更新中)

参考資料はこちら:
(英語インタビューなどは抄訳付き)


【ハードフュージョン・djent以降】

GORDIAN KNOT
SPIRAL ARCHITECT
COPROFAGO
TEXTURES
EXIVIOUS
ANIMALS AS LEADERS
PERIPHERY
Tigran Hamasyan

(解説を書いたものについては名前を太字にしています。)


GORDIAN KNOT(アメリカ)

Gordian Knot

Gordian Knot


(1st『Gordian Knot』フル音源プレイリスト)'98



SPIRAL ARCHITECTノルウェー

ア・スケプティックス・ユニヴァース

ア・スケプティックス・ユニヴァース


(『A Sceptic's Universe』フル音源)'00

ノルウェーフュージョン寄りテクニカルメタルバンド。'93年頃から活動していたようですが、発表した作品はデモ('95)・フルアルバム('00)それぞれ一枚のみ。そのうち後者は、テクニカルスラッシュ〜プログレデスのシーンがある程度認知されるようになった時期のものということもあり、“プログレメタル”一般を好む人々の間でカルトな名盤として評価されています。

唯一のフルアルバム『A Sceptic's Universe』の音楽性を一言でいうなら「WATCHTOWER(2nd)+PSYCHOTIC WALTZ」。前者のフレーズ・コード感を後者の風味で装飾し、そこにCYNIC(1st)的な要素を少しふりかけたという感じです。
(ボーカルスタイルは基本的には後者そのもので、その上で前者も参考にしているように思います。)
そうした配合をノルウェー特有の“薄口だがよくこびりつく”引っ掛かり感覚で料理した仕上がりで、上記のようなバンドをはっきり連想させるわりには、しっかり独自のポジションを確立した作品になっていると思われます。一見複雑で掴み所がないようでいて良くまとまっている楽曲も興味深く、卓越した演奏表現力を良好な環境で楽しむことができます。
「小難しいことを考えずに小気味いいアンサンブルに溺れたい、だけど能天気で爽やかなのは嫌だ」というときなどに良く合う作品なのではないかと思います。

このバンドのメンバーは、現在ではむしろセッションワークで名を馳せています。ノルウェーのメタルバンドへの客演が多く、IHSAHNやSATYRICONなどの作品・ライヴに貢献。(IHSAHNの3rd『After』にはドラムスとベースが参加しています。)バンド本体は機能していないようですが、いろんな所でその卓越した演奏に触れることができます。



COPROFAGO(チリ)

Unorthodox Creative Criteria

Unorthodox Creative Criteria


(2nd『Genesis』フル音源)'00

(3rd『Unorthodox Creative Criteria』フル音源)'05



Sikth(アメリカ)

Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild

Trees Are Dead & Dried Out Wait for Something Wild


(1st『The Trees Are Dead & Dried Out, Wait for Something Wild』フル音源)'03



TEXTURES(オランダ)
1stは'03

Silhouettes

Silhouettes


(3rd『Silhouettes』フル音源)'08



EXIVIOUS(アメリカ)

Liminal

Liminal


(1st『Exivious』フル音源)'09



ANIMALS AS LEADERS(アメリカ)

Joy of Motion

Joy of Motion


(1st『Animals As Leaders』フル音源)'09
(3rd『The Joy of Motion』フル音源プレイリスト)'14

'09年活動開始。ナイジェリア系アメリカ人ギタリストTosin Abasiのソロ(インスト)プロジェクトで、現存するあらゆる「プログレメタル」バンドの中でも突出して優れた音楽性を誇るグループです。このジャンルは「プログレ」を謳いながらも同じようなスタイルに収まってしまうバンドが多く、影響源も一定のものに限られる傾向があるのですが、Tosinはそうしたものだけでなくジャズ〜ポップス〜R&Bなど様々な領域における超一流どころも参照し、定型に縛られない独自の音楽を作ることに成功しています。並べて語られることが多いdjent(ジェント)のバンドらとは音進行・リズム構成の両面で一線を画しており、高度で複雑な音遣いを親しみやすい“歌モノ”にまとめあげる作編曲能力も抜群。「8弦ギター&ドラムス」による(低域を分厚く塗り潰すベースを抜いてギターの軽めな音色で低音をカバーする)ヌケのよいサウンドも、卓越した機動力と開放感を非常に良い形で味わわせてくれます。現代のメタルシーンを代表する達人集団として注目されるべきグループです。

このバンドについては
Tosin AbasiのWikipedia
Tosin Abasiの選ぶ10枚のギター・アルバム(2014.5.31)
の3つの記事が非常に充実しており、影響源・奏法・理論面などを詳細に知ることができます。ここではそこから特に注目すべき部分を抄訳するに留めますが、興味をお持ちの方は直接全文読むことをお勧めします。

ANIMALS AS LEADERSは、メタルコアバンドREFLUXに所属していたTosin AbasiにProsthelic Recordsが注目し、ソロアーティストとしての契約を申し出たことから生まれたプロジェクト・グループです。Tosinはその申し出を一度は断り、Atlanta Institute of Musicに入学したのですが、卒業後に自分から「これから契約することは可能か」持ちかけることになります。これを機に誕生したのがANIMALS AS LEADERS(小説『Ishmael』からとった名前)なのでした。

1stアルバム『Animals As Leaders』('09年発表)は、他メンバーの名前もクレジットされていますが、基本的にはTosinとMisha Mansoor(PERIPHERY)の2人だけで製作されています。
(Tosinがギターを弾き、Mishaがドラム・プログラミングと全体のプロデュースを担当。)
Wikipediaで挙げられている影響源(Steve VaiAllan Holdsworth、Fredrik Thordendal、RADIOHEADのThom Yorke、APHEX TWINSQUAREPUSHER、MESHUGGAH、DREAM THEATERなど)、そしてYngwie MalmsteenやGreg Howeなどからの影響を巧みに消化した音遣いは非常にメロディアスで、捻りのある暗黒浮遊感の中で艶めかしく輝くリード・フレーズは、奇数拍子を連発する複雑なリズム構造(Ron JarzombekのBLOTTED SCIENCEなどをさらに入り組ませ整えた感じ)を親しみやすく聴かせることに成功しています。静と動の緩急構成もとてもはっきりしており、難しいことがわからなくても楽しめてしまうダイナミックな“わかりやすさ”がある一枚で、発表当時は大きな驚きを持って歓迎されました。現在でも代表作とされるアルバムで、「とりあえず聴いてみる」価値は高いと思われます。

この1stアルバム製作後、ツアー要員として起用されたJavier Reyes(ギター)とNavene Koperweis(ドラムス)がメンバーとして正式加入。Tosin以外のパートを全て打ち込みでまかなっていた前作から一転し、(打ち込みも効果的に活用しつつ)個性の異なるギターと生ドラムを導入した録音が行われるようになります。そうして製作された2nd『Weightless』('11年発表)は、TosinがAdam Rogers(Michael Breckerのグループなどに参加)やKurt Rosenwinkelのような現代ジャズ・ギタリストのスタイルにのめり込み始め、メロディよりも(そちら方面の)コードを重視していたという時期の作品で、カラフルでわかりやすい印象のあった1stと比べると、少々くぐもり入り組んだ色合いのある作風になっています。しかし、展開に締まりきらない部分も散見された1stと比べ曲構成は格段に丁寧に仕上げられていますし、アルバム全体を通して共通したイメージを保ちながらも微細な陰翳を生み変化していく音遣い感覚も大変優れたもので、一枚モノとしての完成度は比べものにならないくらい高いと思われます。そしてなにより(本人が「コード志向だった」と言うわりに)非常に印象的なリード・メロディが多く、渋みと親しみやすさを両立した“歌モノ”としての出来が見事です。ファンの中でも賛否が分かれる作品のようですが(Tosinの知る範囲でも「好きでない」とはっきり言う人と「ずっとかけている」と言う人の両方がいるという)、一度慣れてしまえば離れがたくなる魅力を持った傑作です。聴いてみる価値はやはり高いです。

それから少し時間をおいて発表された3rd『The Joy of Motion』('14年発表:ドラムスがMatt Garstkaに交代)は、Tosinが“shred guitarist”(速く刻むタイプ:メタル系の“テクニック偏重”なギタリストを揶揄して言われる言葉)呼ばわりされるポジションを脱しようとして作ったという作品で、従来の作品に比べると音数を絞り、じっくり“歌う”ことに重点を置いています。
(といっても凄まじいテクニックで圧倒する場面も相変わらず多いです。)
2ndの製作時から引き続き、ブルース・カントリー・ジャズを融合させた音楽(R&B、ゴスペル、ネオソウルなどのプレイヤー:Jairus MozeeやIsaiah Sharkey、Jimmy Herringなど)を聴いて、ジャズよりもブルースのルーツに深く分け入っていった時期の作品で、重音奏法や半音階、それまで親しんでいたメロディック・マイナーと比べ全然慣れていなかったという)メロディック・メジャー〜ハーモニック・メジャースケールの“明るい暗黒浮遊感”が巧みに活かされています。
このアルバムでは「新たなことを一からやるのではなく、ANIMALS AS LEADERSの持ち味を精製することに努めた」ようで、それが結果として“1stのようなバラエティ豊かな作風を高度な楽理で強化した”ような感じに繋がっています。
隠微に濡れるマイナー寄りの音進行と明るく快活なメジャー寄りの音進行が絶妙に融合された音遣い感覚は他になかなかないもので、複雑なリズムトリックを面白く聴かせるアレンジもあわせ、“歌モノ”としての親しみやすさと音楽的革新を両立する作編曲が実に見事。アルバム全体としても、多彩な曲調を並べながらも散漫な感じにならない、まとまりの良い仕上がりになっています。個人的には現時点での最高傑作だと思います。ぜひ聴いてみてほしい一枚です。
なお、前掲のインタビューでは、具体的な音楽性・奏法がほぼ全曲にわたり解説されているほか、プロデューサーのMishaやエンジニアのNolly(Adam Getgood:PERIPHERYのベース)の貢献など、製作上のエピソードを非常に詳細に話してくれています。ファンの方は必読と言える充実の内容です。

ANIMALS AS LEADERSは、型にはまりがちな「プログレメタル」では聴けない高度で奥深い音楽性を、とても親しみやすい“歌モノ”のかたちで示してくれる素晴らしいグループです。また、他のジャンル(現代ジャズギターなど)の一流どころへの入門篇としても好ましく、これを取っ掛かりとして聴き広げていくためのものとしても良い音楽だと言えます。年齢的にもこのシーンをこれから引っ張っていくであろうグループですし、注目してみる価値はとても高いと思われます。


《備考》

Tosin Abasiの選ぶ10枚のギター・アルバム(2014.5.31)
について、各アルバムへのコメントの抄訳・Apple Musicへのリンクをあわせて掲載しておきます。
何かの参考になれば幸いです。

〈Tosin Abasiによる序説〉

R&Bやゴスペル、いわゆるネオ・ソウルのギタリストを沢山聴いていて、それが(メタル系のものなどとは)異なる物の見方を示してくれる。とはいうものの、メタル方面のギタリストであるYngwie MalmsteenやGreg Howe、John Petrucciなどにも影響を受けている。彼らは、作曲・メロディ・サウンド・総合的な創造性・楽器の演奏能力などの全てを網羅している。

〈Tosin Abasiの選ぶ10枚のギター・アルバム〉

Steve Vai『Passion & Warfare』('90)
:初めて買ったギターアルバムで、リードだけでなくリフなど、作編曲もサウンド面も総合的に素晴らしい。

Yngwie Malmsteen『The Yngwie Malmsteen Collection』('91・ベスト盤)
:(トレードマークである)ネオクラシカル・スタイルだけでなく、ブルースも素晴らしい。絶大な影響を受けた。

③Greg Howe『Introspection』('93)
:素晴らしいメロディック・シュレッダー。歌心と激テクを両立している。大きな影響を受けた。

DREAM THEATER『Awake』('94)
:激しいプログレメタルでありながらPINK FLOYDBEATLESのような(ポップな)こともできる。音楽的な深さは測り知れない。Petrucciのフレーズは些細なものでも素晴らしい。『Scenes from A Memory』も素晴らしいが、自分は『Awake』が最も好きだし、最も聴き込んでいる。

⑤Guthrie Govan『Erotic Cakes』('06)
:曲も演奏も圧倒的。
(このアルバムはApple Musicになし)

Allan Holdsworth『Secrets』('89)
:作品はどれも素晴らしいが、これが基本の一枚だと思う。自分が初めて聴いた作品でもある。ホールズワースの存在は世界の音楽にとっての祝福と言える。

⑦Jimmy Herring『Lifeboat』('08)
R&Bやブルース方面のプレイヤーだが、メロディの考え方は現代ジャズから来ているように思われる。ギタリストの間ではあまり語られないようだが、非常に素晴らしい。

Kurt Rosenwinkel『The Next Step』('01)
:現代のビバップをやっていると言われるギタリスト。和音の感覚は信じられないくらい凄く、作曲能力は極めて高い。明確な調性を避けるスタイルをとり、それを聴いて自分も、定型を超えたことをやりたいと動機付けられた。ジャズにのめり込むきっかけになったプレイヤー。

⑨Adam Rogers『Apparitions』('05)
:クラシックからも影響を受けた現代ジャズギタリスト。彼の作品は全て聴く価値があるが、中でもこのアルバムは必聴だと思う。

Jonathan Kreisberg『Shadowless』('11)
:演奏も作曲も極めて素晴らしく、全てのギタリストに各々がやってきたことを見返させるだけのものがある。どの作品も聴く価値があるが、自分はこのアルバムが好き。最初から最後まで驚異的な作品。
(このアルバムはApple Musicになし)



PERIPHERY(アメリカ)

Periphery

Periphery


(1st『Periphery』フル音源)'10



Tigran Hamasyan(アルメニア

Mockroot

Mockroot


(3rd『Shadow Theater』から「Erishta」)'13


プログレッシヴ・アンダーグラウンド・メタルのめくるめく世界【比較的メジャーなバンド・個人篇】(解説部分更新中)

参考資料はこちら:
(英語インタビューなどは抄訳付き)


【比較的メジャーなバンド・個人】

Devin Townsend
WALTARI

(解説部分は工事中)


QUEENSRYCHE(アメリカ)

炎の伝説

炎の伝説


(2nd『Rage for Order』フル音源プレイリスト)'86

(3rd『Operation:Mindcrime』フル音源プレイリスト)'88



DREAM THEATER(アメリカ)

Images & Words

Images & Words


(2nd『Images And Words』フル音源)'92

(5th『Metropolis PT.2』フル音源)'99

(7th『Train of Thought』フル音源)'03




Ghost Reveries

Ghost Reveries


(5th『Blackwarter Park』フル音源)'01

(7th『Damnation』フル音源)'03

(8th『Ghost Reveries』フル音源)'05

(10th『Heritage』フル音源)'11



Mike Patton(アメリカ)

Disco Volante

Disco Volante


(MR.BUNGLEの1st『Mr. Bungle』フル音源)'91

(MR.BUNGLEの2nd『Disco Volante』フル音源)'95

(FANTOMASの1st『Fantomas』フル音源)'99

(THE DILLINGER ESCAPE PLAN『Irony Is A Dead Scene』フル音源)'02



Devin Townsend(カナダ)

DECONSTRUCTION

DECONSTRUCTION


(STRAPPING YOUNG LAD名義の2nd『City』フル音源)'97

(OCEAN MACHINE名義『Biomech』フル音源)'97

(DEVIN TOWNSEND PROJECT名義の3rd『Deconstruction』フル音源)'11




Be

Be


(3rd『The Perfect Element PT.1』フル音源)'00

(5th『Be』フル音源)'04



WALTARI(フィンランド

Blood Sample

Blood Sample


(5th『Yeah! Yeah! Die! Die! Death Metal Symphony in Deep C』フル音源プレイリスト)'96

(10th『Blood Sample』フル音源プレイリスト)'05