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プログレッシヴ・アンダーグラウンド・メタルのめくるめく世界:参考資料集【ハードフュージョン・djent以降】(内容説明・抄訳更新中)

こちらの記事
の具体的な内容・抄訳です。


【ハードフュージョン・djent以降】

GORDIAN KNOT
SPIRAL ARCHITECT
COPROFAGO
TEXTURES
EXIVIOUS
ANIMALS AS LEADERS
PERIPHERY
Tigran Hamasyan

(内容説明・抄訳のあるものは黒字にしています)


ANIMALS AS LEADERS(アメリカ)》


Wikipedia(Tosin Abasi)
(活動歴から使用機材まで非常に詳しい)
影響源:ジャズ〜ポップス〜R&Bなど様々
Steve VaiAllan Holdsworth、Fredrik Thordendal、RADIOHEADのThom Yorke、APHEX TWINSQUAREPUSHER、MESHUGGAH、DREAM THEATERなど


Tosin Abasiインタビュー(2014.5.14)

Javier Reyes(g)
Matt Garstka(dr)

『Weightless』は、1stの路線に慣れていた多くのファンにとって変化球のように感じられたようだ
『Weightless』では、Adam Rogers('65年生、Michael Breckerのグループなどに参加)やKurt Rosenwinkel('70年生)のような現代ジャズ・ギタリストのスタイルにのめり込み始めていた:メロディよりも(そちら方面の)コード志向になっていた:ファンの中でも賛否が分かれた(「好きでない」とはっきり言う人も「ずっとかけている」と言う人もいた)のはそのせいもあったのでは

2012年の1月にギターのみでデモを作成し(Misha Mansoorとともに7曲)、それをもとに『The Joy of Motion』を構築

新ドラマーは驚異的で、基本的なエンジニアを担当したNolly(Adam Getgood:PERIPHERYのベーシストでギターも凄い)の貢献により、過去最高にオーガニックな音色が録れた

“shred guitarist”と呼ばれるポジションを脱したかった
従来の作品に比べ音数を絞り、ブルース・カントリー・ジャズを融合させた音楽(R&B、ゴスペル、ネオソウルなどのプレイヤー)を聴いて、ジャズよりもブルースのルーツに深く分け入っていった(重音奏法や半音階などを増やした):Jairus MozeeやIsaiah Sharkey、Jimmy Herringなどを数年聴き込み、様々なことを学んだ

デモを作成し、9〜10ヶ月後に最終形を録音し始めた年には、演奏スタイルが大きく変わった(それまでは注目していなかったベンド・ビブラートに焦点をあてた)

3rdにおける最大の挑戦は精神的な対話(自問自答)だった。いろいろ考えた結果、新たなことを一からやるのではなく、AALの持ち味を精製することに努めた。それが結果として良い方に働いた。

親指のスラップ奏法を以前は多用していたが、今ではピッキングでそれをやっている(特に注目している技術ではない)。左手薬指をフィンガリングに組み込むなど、今までの作品でやっていないことを沢山導入している。ハンマリング3音に対しピッキングで2音、というくらいの比率で弾いている。
(オルタネイトピッキングではない。ハンマリングとピッキングを使い分けるやり方で、自分は“selective picking”と呼んでいる。)
「kascade」はその好例。
(マイナー3和音5種を、左手のハンマリングによる3音とピッキングによる4〜5音から構成している)
親指スラッピングも上達したが、それはシンコペーションするリズミックなフレーズをタイトに弾かなければならない時に組み込もうとしている。

「Physical Education」は、ミュートをかけたスラッピングにより、キック/スネア様のサウンドが出ている。こういうのをゆっくりめのテンポでやったのは初めてで、アルバムの中でもお気に入りの1曲。

「Another Year」は、1stの頃からあって使われていなかったアイデア(このアルバムに複数活かされている)からなるもの。
Javierの6弦による7thコード(転回形)と自分のGメジャーその他(の転回形)からできた曲で、ゴスペルなどの雰囲気がある。
なんとなく中途半端な感じがあって、使うか使わないか迷ったけれども、Mishaの勧めにより活かすことに決めた。

「Mind-Spun」は低域でのアルペジオ(多くの人は高域でやるもの)を活用したもの。スウィープとパームミュート(ギターのブリッジの部分に右手(ピッキング側)をのせて、ミュートしながらピッキングするテクニック)も使用。上がるコードと下がるコードが交互に現れる。サウンドをより興味深いものにするためだけに、シンセをユニゾンで加えている。

他のギタリストの指遣いを見て真似るしかなかった初心者の頃から、耳で聴いて分析できるようになったり、学校でコードについて学んでいく過程を通して、和音の感覚やそれを扱うセンスは随分広がっていった。「Lippincott」はオンラインで音楽を教えているTom Lippincottの名前に由来にするもの。(自分がそれまで親しんでいたメロディック・マイナーと比べ全然慣れていなかった)メロディック・メジャー(・ハーモニック・メジャー)をそこから学び、この曲でも用いている。オーギュメント・スケールも同じくらい使っている。

「Para Mexer」はJavier(素晴らしいクラシック・ギタリスト:MESTISというバンドにも所属)による曲。ドラムスを加えフルプロダクションで録音した最初の曲で、Godinがくれた7弦ナイロンギターのサウンドが素晴らしい。

新作は基本的に自分のアイデアからなるが、それを発展・結合してくれるMisha(素晴らしいプロデューサー)やNollyによるエンジニアの貢献も大きい。その意味で、自分のヴィジョンが活かされている一方で協同作業からできている作品だと言える。
『Weightless』ではそうした作業をバンド内だけでやっていたが、新作ではMisha(協同でプロデュースと作曲をした)とDiego Farias(プリプロダクションの段階で協同作曲:VOLUMESというバンドに所属)といった外部からのインプットが多い。Nollyも良いサウンドを得るための(演奏に対する指摘を含む)貢献をしてくれた。
新作は、幅広い音楽要素がバランスよく有機的にまとめられたアルバムになっていると思う。

機材の話
(Axe-FX:Daniel Kline、Ibanz TAM100のシグネチャー・ギター、Strandbergギター、Godin Multiac Grand Concert 7のナイロンギター
「Physical Education」のチューニングは通常の8弦をD♭またはC♯に下げたもので(5弦ベースの音域に近い)、そのためにRick Tooneを用いている。スケールは30インチある。)

8弦ギターは「低音が出せる楽器」としても便利だけど、3オクターブに渡るアルペジオやコード・メロディの演奏など、できることはもっと多い。出会うギターキッズは(自分が同じくらい若かったときはスピードにしか興味がなかったのに)音楽教育のことなど深い理解を求める質問をしてくる。
progressiveな音楽はこの手の音楽理解を促進するのに良い素材でもあると思う。自分たちを聴いて新たな世代のギタリストが育っていく展開にあるのではないかと思う。

世界各地で行っているギター・クリニックは、自分の音楽がギター・プレイヤーに与えている衝撃を確認する良い機会であり、「インスパイアされた」と言われるのは最も素晴らしい反応だと感じる。自分が様々なプレイヤーからインスピレーションを受け取ってきたことを考えると、自分が他者にそうしたものを与えることができるのはとても良いことだと思う。

「超絶的なプレイヤーが既にたくさんいる状況で個性を示すのは難しい」というのは確かにその通りだが、音楽にはテクニック以上に大切なものがある。音楽は競争ではなく表現。誰もが他の誰にもできないことを出来うる。

競争は成長を促すが、競争に捉われすぎると自分を見失ってしまう。
心に訴える曲を書くということが忘れられがちだが、とても大事。

「ギター雑誌の表紙を飾る」資格のある素晴らしいプレイヤーは数多い。あまり名声に捉われることのないようにしている。

過去作(1stを例にとって)では、既存のブルース・スタイル(既に素晴らしいプレイヤーが沢山いる)などのような平凡なやり方を避け、自分が良いと思える要素だけをつぎ込んだ。だから今でも面白く聴ける。新作はそういうやり方を精製したもので、ギター奏法というものについての自分の考え方がどこにあるのかということが示されている。人々がそれをどう思うかが興味深い。


Tosin Abasiの選ぶ10枚のギター・アルバム(2014.5.31)
R&Bやゴスペル、いわゆるネオ・ソウルのギタリストを沢山聴いていて、それが異なる物の見方を示してくれる
『The Joy of Motion』では音数を減らし気味:単なるスケール練習ではないリリカルな作品
Yngwie MalmsteenやGreg Howe、John Petrucciなどには衝撃を受けた:作曲・メロディ・サウンド・総合的な創造性・楽器の演奏能力などの全てを網羅している

Steve Vai『Passion & Warfare』('90):始めに買ったギター中心で、リードだけでなくリフなど、作編曲もサウンド面も総合的に素晴らしい。

Yngwie Malmsteen『The Yngwie Malmsteen Collection』('91・ベスト盤):ネオクラだけでなくブルースも素晴らしい。絶大な影響を受けた。

Greg Howe『Introspection』('93):素晴らしいメロディック・シュレッダー。歌声と激テクを両立している。大きな影響を受けた。

DREAM THEATER『Awake』('94):激しいプログレメタルでありながらPINK FLOYDBEATLESのような(ポップな)こともできる。音楽的な深さは測り知れない。Petrucciのフレーズは些細なものでも素晴らしい。『Scenes from A Memory』も素晴らしいが、自分は『Awake』が最も好きだし、最も聴き込んでいる。

Guthrie Govan『Erotic Cakes』('06):曲も演奏も圧倒的
〈このアルバムはApple Musicにない〉

Allan Holdsworth『Secrets』('89):作品はどれも素晴らしいが、これが基本の一枚だと思う。自分が初めて聴いた作品でもある。ホールズワースの存在は世界の音楽にとっての祝福と言える。

Jimmy Herring『Lifeboat』('08):R&Bやブルース方面のプレイヤーだが、メロディの考え方は現代ジャズから来ているように思われる。ギタリストの間ではあまり語られないようだが、非常に素晴らしい。

Kurt Rosenwinkel『The Next Step』('01):現代のビバップをやっていると言われるギタリスト。和音の感覚は信じられないくらい凄く、作曲能力は極めて高い。明確な調性を避けるスタイルをとり、それを聴いて自分も、定型を超えたことをやりたいと動機付けられた。ジャズにのめり込むきっかけになったプレイヤー。

Adam Rogers『Apparitions』('05):クラシックからも影響を受けた現代ジャズギタリスト。彼の作品は全て聴く価値があるが、中でもこのアルバムは必聴だと思う。

Jonathan Kreisberg『Shadowless』('11):演奏も作曲も極めて素晴らしく、全てのギタリストに各々がやってきたことを見返させるだけのものがある。どの作品も聴く価値があるが、自分はこのアルバムが好き。最初から最後まで驚異的な作品。
〈このアルバムはApple Musicにない〉