【2020年・メタル周辺ベストアルバム】前編 Metal The New Chapter

2020年・メタル周辺ベストアルバム】前編 Metal The New Chapter

 

 

2020年に発表されたメタル周辺作品(音的にはメタル要素の乏しいものも含む)を36枚選び、各々の作品についてだけでなく関連するトピックについてもまとめたものです。

前編となる本稿は17作品で

  • Roadburn Festival
  • ビートミュージック、メインストリーム
  • ニューヨーク周辺の越境シーン/人脈(特にジャズ方面)

について書いています。

メタル関係のメディアでは残念ながら現時点ではあまり言及されていない領域ですが、このジャンルの未来を考えるにあたっては特に重要なものばかりだと思います。ディグや議論の素材になることができれば幸いです。

 

 

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一覧

 

Emma Ruth Rundle & Thou

Oranssi Pazuzu

Triptykon with The Metropole Orkest

Vile Creature

Neptunian Maximalism

 

Ghostemane

Poppy

Code Orange

Run The Jewels

Duma

 

John Zorn

Titan To Tachyons

Mr. Bungle

Krallice

Imperial Triumphant

Liturgy

Napalm Death

 

 

 

 

Roadburn Festival

 

 

Emma Ruth Rundle & Thou:May Our Chambers Be Full(2020.10.30)

 

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 Roadburn Festivalは毎年4月にオランダのティルブルフで開催される音楽フェスティバルで、立見2100人収容のメインステージと立見数百人収容のサブステージ数ヶ所で同時に進行する形態をとっている。ストーナーロックを主に扱う音楽ブログが母体となっており、70年代前半の越境的なロックの気風を受け継ぐそうしたサブジャンルから出発したこともあって、“ヘヴィ・ミュージック”と形容できるものであればメタルでもハードコアパンクでも電子音楽でも分け隔てなく並べる闇鍋状の運営を続けてきた。参加する観客の聴取姿勢もそうしたラインナップに自然に対応するものとなり、アーティスティックディレクターを務めるWalter Hoeijmakersはインタビュー(註1)で「バンドがオープンマインドな観客の前で演奏する機会を与えるのが主な目的」「(出演者を選定するにあたっては)ジャンルは問題ではなく心に訴える力があるかどうかが最も重要」と語っている。メタルというと保守的イメージを抱かれやすいものだが、アンダーグラウンドシーンにおける音楽的発展の自由さ豊かさは「ロック」や「オルタナ」と曖昧に括られる領域全体にひけをとらないし、そうした音楽的豊かさを損なわずに網羅して提示するのがRoadburnの活動であり重要な役割なのだと言える。そうした姿勢を反映してか、ここのラインナップは他のメタル系メディアやフェスが取り上げるそれの数年は先を行っており、ストリーミング配信の普及によりこうした出演者リストをディグのガイドとして利用しやすくなった昨今では、シーンを先導する最高のプレイリストとしても機能している。ORANSSI PAZUZUとDARK BUDDHA RISINGの合体バンドWASTE OF SPACE ORCHESTRAなどRoadburn限定企画から生まれた交流も多く、新しく興味深い“ヘヴィミュージック”を探求する者にとっては無視できない存在であり続けている。

 

 Roadburnが他の音楽フェスティバルと一線を画す最大のポイントはキュレーター(curator、学芸員)制度だろう。4日開催となった2008年以降、その4日間のうち1日のヘッドライナーがキュレーターに選任され、ディレクターのWalterと協力しながら1年間かけてラインナップの選定と交渉にあたる。これまでキュレーターを務めたミュージシャンは以下のとおりである。

 

2008:David Tibet(CURRENT 93)

2009:NEUROSIS

2010:Tom G. Warrior(TRIPTYKON、ex. CELTIC FROST)

2011:Sunn O)))

2012:VOIVOD

2013:Jus Osborn(ELECTRIC WIZARD)

2014:Mikael ÅkerfeldtOPETH

2015:Ivar BjørnsonENSLAVED

2016:Lee Dorrian(ex. CATHEDRAL、NAPALM DEATH etc.)

2017:John Dyer Baizley(BARONESS)

2018:Jacob Bannon(CONVERGE)

2019:Tomas Lindberg(AT THE GATES)

2020:Emma Ruth Rundle(ソロ、RED SPAROWES、MARRIAGES)、James Kenta.k.a. PERTURBATOR)

 

いずれもアンダーグラウンドなメタル~ハードコア周辺領域を代表するミュージシャン/バンドであり、同時にシーン屈指の音楽ディガーでもある。例えば、2016年のキュレーターを務め、日本のメタル専門誌『BURRN!』でもレコード購買日記的なコラムを連載するLee Dorrianは、同誌の35周年記念号(2019年10月号)掲載企画「編集部とライター陣が選ぶ35年間、この100枚」で最初の1枚にDEAD CAN DANCEを挙げるなど、この雑誌の保守的な気風に真っ向から逆らう脱ジャンル的なセレクトをしていたし、日本のみならず世界を代表するハードコアパンクバンドG.I.S.M.の復活および初の海外公演をRoadburnで実現させたのも彼のそうしたセンスや人脈の賜物だったと言える(註2)。歴史と現状に精通したマニア兼実作者の協力を得て様々なシーンを過去にも未来にも接続するキュレーター制度はRoadburnを他から一線を画す音楽フェスティバルにしているし、そのラインナップは一見無秩序なようでいて様々な裏テーマを緻密に張り巡らしたものになっているのである。

 

 

 という書き出しから始まる6000字のRoadburn論を寄稿したZINE『痙攣』vol.1が発行されたのが今年5月で、そこでは史上初の2名キュレーター制度を採用したRoadburn 2020の歴史的意義に触れた。この領域との共演経験が多いとはいえ自身の音楽はメタルでもハードコアでもない女性・男性アーティストを音楽監督兼メイン出演者に据えて素晴らしいラインナップを構築したRoadburn 2020は、両者とも関わりが深い重要バンドTHE BODYの2018年インタビュー(註3)におけるコメント

アンダーグラウンドはポップミュージックからもっと多くのことを学ぶ必要がある。ビヨンセのコーチェラ(※同フェスティバルのトリを飾った2018年屈指の歴史的パフォーマンス)、カーディB、そしてテイラー・スウィフトがチャーリーXCXやカミラ・カベロとまわったツアー。このレベルの包括性(inclusiveness)がアンダーグラウンドでも生じてほしい。これが皮肉ととられるのはわかるけれども、白人男性がリフを弾く(※メタルなどにおけるリズムギターの反復演奏を指す)のは世の中にとってこれ以上必要なことなのだろうか?そうではないだろう。」

に通じる理念を見事に体現していたし、それがコロナ禍の影響で翌2021年に延期→中止(2020.12.20時点では配信イベント化の計画がある模様)となってしまったのは残念というほかない。ただ、コラボレーションを生み出す場としてのRoadburnの機能は活き続けていて、今年を代表する傑作の数々にその影響力がみてとれる。Emma Ruth RundleとTHOUの初共演アルバム『May Our Chambers Be Full』もその一つである。

 

 もともとこのコラボレーションはRoadburn 2019のArtist in Residence(4日間を通して複数回出演するその年の代表的アクト)を務めたTHOUがアーティスティックディレクターWalterの発案をうけて画策したもので、同年の2日目にはEmma Ruth Rundle & THOU名義での1時間のステージが実現している。本作はそのために2019年初めに作られた楽曲を2020年8月にレコーディングした作品で、音楽の構造についてはその間の状況や政治の影響を特に受けていないと作者本人が言う一方で、表現力の質に関してはRoadburn 2020の企画立ち上げからコロナ禍を経て現在に至る流れを結果的にはとてもよく象徴するものとなった。メタル領域ではスラッジコア~ポストブラックメタル的な流れにあるバンドとして扱われることが多いTHOUはNIRVANAのカバーのみで16曲70分のアルバムを制作するなどハードコア~グランジ方面への造詣も深く、EmmaはRED SPAROWES(元ISISのBryant C. Meyerらが結成したポストロック/ポストメタルバンド)への参加で知られる一方でソロではChelsea WolfeとU2の間にあるような弾き語りやFripp & Eno的なアンビエント寄りギター独奏をやっており、the nocturnesやMARRIAGESといった他バンドでもエモ/ポストロックがかったフォークゲイズを追究するなど、メタル的な質感を微かに取り入れてはいるもののサウンド的には“ヘヴィ”な要素はほとんどない。『May Our Chambers Be Full』はその両組の持ち味や豊かなバックグラウンドが絶妙なバランスで融合した傑作で、複雑な構造を非常に聴きやすい歌もの構成に整理する作編曲はもちろん巨大な存在感と柔らかい包容力を自然に両立する演奏~音響もどこまでも素晴らしい。ポストメタルを通過したTHE GATHERINGという趣もある本作は様々なメディアの年間ベスト記事で上位に選出されており、音楽性の面でも活動経歴の面でもメタル内外を接続する働きを担いつつそうした世界的傾向をよく示してもいるのではないかと思われる。これまでRoadburnが人知れず果たしてきた意義がこのような作品を通して意識される機会も今後確実に増えていくだろうし、それに伴いメタル一般に対する視野やイメージもメタル内外両方の立場から広がっていくことを期待したい。その方が絶対に良い循環を生んでいくはずだから。

 

 

註1

「The Art Of Roadburn, An Intervier With Founder Walter Hoeijmakers」

(2017.5.8掲載)

https://metalinjection.net/interviews/the-art-of-roadburn-an-interview-with-founder-walter-hoeijmakers

 

註2

弊ブログClosed Eye Visuals「G.I.S.M.関連英語記事【リンク&和訳集】」

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/11/21/212142

 

註3

「THE BODY interview: “We Don`t See ‘Heavy’ Music As Strictly Being A Metal Thing”

(2018.5.31掲載)

https://metalinjection.net/interviews/the-body-dont-see-heavy-music-as-strictly-being-a-metal-thing

 

 

 

 

Oranssi Pazuzu:Mestarin kynsi(2020.4.17)

 

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 今年の年間ベスト記事群で最も注目された作品の一つとなった本作もRoadburn限定のコラボレーション企画が重要な原動力になっている。ORANSSI PAZUZUに関しては自分は2009年の1stフル発表当時から聴いていたものの「確かに非常に優れたバンドだし個性もあるがそこまで持ち上げられるほどか?」というくらいの印象で、2016年の前作4thフルがPitchforkなどで取り上げられるようになったのも「知的なメタルはインディーロック文脈から評価しやすいから知見の広さを示すためにも取り上げる」ハイプしぐさだという印象が強かったのだけれども、昨年発表されたWASTE OF SPACE ORCHESTRA(DARK BUDDHA RISINGとの合体バンド)の傑作を経ての本作には初回から完全に惹き込まれることになった。前作あたりから増えてきた複合拍子をほどよく複雑化させつつキャッチーな引っ掛かりとして活用できている楽曲は何よりもまず非常に聴きやすく、それを足掛かりにすることで“知識や技術があるからこそ放出できる衝動のかたち”が理想的な按配で表現されている。今年DARK BUDDHA RISINGが発表した5年ぶりのフルアルバム(傑作)もそうだが、WASTE OF SPACE ORCHESTRAの制作は両組の特性を補完するだけでなく互いがそれまで前面に出していなかった持ち味を伸ばす場としても強力に機能したようで、Roadburn 2018の出演およびそれに先行する楽曲制作がなければこうした達成も(少なくとも今のタイミングでは)有り得なかったのかもしれない。

 

本作はブラックメタルのコアなファンからはハイプ扱いされていたりもするが(ツイッターでは「ORANSSI PAZUZUなんかより〇〇を聴いてください」という言い回しでプリミティブ/ベスチャルなバンドを挙げまくる人が現れたりもした:確かにそれもある種のアンダーグラウンド嗜好からすればよくわかる反応でもある)、ノルウェー発の“Second Wave of Black Metal”黎明期のジャンル越境傾向を考えれば本作は間違いなくその精神を受け継ぐものだし、ある意味でブラックメタルというもの自体を再発明するような完成度と覇気にも溢れている。その上で興味深いのが普段メタルを聴かない音楽ファンにも好評を博していること。これは制作の動機になったという映画『ミッドサマー』に通じる甘いカルト感覚、快適に危険なところまで引きずり込んでくれるような聴きやすさによるところも大きいのかもしれない。今年のメタル領域を代表する歴史的傑作といえる。

 

 

ジャンル論的なことも含む詳説はこちら:

 https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1251596150919974912?s=21

 

 

 

Triptykon with The Metropole Orkest:Requiem – Live At Roadburn 2019(2020.5.15)

 

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80年代スラッシュメタルハードコアパンクから今に至る地下音楽の流れにおいて最も重要な(現人神と言っても過言ではないレベルの)ミュージシャンであるTomas Gabriel Warriorが32年越しに完成させた3部構成の組曲『Requiem』の初演音源。これもRoadburn 2019の特別企画で、こちら方面との仕事経験も多いオランダのオーケストラThe Metropole Orkest+バンド自身という編成で披露された。これが全編驚異的に素晴らしい演奏で、この手のコラボレーションで問題になりがちな「クラシック方面のプレイヤーはBPMを一定にキープするビート処理が得意でないことが多い」「生楽器大編成はロックの爆音PAとうまくミックスするのが極めて難しい」といった困難が完璧にクリアされている。バンド自身の演奏も最高で、唯一無二の個性を誇るTomasのリズムギター&ボーカルはもちろんV. Santuraのギターソロは歴史的と言っていいレベルの名演だし、リードシンガーとして招聘されたSafa Heraghi(DEVIN TOWNSEND PROJECTなどメタル領域の作品にも参加経験あり)のパフォーマンスも極上。最初から最後まで“音楽の特別な瞬間”に満ちた演奏になっており、現場で体験できた人々が実に羨ましい。これが完全にライヴレコーディングであることはCD付属のDVDに収録された全編動画でも確認できるので、音源に感銘を受けた方はぜひそちらの方も鑑賞してみてほしい。

 

本作がこれほどの傑作になったのは上記のような演奏によるところも大きいが、それは今回新曲として披露された32分に渡る(全体の3分の2を占める)第2部「Grave Eternal」の出来が極めて良かったから可能になったものでもあるだろう。Tomasの特異な音進行感覚(十二音技法的な音進行をシンプルなメタル/ハードコアリフで表現)が近現代クラシック音楽の語法で豊かに培養強化されたような組曲はどの場面をとってみても素晴らしい仕上がりだし、キャッチーな引っ掛かりと無限の奥行きが両立されていて何度聴いても飽きることがない。特異な構造美と抑制された叙情に満ちた大傑作であり、Roadburnの優れたアンダーグラウンド精神(先進的なミュージシャンだけでなく現役のレジェンドにも積極的に機会を与えシーンの過去と未来を繋ぎ続ける姿勢)が支えとなって初めて具現化された一枚。広く聴かれ名盤扱いされるようになってほしいアルバムである。

 

 

詳しくはこちら:

 https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1262703375939846144?s=21

 

 

 

Vile Creature:Glory, Glory! Apathy Took Helm!(2020.6.19)

 

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 Femme Metal Webzineというwebメディア掲載のVILE CREATURE インタビュー(註4)を読んでいて個人的に新鮮に思う箇所があった。本作のレコーディングでドラムス/ボーカル担当のVicが声を枯らしてしまったのをギター/ボーカル担当のKWが「Vic lost their voice」と言っていたのである。VILE CREATUREはVicとKWのクィアかつヴィーガンドゥームメタルデュオ(二人は結婚している)で、Metal Archives(註5)の表記によればVicのジェンダーはNon-binary(身体的には女性)、KWはMale(JUDAS PRIESTロブ・ハルフォードと同じ)。上記theirの用法は性別を限定しないために用いられる3人称単数で、それがメタル関係の記事で用いられていることに感銘を受けてしまったのだった。先掲ZINE『痙攣』vol.1寄稿の記事冒頭でふれたようにメタル領域は伝統的に男性中心主義傾向の強い世界で、今まではこのくらいの配慮すら十分になされてこなかった感が強い(これに対し「新鮮に思う」「感銘を受けてしまった」という筆者の反応もその状況を反映しているだろう)。VILE CREATUREのスラッジコア~フューネラルドゥーム的な音楽性にのる歌詞はそういった状況やそれに立ち向かう姿勢を示すもので、本作においてはそれが「無気力になってしまうことに対する個人的な葛藤と、世界にポジティヴな変化をもたらすことができないという感情」やその上での「道徳的な虚無主義(多くのメタルバンドが陥りがちなもの)の理想に反発すること」とともに綴られる。激情ハードコアとLingua Ignotaあたりをグレゴリオ聖歌やWARHORSEのようなフューネラル寄りドゥーム経由で接続しスラッジメタルで引き締めたような本作の音楽性は上記のような歌詞を一切聴き取れなくても訴求する力に満ちているが、両方の要素をあわせて参照することでより響くものになるだろう。KWはRoadburn 2019のステージを「これまでやった中で最も好きなショウ」と言っており(註6)、VILE CREATUREのように無名だが極めて優れたバンド(2020年末の時点で日本語で言及している記事やツイートは殆どない)を応援し注目を浴びる機会を与える場としてのRoadburnの意義や得難さが窺い知れる。サウンドだけみても今年屈指の内容だし広く聴かれてほしい傑作である。

 

 

註4

Femme Metal Webzine「VILE CREATURE – An Interview with Vic and KW」

(2020.7.9掲載)

https://www.femmemetalwebzine.net/interviews/vile-creature-an-interview-with-vic-and-kw/

 

註5

Metal Archives – VILE CREATURE

https://www.metal-archives.com/bands/Vile₋Creature/3540393546

 

註6

THE INDEPENDENT VOICE「Vile Creature Interview」

(2020.6.29)

https://www.theindependentvoice.org/2020/06/29/vile-creature-interview/

他にも下記記事など参照

https://www.chicagoreader.com/Bleader/archives/2017/06/15/queer-doom-duo-vile-creature-dont-have-time-for-melted-dickwads

https://www.vice.com/amp/en/article/6e4z3m/vile-creature-interview-2015

 

 

 

 

Neptunian Maximalism:Éons(2020.6.26)

 

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 Roadburnへの出演経験はないがその公式プレイリスト(Spotify)に選出され注目を浴びているバンドとして。Bandcamp(本作をオールジャンルの年間ベストに選出)の紹介記事でSunn Ra A)))rkestraと形容されているように、サン・ラがSunn O)))やSWANSを経由して芸能山城組と接続した感じの爆音ラージアンサンブルで、2時間余を心地よく聴かせるテンションコントロールが作編曲・演奏の両面において素晴らしい。東南アジアの民俗音楽に通じるパーカッションアンサンブルやフリージャズ~インド音楽的展開、ドローンメタルを介して70年代の暗黒ジャーマンロックに接続しているような多様な音楽要素はこの手のアヴァンロックには比較的よくみられるものだが、これがベルギー出身だということを考えると、UNIVERS ZEROやPRESENT(プレザン)、X-LEGGED SALLYのような偉大な先達がこの手の領域を既に開拓していたから当地からこういうバンドが出現すること自体は意外ではない一方で、この国の外で発生し確立されてきた要素ばかりを取り込み独自の形で融合活用している音楽なのだということも見えてくる。その意味で本作は多くの仮想の民俗音楽のように「ここではないどこか」を志向する音楽なのであり(「To The Earth」「To The Moon」「To The Sun」というチャプター名はこうした姿勢をそのまま表している)、混沌としてはいるが非常に聴きやすく仕上がっているのも明確なコンセプトやヴィジョンを持っているからなのだろう。小説『三体』やタイの地獄寺のサントラとしても実によく合う傑作。Roadburnの姿勢や雰囲気にも確かに通じる音楽だし、今後の出演やコラボレーションなどにも期待したいものである。

 

 

 

 

 

 

ビートミュージックメインストリーム

 

 

Ghostemane:ANTI-ICON(2020.10.21)

 

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 Ghostemaneはフロリダ出身のラッパー/マルチ楽器奏者/シンガーソングライター/ノイジシャンであるEric Whitneyが複数持つ名義のひとつ(そして最も有名なプロジェクト)で、ヒップホップ~トラップとエクストリームメタルを自然に融合する音楽性で注目を集めてきた。「残念ながら1991年生まれなのでデスメタル黄金期のパイオニアとなったバンド群、例えばDEICIDE、DEATH、CARCASS、MAYHEM(※これはブラックメタル)などは後追いで知った」「10代はATREYU、BENEATH THE SKY、AS I LAY DYINGのような2000年代前半のメタルコアにどっぷりハマり、20代にはハードコアの方に向かった」「その後、Dirty BoyzやBone Thugs、Three 6のようなダーティな南部のグループを通してヒップホップにのめり込んでいった」(註7)という経歴が示すように、Ghostemaneの音楽はエクストリームメタル(サンプリングも多用)とヒップホップ両方のエッセンスをサウンドの面でもフィーリングの面でも高度に融合しており(通称トラップメタル)、両ジャンルのファンからアクセスしやすいものになっている。過去作ではその配合が基本的にはトラップ寄りだったが、本作ではそのバランスがだいぶメタル(というかバンドスタイル)寄りにシフト。楽曲単位でもアルバム全体としても構成力やサウンドの威力が一気に高まり、殺傷力のあるポップアルバムとしての完成度や訴求力が一気に増しているように思われる。

 

 スラミングブルータルデスメタルと言われるバンド群やメタルコアのビートダウンパートを聴いてもわかるように、トラップの「BPMは遅めだが刻みは速い」「揺れが少なくカッチリしていて縦ノリしやすい」ビートはエクストリームメタルと共通する部分が非常に多く、メタルを全く通っていないトラップ方面のビートメイカーがメタル的にも楽しめるトラックを発表することも多い。そうした音楽的相性の良さに目を付けたメタル方面のバンド(BRING ME THE HORIZONなどもそこに含まれるだろう)がトラップ的なビートを取り込むようになったこともあって2つの領域(トラップ&メタルだけでなくメジャー&アンダーグラウンドも)は急接近し、この手の音楽に対するノリ方が全世界的に共有されていく。以上の全ての領域に精通しているGhostemaneがこのようなスタイルをうまくこなせるのはある意味当然だし、そういう立場にいるからこそ多彩なバックグラウンドを援用して自在に発展させていくこともできるのだろう。本作はトラップ的なビートを土台にしながらもトラップにありがちな定型的コード進行からは完全に離れたものになっており、ゴシックインダストリアル、ブラックメタル、ブルータルデスメタルなどを独自の形に融解錬成した楽曲群はSLIPKNOTの名盤『Iowa』にも通じる混沌とした豊かさを湛えている(しかも『Iowa』より格段にうまく整理された形で)。「自分にとってのアイコンとはアリス・クーパーマリリン・マンソン、ルポール(ドラァグクイーンのRuPaul Andre Charles)のような人達のことで、どこにでもいるようなYouTuberやTikTokerのようなものではない。自分はそんな“アイコン”にはなりたくない」(註8)という姿勢がよく反映された作品であり、NINE INCH NAILSやFEAR FACTORYの代表作にも並ぶような傑作といえる。

 

 ちなみに11曲目「Melanchoholic」のアウトロで流れるピアノの陰鬱な美旋律はブラックメタルの歴史的名曲であるMAYHEM「Freezing Moon」のメインリフを移調したもの。これまでも地下メタルファンであることをTシャツ着用姿などで度々示してきたGhostemaneのアンダーグラウンド精神はここに至っても健在で(※サマーソニックの2020年企画スーパーソニックで来日が予定されていたくらいの人気や存在感が既にある)、そうした領域の蓄積をメインストリームに吸い上げたうえで健全な循環を生み出そうとする姿勢は先掲のRoadburnにも通じるものがあるように思われる。

 

 

註7

Metal Insider「Interview:rapper Ghostemane talks death metal influence

https://www.metalinsider.net/interviews/interview-rapper-ghostemane-talks-death-metal-influences

 

註8

Kerrang!「How Ghostemane Is Changing The Fabric Of Heavy Music」

https://www.kerrang.com/features/how-ghostemane-is-changing-the-fabric-of-heavy-music/

 

 

 

 

Poppy:I Disagree(2020.1.9)

 

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 本作の音楽性を一言でたとえるなら「グライムスとマリリン・マンソンをデヴィン・タウンゼンドやPERIPHERY、100 gecsやTHE BEACH BOYSなどを介して接合したような音楽」という感じだろうか。デプレッシヴブラックメタルを連想させるアルバムジャケットからは想像もつかない華やかさと様々な意味でうるさい音響が完璧に自然に両立されていて、ポップス的な意味でもメタル的な意味でも極めてエッジーなのに聴きやすい。メタル出身でないアーティストがメタルを完全に理解したうえで現行ポップスと統合した作品として最高レベルの傑作だと思う。

 

 Poppyが影響を受けたアーティストはコーネリアスビョークNINE INCH NAILSYELLOW MACHINEGUNTHE BEATLESTHE BEACH BOYS、デボラ・ハリー(BLONDIE)、グウェン・ステファニー(NO DOUBT)、スージー・スー(SIOUXSIE AND THE BANSHEES)などで、人生で一番好きなアルバムを3枚挙げるならNINE INCH NAILS『The Downward Spiral』、コーネリアスFANTASMA』、AIR『Talkie Walkie』であるという(註9)。上記のようなアーティストの優れた和声感覚とヘヴィな音響構築は過去作でも別々に駆使されてきたが、本作ではそれらがともに飛び道具としてではなくメインの武器として併用されている。こうしたことが可能になった背景には、先述のトラップメタルのようなメタル側からポップスへの音響的接近だけでなく(ちなみにPoppyとGhostemaneは今年の7月10日に婚約を発表している:註8)、チャーリーXCXや100 gecsのようなハイパーポップ(註10)がポップスのラウドさの水準感覚を引き上げてきたことも少なからず関係しているのではないかと思われる。そうした音作りがPERIPHERYのようなジェント的サウンドなどもあわせて徹底的に磨き抜かれた結果デヴィン・タウンゼンド的な質感に至るのはとても興味深い。遊園地のアトラクション的に何も考えずに楽しめる一方で超絶的な作り込みとそれを可能にするバランス感覚が光る逸品。DREAM THEATERやTOXIKが好きなメタルファンとルイス・コールやTAME IMPALAが好きなポップスファンにともに抵抗なく薦められるこういう音楽はなかなかないし、本当に得難いポジションを撃ち抜くことに成功した傑作なのだと思う。

 

 

詳しくはこちら:

 https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1277104908626350081?s=21

 

 

註9

シンコーミュージック『ヘドバン』Vol.27(2020.9.7発行)掲載インタビュー

 

註10

「hyperpopに関する雑記」

https://note.com/ssxxzzxxrr/n/n58caa3276fec

fnmnl「What is 「HYPERPOP」?  by tomad」

https://fnmnl.tv/2021/01/28/115465

パンデミック下に狂い咲く、破壊と越境の音楽「hyperpop」とは何か?

 https://note.com/namahoge_f/n/nb757230fd013


 

 

 

Code Orange:Underneath(2020.3.13)

 

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 今年最も注目されたアルバムの一つ。日本のメディアでも例えば『ヘドバン』Vol.26で巻頭カラーページでのクロスレビューとモノクロページでのインタビューによる特集が組まれるなど少なからず脚光を浴び、BRING ME THE HORIZONあたりと並ぶ“新世代の旗手”的なポジションで重宝される気配をみせている。しかし作品としてはそこまで整理洗練されてはおらず、“よくわからないが凄いことだけはハッキリ伝わってくる”感覚を非常に快適に伝える奇怪なポップミュージックと捉えるほうがうまく読み込めるようなものになっているとも思われる。

 

「俺たちはハードコア出身だけど、メタルやエレクトロニック・ミュージック、ヒップホップなどから影響を受けてきた。俺たちが誇りにしているのは、それを咀嚼して、独自のアイデンティティーを生み出していることだ。PANTERA、NINE INCH NAILSALICE IN CHAINSSLIPKNOT、CONVERGE、HATEBREED…、カニエ・ウエストからも影響を受けている。注意して聴けば、影響は明らかだろう。でも、俺たちは自分たちのフィルターを通して、CODE ORANGEの音楽として吐き出すんだ」(註11

「最近Spotifyで『From the Machine to the Street』というプレイリスト(註12)を作ってアップデートしたんだよ。俺はいつも何かを聴いていて、素晴らしいサウンドトラックになっているものも沢山あるし、素晴らしいフル・アルバムも沢山ある。INJURY RESERVEが出しているレコードも俺達はとても気に入っている。クラシックなもので俺達が大好きなのは、PANTERA、SLAYER、CELTIC FROSTといったバンドだし、俺が個人的に大好きなのはNINE INCH NAILSだ。俺達は沢山のものを聴いているよ。それから、ジャーマン・エレクトロニックのAMNESIA SCANNERの新しいレコード(「TEARLESS」)に参加したところなんで、俺は彼らもかなり聴いているよ。ファンタスティックなバンドだと思う。若いバンドでは、MACHINE GIRLが素晴らしい。とても風変わりなエレクトロニック・グループでね。VEINとJUDAS PIECEの2バンドは、これからが楽しみな最高のハードコア・バンドだよ。そういう風に、色々と沢山聴いている。」(註13

(発言者はともにフロントマンのジェイミー・モーガン

 

本作の音楽性はまさに上記コメントの通りなのだが、それはパーツ単位に分解した場合の話で、全体の構造はそれらからは全く想像もつかないような異様なものに仕上がっている。それこそALICE IN CHAINSNINE INCH NAILSに通じるNWOBHMグランジ系列のアメリカンゴシック的音進行が捻りなく繰り出される一方でその並べ方は既存の文脈を切り刻み無造作に配置しなおしているような印象もあるし、同時代のエレクトロニックミュージックの語彙を節操なく大量に援用する音響も、近年ひとつのトレンドになっている感のある「インダストリアル」というキーワードで括れるようでいて既存のインダストリアルメタルやインダストリアルノイズとは大きく異なる位相で構築されている。このようにありきたりな(レトロと言ってもいい)要素が並んでいるのに総体としては誰も見たことがないような風景が立ち現れる様子は『ブレードランナー』や『AKIRA』などの街並みを連想させるし、バンド自身がインタビューで掲げる「4D」「ホログラム」という語彙はこうしたことに通じるものでもあるのだろう。膨大な情報に包まれ高速で翻弄されながらもしっかり食らいついていく感覚を異常なまでに美しく解きほぐされた演奏および音響とともに堪能できる稀有のアルバムで、超ハイファイな闇鍋という趣の聴き味は他ではなかなか得られない。文句なしの傑作というのは難しいかもしれないが、そうやって困惑させられる部分も含め一つの路線のもとで突き抜け磨き抜かれてしまった作品だし、それがここまで大きな注目を浴びるポジションで発表されたこともあわせ、確かに何かの未来につながる重要作なのだろうと思う。

 

 

註11

シンコーミュージック『ヘドバン』Vol.26(2020.3.31発行)掲載インタビュー

 

註12

CODE ORANGE選曲のSpotifyプレイリスト

https://open.spotify.com/playlist/1mg2tw2cEdiJp8Ddq7ADIy

 

註13

シンコーミュージック『BASTARDS!』Vol.1(2020.9.20発行)掲載インタビュー

 

 

 

 

Run The Jewels:RTJ4(2020.6.3)

 

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 今年5月25日にアメリカ・ミネアポリスで起こった白人警官によるジョージ・フロイド殺害事件で再燃したBlack Lives Matter(以下BLM、起源はトレイヴォン・マーティン殺害事件に対する無罪判決が出た2013年7月13日)は全世界的に急速に広まったが、その傾向はメタル周辺の領域においては他ジャンルに比べかなり消極的だったように思われる。もちろん真摯に取り組む人も少なからずおり、LINKIN PARKのマイク・シノダはこのスローガンの起源(そもそも黒人(アフリカン・アメリカンやブラックなど様々に注意すべき呼称があるがここではあえてこう言う)の命が大切にされておらず社会的にも不当に扱われるシステムが構築されてきた背景があるからこそこの言葉が生まれそうした状況の是正を求めているのであって、“黒人の命だけが大切”と主張しているわけでは全くないということ)を丁寧に説明する動画を配信し(註14)、AVENGED SEVENFOLDのM.シャドウズは事件発生直後の6月3日にはBLMをサポートする旨の長文声明をアメリカのメタル専門誌REVOLVERに掲載(註15)、RAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロはBLACK SABBATHの歴史的名盤『MASTER OF REALITY』のタイトルロゴジャケットをもじった『BLACK LIVES MATTER』Tシャツを着用して96歳の祖母とともにデモに参加(註16)、そのすぐ後にBLACK SABBATH公式がこのTシャツを公式通販開始する(註17)など、メジャーフィールドで他ジャンルと売上を競ってきたビッグな(そして他ジャンルのリスナーにも訴求するポップさをもつ)バンドは積極的な行動を起こしてきたが、メタルというジャンル全体でみれば言及する者は少なく、SYSTEM OF A DOWN のドラマーであるジョン・ドルマヤンが「BLMは民主党の資金集めとプロパガンダの素材だ」という発言を繰り返すようなことさえ起きている(註18)。音楽的にいえば確かにメタルはいわゆるブラックミュージック的なところから遠ざかる歴史を辿ってきたジャンルで、LIVING COLOURやSUFFOCATION、BLASPHEMYのような黒人メンバー主導のバンドがサブジャンルを代表する傑出した存在として重要な影響源になってきた経緯はあるにせよそれは稀な例外で、生活圏的にも文化圏的にも棲み分けと言っていいくらい隔絶された関係であり続けてきた。そういう背景を考えればBLM的なことに対する消極的な傾向(というか無関心)も残念ながら自然な反応ではあるのだが、その一方で、ループミュージックとしての音楽構造(註19)や演奏技術などの面でメタルはブラックミュージックから大きな恩恵を得てきたし、トラップメタルのようにビートミュージック成分の導入が増えてきた今に至ってはその度合いはさらに強くなり続けている。そもそもブラックミュージック的なものを一切聴かない(というか生理的に好まないように音楽嗜好を築き上げてきてしまった)メタルファンも多いので致し方ないところもあるわけだが、こういうある種の引きこもり傾向はやはり脱するべきなのではないかと思う。

 

 RUN THE JEWELSの本作は6月3日リリース。ジョージ・フロイド殺害事件を受け警察に対する抗議が破壊的な展開を生み始めていくなかでメンバーのキラー・マイク(ラッパーというだけでなく優れた社会活動家でもある)が5月29日に行った抑制的かつ感動的なスピーチの直後に予定を2日前倒ししてデジタルリリースされたアルバムで、公式ページではmp3音源を無料ダウンロードすることもできる。本作の音楽スタイルはハッキリ言ってメタルではないが、60~70年代のスウィートなR&Bソウルミュージックをサンプリングしつつハードコアパンク的なバウンス感や攻撃力を生むビート作りはメタルを聴く耳でもそこまで抵抗なく楽しめるだろうし、過去作に比べインダストリアルメタル度を増した感のある(ギターはほとんど入っていないはずなのにそういう質感になっている)サウンドはGhostemaneやPoppy同様に両ジャンルの接近傾向を示すものになっているのではないかと思われる。ゲストとしてザック・デ・ラ・ロッチャ(RAGE AGAINST THE MACHINE)やジョシュ・ホーミQUEENS OF THE STONE AGE、ex. KYUSS)が参加した本作は先掲メタル専門誌REVOLVERの年間ベストアルバム記事で第6位を獲得。これは原理主義/純粋主義的な立場からは受け入れがたいものだろうが、先述のような歴史や関係性から考えれば的外れとは言い切れないし、ジャンル外や“今の”社会状況ともしっかり関わる姿勢の提示として良いことなのではないだろうか。本作の得難い味わいのひとつになっている柔軟さと真摯さの両立はジャンルを駆動し存続させていく力としても重要なのではないかと思う。

 

 

註14

rockin`on .com - リンキン・パークのマイク・シノダ、「Black Lives Matter」の本来の意味を説明。「『All Lives Matter』に話をすり替えてはいけない」

(2020年6月3日掲載)

https://www.google.co.jp/amp/s/rockinon.com/news/detail/194233.amp

 

註15

REVOLVER「AVENGED SEVENFOLD`S M.SHADOWS: WHY I STAND WITH THE “BLACK LIVES MATTER” MOVEMENT」

(2020年6月3日掲載)

https://www.revolvermag.com/culture/avenged-sevenfold-m-shadows-why-i-stand-with-black-lives-matter

 

註16

インスタグラムのtommorelloアカウント

(2020年6月8日投稿)

https://www.instagram.com/p/CBJ6IoYj-mB/

 

註17

BLACK SABBATH公式の通販ページ

(2020.12.22現在も同Tシャツは購入可能)

https://blacksabbathapparelshop.com/products/black-lives-matter-t-shirt

 

註18

AP「SYSTEM OF A DOWN DRUMMER CALLS BLACK LIVES MATTER A “PROPAGANDA TOOL”」

(2020年7月7日掲載)

https://www.altpress.com/news/system-of-a-down-drummer-dismisses-black-lives-matter-movement/

SYSTEM OF A DOWNの場合はルーツであるアルツァフ共和国に対するアゼルバイジャンとトルコの非人道的行為についての全世界の関心喚起を目的に15年ぶりの新曲をBandcampで公開(2020.12.22時点で該当ページは消失)しており、そういった行動に出るバンドの一員がこうした主張をしてしまう(バンドとしての活動はほとんど行われていないため意見の一致しない部分も多いだろうにしろ)ところに問題の難しさや根深さが見てとれてしまうというのはある。

https://jasonrodman.tokyo/system-of-a-down-speaking-out-for-artsakh/

 

註19

拙ブログ:「ブラックメタル」のルーツを探る(欧州シーンを通したブルース感覚の変容)

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/03/27/050345

 

註21

REVOLVER「25 BEST ALBUMS OF 2020」

https://www.revolvermag.com/music/25-best-albums-2020

 

 

 

 

Duma:Duma(2020.8.7)

 

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 ケニア・ナイロビを拠点とする電子音楽デュオの1stフルアルバム。東アフリカなどの複雑なビートをグラインドコア近傍のパワーエレクトロニクスと融合したような音楽性で、複雑にねじれた構造を余計なことを考えさせずに楽しませる機能的快感とそれに並走して滲み出る独特な人間的味わい深さが素晴らしい。メタルというには変則的な音楽性ではあるけれどもこの領域から出てきたものとしては間違いなく今年屈指の傑作といえる。

 

 本作は確かに傑出した作品だが、メタル内外の多くのメディアの年間ベストに選ばれるなど大きな注目を浴びることになったのはBandcampの猛プッシュによるところが大きいように思われる。Album of the Day(註22)こそ逃したものの発売直後に貴重なインタビュー記事(註23)を掲載、8月のメタル関係ベストアルバム(註24)に挙げた上に夏季総合ベスト(註25)にも掲載、年末のベスト記事企画では電子音楽註26)と総合(註27)で選出するに至った。Bandcampはもともとインディペンデントな活動をするミュージシャンの発表のプラットフォーム(ダウンロード販売とフィジカル通販の両方に対応)として便利なだけでなく優れたスタッフ達が日々連投する記事群(個別作品のレビューだけでなくジャンルや地域に関する論考も多数)も異様に充実しており、未だ見ぬ素晴らしい作品を追い求める音楽ファンたちの理想的なディグの場となってきたのだが、今年のコロナ状況を受けたBandcamp Fridays(事前予告された金曜日には手数料がゼロになり作品の売上金がアーティストに全額支払われる)の話題性などもあって注目度がさらに上昇。Bandcampでしか発表されていない作品が各所メディアの年間ベストに入る機会も増えており、本作はその好例といえるのではないかと思われる。

 

 Dumaはメンバーがケニアのメタルシーン出身であるためメタル方面に絡めて語られることが多いが、文脈としては隣国ウガンダを代表する先鋭的なDIYレーベルNyege Nyege Tapes(註28)の方が重要で、ここ主催の音楽フェスNyege Nyege Festivalに参加した現地のライターが予備知識なしに観て惚れ込み紹介記事を書いた(註29)のが発火点となり、ジャンルを越えて注目される機会を次々に獲得していった。同レーベル発の傑作Duke『Uingizaji Hewa』あたりに通じる異常な運動神経の高さを示しつつ確かにメタル由来と思われる微妙な体の固さを伴うグルーヴ表現や音響は“よくわからないが凄いことはハッキリ伝わってくる”理屈抜きの魅力に満ちており、何度聴いても飽きない不思議な奥行きを備えてもいる。メインストリーム(メタルでいえば米英や北欧)から離れているからこそルールに縛られにくくなり奇妙かつ自在な配合を編み出しやすくなるという傾向を最高の形で示す作品で、それだからこそ得られるジャンル越境的な訴求力が様々なメディアを通し連鎖的な波及効果を生んでいった例としても興味深い。様々な意味で今年を代表する作品の一つである。

 

 

詳しくはこちら:

 https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1292496075245248512?s=21

 

 

註22

Bandcamp:Album of the Day(公式リンク集)

その日にリリースされた全ての作品から最推しの一枚を選びレビューする名物企画。個人の年間ベスト記事を見て「全然知らなかったけど素晴らしいな」と思うアルバムがあったらその情報源は(間接的にでも元を辿れば)ここであることが多いはず。

https://daily.bandcamp.com/album-of-the-day

 

註23

Bandcamp:Features – Duma Shines A Light on Underground Kenyan Metal

(2020.8.13掲載)

https://daily.bandcamp.com/features/duma-duma-interview

 

註24

Bandcamp:The Best Metal on Bandcamp August 2020

(2020.8.31掲載)

https://daily.bandcamp.com/best-metal/the-best-metal-on-bandcamp-august-2020

 

註25

Bandcamp:The Best Albums of Summer 2020

(2020.9.25掲載)

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-albums-of-summer-2020

 

註26

Bandcamp:The Best Electronic Albums of 2020

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-electronic-albums-of-2020

 

註27

Bandcamp:Best of 2020: The Year`s Essential Releases

オールジャンルベストだけでも5つあるうちのメイン記事に掲載

(2020.12.18掲載)

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-the-years-essential-releases

 

註28

Resident Advisor「Nyege Nyege:東アフリカの新しい波」

https://jp.residentadvisor.net/features/3127

 

註29

PEOPLE`S STORIES PROJECT「ENTER THE DARKNESS: DUMA`S REFLECTIONS ON A METAL SUB-CULTURE」

https://www.psp-culture.com/music/enter-the-darkness-dumas-reflections-on-a-metal-sub-culture

 

註30

Tone Glow「025: Duma」

(2020.8.4掲載)

https://toneglow.substack.com/p/025-duma

 

 

 

 

 

 

ニューヨーク周辺の越境シーン/人脈

 

 

John Zorn:Baphomet(2020.6.26)

 

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 今年の6月22日、Rolling Stone誌のwebメディアにとんでもない記事が掲載された(註31)。ジョン・ゾーンの最新作『Baphomet』に関連して30年以上にわたる越境キャリアを4章構成(Spy vs SpyからNaked City、Painkiller、MR. BUNGLE人脈、近年の新世代)15000語(英語のペーパーバックでいえば30ページに達する)で総括する超長文記事で、デイヴ・ロンバード(ex. SLAYER)やNAPALM DEATH周辺、山塚アイ、NYジャズ人脈の証言も交えて膨大な情報量を整理する手際が驚異的に素晴らしい。著者は同誌の音楽関連シニアエディターを務めるHank Shteamerで、この人は2011年にはアンダーグラウンドメタルの有力メディアInvisible Orangesでジャズ-メタル越境重要人物たちのインタビューシリーズを連載しており(註32)、そうした蓄積および研究がこの記事で一つの結実をみたのだともいえる。内容に関しては興味深い話が多すぎるので記事そのものを読んでいただくとして、フリージャズ方面のサックスプレイヤーとして知られるゾーンがニューヨークのバワリーにあった伝説的ライヴハウスCBGBハードコアパンクに衝撃を受け、黎明期グラインドコアデスメタル、日本のアンダーグラウンドシーン(長期滞在していた時期あり:註33)などにのめり込みつつあらゆるジャンルを越境してきた背景には、変化を求め続ける性向、膨大な文脈を掘り続ける欲求、それらを瞬間的に結びつける即興演奏、以上を統括し接続するものとしての“速度”への志向があるということが記事全体の軸として示され、そうして得られた持ち分を的確に伝え後進を育てるゾーンの教師としての存在感もあわせ、かれらが開拓してきたジャズ外の領域(これまで具体的に示される機会がほとんどなかった)に光があてられている。今まで語られてきたジャズとメタルの接点というと、アラン・ホールズワースからMESHUGGAHを経由して現代ジャズ(ティグラン・ハマシアンやキャメロン・グレイヴスなど)に至るラインがここ数年で両サイドから知られるようになってきたくらいで、基本的にはあまり関係のあるものとして認識されていないようなのだが、ゾーンに薫陶を受けたミュージシャンの中にはニューヨークの音楽シーンでジャズとメタル両方のバンドで活動している人も複数存在し、そこが結節点となって新しい音楽や人脈が形成されていく流れが確かにある。今年のメタル関係ベストアルバム記事群で注目を集めたIMPERIAL TRIUMPHANTなどはその筆頭だし、注目し辿っていく必要性は今後さらに高まっていくのではないかと思われる。

 

 本作『Baphomet』は、CDの帯(ゾーンのレーベルTZADIKは日本盤を模した帯を付け続けている)に「『Baphomet』は傑作だ!(中略)ハードコアパンクプログレッシヴメタル、ジャズを接続するネクサス(結びつき・集団などの意)を30年かけて探究してきたゾーンにとって、『Baphomet』は勇気ある新たな一歩であり、壮大な集大成でもある。必須!」(註34)とある通りの音楽性で、KING CRIMSON的な不協和音遣いをするハードコアパンク系列のリフ(80年代の音楽的に捻りのあるハードコアはだいたいそうだしTHE DILLINGER ESCAPE PLANのようないわゆるカオティックハードコアもその流れにある)を同じくKCの影響下にあるOPETHジャズロックスタイルに通じる静謐なパートと並置、双方に通じる構造や在り方を備えるストラヴィンスキー的な和声感覚および変則拍子をもって統合し、その上でKCの歴史的名盤1stに通じるサウンドプロダクションで仕上げた感じの1曲39分構成になっている。ゾーンは作編曲と指揮のみ、演奏はジョン・メデスキ(クラヴィネットとオルガン)、ケニー・グロースキ(Kenny Grohowski、ドラムス)、マット・ホレンバーグ(Matt Hollenberg、ギター)からなるバンドSimulacrumが担当。非常に完成度の高い作品で、構造の面でも演奏ニュアンスの面でも繰り返し聴くほどに味が増すし、そうすることで感覚的につかめてくる“全体としての居心地”そのものが特異な個性になっている傑作なのだと思う。TZADIKはごく一部のDL販売サイトを除きデジタルリリースを全く行っていない(もちろん各種サブスクリプションサービスには配信されていない)ので手軽にアクセスできないのが残念だが、このシーンに興味があればぜひ聴いてみてほしい作品である。

 

 

註31

Rolling Stone「‘He Made the World Bigger’: Inside John Zorn`s Jazz-Metal Multiverse」

https://www.rollingstone.com/music/music-features/john-zorn-jazz-metal-interview-naked-city-1015329

 

註32

Invisible Oranges「Heavy Metal Be-Bop」シリーズ

全10回の記事へのリンクは下記スレッド参照

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1310138067743727617?s=21

 

註33

Jazz Tokyo No.272「#161 ニューヨークからせんがわまで~巻上公一ヒカシュー)インタビュー」

https://jazztokyo.org/interviews/post-19170

 

註34

TZADIK公式『Baphomet』紹介ページ

http://www.tzadik.com/index.php?catalog=8372

 

 

 

 

Titan To Tachyons:Cactides(2020.8.14)

 

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 ORBWEAVERやGIGANといったプログレッシヴなデスメタルバンドに参加してきたギタリスト(後者ではライヴのみのセッションプレイヤー)サリー・ゲイツがケニー・グロースキ(ドラムス)、マット・ホレンバーグ(Bass Ⅵという表記なので6弦ベースまたはギターで低域を担当ということだろう)と結成したインストバンド。前項でふれたようにケニーとマットはジョン・ゾーン作品を度々演奏してきたSimulacrumのメンバーであり、音楽面で直接の影響関係があるかどうかはともかく人脈的には確実に接続している。本作の音楽性を一言でまとめるなら“GORGUTSやEPHEL DUATHのような現代音楽寄り和声感覚をもつエクストリームメタルの語彙を用いてKING CRIMSONの『Starless And Bible Black』と『The ConstruKction of Light』の間にあるような渋く複雑なアンサンブルを繰り広げる”という感じだろうか。楽曲構成は作曲と即興のミックスで、サリーが全曲をギターで作曲した上で他の2人が各自のパートを追加、そこからさらにスタジオでのジャムセッションでアイデアを拡張していったとのこと(註35)。結果として、細部まで緻密に書き込まれた構造的強度と勢いある閃きが自然に両立され、異形ながら艶やかな構成美を生み出している。ドラムスのフレーズ(特にバスドラ)や各楽器のサウンドプロダクションは明らかにメタル寄りだが全体的な聴感はむしろ現代ジャズに近く、メタルを全く聴かないそちら方面のリスナーにも訴求する内容になっているのではないだろうか。マットが所属するCLERIC(初期MESHUGGAHをカオティックハードコア化した上でフリージャズと混ぜたような凄すぎるバンド)やケニーが所属するIMPERIAL TRIUMPHANT(後述)に通じるエクストリームメタルの技法が随所で駆使されているのに音作りを柔かめにすればラウンジジャズとしても通用するような落ち着きぶりがなんとも不気味で、それが得難い個性にもつながっているように思われる。

 

 本作は『ツイン・ピークス』に強くインスパイアされているという(註36)。これは最終曲「Everybody`s Dead, Dave」に客演しているトレヴァー・ダンが全面参加したダン・ウェイス(Dan Weiss:CONFESSORやGORGUTS、MESHUGGAHなどから大きな影響を受けたジャズドラマー)の連作『Starebaby』『Natural Selection』も同様だし、そのトレヴァー・ダンとMR.BUNGLEの同僚マイク・パットンが結成したFANTôMASは劇伴音楽カバー集『The Director`s Cut』で「Twin Peaks: Fire Walk With Me」を扱っており、このドラマ/映画シリーズが暗い音楽表現にもたらした影響の大きさや複雑な和声感覚を活用する場としての魅力が窺い知れる。先述の不気味な落ち着きぶりなどはそういったことと併せて吟味することで初めて理解が深まっていくものでもあるのだろう。何度繰り返し聴いても掴みきれないもどかしさもあるが永遠に飽きようのない奥深さもある。そういった感覚がアルバムの居心地として饒舌に表現されている稀有の作品。傑作だと思う。

 

 

註35

THE FAMILY REVIEWS:Meet Sally of Titan to Tachyons

(2020.10.4掲載)

下記URLは正しいはずだがこれを踏んでも該当ページに行けない(We Couldn`t find…となる)のでタイトルで検索することをお勧めする

https://www.google.co.jp/amp/s/www.thefamilyreviews.com/interviews/titan-to-tachyons%3fformat=amp

 

註36

THE FAMILY REVIEWS:Titan to Tachyons

上と同じくタイトル検索する必要あり

https://www.thefamilyreviews.com/interviews/titan-to-tachyons?format=amp#click=https://t.co/B3lZX4Eep0

 

 

 

 

Mr. Bungle:The Raging Wrath Of The Easter Bunny Demo(2020.10.30)

 

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 MR. BUNGLEというと一般的には「FAITH NO MOREのマイク・パットンの別バンド」程度にしか認識されていないと思われるが、先掲のジョン・ゾーン総括記事(註31)でも詳説されているようにメンバーはいずれもこのシーンで非常に重要な役割を果たしてきた。Metal Archives(註37)に各人の経歴が概ね網羅されているのでそれを参照していただくとわかりやすいのだが、特異かつ強力なパフォーマンスで名ボーカリストとして知られるマイクだけでなくトレヴァー・ダン(ベース)やトレイ・スプルーアンス(ギター)も数々の重要バンド/プロジェクトに参加してきており、トレヴァーはマイクの音楽的パートナー(多くのバンドで正メンバーを務めている)としてだけでなくジャズ方面の名プレイヤーとして活躍(ジョン・ゾーンやネルス・クラインとは共演歴が特に長い)、トレイも自身のリーダーバンドSECRET CHIEFS 3(註38:作品ごとに様々な編成をとるのでソロプロジェクトというほうが正しいのかもしれない)でジャンル越境的な共演を繰り返し豊かな人脈の結節点になっている。そうした音楽的バックグラウンドや卓越した演奏表現力を十全に活かした作品群はいずれも極めて強力で、90年代に発表した3枚のフルアルバムはポップミュージックとエクストリームメタルの間を過剰なブラックユーモアで反復横跳びするような無節操な音楽性(これもゾーンの影響が大きいようだがしっかり別物になっている)で“アヴァンギャルドなメタルの聖典”的に信奉されている。アメリカのメタル~ジャズ近傍地下シーンを俯瞰するにあたっては必須の資料だし、フランク・ザッパの名盤群にも通じる味わいと強度を備える傑作ばかりなので、興味がある方はぜひ聴いておかれるのがいいと思う。

 

 本作は2004年の解散から15年を経た再結成に伴い発表された4thフルアルバムで、上記の3人にデイヴ・ロンバード(SLAYERの名盤群に参加した最高位のスラッシュメタルドラマーとして知られるが先述のようにジョン・ゾーン人脈であり現在はアヴァンギャルド方面の活動が主)とスコット・イアン(ANTHRAXのリーダーでありスラッシュメタル史上屈指の名リズムギタリスト)が参加した5人編成で1986年発表の1stデモを再構築するかたちで制作された。活動の経緯は先頃公開されたトレヴァーの素晴らしい日本語インタビュー(註39)に詳しいのでそちらを読んでいただきたいが、「『The Raging Wrath~』を再レコーディングしたポイントは、35年前にやったことでも、今でも俺たちの心の隅に留まり続けている何かを尊重し、祝福するためだということなんだ」とあるように、複雑に拡散していく前の素材を現在のミュージシャンシップをもって万全な状態に仕上げるのが主な動機だった模様。そのため音楽的には以降の作品群に比べ格段にシンプルなのだが、もともとの楽曲がクロスオーバースラッシュ(ハードコアパンクスラッシュメタルが混ざり両方の特性を併せ持つスタイル)だったわけで、このバンドならではのジャンル越境性はここにも確かに根付いている。そうした按配の作編曲をこのなんでもできてしまうメンバーがストレートにこなす(デメトリオ・ストラトス巻上公一にも通じる特殊発声でソロ声アルバムをも発表してきたマイクが変化球を投げず“吐き捨て声”スタイルに徹するなど)からこそ可能になる演奏はどこをとっても極上で、DBCやLUDICHRISTのような名バンドにも勝るとも劣らない最高級の内容になっている。今年のスラッシュメタル関連音楽では間違いなくNo.1といえる傑作。歴史的にも非常に貴重で重要な一枚だと思う。

 

 

註37

Metal Archives - MR. BUNGLE

https://www.metal-archives.com/bands/Mr._Bungle/1381

 

註38

SECRET CHIEFS 3のWikipediaに参加ミュージシャンの一覧あり

https://en.wikipedia.org/wiki/Secret_Chiefs_3

 

註39

AVE - CORNER PRINTING「Interview - MR. BUNGLE – Trevor Dunn」

https://ave-cornerprinting.com/mr-bungle-10302020/

 

 

 

 

Krallice:Mass Cathexis(2020.8.7)

 

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 KRALLICEは「ポストブラックメタル」と呼ばれるサブジャンル名が定着し始めた頃にALCESTやDEAFHEAVN、LITURGYやFENなどと並んで注目されたバンドで、プリミティヴブラックメタルサウンドアンビエントに寄せ薄靄のように幽玄かつリリカルな音響を描く「アトモスフィリックブラックメタル」を超絶技巧(ブラックメタルには一般的には似つかわしくないレベルでの)をもって異化する初期作品のイメージが今でも強いようだが、シーンにおける功績や影響力はそれとはまた異なるところにあるように思われる。2008年からは同じラインナップを保つ所属メンバー達はいずれも10以上のバンドを渡り歩いてきた(または維持している)卓越したプレイヤーで(註40)、特に創設メンバーであるコリン・マーストンの仕事ぶりは本当に凄まじい。BEHOLD... THE ARCTOPUSやDYSRHYTHMIAといったプログレフュージョン系メタルを代表する超絶技巧バンドに所属するだけでなく、現代音楽的和声を駆使するプログレッシヴ/アヴァンギャルドデスメタルの神として君臨する名バンドGORGUTS(註41)に加入し歴史的名盤『Colored Sands』以降の活動を支えるほか、昨今のテクニカル系デスメタルのうち名のあるものにはエンジニアとしてだいたい関与している膨大なスタジオワークなど(註42)、この人がいなければこのシーンはまわらないと言っていいくらい重要な役割を担い続けている。特にIMPERIAL TRIUMPHANTとPYRRHONにはほぼ全ての作品で関与しており、特異なヴィジョンの具現化を助ける名裏方として大きな信頼を得ていることが窺える。そうした仕事を通して得たシーンの動向把握や音楽知識も測り知れないくらい多いだろうし、それをアイデアの源として発展変容し続けるKRALLICEの音楽が興味深いものになるのは当然なのだといえる。

 

 フルアルバムとしては3年ぶり8枚目となった本作は8月7日のBandcamp Friday(Bandcamp公式が仲介手数料を放棄し売上を全て渡す日ということもあって新作の公開をここに合わせてくるミュージシャンも多い)に先行リリース。それから今(2020.12.24)に至るまでSpotifyApple Musicのようなサブスクリプションサービスで配信されていないこともあっていまいち注目されていないようだが、本当に素晴らしい内容になっている。TIMEGHOULやNOCTURNUSが土台を築き上げBLOOD INCANTATIONが主な構成要素の一つとして援用したことで注目を浴びつつあるコズミックデスメタル、EMPERORやLIMBONIC ARTに連なる宇宙的なシンフォニックブラックメタル、VED BUENS ENDE...や一時期以降のDODHEIMSGARDに連なる現代音楽~フリージャズ寄りのアヴァンギャルドブラックメタル、GORGUTSに連なるテクニカルなデスメタル、そしてそれら全てに大きな影響を与えたVOIVODなど、様々なタイプ/文脈の複雑かつ滋味深い和声感覚が見事に解きほぐされた上で溶け合わされ、見る角度によって異なる配合で知覚されるプリズムのようなかたちで並列融合しつつ、それらのいずれの亜流にもならず薫り高い個性を確立している(4曲目「Aspherance」が特にわかりやすいが他の曲も各々異なるバランスで上記すべての要素を掛け合わせている)。しかもその上で過剰に入り組んだ印象がなく非常に聴きやすいのが好ましい。今年はCRYPTIC SHIFTやULTHAR、VOIDCEREMONYなどコズミックデスメタル系統の優れたアルバムが多数輩出されたが、KRALLICEの本作はそれらを数段上回る極上の出来なのではないかと思う。このバンドの並外れた文脈接合能力が人脈的にも音楽的にもよく示された傑作である。

 

 

註40

Metal Archives – KRALLICE

https://www.metal-archives.com/bands/Krallice/3540258039

 

註41

GORGUTSの絶対的リーダーであるLuc Lemayの音楽遍歴については拙ブログで詳説

https://progressiveundergroundmetal.hatenablog.com/entry/2017/05/04/131420

 

註42

Metal Archives – Colin Marston

https://www.metal-archives.com/artists/Colin_Marston/8454

 

 

 

 

Imperial Triumphant:Alphaville(2020.7.31)

 

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 IMPERIAL TRIUMPHANTはニューヨーク(以下NY)を拠点に活動するテクニカルなブラックメタル出身バンドで、初期は19世紀クラシックの和声感覚と複雑な展開を混ぜ合わせたような比較的オーソドックスな音楽をやっていた。そこから大きな路線変更がなされたのが2015年発表の2ndフル『Abyssal Gods』で、創設者/リーダーであるザッカリー・イルヤ・エズリン(Zachary Ilya Ezrin:Cal Artsで作曲の学位を得たクラシック音楽寄りプレイヤー)、2012年に加入したケニー・グロースキ(Kenny Grohowski:New Schoolでジャズ・パフォーマンスの学位を得たドラマー、前項までで何度かふれたようにジョン・ゾーン人脈)、そして2015年に加入したスティーヴ・ブランコ(Steve Blanco:Suny Purchaseでジャズ・パフォーマンスの学位を得たベーシスト、ジャズ方面ではむしろピアニストとして有名)というトリオ編成になったことにより楽曲構造が大幅に複雑化。それをうけて制作された2018年の3rdフル『Vile Luxury』はGORGUTS系統の現代音楽寄りデスメタルを40~60年代ジャズ(プレモダンからコーダル/モーダルまで)の和声感覚とブラックメタル+ジャズ的な演奏表現で悪魔改造したような音楽性で、入り組んだ展開をすっきり聴かせる驚異的な構成力もあって様々なメタル系メディアの年間ベストに選出されることになった。メンバーが特に影響を受けたというジャズのアルバムは、マイルス・デイビス『Nefertiti』、ジョン・コルトレーン『Interstellar Space』、セロニアス・モンク『Monk`s Dream』、デューク・エリントン『Money Jungle』、ベン・モンダー『Hydra』で(註43)、確かにこの5枚の和声感覚や静謐かつハードコアなアンサンブル表現、そして複雑な変拍子遣い(例えば「Lower World」はそのまま『Hydra』に通じる)を足し合わせれば『Vile Luxury』になると言ってしまえる感もある。壮大ながら柔らかい肌触りもあるシンフォニックサウンド金管プレイヤー5名やYoshiko Ohara(BLOOY PANDA)のような現地の優れたミュージシャンを多数招いたからこそ実現できたものでもあり、KRALLICEのコリン・マーストンの素晴らしい音作りなどもあわせ、NYという地域の特性が様々な面において反映されたものだと言える。事実、バンド自身にとってもNYは音楽表現における主要なテーマであるようで、今年発表された最新作である4thフル『Alphaville』に関するインタビューで「前作『Vile Luxury』はNYへのオマージュだったが『Alphaville』はそのテーマの延長線上にあるのか」と問われたイリヤは「ある意味ではね。我々はNYのバンドだし、我々の曲の多くはNYの街をテーマにしている。自分が知っていることを書くのが一番だと思うし、ここは自分の人生の中で一番の故郷なんだ」と答えている(註44)し、別のインタビューでも、「IMPERIAL TRIUMPHANTの音楽はNYの活気と威厳からどれほどのインスピレーションを得ているのか」と訊かれて「活気と威厳、そしてその下にある不潔さと腐敗からインスピレーションを得ている。観光客でも認識できる刺激的な二面性があり、我々はそれを自分達の音楽に可能な限り反映させようと試みている」と答えている(註45)。このシーンにおける現代メタル-ジャズ間越境の象徴ともいえる立ち位置にいるバンドなのである。

 

 本作『Alphaville』のアルバムタイトルはジャン・リュック・ゴダールの1965年公開映画『アルファヴィル』からとられたもので、「第1の都市」という意味のタイトルを良い意味でも悪い意味でもニューヨークに重ね合わせ主題にしているのだという(註46。「ゴダールは大きなインスピレーションの源」「我々はフィルム・ノワール(1940~50年代に流行した犯罪映画のジャンルで、アメリカ社会の殺伐とした都市風景や虚無的な雰囲気を描写する)のメタルバンドなんだ」「ニューヨークは我々の主なインスピレーション源だが、こうしたアイデアはどんな大都市にも適用できる。そういった場所には闇があり、フィルム・ノワールは闇と光のコントラストを扱っている」とのことで(註47)、例えば原爆実験や第二次世界大戦後の世界情勢をテーマとした「Atomic Age」の冒頭にバーバーショップカルテット(男声4声合唱:20世紀冒頭に流行してから一度は廃れたのち1940年代に復活し現在につながるスタイルを確立)が出てくるのは、こうしたテーマを発想の源として音楽表現を探究する姿勢の表れなのだと言える。作曲は2018年から始まり、1曲ごとに異なるプロセスを経て完成。基本的にどの曲も異なるストーリーを描いており、1人のメンバーが完全に構築した楽譜をもとに演奏されたものもあれば、リハーサルスタジオに持ち込んだ1つのリズムを元にして数か月間お喋りしながら作ったものもあるという(註45)。イリヤが「曲を書くことよりも曲を精査することに多くの時間を費やしている。初めて聴いた人にも理解できるような曲になるまで、構成を捻ったり調整したりしている」(註48)と答えるように、例えば61拍子(4+4+3+4、4+4+3+3、4+4+3+4、4+4+3+3+3)メインで展開する「Atomic Age」などでも意外なほど小難しい印象が生まれない。こうした点において、イリヤの発言「デスメタルも好きなんだけど、自分にとってデスメタルは常にブルータルさ(残忍さ)と技術的熟練が必要で、それに対してブラックメタルは自分が良いか悪いかなんて気にせず、自分達が目指す雰囲気を表現するだけなのがいい」(註45)とスティーヴの発言「即興は音楽を作る上でとても自然なことで、構造を生み出し(作曲を行い)その周囲で作曲(ここでは“即興”=その場その場での瞬間作曲を指すと思われる)をする必要がある。巧妙で思慮深いパートと即興のバランスは好みの問題」(註46)には相通じるものがあり、ジャズとある種のブラックメタルとの在り方レベルでの相性の良さが示されているのではないだろうか(これはVED BUENS ENDE...やVIRUSといった偉大なる先人の作品についても言える)。サンタクルーズでのライヴを観て感銘を受けプロデュースを申し出た(註44・45)トレイ・スプルーアンス(MR. BUNGLE)はSECRET CHIEFS 3でケニーと共演経験があり互いをよく知っていたこともあって素晴らしい仕事をしているし、演奏経験がなかったという太鼓で卓越したパフォーマンスをしているトーマス・ハーケ(MESHUGGAH)をはじめとしたゲスト陣や、ボーナストラックとして収録されているVOIVODおよびTHE RESIDENTSのカバーなど、様々な文脈がこの1枚のアルバムの中で消化不良を起こさずに並列示唆されている。混沌とした豊かさを損なわずに聴きやすくまとめあげた作品で、個人的には“新しさ”という面ではKRALLICEやTITAN TO TACHYONSに比べ微妙というかレトロフューチャー志向の良さと悪さが両方出ている音楽性だと思うのだが、未知ではないかもしれないが未踏の境地を切り拓く傑作だということは言える。「過去現在を問わず誰かをゲスト参加させることができるとしたら誰を呼ぶか」と問われてペンデレツキとスコット・ウォーカーの名を挙げ、「もし誰とでもツアーができて世界中のどこにでも行けるとしたら誰とステージを共有したいか」という質問に対しては1974年のLED ZEPPELINとともに海王星・火星・UKを回りたいと答える博覧強記のバンド(註48)。これからも興味深い達成をし続けてくれるに違いない。

 

なお、これまでのキャリアの中で最も印象に残っている瞬間は何かと問われたイリヤは、ヨーロッパにおけるデビュー公演の一つとなったRoadburn 2019のステージを挙げている(註45)。アンダーグラウンドシーンは地下水脈のように繋がり世界規模で良い影響を及ぼしあっているのだということがこうしたところでもよく窺える。

 

 

註43

DECIBEL「Imperial Triumphant List Their Top 5 Jazz Albums」

(2018.10.8掲載)

https://www.decibelmagazine.com/2018/10/08/imperial-triumphant-black-metal-jazz

 

註44

REVOLVER「HOW IMPERIAL TRIUMPHANT GOT MR. BUNGLE AND MESHUGGAH MEMBERS FOR WILD NEW ALBUM」

(2020.7.1掲載)

https://www.revolvermag.com/music/how-imperial-triumphant-got-mr-bungle-and-meshuggah-members-wild-new-album

 

註45

ech(((10)))es and dust「INTERVIEW: ZACHARY ILYA EZRIN FROM IMPERIAL TRIUMPHANT」

(2020.8掲載)

https://echoesanddust.com/2020/08/zachary-ilya-ezrin-from-imperial-triumphant/

 

註46

SCENE POINT BLANK「Interviews: Imperial Triumphant」

(2020.8.6掲載)

https://www.scenepointblank.com/features/interviews/imperial-triumphant/

 

註47

NEW NOISE「Interview: Steven Blanco of Imperial Triumphant」

(2020.7.31掲載)

https://newnoisemagazine.com/interview-steven-blanco-of-imperial-triumphant/

 

註48

THE INDEPENDENT VOICE「Interview with Imperial Triumphant」

(2020.8.30掲載)

https://www.theindependentvoice.org/2020/08/30/interview-with-imperial-triumphant/

 

 

 

 

Liturgy:Origin Of The Alimonies(2020.11.20)

 

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  KRALLICEの項冒頭でもふれたように、LITURGYは「ポストブラックメタル」と呼ばれるサブジャンル名が定着し始めた頃に特にDEAFHEAVNなどと並び注目を浴びたバンドである。同系統のバンドと比べ特異だったのは演奏表現における異常なテンションの高さで、教会音楽に通じる神聖風味なシンフォニックサウンドを粗い音質と直情的なアンサンブル(これは名ドラマーGreg Foxによるところが大きい)と掛け合わせて具現化する様子にはSOLEFALDあたりにも通じる“キレた天才”感があり、明るく穏やかな美旋律+絶叫というポストブラックメタル~ブラックゲイズ(ブラックメタルシューゲイザーという音響面では近いものがありつつ文脈的には全く離れたところにあった2ジャンルを融合したスタイル)を好まない原理主義的なブラックメタルファンにも初期は比較的好意的に聴かれていたように思う。そこにケチがついたのがPitchforkでの高評価(註49:2011年発表の2ndフル『Aesthethica』は8.3点を獲得)による“ハイプ”な印象の強化と2015年発表の3rdフル『The Ark Work』の未洗練な仕上がりで、特に後者は初期の発狂的な疾走感を削いで入り組んだ曲構成を開拓したはいいものの演奏ニュアンス面での適性や音作りがそれにそぐうかたちになっておらず、個性的で興味深いけれども直感的な訴求力には欠けるものとしてあらゆる方面から微妙な問題作扱いされることになった。その後作品を発表しない期間が続いたのもあってしばらくは“過去のバンド”的な印象が定着してしまっていたように思う。

 

 こうした状態が覆されたのが2019年に発表された4thフル『H.A.Q.Q.』である。初期の激烈な演奏表現(新ドラマーLeo Didkovskyはこの時点ではGreg Foxほどのキレを示すことができていないものの非常にうまいし十分良い)と前作で開拓した複雑な構成を両立するために選ばれたのはMESHUGGAH的なリズム構成で(4小節や8小節の長尺の中で複雑なアクセント移動をする反復フレーズ、一見変拍子ポリリズムにみえるが実際は4/4に収まる)、アンサンブルの一体感が増したこともあわせて素晴らしい完成度が生まれている。バンドのリーダーであるHunter Hunt-Hendrixは2015年のインタビュー(註50)でMESHUGGAHのことを「ミニマル音楽とメタルを繋ぐ存在」と評しており、同記事には「自分の作曲技法はシュニトケに通じるが、ロックやラップ、クラシック音楽など、インターネットでみられるあらゆるものが混入している」「自分の音楽はブラックメタルよりグレン・ブランカやSWANS、SONIC YOUTHのようなNYシーンに近い」という発言もある。良く言えば視野が広い(悪く言えばとっちらかった)こうした志向が文句なしの達成にはつながらなかったのが3rdフル、ブラックメタル的な機能的快感も併せ持つ形で成功したのが4thフルなのだろう。これを機にLITURGYに再びメタル方面からの注目が集まるようになったのだった。

 

 

 以上の流れを受けて今年発表された5thフル『Origin Of The Alimonies』は上記のような音楽性とは全く異なるものになっている。Bandcamp掲載のプレスリリース(註51)によれば、「このアルバムは、ブラックメタルミニマリズム、実験的なクラブミュージック、そして19世紀のロマン主義からなる特徴的な合成物を新たな過激さへと押し上げた、LITURGYの最も綿密でラディカルな声明である。微分音、フリーインプロヴィゼーション、ポリメトリック(声部によって拍子が異なるリズム)構造、ワーグナーのムジークドラマ(歌唱中心ではなく歌唱と器楽を一体化し高度の劇構成をねらう形式)とライトモチーフ(オペラや交響曲などの楽曲中で特定の人物や状況と結びつけられ何度も用いられる短いフレーズ)のアイデアを探究し、Hunt-Hendrixは独自の“バースト・ビート”というテクニックを用いて、メタル、実験的なクラブミュージック、クラシック音楽のリズムの特徴を音声パターンと物語の流れのために結び付けている」という。カバラドイツ観念論、フランスのポスト構造主義の影響(衒学を超えた血肉になっているかは不明だが)を受けたオペラだという本作にはNYのアヴァンギャルド音楽シーンを代表する8人の達人が参加しており、ブラックメタルシーンで培われてきたスタイルの延長線上にあるものというよりも、ブラックメタルなどの語法を取り込んだ激烈なチェンバーロックとみるほうが吞み込みやすいかもしれない。アルバムの構成は序曲・第1部・第2部・間奏曲・第3部となっているが、メインとなっているのは間奏扱いの「Apparition of the Eternal Church」で、オリヴィエ・メシアン「L`Apparition de I`Église éternelle(永遠の教会の出現)」をブラックメタル化したこの14分余の大曲では、それこそGreg FoxやDaniel Tracy(DEAFHEAVNの超絶ドラマー)に通じるドラムスの荒れ狂うヨレ感が美しい安定感と完璧に両立され、正確なBPM進行を保ちつつ絶妙な減速→瞬間的にトップスピードに至る加速感を生むブラストビート(この一連の展開こそがHunt-Hendrixのいう“バースト・ビート”なのかもしれない)が異常なカタルシスを生み出している。本作が凄いのはそうしたブラックメタル的アンサンブルに客演の生楽器陣が完璧に寄り添っていることで、風塵のようなノイズ感と見通しの良さを両立する驚異的な音作り(録音とミックスはTHE BODY作品の多くで録音およびドラムプログラミングを担当するSeth Manchester)もあわせ、オーケストラ編成を含むロックサウンドとしては歴史的にも最高到達点と言っていいのではないかとすら思える。そうした生楽器にさりげなく加えられる電子音響的処理(主にグリッチ)はブラックメタルトレモロギターと同様の痙攣感覚を生み出していて双方の相性は非常に良いし、上記メシアンの楽曲をむしろKING CRIMSONバルトーク的に響かせるアレンジも興味深い。アルバム全体の構成はやはり歪で何度聴き通しても微妙に気になるが、そういう違和感込みで比類なき境地に達した傑作なのだと思う。

 

 Hunter Hunt-Hendrixは今年5月にトランスジェンダー女性であることを公表、「ある種の妥協からついに自由になった」というコメントを残している。その数か月後にはホルモン療法を開始し「自分の体があるべき姿に進化していくのを見ている」「恥ずかしさが減る一方で共感性は増し、自殺願望がなくなった」という彼女の感覚が遊び心を伴う激烈なオペラ形式のもとで綴られたのが本作なのであり、アルバムジャケットはそれを反映している。前作からの変化飛躍が凄まじいだけでなくNYの越境的音楽シーンにおける達成という点においても稀有の成果を示したアルバムだし、これをうけて生み出されるだろう以降の作品がとても楽しみである。

 

 

註49

Pitchfork - Liturgy

https://pitchfork.com/artists/27940-liturgy

 

註50

BOMB MAGAZINE:Hunter Hunt-Hendrix

(2015.4.7掲載)

https://bombmagazine.org/articles/hunter-hunt-hendrix/

 

註51

LITURGYのBandcampページにプレスリリース(作品のバックグラウンド解説)と参加ミュージシャンのクレジットあり

https://liturgy.bandcamp.com/album/origin-of-the-alimonies-2

 

 

 

 

Napalm Death:Throes Of Joy In The Jaws Of Defeatism(2020.9.18)

 

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 NAPALM DEATHというと誰もが連想するのが“史上最短の曲”「You Suffer」で、「You suffer but why」という早口絶叫+激速ブラストビートで2小節(1秒以内)を駆け抜けるこの曲は確かにインパクト満点なのだが、それは果たしてこのバンドの音楽性を代表するものなのだろうか?なんとなく賛成する人も含めれば9割以上がYESと答えそうなものだが、実際は完全にNOである。NAPALM DEATHの初期メンバーには脱退後にサブジャンルの創始者になった者が非常に多く、ビル・スティアー(CARCASS)やリー・ドリアン(ex. CATHEDRAL)、ジャスティン・ブロードリック(GODFLESH、JESUなど多数)、ミック・ハリス(ハードコア領域の伝説的ドラマーとしてだけでなくジョン・ゾーンビル・ラズウェルのような越境的ミュージシャンの人脈でも重要)がかつて所属していたバンドとしてばかり認識され、それらの初期メンバーが在籍していた3rdフルアルバムまではいずれも歴史的名盤と言われる一方でそれ以降の作品が言及されることは極めて少ない状況にある。そういう状況が定評の形成につながり、4th以降はバンドとしては出涸らしみたいなイメージを勝手に抱いたまま一切聴いたことのない人も多いのではないだろうか。しかし実態はまったく逆で、少なくとも作編曲の面ではその4th以降(現在の4人が揃った後)の方が遥かに凄いし面白い。自分も最近まで3rdフルまでしか聴いたことがなく、今年発表の17thフルである本作に感嘆し全アルバムを聴き通すことになった次第である。

 

 4thフル以降のNAPALM DEATHの音楽性を一言でいうならば「あらゆる文脈の音進行を横断融合するプログレッシヴで異常に巧いエクストリームミュージック」という感じだろうか。メタル・ハードコア両方のあらゆるサブジャンルに精通しており、その各々のエッセンスを醸し出す音進行を理解した上で駆使、演奏ニュアンスの描き分けもあわせて自在に統合してしまえる。「You Suffer」のイメージしかない人が連想するのはただ速くうるさいだけの一発芸的雑音だろうが、在り方としてはむしろTHE CUREBUCK-TICKに近く、固有の存在感を保ちながら楽曲単位でもアルバム単位でも全く異なる味を描き分けることができるのである。本作17thフルについてみると、冒頭を飾る「Fuck The Factoid」はDISCORDANCE AXIS的サイバーグラインドから初期MESHUGGAH的コード感&変則アクセント4拍子のキメにつながる(しかもそのどちらの亜流でもなく格的には同等以上の)驚異的な展開で、このバンドをナメていた人はここで一気に認識を叩き直されることになる。以降の楽曲もいずれも凄まじく、2曲目「Backlash Just Because」は5+5+7+5+5+9拍子のイントロから滑らかな疾走を挟みミドルテンポに繋がる展開が興味深いし、4曲目「Contagion」は日本のメロディアスなメタリックハードコア的なパートからENSLAVED~IHSAHN的な明るい暗黒浮遊感溢れるパートにつながる構成が素晴らしい。続く5曲目「Joie de ne Pas Vivre」はAMEBIXをインダストリアルメタル化したような艶やかな疾走部分とVOIVOD的なミドルパートの対比が絶妙だし、7曲目「Zero Gravitas Chamber」はCONVERGE的なメタリックハードコアから比較的オーソドックスなグラインドコアフレーズ(ただしキーチェンジを繰り返すためシンプルなようでいて表情は豊か)につながりMORBID ANGEL的なスローパートに至る流れが実に良い。11曲目「Acting in Gouged Faith」ではハードコアデスメタル的な序盤からMESHUGGAH(3rdフルの頃)的なコード感とともに疾走、高速7拍子のキメを挟んでブルデス的フレーズに至る展開がツギハギ感なく自然に仕上げられているのが見事。というふうに、NAPALM DEATHの音楽は文脈批評やそれをもとにした新境地の開拓・提案を作編曲と演奏面の両面でやってのける(そういった意味ではマニアにしか読み込めない)ハイコンテクストなものであり、その一方でそんなことは何も考えずに楽しめる圧倒的な機能的快感のあるキャッチーなものにもなっているのである。こうしたつくりはアルバム全体でもなされていて、本編最終曲「A Bellyful of Salt and Spleen」の初期SWANS的ジャンクからボーナストラック(これがあるデラックス版or日本盤の方が曲順も含め格段に完成度が高い)であるSONIC YOUTH「White Cross」およびRUDIMENTARY PENI「Blissful Myth」のカバーに至る流れなどはNYのアンダーグラウンドシーンからポストパンク~アナーコパンクに繋がるラインを美しく示唆している。以上のようなことを全てのアルバムにおいて異なる配合でやってのけてきた現編成NAPALM DEATHの活動はある意味ジョン・ゾーン(2012年発表の15thフル『Utilitarian』で客演してもいる)以上に越境的で、初期メンバーの凄まじい人脈と同じくらい適切に把握されるべきなのだと思う。本作はDECIBEL誌の年間ベスト1位を獲得する(註52)など各メディアでの評価も非常に高い。それも頷ける傑作なのでぜひ聴かれることをお勧めする。

 

 

註52

DECIBEL「SPOILER: Here Are Decibel`s Top 40 Albums of 2020」

https://www.decibelmagazine.com/2020/11/12/spoiler-here-are-decibels-top-40-albums-of-2020/#

 

 

 

【2020年・年間ベストアルバム記事リンク集】(随時更新)

【2020年・年間ベストアルバム記事リンク集】(随時更新)

 

 

 

各媒体から発表された2020年「年間ベストアルバム」記事のリンク集です。

(英語メディアの場合は元記事でなく日本語の説明付きで整理してあるものを選ぶようにしました)

備忘録としてここに載せておきます。

 

 

 


なお、海外の《音楽雑誌・サイト》に関しては、集計サイト

Album of The Year

 

https://www.albumoftheyear.org/ratings/6-highest-rated/2020/1

 

 


が概ね網羅してくれています。

英語に抵抗がない方はこちらも読むことをお勧めします。

 

 

 

《音楽雑誌・サイト》

(Web掲載分のリンク)

 

 

Rough Trade(100)

 


http://amass.jp/141216/

 


Uncut(75)11/10発行(1月号掲載)

 

http://amass.jp/141308/

 

 

Decibel(Metal 40)


http://amass.jp/141330/

 

 

BBC Radio 6 Music(10)

 

http://amass.jp/141744/


 

Revolver(Metal 25)

 

http://amass.jp/141780/
 

 

TIME(10)


http://amass.jp/141876/



 The QUIETUS(100)


https://thequietus.com/articles/29302-the-quietus-top-100-albums-of-2020-norman-records


 

Consequence of Sound(50)


http://amass.jp/141970/



Stereogum(50)


http://amass.jp/141985/



Rolling Stone(50)

album

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35028

song

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35036



Rolling Stone Japan

吉田豪

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35169



Brooklyn Vegan(Punk 45)


http://amass.jp/142472/



Kerrang!(Metal 50)


http://amass.jp/142546/



The Glow(Japanese 20)


https://www.theglow.jp/features/the-best-japanese-albums-of-2020



The Guardian

ジャズ(10)

http://amass.jp/142753/

現代音楽(10)

http://amass.jp/142874/


Resident Advisor


ベストアルバム

https://jp.residentadvisor.net/features/3799

ベストミックス

https://jp.residentadvisor.net/features/3798



Bandcamp

Metal

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-metal-albums-of-2020

Punk

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-punk-albums-of-2020

Hip Hop

https://daily.bandcamp.com/best-hip-hop/the-best-hip-hop-albums-of-2020

 Instrumental Hip Hop(Beat Tape)

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-beat-tapes-of-2020

Club Music

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-club-music-of-2020

Dance singles

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-12-dance-singles-of-2020

Soul

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-soul-of-2020

Reissues

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-reissues-of-2020

Electronic

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-electronic-albums-of-2020

Experimental

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-experimental-albums-of-2020

Contemporary Classical

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-contemporary-classical-albums-of-2020

Ambient

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-ambient-releases-of-2020

Video Game Music

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-best-video-game-music-of-2020

Jazz

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-acid-tests-best-albums-of-2020

Acid Tests

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/the-acid-tests-best-albums-of-2020


Best(by Bandcamp Daily Staff)Connecting The Dots

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-connecting-the-dots

Best(by Bandcamp Daily Staff)It Got Heavy

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-it-got-heavy

Best(by Bandcamp Daily Staff)Imagining New Worlds

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-imagining-new-worlds

Best(By Bandcamp Daily Staff)Silver Linings

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-silver-linings

Best(By Bandcamp Daily Staff)The Year's Essential Releases

https://daily.bandcamp.com/best-of-2020/best-of-2020-the-years-essential-releases



Pitchfork

song(100)

http://amass.jp/142195/

album(50)

http://amass.jp/142230/



Billboard(50)


http://amass.jp/142206/



Wire(50)


http://amass.jp/142250/



Bleep(10)


https://t.co/qyZJaGtLWo?amp=1



OMOTE TO URA


http://omotetoura.jp/2020-best-album/



XXS Magazine


https://xxsmag.com/?p=7126



JET SET RECORDS


https://www.jetsetrecords.net/feature/629


only in dreams


http://www.onlyindreams.com/interview/2020/12/250000/



ディスクユニオン


全ジャンルまとめ

https://diskunion.net/latin/ct/news/article/1/93697


君島大空が聴く/選ぶ年間ベストアルバム2020(ラテン/ブラジル)

https://diskunion.net/latin/ct/news/article/0/93398



Jazz The New Chapter(柳樂光隆)


https://note.com/elis_ragina/n/n4ba0e3692298



BLUE NOTE CLUB(原雅明


https://bluenote-club.com/diary/333300?wid=68497



AVYSS MAGAZINE

Vol.1

https://avyss-magazine.com/2020/12/20/21980/

Vol.2

https://avyss-magazine.com/2020/12/21/22425/

Vol.3

https://avyss-magazine.com/2020/12/22/22427/



リアルサウンド


小野島大

https://realsound.jp/2020/12/post-679781.html

DJ泡沫

https://realsound.jp/2020/12/post-681390.html

高橋美穂

https://realsound.jp/2020/12/post-682708.html

糸田屯

https://realsound.jp/tech/2020/12/post-681533.html

渡辺志保

https://realsound.jp/2020/12/post-684197.html

荻原梓

https://realsound.jp/2020/12/post-683785.html



ARBAN


https://www.arban-mag.com/article/66738



The Sign Magazine


http://thesignmagazine.com/features/50-best-albums-of-2020/



ele-king


Ambient / Downbeat

http://www.ele-king.net/review/sound_patrol/007956/



Mikiki

洋楽20枚

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27232

2020年の100枚・前編

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27240

2020年の100枚・後編

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27242

編集スタッフの〈+10枚〉

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27256

ライター陣の〈+10枚〉

https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/27255



TURN


http://turntokyo.com/features/the-25-best-albums-of-2020/



yama-bra


https://yamabraslection.tumblr.com/post/639876617381052416/2020-182020%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%82%A0



RIFF CULT


https://riffcult.online/2020/12/27/bestofbrutaldeathmetal2020/



Sleep like a pillow


http://www.sleep-like-a-pillow.com/best-shoegaze-albums-2020/



ロッキン・ライフ


https://sinario19.com/%E3%80%8E/category/%e5%80%8b%e4%ba%ba%e7%9a%84%e3%81%8a%e3%81%99%e3%81%99%e3%82%81%e3%81%ae%e9%9f%b3%e6%a5%bd



MASSAGE MAGAZINE


https://themassage.jp/archives/relatedpost/13934



レコンキスタ


https://www.reconquista.biz/SHOP/279871/list.html



JAZZ TOKYO


https://jazztokyo.org/issue-number/no-273/post-60500/



LOS APSON?


http://www.losapson.net/chart2020/



3LA

売上ベスト50

https://note.com/3la/m/m7b91e26b40d5

番外編

https://note.com/3la/n/ne00516c5eefc



梵天レコード


https://tranquilized-magazine.com/2020/12/31/best-albums-2020/



MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


http://sin23ou.heavy.jp/?p=15382



アイドル楽曲大賞


http://esrp2.jp/ima/2020/




《各種サービスのランキング》

 

 

 

 

 

 


《音楽雑誌・サイト》

(出版されたものについての各公式ページ)

 

 

 


 

 

《個人サイト・ブログ》

(基本的には説明文付きのもの・発表日順)



ツイート形式で発表されたもののまとめはこちら

https://togetter.com/li/1635529




Sonne & Mond(12/2)


http://einsviermond.blog.fc2.com/blog-entry-1272.html



mososo(12/2)


https://note.com/2020willblessus/n/n188563cb2332


The Raven(12/4)


https://ameblo.jp/ravensburg/entry-12642016678.html



YOFUKASI FRIENDS(12/4)


https://note.com/mobningen/n/n0633661c862b



ファラ(12/6)


https://note.com/sikeimusic/n/nc27a7ffe8618



李氏(12/6)


https://note.com/lee_kun/n/naebd5db088a8



梅雨の頃の音色(12/6)


https://an-eastern-music-blog.hatenablog.com/entry/2020/12/06/150526



雑記(12/6、12/9)


https://featheredge.hatenadiary.com/entry/2020/12/06/184120

メタル25

https://featheredge.hatenadiary.com/entry/2020/12/09/180307



Tai Fukaya(12/6)


https://note.com/tai_fukaya/n/ne44664f298b8



tt(12/6)


https://note.com/tanaka3195/n/n325827ef789c



キムラ(12/6)


https://note.com/kimu_ra10/n/n4a87ad874c99



Z11(12/7)


https://note.com/z11/n/n8136a4040982



Smith(12/8)


https://note.com/dedaumier_smith/n/n266b5a0eb7f2



Dury(12/9)


https://note.com/jichaelmackson/n/n951a7444bc8f



hashimotosan(12/9)


https://note.com/hashimotosan122/n/n1e6864d49b31



Casanova. S(12/10)


https://note.com/novacasanova/n/n1ab41b27a53d



THE MAINSTREAM - 沢田太陽(12/10〜17)


50-41

https://note.com/themainstream/n/n35d6fc57f897

40-31

https://note.com/themainstream/n/n6aba7be93007

30-21

https://note.com/themainstream/n/n7c7b928eb73e

20-11

https://note.com/themainstream/n/n6f5b96b09e4a

10-1

https://note.com/themainstream/n/n38f745078d6d



橋本(12/10)


https://note.com/hsmt_i/n/nbbcfec6f96a7



obake(12/11)


https://note.com/obakeobake/n/n4b39bf080682



sgsw(12/12)


https://note.com/tba_eric/n/nd71ce142656e



嶋野夏樹(12/13)


https://note.com/72ki_s/n/n7ad7619ae73a



メタルDUNE(12/14)


https://note.com/metaldunne/n/ndf7a8dc0bc72



万能初歩(12/15)


https://note.com/allroundnovice/n/n1289077aaf6a



猫と僕らと。(12/17)


https://note.com/aitkgk/n/n93f1fab7eac4



Take A Little Walk With Me(12/17)


https://coimk324echo.hatenablog.com/entry/2020/12/17/130830



三代目齋藤飛鳥涼(12/18)


https://note.com/askaryo3/n/n6dfff557a023



葱(12/18)


https://note.com/richnoise/n/nadc1f76379f5



A4 COPYPAPER(12/19)


http://a4copypaper.blogspot.com/2020/12/2020-30.html



SHUMAMB_CLTR(12/19)


https://shumamb.hatenablog.jp/entry/2020/12/19/175120



Shutaro Tsujimoto(12/19)


https://note.com/ts1995/n/nc19e0506a096



Spookywhooshing(12/19)


https://note.com/spookywhooshing/n/nce8d8aa14f8d



サム(12/20)


https://note.com/okyouth2head/n/n7e1a7597f1b1



Art Music Satellite(12/22)


http://artmusic-satellite.com/2020/12/22/post-14561/



偏愛音盤コレクション序説(12/22)


http://abortedeve.blog.jp/archives/1078437302.html



徹子(12/22)


https://note.com/kuroyanagi_89/n/nf9865747e51d



👼と♨️のyuKEmuRi LAB(12/23)


https://ngo750750750.hatenadiary.jp/entry/2020/12/07/%F0%9F%91%BC%E3%81%A8%E2%99%A8%EF%B8%8F%E3%81%8C2020%E5%B9%B4%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%82%92%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E6%8C%AF%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%82%8B%E5%9B%9E


prtcll(12/23)


https://note.com/prtcll/n/nb0ed5a16c99c



RIFF MONSTER(12/23)


https://note.com/riff_monster/n/nd93dc84d40a3



PMML(デンシノオト)(12/24)


https://postit-foundmix2020.hatenablog.com/entry/2020/12/24/193103



tnhr(12/24)


https://note.com/zombie_haruchan/n/nbce24c78f800



Bamuda(12/25)


https://bamudaba.tumblr.com/post/638392615218315264/best-album-2020



Ashira(12/25)


https://note.com/ashira_nobody/n/n50e9bed5e9d4



無(12/25)


https://note.com/allfornaught/n/nb6d7bb9c432f



high_george(12/25)


https://note.com/high_george/n/n3730c9c8a5ef



ジー(12/26)


https://note.com/regista13/n/n85ee098c5aae



アウルの音楽ブログ(12/26)


https://necklessowl.hatenablog.com/entry/2020/12/26/060000



アクサクまぶらない(12/26)


https://kataitoba.hatenablog.com/entry/2020best



tomoyuki(12/26)

ゴアグラインドなので画像閲覧注意

https://note.com/mgflx12/n/ne56f07e870e7



Monchicon!(12/26)


http://monchicon.jugem.jp/?eid=2333



telkina(12/26)


https://note.com/telkina_14/n/n3243da0ddc7f



屋根裏(12/27)


https://note.com/fromtherooftop/n/n5a2d84e7f21d



松本侃士(12/27)


https://note.com/tsuyopongram_/n/n4bb07dffe5bf



nvzn zj;zm d;.z.k n n nm,xv,./zd(12/27)


https://daiteng.hatenablog.com/entry/2020/12/27/123919



となりの部屋から超鋼鉄重低爆音(12/27)


http://blog.livedoor.jp/metalnoppo/archives/84730983.html



にんじゃりGang Bang(12/27)


https://fuckyeahabocado.tumblr.com/post/638660383933120512/2020%E5%B9%B4%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0



Takashi(12/27)

本編

https://note.com/takashistroke9/n/nc7cc1634214d

番外編

https://note.com/takashistroke9/n/na2971d34654b



異類(12/27)


http://iruikonintan.hatenablog.com/entry/2020/12/27/234758



π_n.(12/28)


https://note.com/0706538/n/na8b5c41fb4dc



魂のダンス(12/29)


https://tacchi0727.hatenablog.com/entry/2020/12/29/211403



RAKUGA-KINGDOM(12/30)


https://rakuga-kingdom.blogspot.com/2020/12/50-best-albums-of-2020.html



砂鯨(12/30)


https://note.com/snkj6/n/nf350517abc29



チャブ・マネジメント(12/30)


https://note.com/tyabmgmt/n/nb1449a4ebac4



ブンゲイブ・ケイオンガクブ(12/30)


http://ystmokzk.hatenablog.jp/entry/2020/12/30/175009



ぐらんいんどこあせーるすまん(12/30)


http://blog.livedoor.jp/nekropunk/archives/57539051.html



Eyerything's Ruined(12/30)


http://blog.fantomas.kill.jp/?eid=929373



Outland Folk Paper(12/30)


http://outlandfolkrecords.blogspot.com/2020/12/2020.html



but beautiful(12/30)


https://but-beautiful.hatenablog.com/entry/2020/12/30/181516



アララ(12/31)


https://note.com/alala119/n/n297c2ff94df9



高橋アフィ(12/31)


https://note.com/tomokuti/n/n44146f22369e



DIES IRAE(12/31)

上半期

http://blog.livedoor.jp/needled_2407/archives/52197645.html

下半期

http://blog.livedoor.jp/needled_2407/archives/52206153.html



Outbreak of Evil(12/31)


http://staymetal.blog8.fc2.com/blog-entry-1127.html



むじかほ新館。〜音楽彼是雑記〜(12/31)


https://bluecelosia.hateblo.jp/entry/2020/12/31/2020%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A036



sambrehiroki(12/31)


https://note.com/hirokimatsu/n/n84e178c6ce21



私的名盤紹介 - 真の雑食を目指して(12/31)


http://grooveisalliwant.blog.fc2.com/blog-entry-577.html



moblu(12/31)


https://note.com/moblu/n/n0777da211562



あさってからでもいいかな…(12/31)


http://blog.livedoor.jp/hr_nonbiri2i_ihm974/archives/10333168.html



Sharikko(12/31)


https://note.com/sharikko/n/nfa7180946ab7



Genius & Cortez(12/31)


https://ameblo.jp/vegashokuda/entry-12646232550.html



魚田(12/31)


https://note.com/ericbandrakim/n/n52354a21c5c6



鴎庵(12/31)


https://kamomelog.exblog.jp/31919668/



Watasino(12/31)


https://note.com/ababab/n/n62e543e158d9



MUNEHIRO MACHIDA(12/31)


https://note.com/nssg/n/n577e06a5cd5f



よろすず(1/1・8・12・17)

アンビエント

https://note.com/yorosz/n/n8fb725aaa6ee

コラージュ×アンビエント

https://note.com/yorosz/n/n84c862d83513

ジャズ

https://note.com/yorosz/n/n7bf9757dc1bf

総合

https://listening-log.hatenablog.com/entry/2021/01/17/205800



草野こー(1/2)


https://t.co/NcEaLp7ytZ



ヨーグルトーン(1/2)


https://muimix.hatenablog.com/entry/20210102/1609580862



ゆーき(1/2)


https://note.com/sixx6sixx/n/n1b13b8b39923



dirtool(1/3)


https://note.com/dirtool/n/nc7b2198a12c2



庭仕事(1/3)


http://niwashigoto.hatenablog.com/entry/2021/01/03/202103



小島良太(1/4)


https://note.com/ryotakojimajazz/n/n7629d94a7296



TECHNOLOGY POPS π3.14(1/4)


http://reryo.blog98.fc2.com/blog-entry-1101.html



灯(1/5)


https://note.com/tomoshibi294/n/nac996fbdb18d



Tsutomu Sogitani(1/8)


https://note.com/sogitani/n/nf4c44b8bcc3c



AP(1/8)


https://note.com/apriltherealdeal/n/nb358d7e68d6a



片道切符で飛び乗れ(1/17)


https://kuruwasete-more.hatenablog.com/entry/2021/01/17/210646



神谷ハヤト(1/20)


https://note.com/ykkn_gt/n/n38630027b8cb



アルマの手紙(1/24)


http://dreampop402.blog.fc2.com/blog-entry-40.html




 

【2020年・上半期ベストアルバム】

【2020年・上半期ベストアルバム】

 

・2020年上半期に発表されたアルバムの個人的ベスト20(順位なし)です。

 

・評価基準はこちらです。

 

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2014/12/30/012322

 

個人的に特に「肌に合う」「繰り返し興味深く聴き込める」ものを優先して選んでいます。

個人的に相性が良くなくあまり頻繁に接することはできないと判断した場合は、圧倒的にクオリティが高く誰もが認める名盤と思われるものであっても順位が低めになることがあります。以下のランキングは「作品の凄さ(のうち個人的に把握できたもの)」かける「個人的相性」の多寡を比べ並べたものと考えてくださると幸いです。

 

・これはあくまで自分の考えなのですが、人様に見せるべく公開するベスト記事では、あまり多くの作品を挙げるべきではないと思っています。自分がそういう記事を読む場合、30枚も50枚も(具体的な記述なしで)「順不同」で並べられてもどれに注目すればいいのか迷いますし、たとえ順位付けされていたとしても、そんなに多くの枚数に手を出すのも面倒ですから、せいぜい上位5~10枚くらいにしか目が留まりません。

 

(この場合でいえば「11~30位はそんなに面白くないんだな」と思ってしまうことさえあり得ます。)

 

たとえば一年に500枚くらい聴き通した上で「出色の作品30枚でその年を総括する」のならそれでもいいのですが、「自分はこんなに聴いている」という主張をしたいのならともかく、「どうしても聴いてほしい傑作をお知らせする」お薦め目的で書くならば、思い切って絞り込んだ少数精鋭を提示するほうが、読む側に伝わり印象に残りやすくなると思うのです。

 

以下の20枚は、そういう意図のもとで選ばれた傑作です。選ぶ方によっては「ベスト1」になる可能性も高いものばかりですし、機会があればぜひ聴いてみられることをお勧めいたします。もちろんここに入っていない傑作も多数存在します。他の方のベスト記事とあわせて参考にして頂けると幸いです。

 

・いずれのアルバムも10回以上聴き通しています。

 

[上半期best20](今回は順位なし:アルファベット音順)

 

 

赤い公園:THE PARK

 

f:id:meshupecialshi1:20200701233114j:image

 

例えば2曲目「紺に花」を聴くと自分は10代~20代前半の学生がカラオケで爽やかに盛り上がっている姿を想起するのだが、これは皮肉でもなんでもなく本当に素晴らしいことなのだと思う。赤い公園は非常に豊かな音楽的バックグラウンドを持ったバンドで、スティーヴ・アルビニ録音作のように荒れ狂うギターやMOTORHEAD的に硬く分厚いベースが「なんでそんな動きをする??」感じのフリーキーなフレーズを多用するのだけれども、それらはアレンジの一要素として自然に収まり機能していて、全体としてはあくまで親しみやすく煌びやかな歌ものになっている。エキセントリックなアイデアをつぎ込みまくっていても捻くれた感じは薄く、深い屈託を湛えつつ衒いなく明るく弾けることができてしまう。こんな形で王道J-POP感を発揮し表現上の強みにしてしまえるバンドは滅多にいないし(これは良い意味でオーソドックスな安定感のあるドラムスによるところも大きいかも)、それはメジャーデビュー後8年に渡る試行錯誤を経たからこそ到達できた境地でもあるのだろう。石野理子の信じられないくらい素晴らしいボーカルもそうした立ち位置や雰囲気表現に完璧に合っている。全曲良いしアルバム全体の構成も見事な傑作です。

 

 

詳しくはこちら:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1250361403048734721?s=21

 

 

 

 

Ambrose Akinmusire:on the tender spot of every calloused moment

 

f:id:meshupecialshi1:20200701233255j:image

 

フリー寄りの手法を援用した現代ジャズで大部分がインストなのだが、アルバム全編を通して明晰で饒舌な雰囲気表現がなされていて、曲展開や演奏質感の変化で微細なニュアンスを描き分けつなげていく構成が非常にうまくいっている。楽曲の各パーツが参照しているのだろうジャンル語法や曲名の意図するところを考えながら聴き込むことで初めて見えてくる論理展開があるように思われるし(それをあえて言葉にせず音で説明しているのが醍醐味といえる音楽)、そういうことを考えずに聞き流してもミステリアスな短編映画を観通したような満足感を得ることができる。関連情報を調べつつ丁寧に読み込みたいと思えるアルバムです。

 

 

 

 

ENDRECHERI:LOVE FADERS

 

f:id:meshupecialshi1:20200701233311j:image

 

2018年のサマーソニック出演で存在を知りそこから約2年かけて全作品を聴いてきた自分の印象は「アンサンブルの強度やグルーヴ表現力は世界的にも超一流だけれども作編曲に関してはオーソドックスなファンク形式を尊重しすぎていて個性を飛び立たせきることができていない、それが実にもどかしい」という感じだったのだが、本作ではその問題がほとんど解消されているように思う。伝統的ファンクを意識している部分はやはり多いけれども一聴して確かな個性があることが伝わるようになっているし、聴き込んでいくと面白く強力なフレーズが次々に見えてきてその都度唸らされる。複雑に絡み合った知恵の輪を解きほぐすと名リフがわらわら湧いてくるような音楽で、それがこの超強力なバンドや堂本剛の素晴らしいボーカル(過去作の時点で唯一無二性が備わっていたのはこの声があったから)により具現化されるのだからもうたまらない。「P-FUNKやプリンスみたいなことやっていて大したもんだ」みたいな妙な上から目線(こういうのを見るたびに「アイドルを舐めんじゃねえ」と思う)を捨てて語られるべき傑作です。

 

 

詳しくはこちら:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1275334194067992577?s=21

 

 

flanafi:flanafi

 

f:id:meshupecialshi1:20200701233338j:image

 

ギタリスト/マルチプレイヤーSimon Martinezのソロユニットによる1stフルアルバム。SLY AND THE FAMILY STONEやディアンジェロ、MASSACRE(フレッド・フリスのバンド)やDIRTY PROJECTORSあたりを連想することはできるものの影響源を特定することはほとんど不可能な音楽で、作編曲や演奏はもちろん音響(耳触りの良いローファイ質感を狙っているようでいて異常に緻密に作り込まれている)も極めて個性的で高品質。理解を深めるために関連バンドPULGASを聴くとさらに豊かな音楽性に良い意味でもっと困惑させられるなど、未知の興味深い音楽世界が広がっていることを心地よく示唆してくれる一枚になっている。ディグス・デュークやMAUDLIN OF THE WELLなどが好きな方は必聴と言えるジャンル越境的な傑作です。

 

詳しくはこちら:

(2020.7.1時点で「flanafi」とGoogle検索するとこの連続ツイートが一番上に出てくる:そのくらい知名度が低いのがもったいなさすぎる)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1224712482456993792?s=21

 

 

 

長谷川白紙:夢の骨が襲いかかる!

 

f:id:meshupecialshi1:20200701233500j:image

 

本作を聴いていて改めて実感させられるのは長谷川白紙のヴィジョンとその吟味・成否判定能力の素晴らしさ。例えば「LOVEずっきゅん」(相対性理論のカバー)では原曲のばたばたしたアンサンブル感覚(かわいらしさなどのニュアンス・在り方を表現するにあたって不可欠な質感になっている)を意識的に把握、しかも自分に見合った形で再構築してしまえている。「光のロック」(サンボマスターのカバー)ではそうした解釈を通しそれと密接につながる独自の在り方(生き急いでいるんだけれども落ち着いてもいる、切迫感がある一方で地に足が着いてもいる感じ)が表現されていて、教養の深さとはまた別の、そういう一般的な(社会の共有財産的な)ものを積み上げているだけでは身につかない固有の得難い持ち味が熟成されていることを窺わせる。

長谷川白紙の演奏技術は以上のようなヴィジョンをそのまま示すほどにはまだ磨かれきってはいない(もちろん非常にテクニカルではあるけれども、少なくとも発声技法に関しては身体的にも知識的にも開発の余地が多い)のだが、本作においてはそういう到達度の釣り合わなさもむしろ良い方向に機能しているように思われる。例えば「セントレイ」(サカナクションのカバー)の歪んだボーカルは咽頭まわりの脱力が(そしておそらくは背筋のコントロールも)こなれればもっと精密な音色操作が可能になるわけだが、このテイクではそのような制限を伴う飛び立ちきれない感じが楽曲の解釈や演奏に不可欠に貢献している。そして、そうやって激情を比較的わかりやすく滲ませつつ崩れきらない瀬戸際を保つボーカルに寄り添い時に前に出そうになる鍵盤のニュアンスが実に見事で、そのふたつを弾き語りで同時に演奏できることの凄さにも痺れさせられる。

本作に収録されているカバーはいずれも非常に良いが(原曲の深い読み込みを踏まえたほとんど自作曲と言っていい出来)、唯一のオリジナル曲「シー・チェンジ」はそれらを上回る最高の仕上がりになっている。上記のようなヴィジョンと演奏技術が完全に良い方向に機能したボーカルは光を当てる角度によって色合いが変わるプリズムのようなニュアンス表現を成し遂げていて、喜怒哀楽が虹のように輝き融けあう歌声がどこまでも素晴らしい。特に3分54秒からの無邪気な愉悦とも嗚咽ともとれる(その両方ともいえる)声は聴く度に泣きそうになる(というか泣く)し、その後のラインごとに表情を変える歌唱表現はもう神がかっている。名曲名演と言っていい音源だと思う。

アルバム最後を飾る「ホール・ニュー・ワールド」カバーを聴くと、この曲をひとりで歌うということやそれが必然性をもって違和感なく成立してしまえていることに思いを馳せさせられる。28分という短さながら完璧に完成された(表現的には未完成の部分も含めひとつの世界系としてまとまった)大傑作。この人のキャリア史上最高作だと思うし、ここからさらに進み続けてくれると信頼しています。

 

 

長谷川白紙についてはこちらの寄稿記事で詳しく書きました

(崎山蒼志とのコラボレーションや「旅の中で」カバーについても)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1273929573684527104?s=21

 

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1266056080636776448?s=21

 

 

 

Jim O'Rourke:Shutting Down Here

 

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一昨年発表の大傑作『sleep like it`s winter』に通じるところもありつつ全然異なる世界を描いている感じの音楽で、明確な構成のある楽曲の輪郭という点ではこちらの方が格段に整っている印象がある。その上で各音色の役割(虫の音や飛行機のジェット音的な超高音などミュージックコンクレート的なつくりも多い)など聴き手がセンスオブワンダーをもって解釈すべき(切り込む視点やテーマなどの仮説立て~検証を繰り返し勘所を増やしていく必要のある)要素も非常に多く、漫然と聴き流すだけではいつまでも立ち入れない迷い家のような作品に思える。とはいえ漫然と聴き流すだけでも非常に心地よく浸れる音楽だし、部屋の空気を確実に変えるのに主張しすぎず身を潜めるような存在感も有り難い。時間をかけてじっくり付き合っていきたい傑作。

 

参考:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1264929647319375873?s=21

 

 

 

Klô Pelgag:Notre-Dame-des-Sept-Douleurs

 

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カナダ・ケベック州出身のシンガー/ソングライター。影響源として挙げているのがダリ、マグリットドビュッシー、ジャック・ブレル、KING CRIMSON、フランク・ザッパなどで、ケイト・ブッシュビョークなどと比較されることが多いのだが、声のキャラクターも音楽性(傾向としてはオーケストラルなチェンバーポップという感じか)もそれらと一線を画すただならぬ個性を確立しているように思う。本作はこの人が子供の頃に何度も通り過ぎていた看板(昨年ひさしぶりに訪れたところ村というよりも35人ほどしか住んでいない小島だったことが判明)の名前を題したもので、そこからイメージしていた不吉な情景とそれに通じる近年の自身の気分が描写されている。ポストパンク~ゴシックロックを16世紀以前の教会音楽の語法で洗練したような楽曲群は大聖堂の地下室でひっそり営業する見世物小屋のような妖しさに満ちており、それはこの整っているがどこか不穏な歌声(真摯で可愛らしくそれでいて確実にネジが何本かぶっ飛んでいる感じ)があればこそ可能になったのだろう。アルバムとしての構成も文句なしに素晴らしい。それこそ離れ小島のように完結した世界と仄暗い奥行きを窺わせる傑作。

 

 

 

 

 

 

Moment Joon:Passport & Garcon

 

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Moment Joonは自身とこの作品のことを「日本の」「ヒップホップ」と強調しており、年間ベストアルバム選で「洋楽枠に入れようか邦楽枠に入れようか迷った(その上で洋楽枠に入れた)」というファンのツイートに対し丁寧に諭したりもしている。各所のインタビューでも明言しているように今の「日本」「ヒップホップ」の気風や状況を積極的に肯定できない立場にあるMoment Joonがその上で自身を「日本の」「ヒップホップ」と括ることの意味は重いし、そういう複雑な思いや関係性まで鑑みれば「日本の」「ヒップホップ」をここまで体現できている音楽も稀なのではないかと思う。

こういう素晴らしい作品を聴いていると、怒りや嘆きにエンターテインメント性を付与できる(娯楽へとスポイルするのではなく純度を減らさず面白みを増して呑み込ませやすくする)のが音楽をはじめとした表現一般の強みだということを実感する。そういう“言い方”の練度が本当に凄い作品だし、そういう部分を仮に切り離して(例えばリリックが全く聴き取れない人が)接したとしても刺さるくらい音楽的にも強力な傑作だと思います。

 

 

参考:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1239797154417270784?s=21

 

 

 

NEPTUNIAN MAXIMALISM:Éons

 

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Bandcampの紹介記事でSunn Ra A)))rkestraと形容されているように、サン・ラがSWANSを経由して芸能山城組と接続した感じの爆音ラージアンサンブルで、2時間余を心地よく聴かせるテンションコントロールが作編曲・演奏の両面において素晴らしい。東南アジアの民俗音楽に通じるパーカッションアンサンブルやフリージャズ~インド音楽的展開、ドローンメタルを介して70年代の暗黒ジャーマンロックに接続しているような多様な音楽要素はこの手のアヴァンロックには比較的よくみられるものだが、これがベルギー出身だということを考えると、UNIVERS ZEROやPRESENT(プレザン)、X-LEGGED SALLYのような偉大な先達がこの手の領域を既に開拓していたから当地からこういうバンドが出現すること自体は意外ではない一方で、この国の外で発生し確立されてきた要素ばかりを取り込み独自の形で融合活用している音楽なのだということも見えてくる。その意味で本作は多くの仮想の民俗音楽のように「ここではないどこか」を志向する音楽なのであり(「To The Earth」「To The Moon」「To The Sun」いうチャプター名はこうした姿勢をそのまま表している)、混沌としてはいるが非常に聴きやすく仕上がっているのも明確なコンセプトやヴィジョンを持っているからなのだろう。小説『三体』やタイの地獄寺のサントラとしても実によく合う傑作。

 

 

参考:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1276500396047921152?s=21

 

 

 

NNAMDÏ:BRAT

 

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自分がNNAMDÏ(ンナムディ)の名前を初めて見たのはSen Morimotoの2018年作に関するインタビューを読み漁っていた時で、シカゴの音楽シーンの豊かさ面白さを代表する存在の一人として挙げられていたように思う。その程度の認識で初めて聴くことになったこのアルバムは本当に素晴らしい内容で、西アフリカのポップス(セネガルやマリあたり、ユッスー・ンドゥールなど)的な精密な譜割りフレーズやポリリズム感覚と広義のヒップホップのフロウ感覚が自然に融けあっているようなリズム処理能力、mats & morgan的なプログレ/フュージョン~現代ジャズがインディーR&Bの領域で楽しく変容しているような作編曲など、複雑な構造がとことん親しみやすい形で提示されている音楽性に一発で惹き込まれることになった。そうした音楽的引き出しの豊かさもあってか各曲のスタイルはばらばらだが、それらが滑らかに並びアルバム全体として綺麗な輪郭を形作る様子はこの人の在り方(シャイでふてぶてしい様子)をそのまま表している感じで、本作の表現性の源として不可欠に機能している。これはflanafi(フィラデルフィアを拠点としている)などにも言えることだが、広く知られてはいないけれども非常に強力なミュージシャンが集まっている地域・シーンは無数にあり、音楽の素晴らしい世界はどこまでも広がっているのだなという感慨に(それを全て味わいきるのは一生かけても不可能なのだなという諦めも含め)浸らされるし、巡り合わせの大事さ有難さも実感させられる。

 

 

参考:

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2018/12/27/224058

 

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1245984098494984192?s=21

 

 

 

 

 

THE NOVEMBERS:At The Beginning

 

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ロックとヒップホップをわかりやすく(その両方の要素が含まれていることが一聴してわかる形で)融合した音楽スタイルを表すジャンル用語に「ミクスチャーロック」という言葉があり、そういうのを見ると自分は「ミクスチャーじゃない音楽なんてないだろ」「人間はそもそも雑食なものだろ(だからことさらに「自分は雑食性」と誇るような言い回しはまあ気持ちはわかるが微妙だな)」などと思ってしまうのだが、そうやって何かと何かを意識的に融合または接合することで他に類を見ないオリジナルを生み出してしまう作家も少なからずいることはよくわかる。自身の制作手法を「歌を接着剤とした金継ぎ」と称する長谷川白紙はその究極型みたいなものだし(非常に意識的にやっているという点において)、THE NOVEMBERSもその素晴らしい好例なのだと思う。前作『ANGELS』関連のインタビューで言及していたENYA的な(そこからイージーリスニング方面に連なる?)音響手法をインダストリアルサウンドと融合したような音作りはディストピア感とユートピア感の気兼ねない両立具合も含め他に類をみない異形に仕上がっているし、L`Arc-en-CielやCHAGE and ASKAとメタル寄りグランジを接続するような歌もの楽曲も聴きやすさと得体の知れなさを強烈に両立している。リーダーの小林裕介が本作リリースに際するインスタライブで言っていた「借りものとか貰いものばかりで生きてる人間ですから」という話はこの作品を聴いているだけではよくわからないが、その一方で確かにそうした手法を経ないとこういう“様々な要素が溶けかかった状態で固着している”(諸星大二郎「生物都市」のような)形は生み出せないのだろうという納得感もある。そしてそれは上で挙げたようなアーティスト(ひいてはそれらに影響を受けたヴィジュアル系グランジなどのシーンに属する後続)が培い受け継いできた在り方でもあり、THE NOVEMBERSの立ち位置や達成の凄さはそうした系譜に連なるものでもあるのだろうと思われる。現在のポップミュージックの流行や傾向から距離を置きつつ未踏の地を切り開いている、こんな類の新しい音楽が可能なのかと痺れさせられる一枚。アルバムの構成も非常によくできているし傑作だと思います。

 

 

詳しくはこちら:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1265298255417454593?s=21

 

 

 

 

岡田拓郎:Morning Sun

 

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神経質なまでに作り込んだ結果として(「作り込んでいるのに」ではなく「作り込んでいるからこそ」)不思議とおおらかな印象を与えるアンサンブルが出来上がる類の音楽がある。本作はその最高レベルの好例で、その意味でSTEELY DANの代表作や坂本慎太郎ソロにも比肩する(そしてそこから微かにピリピリした気配をも抜き去った)ものになっていると思う。たとえるならば徹夜後の朝焼けの中での虚脱感、半覚醒とは薄皮を経た逆の立ち位置(半覚醒は睡眠寄り、こちらは覚醒寄り)にあり、それがアメリカのカントリー~ブラジルMPBを少しだけ英国フォークに寄せた感じの楽曲を通して魅力的に表現されているというか。自分はこちら方面(岡田氏は凄まじいレコードディガーでもある)に詳しくないので「キリンジで言えば「空飛ぶ深海魚」あたりが近いな」くらいのことしか言えないのだが、それでも本作の名曲名演群には抗いがたく惹きつけられるものがある。地味ながらまばゆいほどの輝きに満ちた傑作です。

 

 

こちらのインタビューは具体的な製作過程の面でも様々なことに対する考え方の面でも素晴らしい内容なのでぜひ:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1270865524201648128?s=21

 

 

 

岡村靖幸:操

 

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自分が岡村靖幸の音楽に深く惹かれる理由のひとつに「ブルースマイナーペンタトニック~ブルーノートスケールでJ-POPを書かせたら右に出るものはいないのでは」というくらい圧倒的な音遣いセンス(歌メロも副旋律も)がある。例えば「セクシースナイパー」の歌メロはバッキングなしで歌ってもブルース的な解決しきらない進行(ループ感覚とその引っ掛かり)の妙味がよくわかるし、そこにJ-POPに求められるレベルで振幅が大きく煌びやかなリードメロディ感覚が伴っているのも凄い。岡村靖幸の楽曲はこのような珠玉のフレーズだけで構築されており、それらがTHE BEACH BOYSやEARTH, WIND & FIRE、プリンスなどに通じつつ完全に独自の形に洗練されたコード感覚により魅力的に統御されている。そしてそれはこの人固有の声(渋みを増しつついつまでも若いまま)や歌いまわし、独特の言語感覚に満ちていながら発音の快感に満ちている(そして文意の面でも以前よりだいぶ明晰に伝わるようになってきた)歌詞、リズムトラックの嗜好や仕上がり(今回は岡村の意向を踏まえつつゴンドウトモヒコが大部分を構築したようだが完全にいつものシグネチャサウンドになっている)といった演奏/実音の部分と分かちがたく通じている。こんな音楽は他では聴けないし、これからも代替不可能な魅力に満ちたポップミュージックを生み出し続けてくれるのだろうと思う。

同時代の音楽との比較についていうと、「成功と挫折」のインダストリアルサウンドエレクトロファンクやそれを柔らかくしたような「レーザービームガール」(マイケル・ジャクソン「The Way You Make Me Feel」とマリリン・マンソン「The Beautiful People」の中間前者寄りという感じ)など近年の音響トレンドを確かに把握している様子もあるのだが(2018年のソニックマニアでThundercatをはじめとしたBrainfeeder勢を観に来ていた模様)、その上であまり気を散らさず自分の道を貫いているようで好ましい。最後の「赤裸々なほどやましく」は「ペンション」などに通じる岡村靖幸流ブラジル音楽解釈が素晴らしいし、本当に良い曲ばかりが収められた一枚になっている。アルバムの構成的には後半の曲の並びが少しぎこちなく感じられたりもするが、全体としては文句なしに充実した傑作です。

 

 

 

 

ORANSSI PAZUZU:Mestarin Kynsi

 

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ORANSSI PAZUZUに関しては自分は2009年の1stフル発表当時から聴いていたものの「確かに非常に優れたバンドだし個性もあるがそこまで持ち上げられるほどか?」というくらいの印象で、2016年の前作4thフルがPitchforkなどで取り上げられるようになったのも「知的なメタルはインディーロック文脈から評価しやすいから知見の広さを示すためにも取り上げる」ハイプしぐさだという印象が強かったのだけれども、昨年発表されたWASTE OF SPACE ORCHESTRA(DARK BUDDHA RISINGとの合体バンド)の傑作を経ての本作には初聴から完全に惹き込まれることになった。前作あたりから増えてきた複合拍子をほどよく複雑化させつつキャッチーな引っ掛かりとして活用できている楽曲は何よりもまず非常に聴きやすく、それを足掛かりにすることで“知識や技術があるからこそ放出できる衝動のかたち”が理想的な按配で表現されている。ブラックメタルのコアなファンからはこれもハイプ扱いされていたりもするが(ツイッターでは「ORANSSI
PAZUZUなんかより〇〇を聴いてください」という言い回しでプリミティブ/ベスチャルなバンドを挙げまくる人が現れたりもした:確かにそれもある種のアンダーグラウンド嗜好からすればよくわかる反応でもある)、ノルウェー発の“Second Wave of Black Metal”黎明期のジャンル越境傾向を考えれば本作は間違いなくその精神を受け継ぐものだし、ある意味でブラックメタルというもの自体を再発明するような気迫と完成度も備わっている。その上で興味深いのが普段メタルを聴かない音楽ファンにも好評を博していること。これは制作の同機になったという映画『ミッドサマー』に通じる甘いカルト感覚、快適に危険なところまで引きずり込んでくれるような聴きやすさによるところも大きいのかもしれない。本年度のメタル領域を代表しうる歴史的傑作です。

 

 

本作についてはこちらで詳しく書きました(ジャンル論的なことも含むまとまった話):

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1251596150919974912?s=21

 

 

 

Oumou Sangaré:Acoustic

 

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マリを代表するシンガーであるウム・サンガレによるアコースティックアレンジ再録作。11曲中9曲が2017年の傑作『Mogoya』(10曲収録、現代的ビートを全面導入したヒップホップ~エレクトロ色強めのポップス)から選ばれており、同作の参加メンバーが2019年4月にロンドンで行ったスタジオライヴ録音が土台になっている。ドラムレス、ギター・ンゴニ(バンジョーのルーツともいわれるハープのような楽器)・鍵盤のみの編成なので『Mogoya』のような多彩な電子ビートは入っていないが、西アフリカのポップスならではの驚異的に精密なリズムカッティングはそれ自体で強靭なビート感覚を示すことができていて(ボーカルも含め)、特にギターの複雑なフレージングは「ギターは打楽器」というよく言われる話をこの上なく見事に示している。その上で全パートがメロディアスなのもアフロポップならではで(いわゆるブラックミュージックのルーツとされることもあってアフリカ音楽=渋いという印象もあるかもしれないが、アメリカのブルース的な引っ掛かりが希薄な音進行はむしろ日本の演歌などに近い)、耳あたりは非常によくとても聴きやすい。以上のようなスタイルということもあってか超絶テクニカルながらむしろメディテーション向きの音楽になっており、運動(ルーチンワーク)や日常生活の延長で気軽に瞑想に沈んでいくような効能がある。戦闘的ながら柔らかく、添加物のないミルクを通してエネルギーを与えてもらえるような素晴らしい作品。曲順も『Mogoya』よりこちらの方が良くなっているのではないかと思う。

なお、「Diaraby Nene」のオリジナルテイク『Moussolou』(1991年発表)収録版はビヨンセが昨年の映画『ライオン・キング(The Lion King : The Gift)』に提供した「MOOD 4 EVA」でサンプリングしたもの。その映画を下敷きにしたビヨンセ作のヴィジュアルアルバムが今年発表されるのは不思議なシンクロニシティにも思えるが、様々な情勢を考えればむしろ必然的なことなのかもしれない。

 

 

 

 

Phoebe Bridgers:Punisher

 

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一聴するだけだとシンプルでさりげないフリーフォークという(比較的地味な)印象もあるのだが、イヤホン/ヘッドホンで聴くと実はパート構成的にも音響の色彩的にも非常に層の厚いつくりなのだということが見えてくる。これは作編曲についても同様で、歌ものとしてのフレーズの立ち方が全曲とにかく素晴らしい。こうした楽曲やアレンジが“シンプルでさりげない”抑制的な演奏表現で具現化されることでわざとらしく過剰な“泣かせ”感のない(それでいて確かに心を揺さぶる、それが鬱陶しくない)絶妙なバランスが生まれていて、少し薫りのついた清水のような吞み口に快適に浸ることができるようになっている。とはいえ静かで無難な音楽かというとそんなことはなく、きわどいテーマを穏やかに語る歌詞やドラマティックなアルバム構成(最後の曲の盛り上がりは反則的)を通してさりげなくとんでもないところに連れていかれるような居心地もある。一枚通しての完成度が素晴らしい傑作。

 

 

本作関連のインタビュー:

http://monchicon.jugem.jp/?eid=2310

 

 

 

 

Speaker Music:Black Nationalist Sonic Weaponry

 

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初期デトロイトテクノをフリージャズ的語彙を援用しつつ精神性のレベルから現代的にアップデートしようとする大傑作。アフリカのトーキングドラムをミルフォード・グレイヴスの超絶ドラムスまたはAutechreSquarepusherなどを参照しながらトラップ以降の高速シーケンスに落とし込んだようなビートはモノトーンながら極めて饒舌で、出自を強烈に主張する一方で汎世界的な広がりに身を沈めるような印象もある。そこにうっすら絡む電子音響など多様なサウンドの抜き差しも絶妙で、THE POP GROUPのような戦闘的姿勢&豊かさを“取り返す”(オリジネーターとしての評価もそこから分岐して他で生まれた音楽的成果なども)ような矜持に満ちてもいる。エクストリームなヒップホップに通じるような激しさと柔らかくしなやかな質感を兼ね備えた空間表現も絶品。アルバム全体の構成も含めほとんど完璧と言っていい一枚だと思う。

Moment Joonのところでも「怒りや嘆きにエンターテインメント性を付与できる(娯楽へとスポイルするのではなく純度を減らさず面白みを増して呑み込ませやすくする)」音楽の得難さにふれたけれども、これはいわゆるブラックミュージックのお家芸みたいなものでもあり、暴力的にもなりうる勢いを直接的な傷害力としてでなく健康的に体を突き動かす音響的魅力に転化してしまうプレゼンテーション能力の凄みが本作でも見事に発揮されている。ハードコアパンクが好きな方などにもぜひ聴いてみてほしいアルバムです。

 

 

 

Black Lives Matterとも密接に関連する本作の立ち位置についてはele-kingの力の入ったクロスレビュー三田格野田努)に詳しいのでそちらもぜひ:

http://www.ele-king.net/review/album/007680/

 

 

 

寺尾紗穂:北へ向かう

 

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この人のことは恥ずかしながら本作で初めて(しかも3月頭リリースなのに6月になってから)知ったのだが、隅々まで素晴らしい楽曲・演奏表現に一発で惹き込まれてしまった。他の音楽で雑にたとえるなら佐井好子Fenneszという感じで、日本流フォークロックの滋味を知り尽くしたような作編曲とどこかアンビエントとも言える長閑な時間感覚の両立がとにかく見事。それは腕利き揃いの超精密なアンサンブルによるところも大きいだろうが(70年代ソウルミュージックの代表的名盤に並ぶレベル)何よりもまず寺尾紗穂自身のボーカルがあって初めて表現できる居心地なのではないかと思う。音色や音量を大きく変化させずしかし単語/分節ごとに微細に表情を変えていく歌唱表現はそれ単体で上質なアンビエント音楽として機能しており、本作の楽曲や演奏・音作りはそれを最高の形で活かすものなのだろう。アルバムの構成も非常によく何度でも繰り返し聴き続けてしまえる傑作。過去作も聴いた上でライヴもぜひ体験してみたいものです。

 

 

 

 

TRIPTYKON:Requiem – Live at Roadburn 2019

 

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80年代スラッシュメタルハードコアパンクから今に至る地下音楽において最も重要な(現人神と言っても過言ではないレベルの)ミュージシャンであるTomas Gabriel Warriorが32年越しで完成させた3部構成の組曲『Requiem』の初演音源。いわゆるヘヴィミュージックの先端が集う音楽フェスティバルRoadburn(オランダで毎年4月に開催:ZINE『痙攣』vol.1で詳説)2019年版の特別企画で、こちら方面との仕事経験も多いオランダのオーケストラThe Metropole Orkest+バンド自身という編成で披露された。これが全編驚異的に素晴らしい演奏で、「クラシック方面のプレイヤーはBPMを一定にキープするビート処理が得意でないことが多い」「生楽器大編成はロックの爆音PAとうまくミックスするのが極めて難しい」といった困難が完璧にクリアされている。バンド自身の演奏も最高で、唯一無二の個性を誇るTomのリズムギター&ボーカルはもちろんV. Santuraのギターソロは歴史的と言っていいレベルの名演では。リードシンガーとして招聘されたSafa Heraghi(DEVIN TOWNSEND PROJECTなどメタル領域の作品にも参加経験あり)のパフォーマンスも極上。最初から最後まで“音楽の特別な瞬間”に満ちた演奏になっており、現場で体験できた人々が実に羨ましい。これが完全にライヴレコーディングであることはCD付属のDVDに収録された全編動画でも確認できるので、音源に感銘を受けた方はぜひそちらの方も鑑賞してみてほしい。

本作がこれほどの傑作になったのは上記のような演奏によるところも大きいが、それは今回新曲として披露された32分に渡る(全体の3分の2を占める)第2部「Grave Eternal」の出来が極めて良かったから可能になったものでもあるだろう。Tomasの特異な音遣い感覚(十二音技法的な音進行をシンプルなメタル/ハードコアリフで表現)が近現代クラシック音楽の語法で豊かに培養強化されたような組曲はどの場面をとっても素晴らしい仕上がりで、キャッチーな引っ掛かりと無限の奥行きが両立されていて何度聴いても飽きることがない。特異な構造美と抑制された叙情に満ちた大傑作。様々な音楽のファンに聴いてみてほしい名盤(扱いされるべき一枚)です。

 

 

 

詳しくはこちら:

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1262703375939846144?s=21

 

 

Vovô Bebê:Briga de Famiília

 

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ブラジル・リオの新世代ミュージシャンの中でも特に注目を浴びる存在とされるヴォヴォ・ベベが様々な地域から特異な才能を集めて構築した3rdフルアルバム。ディスクユニオンのレビューでは「ギンガとイタスール・アスンソンが宇宙でアート・リンゼイに出会ったかのような強烈かつ唯一無二な世界」と形容されている(これも納得感がある)が、個人的にはSLAPP HAPPYやKILLING TIME(日本の超絶スタジオミュージシャン達によるプログレ/アヴァンロックバンド)と並べるほうがしっくりくるところも多い。そういう印象を生んでいる最大の要因はおそらくアナ・フランゴ・エレトリコのチャーミングかつ強靭なボーカルで、それこそダグマー・クラウゼと小川美潮の間に位置するような歌唱表現力とキャラクターが絶妙に活かされている。楽曲的には先述の2バンドをロマ(ジプシー)音楽経由で地中海に寄せたところをブラジル起点にシミュレートしているような感じもあり、ムーンライダーズドレスコーズに接近したりMAGMAやSWANSのようになったりする場面もあって非常に面白い。そうした節操のなさが散漫な印象を生まず必然的なものとして機能しているのも好ましく、ふざけつつ粘り腰な佇まいを通してゆるく戦闘的なユーモア感覚を発揮しているような趣もある。たとえるならばお祭りの裏路地、賑やかな雰囲気は漂ってくるが人気はなく何か危険なものが潜んでいそうだが楽しさからも離れきっていないという感じ。知的な雰囲気とお茶目な面持ちが不可分に一体化した高度な音楽で、上に挙げたようなバンド/ミュージシャンが好きな方は高確率でハマるのでは。もちろん小難しいことを考えなくても楽しめるし、気軽にチェックしてみると楽しいだろう傑作です。

紐付けツイートINDEX 2020

【紐付けツイートINDEX(2020)】

 

長文連続ツイートのアタマに飛ぶリンクです。

2014年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

2015年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

2016年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

2017年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

2018年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

2019年版

closedeyevisuals.hatenablog.com

(上のリンクから見れない場合は、Twilog

http://twilog.org/meshupecialshi1

をご参照いただけると幸いです。)

 

寄稿・出演など

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1273934771811307522?s=21

 

 

 

 

 

 

〈ライヴレポート〉

 

1/11:スクリューパイルドライバー ROUND 2 @ 京都METRO

(ピアノ男・長谷川白紙・Keshigomu・DJ Master Kohta・SNJO・Tomggg・ISHII・5364)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1216012689207508992?s=21

 

1/12:Moodymann @ アメリカ村 CLUB JOULE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1216394906677071872?s=21

 

1/23:長谷川白紙特集企画「ドミューにに」@ SUPER DOMMUNE STUDIO

(姫乃たま・有泉智子・imdkm・s.h.i.、諭吉佳作/men・tomad・長谷川白紙)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1220371193229762560?s=21

 

1/28:QUEENADAM LAMBERT @ 京セラドーム大阪

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1222076226174455809?s=21

 

2/6:PENTATONIX @ フェスティバルホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1225406621414674432?s=21

 

2/18:Chris Dave and the Drumhedz @ Billborad Live Osaka(1st set)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1229694145930788864?s=21

 

2/24:中村佳穂 @ サンケイホールブリーゼ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1231922014727753728?s=21

 

10/17:空間現代×三重野龍 @ 京都ロームシアター ノースホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1317482273810247680?s=21

 

10/25:cali≠gari @ 梅田バナナホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1320292802434002944?s=21

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1320341738108588033?s=21

 

10/27:大友良英中川裕貴・山内弘太 @ 京都UrBANGUILD

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1321029321205559303?s=21

 

11/1:FESTIVAL de FRUE @ つま恋リゾート 綾の郷

(折坂悠太(重奏)・角銅真実バンド・INOYAMALAND・石橋英子+山本達久)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1322835048236634112?s=21

 

11/3:BUCK-TICK(フィルムコンサートツアー『ABRACADABRA ON SCREEN』)@ ロームシアター京都 メインホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1323546410436812800?s=21

 

12/6:聖飢魔II @ ロームシアター京都 メインホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1335505983087337472?s=21

 

12/29:THA BLUE HERB @ 恵比寿リキッドルーム

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1343902831732957184?s=21

 

 

〈その他〉

 

GEZAN『狂(KLUE)』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1222435300162465792?s=21

 

Hyukoh『through love』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1222923658546442240?s=21

 

Flanafi『Flanafi』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1224712482456993792?s=21

 

King Krule『Man Alive!』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1230529997951004674?s=21

 

NCT 127『NCT #127 - Neo Zone』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1240542104507441153?s=21

 

downy『第七作品集『無題』』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1242019338908872704?s=21

 

LUGUBRUM『Plage Chômage』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1243558253239226368?s=21

 

サブスクリプションサービスの普及と「アルバム」の話

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1244020507889950720?s=21

 

Thundercat『It Is What It Is』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1245747346383572993?s=21

 

NNAMDÏ『BRAT』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1245984098494984192?s=21

 

Yves Tumor『Heaven To A Tortured Mind』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1246070899645640714?s=21

 

Wilma Archer『A Western Circular』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1247539579583750144?s=21

 

Flanafi『Passing Over』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1247597071168749568?s=21

 

SWEVEN『The Eternal Resonance』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1247821725879816192?s=21

 

#30DaySongChallenge

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1248264428748812288?s=21

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1248524108507185155?s=21

 

AFTERBIRTH『Four Dimensional Flesh』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1248595064084787200?s=21

 

4/12:空間現代 Live Streaming @ 外

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1249294810738909185?s=21

 

AZUSA『Loop of Yesterdays』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1250045376775598080?s=21

 

赤い公園『THE PARK』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1250361403048734721?s=21

 

ORANSSI PAZUZU『Mestarin kynsi』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1251596150919974912?s=21

 

ULCERATE『Stare Into Death And Be Still』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1253645537363914752?s=21

 

altopalo『farawayfromeveryoneyouknow』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1253733128419459073?s=21

 

Kassa Overall『I Think I'm Good』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1255828667374043136?s=21

 

エクストリームメタル特にデスメタルにおける音響芸術志向いうなれば「raw-fi」サウンドについて

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1255856886923976707?s=21

 

BLACK CURSE『Endless Wound』、ハイコンテクストさとキャッチーさを両立させるデスメタルという音楽についての話

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1255855250621120513?s=21

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1256206431570636802?s=21

 

「メタル」という言葉が示すものの変遷について

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1258539952930820096?s=21

 

THE NOVEMBERS『At The Beginning』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1260054563328888833?s=21

 

TRIPTYKON『Requiem(Live at Roadburn 2019)』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1262703375939846144?s=21

 

The 1975『Notes On A Conditional Form』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1263536907985641472?s=21

 

Moodymann『TAKEN AWAY』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1263982107212177408?s=21

 

藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1264481946333151232?s=21

 

藤井風『HELP EVER HURT COVER』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1264480659646541824?s=21

 

Jim O'Rourke『Shutting Down Here』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1264929647319375873?s=21

 

代代代『Φ』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1265307713191346176?s=21

 

長谷川白紙『夢の骨が襲いかかる!』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1266056080636776448?s=21

 

XTAL『Aburelu』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1266298129323708417?s=21

 

6/6:THA BLUE HERB 無観客配信ライヴ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1269594468233080832?s=21

 

ZILF『The Album』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1271780291791646725?s=21

 

ENDRECHERI『HYBRID FUNK』サブスク解禁

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1272908314419105796?s=21

 

ENDRECHERI『one more purple funk』サブスク解禁

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1272914786997526529?s=21

 

ENDRECHERI『NARALIEN』サブスク解禁

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1272921051727458304?s=21

 

aiver『chandelier』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1274608596530020352?s=21

 

ENDRECHERI『LOVE FADERS』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1275334194067992577?s=21

 

NEPTUNIAN MAXIMALISM『Éons』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1276500396047921152?s=21

 

Poppy『I Disagree』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1277104908626350081?s=21

 

Boris『NO』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1279485909784641536?s=21

 

岡村靖幸と『ミュージック・マガジン』6・7月号の話

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1281482002672136192?s=21

 

剛 紫『美 我 空』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1283058681622519816?s=21

 

堂本剛『TU』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1283064082828898304?s=21

 

7/19:Suchmos@LIVEWIRE(WWW Lounge)配信

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1284804943023443973?s=21

 

堂本剛『Grateful Rebirth』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1285247282980376576?s=21

 

REBEL WIZARD『Magickal Mystical Indifference』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1285962375724625926?s=21

 

YUKIKA『SOUL LADY』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1286536120415617025?s=21

 

Dos Monos『Dos Siki』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1286399186003402752?s=21

 

SPIRIT POSSESSION『Spirit Possession』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1289885508227620865?s=21

 

Khthoniik Cerviiks『Æequiizoiikum』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1289907528311087105?s=21

 

No Lie-Sense『駄々録』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1290236649989758978?s=21

 

米津玄師『STRAY SHEEP』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1290545664091283457?s=21

 

Duma『Duma』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1292496075245248512?s=21

 

Salmonella beats『Salmonella brain』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1294866558821396480?s=21

 

NECROT『Mortal』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1301506418902671361?s=21

 

BUCK-TICK『ABRACADABRA』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1307866206297157632?s=21

 

堂本剛 平安神宮 奉納演奏(事前収録放送アーカイブ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1310919471591161856?s=21

 

cali≠gari『ブルーフィルム -Revival-』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1311319314671173635?s=21

 

ENDRECHERI生配信ライヴ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1315968507469733893?s=21

 

Ghostemane『ANTI-ICON』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1319286413469257734?s=21

 

君島大空『縫層』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1326895527846350849?s=21

 

DARK TRANQUILLITY『Moment』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1330924273431547906?s=21

 

浦上想起『音楽と密談』

 

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1332986518097391619?s=21

 

Flanafi『Do You Have My Money?』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1336354874808659971?s=21

 

妖精帝國『the age of villians』

 

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1339587707928920064?s=21

 

 

 

【2019年・年間ベストアルバム次点】

【2019年・年間ベストアルバム次点】

2019年に発表されたアルバムの個人的ベスト次点36枚です。
順位は無し。並びはアルファベット順です。

評価基準はこちら
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2014/12/30/012322
個人的に特に「肌に合う」「繰り返し興味深く聴き込める」ものを優先して選んでいます。
アルバムを付き合う相手にたとえるならば、恋の激しさよりも愛の深さ、もしくは微妙な緊張関係があったとしても腐れ縁的に長く付き合えるものを。家にたとえるならば、時々訪れてキレイさ面白さに感心するアミューズメントパークみたいなものよりも、終の棲家として長く過ごせるだろうものを優先して選んでいます。

上半期ベストで扱ったものに関しては基本的にはそのまま転載しています。

ベスト20はこちら(機会があれば本記事と同様にまとめます)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1211688912432709634?s=21


【次点36枚】


《一覧》

あいみょん
Anna Meredith
Arthur Moon

Billie Eilish
black midi
THA BLUE HERB
BRING ME THE HORIZON
cali≠gari
clipping.
DARKTHRONE
Dos Monos
・・・・・・・・・
FKA twigs
FLOATING POINTS
FLYING LOTUS
細野晴臣
Jacob Collier
空間現代
ももいろクローバーZ
MON/KU
MORRIE
NOT WONK
THE NOVEMBERS
Ossia
O Terno
小袋成彬
OPETH
Pedro Kastelijns
崎山蒼志
Suchmos
THANK YOU SCIENTIST
Tyler, The Creator
Uboa
VAURA
WASTE OF SPACE ORCHESTRA
WILDERUN

 

 


《短評》

 


あいみょん『瞬間的シックスセンス

 

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ここ数年「90年代J-POP的なものを“おふくろの味”とする音楽が増えてきたな」と感じることが多い。ひとくちに歌謡曲とかJ-POPと言ってもそれが作られた時期によって音進行の傾向は異なり、大雑把に括っても70年代に売れた曲と90年代に売れた曲のコード進行はそれぞれ感覚的ながら明確に聴き分けられる薫りやクセのようなものがあるように思う。フレーズやコードの反復から生じるループ感覚を滑らかな解決感(「AメロやBメロでどれだけ複雑な進行をしていてもサビでは一気に単純な泣きの進行になる」と言われがちだったJ-POPのサビの部分に顕著)のもとでどう残すかという具合、さらに言えばその参照元には年代ごとに大まかな傾向があり、そしてそれを聴いて育った後の世代はそれを無意識的に身に付けていく。大森靖子(音源発表は2012年頃から)の楽曲に小室哲哉ハロプロに通じるコード進行が多いように、90年代に大ヒットしたタイプの音進行を血肉化(「日本人の舌は醤油を欲するように育てられてしまっている」的に)した音楽がこのところ明らかに増えてきた、というか基本的なスタイルのいくつかとして定着してしまった感がある。個人的に興味深いのはそうした90年代的な要素がまったく忌避の対象になっていないことで、これは自分(1982年生)のように当時の売れ線J-POPに全く馴染めなかった立場からすると意外ではあるのだが、その一方で自然でとても好ましいことにも思える。時代が一周してフラットな立場から健全に向き合えるようになったというか。スピッツ浜田省吾の影響を公言するあいみょん(1995年生)もそのひとりで、親の代または直近のミュージシャンからそうした要素を受け継いできた面も多いのかもしれない。

ミュージック・マガジン』2020年1月号「特集 ベスト・アルバム2019」の「Jポップ/歌謡曲」の選者評に以下のようなコメントがあった。「19年はヒット・チャート的にはあいみょんOfficial髭男dismの年だったが、両者ともに売れるだけの質はあるもののドメスティックな音楽の縮小再生産という感は否めず、図らずも日本社会の景気の悪さを体現した印象。対照的にここに選ばれた、我が道を行く人たちの作品は力強い。」これは“新陳代謝が盛んなアメリカのポップシーンと比較して日本はどうしてそうならないのか”というもどかしい思いも背景にあるのだろうし、90年代J-POP的なもの(CDバブル時代の“悪貨が良貨を駆逐する”ような傾向を含め)に嫌悪感があるだろうことも考えれば無理もない話なのだが、「ドメスティックな音楽の再生産」なのは誤りでないとしてもそれは「縮小」なのか、そして「我が道を行く」ものでないと言えるのか、ということについては議論の余地がある。90年代~00年代的な音楽語彙を駆使していてもその使い方は当時のそれとは異なり、特有のエッセンスを受け継ぎつつより味わい深い個性を確立できているものが多いし、オリジナルは化学調味料的な不自然な成り立ちをしていたとしてもそれを血肉化した現世代は優れた自然物として再構築してしまえている(商業的なヒットソングを健康的に咀嚼した上で自らの我が道を行く表現に活用してしまっている)ものも少なからずあるのではないか。ガワもダシも似ているが総体としてはしっかり別物で、そしてそれは海外の音楽には真似できない優れたオリジナリティを確立できている。そうした表現を「90年代J-POP的なものを“おふくろの味”とした」上でやってのける音楽がここ数年明らかに増えてきていて、そうしたものを適切に評価するには90年代J-POP的なものに対する偏見や生理的抵抗感はとりあえず脇に置いておかねばならない。あいみょんOfficial髭男dismが今の10代や20代からも大きな人気を得ているのをみるとそう実感させられる。

あいみょんについていうと、音楽的には上記のようなこともあってそこまで深くのめり込めるタイプのものではないのだが、とにかく歌唱表現力が素晴らしいので聴けば惹きつけられるし良いと思わざるを得ない感はある。これが売れるのは当然というか健全なことだし、こうした方向性でなければ到達できない音楽性をどんどん開拓していってほしいと思う次第です。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1095676568662228993?s=21
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1095541829636784128?s=21

 

 

Anna Meredith『FIBS』

 

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雑にたとえれば「Moebius, Plank , Neumeier『Zero Set』とGENTLE GIANTを混ぜてSt. Vincentでまとめたソフト&ハイパーな音楽をアカデミックなクラシック音楽の側から構築している」という感じの音楽。ポストパンク的な音色も多用してはいるが音進行はクラシック音楽の機能和声(それもヴィヴァルディやモーツァルトホルストあたりの不協和音があまりきつくないもの)で育ったことを窺わせる滑らかなものばかりで、複雑で層の厚いアレンジをしながらも極めて聴きやすく整った構造が美しい。構成は曲単位でも一枚全体でみても非常によく整っていて、ポップミュージックのアルバムとして完璧に近いウェルメイドだと思う。ポストパンクやビートミュージックからクラシック音楽にアプローチしたというよりも、本業であるクラシック音楽の感覚をエレクトロポップの語法を用いて構築したような趣の音楽で、センス一発のモーダルな進行に陥らずその上で安易に解決しすぎない引っ掛かりを備えるバランス感覚が素晴らしい。傑作だと思います。
特筆すべきはそれこそヴィヴァルディ「四季」のような健康的で爽やかな昂揚感で、ライヒ的なミニマル要素やONEOHTRIX POINT NEVERのような電子音響を駆使しながらもあまり“アヴァンギャルド”であることを目さない配合がポップミュージックとしてはむしろ非常に良い塩梅で機能しているように思う。個人的にはもう少しジャズ寄りの切れ味鋭い和声進行が好きなのでそこまでストレートにのめり込む対象にはなっていないのだけれども、それでも何度でも飽きずに聴き通せる素晴らしいアルバムになっている。GENTLE GIANTをわりとそのまま連想させる「Killjoy」が特にお気に入りです。


本作についての優れた紹介記事
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23546

 

 

Arthur Moon『Arthur Moon』

 

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DIRTY PROJECTORSやBon Iver以降の感覚から生まれたSLAPP HAPPY」というふうにたとえられるような気もするが、既存の何かに似た響きを持ちながら何にも似ていない。テクニカルだが嫌味さは全くなく、偏屈なところもありつつ底抜けに素直な印象もある。複雑で親しみ深い、魔法のような音楽です。

 

本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1157308177550958594?s=21

 

 

Billie Eilish『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』

 

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今年のポップミュージックを代表し象徴するアルバム。ビリー・アイリッシュと本作については『ユリイカ』の特集号に寄稿しいろいろ書きましたが
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1186103169375326208?s=20
(チルウェイヴ/ダブステップ、ASMR、ストリーミングサービスで有利な音響、ビリーの楽曲の歌いやすさ、健全な自己肯定感などについて、「声量」から「声質」というテーマでまとめた)
ここ数年から今年に至る社会情勢や音楽的流行を反映し以降への流れを示す点においても(「チル、暴力、そして健康」というキーワードをツイッターで見かけたが過不足なく完璧な謳い文句と言える)そうしたことを超越したタイムレスでオリジナルな傑作としても稀有の傑作だったと思います。様々なジャンルの音楽メディアで高く評価されるのも当然の内容だし、音楽一般に馴染みがない人が無理なく多方面に接続する入口としても素晴らしい。近いうちに実現するだろう来日公演や2ndフルアルバムの発表が楽しみです。


こちらでも詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1111345274494943233?s=21

 

 

black midi『Schlagenheim』

 

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本作については最初「NOMEANSNOと70年代前半GENESISをかけあわせたようなハイエナジー&超繊細な演奏、全盛期GENTLE GIANTと初期SWANSをCAPTAIN BEEFHEART経由で融合したような異常に豊かな作編曲。SLINT『Spiderland』にも並ぶような化け物級傑作」と形容して、これは今でも誤りではないと思っているのだが、聴いた人の数だけ異なる比較対象が挙がるのを見ているとそうしたことはやはりあくまで膨大な音楽要素の一部分に過ぎないのだろうなという気がする。ハードロックにもハードコアにもなりきらない演奏感覚とか静と動を滑らかに接続する(オンかオフかではなくその間の様々なパラメータを繊細に行き来する)ダイナミクスコントロールが本当に凄いバンドだし、今年9月の来日公演ではそうしたポテンシャルの凄さが多少のムラとともに非常によく示されていた。本作を余裕で超える作品を連発してくれそうでもあるし、来年あたり急に解散してしまう可能性もゼロではなさそう、というふうに刹那的な危うさと安定感が同居するところもすごく面白い。また生で観たいしできるだけ長続きしてほしいものです。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1141735775563730944?s=21

来日公演感想(大阪・京都)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1169941189534961664?s=21
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1170284432764235778?s=21

 

 

THA BLUE HERBTHA BLUE HERB

 

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本作に伴うツアーではアルバム収録時間と同尺の2時間半におよぶパフォーマンスが繰り広げられていたが、その京都公演(8/27)に行って個人的に初めて気付かされたことがあった。自分は最近までTBHのラップというよりもポエトリーリーディングに近い(ビートに一音一音密着するというよりも絡まず並走する感じの)フレージングの魅力がよくわからなかったのだが、そういうタイプの演奏だからこそ生み出せるタイプの表現力が発揮されていたのである。BOSSの微妙に生硬いフロウはミニマル音楽とファンクの中間かなり前者寄りという感じのもので、長いスパンで持続する流れを作りながらも安易に踊らせ忘我に至らせることはない微妙な按配を保つ。BOSSというとハードコアにも通じる気迫・深みを感じさせる声やリリックの魅力が賞賛されることが多いけれども、ある種アンビエントにも通じるこうした緩急コントロールやペース配分、スタミナのほうが音楽的特性としては稀有な持ち分なのではないか。初のセルフタイトルとなった2枚組の本作が2時間半の長さを負担なく聴き通せるものになっているのもBOSSのそうしたアンビエントな声の表現力によるところが大きく、それはO.N.Oのトラックについても言える(過去作に比べれば淡白になったとも言われるが本作の方向性に最適化しあえて刺激を前面に押し出さないようにしたものだと思われる)。特有の揺れるが跳ねないリズム処理は過剰に身体的なノリを作らず語りを聴き手に染み込ませるのに適した形態なのだろうし、2時間半のライヴを非常に短く感じさせてしまえるのもこうした声の表現力にソウルミュージックやファンクに連なるセット構成の技が加わっているからなのだろうと思えた。このような“伝える技術”は音楽うんぬん以前に一般的なコミュニケーション能力として驚異的に優れたもので、しかもそれは大量の言葉を綴れるヒップホップという音楽形式だからこそ最高度に発揮される。そうしたことをひたすら実感できる素晴らしいライヴだった。
そして、そうしたステージに接して強く感じたのが「TBHのライヴは演し物ではなくコミュニケーションなのだ」ということだった。自己主張や自意識を見せつけるための決まりきったセットではなく、観客とのやり取りを通しそこでしか得られないものを生み出す場。セルフボーストをしていてもエゴの押し付けにはならず、あくまで「俺はここにいるぞ(そして、お前はどうなんだ)」という実存の謙虚な主張になっているというか。これほどパーソナルな語りをしているのにBOSSソロではなくあくまでTBHとしての存在感を保っているのはそういう姿勢があるからだろうし、スピーカーから一方通行に流れてくる音であっても行間に“一行一行に反応して考える”間が用意されているから一対一の対話になるようにできている。本作はTBHの以上のようなアンビエント性・対話姿勢を最高の形で具現化することに成功した傑作で、一聴して地味に思えたとしても繰り返し聴き込むほどに味が増していく。長く付き合っていけるように作られている素晴らしいアルバム。ストリーミング配信解禁を待たずに買う価値のある傑作だと思います。


本作に関するインタビュー十数本のリンクまとめなど
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1147082164560785408?s=20

RHYMESTER vs. THA BLUE HERB、BEEFと和解の記録
(本作収録「TRAINING DAYS」の背景を丁寧に解説した素晴らしい記事)
https://twitter.com/sapporo_posse/status/1198524209581838336?s=20
https://twitter.com/tbhr_sapporaw/status/1198811831738892288?s=20

 

 

BARONESS『Gold & Grey』

 

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BARONESSの音楽性はプログレッシヴスラッジメタルなどと呼ばれますが、そのアウトプットの仕方は作品ごとに大きく異なります。1st『The Red Album』(2007)と4th『Purple』(2015)がそうした呼称のよく似合う逞しく神秘的な曲調が並べられた作品になった一方で、2枚組となった3rd『Yellow & Green』(2012)はメタルとかハードロックというよりはむしろブリティッシュフォークをプログレッシヴロックやミニマル音楽のフィルターを通して変容させたような穏やかな歌モノ揃いのアルバムとなり、音楽的バックグラウンドはもともと非常に広く豊かだということが示されていました。2nd『Blue Record』(2009)はそうした豊かな音楽性をうまく整理することができずアルバム全体としてはやや均整を欠いた仕上がりになってしまっていたと個人的には思うのですが、5thフルとなった本作『Gold & Grey』(1枚組扱いですがタイトルや構成を考えれば2枚組を意識してそう)ではその2nd的な路線が非常に良い形で成功しているように感じられます。本作の印象を一言でまとめれば[ソランジュ『When I Get Home』とBLACK SABBATH『Vol.4』の間にあるようなアルバム]で、ミニマル/アンビエント寄りの単曲やOPETHあたりに通じる神秘的なコード遣いなど過去作では前面に出てきていなかった要素を抽出発展させつつ、隣接する各曲間では微妙な溝があるのにアルバム全体としては不思議と整った輪郭が描かれる、という難しい構成を見事に築き上げています。ある場面ではポストパンクやエモの薫りが漂い、また別の場面ではTHIN LIZZYやブリティッシュフォーク的な叙情が立ち上る、そしてそれらに通低する味わいにより異なる音楽性の並びに不思議な統一感が与えられている、というように。ストーナーロック版ロジャー・ウォーターズPINK FLOYD)という趣のボーカルも非常に良い味を出していると思います。BARONESSはインディーロックとメタルの間を繋ぐような音楽性を最も早く体現するバンドの一つとしてALCESTやDEAFHEAVENなどと並びこちら方面の代表格であり続けていましたが、4年ぶりのこの新譜はそうした領域における屈指の傑作になっていると思います。繰り返し聴き込み吟味したいと思わされる不思議な魅力に満ちたアルバムです。

 

 

cali≠gari『ある職業病への見解と、それに伴う不条理な事象とか』

 

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cali≠gariを聴き始めて8年ほどになるが、メジャー感とアングラ感の両立(というか渾然一体化)がここまで異様に発達成熟しているバンドは世界的にも稀なのではないかという印象が年々強くなってきている。陰湿で暗い場面でも突き抜けてポップだったり余裕のある感じが必ず伴っているし、底抜けに明るい曲調でも底知れない闇が常に広がっている。このバンドが凄いのはそうしたアンビバレントな感じを少しも重苦しくなく気安く聴かせてしまえるところで、それは作編曲や演奏(特にボーカル)など全ての要素から無理なく自然に生じる在り方なのではないか。cali≠gariについては昨年の年間ベスト記事
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2018/12/27/224058
で1万字ほど書いたけれども、それを簡単にまとめれば上記のような「メジャー感とアングラ感の両立」ということになるのだと思う。
本作はcali≠gariが初めて即物的な痛み(ヘルニア)について歌った作品だが、深刻さとそれを不思議と気にしすぎていない感じは過去作とあまり変わらない。ということはつまり、逆に考えれば精神的な痛みを扱うことが多かった過去作も深刻になりすぎていない(しかししっかり深刻ではある)感じこそがキモなのかもしれないということになる。石井秀仁の少しも移入しないけれどもしっかり解釈し丁寧に表現するボーカルはこのような印象や按配を生み出すバランサーとして重要だし、それに当たり前のように拮抗する他メンバーもやはり凄く、本当に得難いバランスを勝ち得てしまったバンドなのだなということを実感させられる。

cali≠gariについてもう一つ思うのは「世間からの評価というものをほとんど気にしないステージに突入してしまっているのかな」ということ。SpotifyApple Musicのようなサブスクリプションサービスには(メジャーなレコード会社から近年発表した作品を除き)全く音源を配信せずCDのみでの発売を継続し、そのCDに関しても一般流通版と限定版(ファンクラブ会員限定や会場販売限定など)とで収録曲数を変えてくることが多い。これはいわゆる「ヴィジュアル系商法」の流儀に従ったものでもあるのだが、それを貫けるのはサブスク解禁による短期的な盛り上がり・一般的評価の上昇・新規ファン参入のようなことを全然求めていていないからなのではないかという気もするのである。これはシーンにおける唯一無二の評価を既に勝ち得てしまっているから一般評価を気にする必要がないというのもあるのかもしれないし、バンドにとって良い客筋(個々のファンについてもファン間の雰囲気や居心地についても)を維持するためにあえて参入障壁を高くしているというのもあるのかもしれない。自分はほぼ全ての音源を既に入手しているので「配信が解禁されなくても別に困らないけれどもサブスクのリンクを貼ることができればおすすめをしやすくなって便利だな」というくらいの立場で、どちらかと言えば配信はした方がいいのではないかと思うのだが、そのタイミングはバンド自身(こういう策謀やリサーチは人一倍やっているグループでもある)が十分見極めているだろうし外野がどうこう言うべきものでもない。ともあれ本当に面白く凄いバンド。活動休止(これも少なからずヘルニアのせいだったとのこと)も無事終わったし、今後も楽しく追い続けていくことができそうなのは間違いない。


本作の素晴らしい内容についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1206116213442539520?s=20

会場交換限定(契約の関係?)でリリースされた初期曲再構築アルバム『0』についての話
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1087271402237906944?s=20

 

 

clipping.『There Existed an Addiction to Blood』

 

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アメリカのヒップホップグループがSub Popから発表した3作目のスタジオアルバム。ヒップホップといってもトラックはかなりイレギュラーなもので、たとえば3曲目「He Dead」ではほぼノンビートなダークアンビエントの上で超スキルフルなラップが展開される。一般的に「ノンビート」というとドラム音が入っていないだけでシンセやギターの反復フレーズなどから拍を読み取れるものがほとんどだが、この曲の場合はトラックは定型フレーズ一切なし(単独で流されたらBPMを把握することはほぼ不可能)、その上で正確に高速連打されるフロウが明快なビートを示すようになっている。ここまでくるとトラック自体が想定しているBPMとラッパーが意識しているBPMは果たして同一なのか?という疑問が生じるが、どちらに意識を向けても興味深く聴くことはできるし両者の絡みにも違和感はない。本作はこういう関係性が様々な形で表現されているアルバムであり、アンビエント的にロングスパンで流れる時間感覚が全体を貫いていることもあってとてもまとまりのいい一枚になっている。そうした組み合わせを実現するテーマとしてのSF~ホラー映画というのも実にうまく機能していて、ジョン・カーペンターなどを意識しているというトラックもリリックと相性抜群なのではないかと思う。

本作の最後を飾る18分の「Piano Burning」は実験音楽家Annea Lockwoodの1968年作を実演したもの。「Piano Burningにはアップライトピアノを用いなければならない。グランドピアノよりも燃える姿が美しいから。用いるピアノは完全に修復不能なものでなければならない。どんな調律師や修復者の手をもってしても再生不可能なもの。本当の意味で機能しないピアノを。」という楽譜の指定に本当に従ったかどうかはわからないが、ピアノの木材が崩れ弾けていくときに鳴ると思しき音が静かに捉えられ続けている。この不穏だが不思議と安らぐ曲はその前までの明確なビートがある曲と比べ聴き手に別のモード(音響への反応の仕方、時間の流れ方に対する感覚や身構え方)を要求しそのあたりをうまくスイッチすることを求めてくるのではないか、と始まった瞬間は思わされるのだが、初回から意外と問題なく続けて聴くことができるし退屈させられることもない(もちろんこの手の音響に慣れていればの話だが)。この曲も含めアルバム全体に共通する感覚があり、それがイレギュラーながら魅力的に提示されていることがよく伝わってくる一枚で、理屈を超えるこのようなプレゼンテーション能力も個性や醍醐味のひとつになっている作品なのだろうと思う。

なお、その「Piano Burning」をCD音質(Bandcampで安価でダウンロード可能)で聴くとサブスクのストリーミング圧縮音質に比べ暴力的な印象が一気に前景に出てくるし、木材が燃え崩れていく際のくるみを握りつぶすようなサウンドの音響的快楽も格段に増す。再生条件や音響環境が聴取体験にどのような影響を与えるかということが実によくわかるし、サブスクで聴いて好印象を抱いた人はぜひ良い音質で聴いてみてほしいと思います。

 

 

DARKTHRONE『Old Star』

 

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様々な年代の音楽を聴いていると、同じジャンル名に括られる音楽であってもファンの世代によって好みが明確に分かれるのではないかと思えることが多い。例えば、ブラックミュージック(この言い方には少なからず問題があるので自分も“いわゆる”などをつけて慣例的呼称であることを示す場合以外は使うのを避けるようになった)におけるファンクとヒップホップ。もしくは、THE BEATLES以降の60~70年代ロック、80年代のニューウェーヴやポストパンク、90年代以降のいわゆるオルタナやインディーロック。そして80年代までのヘヴィメタルと90年代後半以降の広義のメタルなど。一括りに「ブラックミュージックファン」「ロックファン」「メタルファン」と言っても、その中でのサブジャンル全般を聴く人であってもその全てに同等にのめり込めることは少なく、どれか一つは大好きだが別の一つは苦手ですらあるということが少なくないように思う。その理由の一つにおそらく「ブルース成分の濃淡」というのがあって、例えばブルースのミニマル感覚を強調しつつ参照元の濃い引っ掛かり感覚(ドミナントモーションを起こさずにⅠ→Ⅳ→Ⅰなどのループで宙吊り感を保つ進行の“摩擦”の質や具合)をそのまま残していたファンクに対し、ブルース成分の薄い音楽からも積極的にサンプリングなどを通して影響を取り込んできたヒップホップでは、ループ感覚は保たれてはいるものの引っ掛かりがだいぶ薄いものになっている(これは上記のclipping.と60年代ソウルミュージックなどを聴き比べてみれば容易に実感できるはず)。また、いわゆるロックにおいても、ブルース感覚の積極的な導入に勤しんだ70年代頭までのロックとそれに反発し別のルーツを求めたニューウェーブやポストパンクとでは引っ掛かり感覚の質が大きく異なるし、一周回ってそこから回帰してきたようにみえる90年代以降のインディーロックをみてもハードコアパンクやカントリーのような薄口の引っ掛かり感覚が土台になっていることが多い。これには同時代のいわゆるブラックミュージックがブルース的な濃さを減じている(ヒップホップの影響を受けても濃いタイプのブルース成分は摂取しがたい)ことも少なからず関係しているだろう。メタルの領域においても同様の現象が起こっていて、近年新たにメタルを聴くようになった若い世代は70年代までのハードロック/ヘヴィメタル未分化期のもの(ブルース成分がまだはっきり残っていた時期のバンド)が得意でない場合が多いように思う。その分水嶺となったのがおそらく90年代のブラックメタルメロディックデスメタルメロデス)で、このところ一般的に「メタル」と言われるバンドの多くがメタルコアメロデスの影響が絶大)の系譜にあったり、Pitchforkなどでも好まれる知的なメタルがブラックメタルの音進行や脱ジャンル姿勢から大きな影響を受けているなど、近年の「メタル」の音進行傾向は80年代以前のそれとは全然別のものに入れ替わっている。従って、伝統的なメタルを好んできた人々からすると近年のメタルは速さや重さの基準が大きく異なるというような表面的な問題ではなく芯となる味の質が別物なのでのめり込むのが難しくなるし、近年のメタルにハマった若い世代がジャンル創成期のハードロック/ヘヴィメタルに慣れるのも同様の理由で難しい。冒頭で述べた「同じジャンル名に括られる音楽であっても世代によって明確に好みが分かれる」というのはこういうことで、こうした分断は今後さらに広がっていかざるを得ないように思われる。ブラックメタルとブルースを融合するZeal & Ardorのようなバンドも出てきているのでそれがシーンやメディアにうまく認められれば分断が再接続される可能性も少なからずあるとも思うが。

DARKTHRONEは90年代ノルウェーブラックメタルを代表する偉大な存在(いわゆるプリミティヴブラックメタルの生みの親)として知られるが、実は上記のような分断のちょうど中間に存在し両者を接続し続ける興味深い存在でもある。90年代ノルウェーブラックメタルシーンはもともと脱ジャンル傾向の非常に強い界隈で、当地を代表するバンドMAYHEMが初EP『Deathcrush』の冒頭にコンラッド・シュニッツラー(ex. TANGERINE DREAM, KLUSTER)の電子音楽を使うなど、メタルから出発しながらも伝統的メタル要素からは離れていくものが多かった。
この記事
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/03/27/050345
で概説したように、ブラックメタルは音進行自体もブルース成分を薄め別のものに作り替えていく流れのひとつの終着点に位置していたのだが、DARKTHRONEの2人はその中でも例外的な存在で、90年代中頃に一度ブラックメタルに染まり歴史的名盤3部作を発表した後は再び伝統的メタル方面に回帰する活動に転じていくことになる。70~80年代のハードロック/ヘヴィメタルや80年代ハードコアの超マニアである彼らは、自身がオリジネーターとなったブラックメタル的音進行の妙味はもちろんそれ以前のメタル/パンクの旨みも知り尽くしていて、それらを複雑に掛け合わせ煮詰める作業を人知れず繰り返してきたのである。「人知れず」というのには先述のようなリスナー側の好みの分断もおそらく関係していて、彼らが所属するブラックメタルシーン近傍の音楽を好むリスナーは彼らのメタルパンク的音進行をうまく受容するための回路を持ち合わせていないことが多い。そのため、わかりやすいカマしをほとんどせず渋く深い旨みの錬成をし続けていった彼らの作品は名盤3部作を除きほとんど注目されない状態が続いている。しかしその内容はいずれも素晴らしく、それなりの経験を通して味わい方を身に付けてから聴けば「こんなニッチなメタル的エッセンスをこんなマニアックなハードコアパンク成分と掛け合わせるのか!」というような配合の妙、派手ではないが前人未到の達成に感嘆しながら酔いしれることができる。本作収録曲で言えば、例えば70年代JUDAS PRIESTとPENTAGRAM CHILEを同時に連想させる2曲目の「The Hardship of The Scots」などが好例だろう。そうした異なる要素をMERCYFUL FATECELTIC FROST的な成分で繋ぎ、DARKTHRONEならではの薫り高いNWOBHM寄りプリミティヴブラックメタル風味で仕上げる。一見しただけでは全て同じような色合いに見えるが溶けているものは非常に多く場面ごとに異なるという趣の音楽であり、オールドスクールで目新しさなどどこにもないように見えて実は革新的。非常に優れた作品だと思います。

DARKTHRONEのような音楽を正当に評価するためには少なくともここで述べてきたような背景知識や立ち位置認識をわきまえておく必要があり、たまたまそのジャンルに長く深く慣れ親しんできた経験でもなければ適切に受容するのは難しい。もちろんたまたま出会って不思議な旨みにハマりここからジャンル全体にのめり込んでいくというルートもありえなくはなく、実際それだけの力がある音楽だとも思うのだが、そのジャンル自体においても先述のようにあまり注目されていない以上「門外漢がたまたま出会う」機会もほとんどないだろう。メタルにおけるDARKTHRONEのようなバンドは他ジャンルにもそれぞれ存在するだろうし、そうした“非常に地味だが革新的な追及を続ける最高の珍味”に出会うのは難しい。音楽を探求していくことの面白さと困難を同時に実感させてくれる得難いバンドです。

 

 

Dos Monos『Dos City』

 

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一言で言えばジャジーオールドスクール寄りヒップホップということになるのだろうが、サン・ラやセロニアス・モンクといったフリー寄りジャズ(あくまで“寄り”であって完全な滅茶苦茶でないのがミソかも)とかCAPTAIN BEEFHEARTを4拍子系にまとめたようなトラックは奇怪ながら超聴きやすく、何重にも意味を重ねクレバーにいちびるラップ/リリックにも同様の混沌とした理屈抜きの格好良さがある。超複雑なことをやりながらも常に上質のユーモア感覚があり、ぶっ飛んだ勢いがあるけれどもチャーミング、という感じの在り方は(フランク・ザッパというよりも)X-LEGGED SALLYやSamla Mammas Mannaに通じるものがあるように思う。ヒップホップ方面のリスナー(海外も含む)には既に熱狂的に歓迎されていますが、普段そうしたものを聴かないプログレッシヴ方面の音楽ファンもぜひ聴いてみてほしい傑作です。

というふうなことを上半期ベスト記事では書いたのだが、自分の見る限り本作はどんなタイプの音楽ファンにも驚くほど容易に受け入れられていた。プログレやジャズはもちろんヒップホップにも馴染みのない人が一発でハマる例も少なからず見受けられ、ここで挙げた全ての音楽への入門編としても絶好の一枚なのではないかとすら思えるほど。サンプル元やリリックの参照元アヴァンギャルドだがそういうものに一切興味のない者をも即座に惹きつけるキャッチーさがあり、聴きやすさやカマシの強さわかりやすさなど、卓越したプレゼンテーション能力があるからこそ生み出せるポップさが全ての要素に行き渡っている。個人的にはアルバムの序盤が終盤に比べ良くも悪くも強すぎる(一枚全体としてはややバランスが崩れている)ように感じられるのが気になるところだが、非常に流れまとまりの良い傑作なのは間違いない。近いうちに出るだろう次回作も期待しています。

 

 

・・・・・・・・・『points』

 

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いわゆる楽曲派アイドルポップスの一つの到達点。冒頭の「しづかの海」はMY BLOODY VALENTINELoveless』収録曲と大槻ケンヂ「GURU」を融合させたような至高の名曲だし、中盤のインスト2曲も[UNDERWORLDデトロイトテクノ]とか[あぶらだこDREAM THEATER仄かにグラインドコア風味]という感じの特殊IDM路線が実に良い。そうした各々微妙に異なる展開速度の楽曲が並ぶことでアルバム全体に不思議な時間感覚が生まれているのも興味深く、唯一無二の居心地のある一枚になっています。MASSCREカバーやpan sonicオマージュ(本作のジャケットは『vakio』を土台にしたものと思われる)をしつつ爽やかなシューケイザー/エモ/ドリームポップを基本路線とするグループの姿勢が非常に良い形で活かされた最終作。極めて検索しにくい名前(グループ名はdotsとかdotstokyoと呼ばれる)やアルバムタイトルが勿体なくも思えますが、できるだけ多くの人に聴いてみてほしい傑作です。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1113869412749041664?s=21

 

 

FKA twigs『Magdalene』

 

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2014年の名作『LP1』における〈エキセントリックな電子音響+不協和音R&B〉的な音楽性で絶賛を博し、アートポップのスターとして大きな注目を浴びながらも、2017年12月の子宮筋腫摘出手術と前後して消息を絶ち、2018年春のアップル向けCM主演でシーンに復帰するも音源制作中に恋人と破局。そうして完成したアルバムでは、ニコラス・ジャー、スクリレックス&ジャック・アントノフ、ダニエル・ロパティン(ONEOHTRIX POINT NEVER)など、『LP1』で共演したアルカと同等以上に強烈な電子音響遣い達が大挙して参加している…という情報をあらかじめ公表されていると、どうしても「これはおそろしく暗い作品に違いない」という危惧を抱いてしまうのではないだろうか。ニコラス・ジャーの底冷えするほどに静謐な名作『Space Is Only Noise』(2011)を素晴らしいと思いつつのめり込めなかった自分はそうだった。しかし、FKA twigsの5年ぶりのフルアルバムとなった本作は(もちろん全体的に暗い雰囲気に包まれてはいるけれども)意外なくらい聴きやすく気軽に接することができるものに仕上がっている。その理由として大きいだろうのがとにかく曲が良いということ。どの曲も歌ものとして圧倒的によくできている上にアルバム全体としての流れまとまりも完璧で、電子音響ゼロの単独弾き語りにアレンジしたとしても聴き手を飽きさせないだろう優れた歌曲集になっているのである。また、タイトルからして切実な2曲目「Home with You」最後の盛り上がり(KING CRIMSON「Islands」激情版とも言えるような“笑顔で慟哭する”感じ)から比較的穏やかな(つまり泣きはらした後に小康状態に至るような?)次曲「Sad Day」へ繋がる流れなど、テーマは哀しいままかもしれないが無理のない解放感を生む展開もあり、そういう場面転換/対比やそれに繊細に寄り添う電子音響アレンジが全体の緩急構成を極限まで美しく整えているようなところもある。こうしたアルバムの成り立ちはミニマル/クラブミュージックというよりはケイト・ブッシュビョークの系譜にしっくりくるものであり、プロダクションがどれだけ実験的になっても優れて聴きやすいポップミュージックであることを忘れない。アルバムジャケットやMVなどで一貫して提示される“醜美”(ビザールでグロテスクな崩れ方と完璧に均整の取れた美しさが常に両立される佇まい)もおそらくは先述のようなバランス感覚の賜物で、サーカスのこけおどし的な振る舞いをある種のユーモアとしても真摯な表現としても求め駆使できているからこそ、どれほど暗くなっても重たくなりすぎはしない独特の雰囲気を生み出し維持できるのではないか。2015年1月の来日公演のシリアスながらもチャーミングでエンターテインメント性にも溢れるステージ(15cmはあろうかという物凄いヒールで高速のダンスをキメまくる姿は理屈抜きの機能的快感に満ちていた)にもそういう印象があった。また来日して素晴らしいパフォーマンスを見せてほしいものです。


RA(電子音楽関連では屈指の音楽メディア)の素晴らしいベスト記事でもNo.1を獲得
https://jp.residentadvisor.net/features/3567

 

 

FLOATING POINTS『Crush』

 

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ダブやテックハウスの最も美味しい響きのみを抽出したような中低域、モジュラーシンセの暴力的で艶やかな音色など、本作はまずなによりもサウンドが圧倒的に素晴らしい。全てのパートの鳴りが極上なうえに音量変化も繊細で、一人で製作する電子音響だからこそ可能になる超絶的に緻密なオーケストラ演奏が具現化されているような音楽になっている。そうした異常な作り込みをしながらも数週間という短期間で即興的に完成されたというアルバムの構成は謎な部分が多く、どのトラックも変則的ながら魅力的なフックに満ちているし全体の流れまとまりも申し分なく良いことはわかるものの、個人的にはいまいちうまく捉えきれていないというのが正直なところ。30回ほどは聴き通したし年間ベスト20に入れようか迷いもしたけれども、とりあえず今回は評価を保留し今後も折に触れ聴き返していくことにしたい。間違いなく傑作だし非常に評価の高い作品でもある。アルバム全体の過ごし方(もしかしたら曲によって異なる時間感覚を想定して接するべきなのかも)や構成の俯瞰的把握ができれば理解の糸口が急に得られるかもしれないとも思う。

本作については非常に興味深いインタビューが多く、特に
agraph牛尾憲輔)による解説記事
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23576
は優れた示唆に富むものになっている。
以下のリンク先にまとめた4つの本人インタビューもとても面白い。
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1186592503182422016?s=20


これを書きながらふと思ったのだが、曲単位で雰囲気や居心地がわりと明確に変化し、それぞれに必要最低限浸らせてくれる一方で決して長引かせることなく次へ次へときびきびつないでいく、という展開の仕方(このあたりは実にDJ的)が個人的にしっくりきていないというのはあるのかもしれない。そう考えるとまさに先述のような「曲によって異なる時間感覚を想定して接する」姿勢が必要になるし、それぞれの場面にじっくり浸り余韻を求めようとはせずに繋ぎの手際の良さを楽しんでいく方がうまくノレるのだろう。こういう閃きが得られただけでもこうして短評を書いて良かったなと思えるし、書きながら考えをまとめることの大事さを実感する次第であります。

 

 

FLYING LOTUS『Flamagra』

 

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いわゆるブラックミュージックにおけるプログレッシヴロック的感覚/構造の受容という点において一つの最高到達点と言えるアルバム。FLYING LOTUSは以前からGENTLE GIANTやSOFT MACHINE、CANなどをよく聴いていると発言しており、FINAL FANTASY Ⅶなどのゲームサントラもあわせブルース的引っ掛かりの少ない音楽からも積極的に影響を受けてきたようですが(親族であるジョン・コルトレーンアリス・コルトレーンのようないわゆるスピリチュアルジャズ~フリージャズ方面の音が同様にブルース的引っ掛かりから距離を置くものだったというのもその下地になっていた面もあったかも)、本作においてはそちら方面のアイデアや構築美が楽曲単位でもアルバム単位でも過去最高の形でうまく活用されています。最先端のビートミュージックで培われた知見でカンタベリープログレや近現代クラシック(ストラヴィンスキーあたり)を転生させたような趣も。よく編集し抜かれた一本の映画のような構成力があり(デヴィッド・リンチがナレーションを務める13曲目「Fire Is Coming」を挟む前半後半はともに約32分という凝りよう)、それでいて過剰な解決感もなく繰り返し聴き続けられる。マッシヴなボリューム感を気軽に呑み込ませてしまうクールで熱い大傑作です。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1131575850405548036?s=20

 

 

細野晴臣『HOCHONO HOUSE』

 

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近年海外からの再評価(インディーロック/ポップス方面からの熱い注目など)もめざましいレジェンドが近年のポップミュージックの刺激的な音響に触発されつつ1stアルバム(1973年作)収録曲を逆順でリメイクした1枚。そうした音響(サブスクリプションサービスにおけるラウドネス処理に適した無音・超低音処理など)に完全対応しつつ独自のものを生み出してしまったサウンドプロダクションも素晴らしいですが、そうした音作りの凄さよりも歌モノとしての楽曲強度や細野晴臣という人自身の演奏表現力ひいては人間的魅力そのものが際立つ不思議な作品になっていると思います。オリジナル版に勝るとも劣らない、時代を超える大傑作だと思います。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1105029896277880834?s=20

 

 

Jacob Collier『Djesse - Vol.2』

 

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ジェイコブ・コリアーの音楽については「凄すぎてよくわからない」というのが正直なところではある。この「よくわからない」というのは、複雑な和声理論やそれを微分音まで駆使して実音化するシビアな感覚が自分の理解の範疇を超えているというだけでなく、一体どういう思考回路をしていればこういう構造の音楽を追求することになるのだろうかということの方がむしろ大きいかもしれない。(自分もアカペラを15年ほどやっているので微分音のコントロールまでは真似できないとしても歌唱表現的にはコーラス/ベースも含めそうひけをとらないことはできる。)スティーヴィー・ワンダーなどに影響を受けていることはわかるしそこから得たのだろう要素を音楽性の一部分に見つけることもできるけれども、一体どういう発想をしたらそういう組み込み方または改変の仕方をするに至るのだろうか理解に苦しむというか。その意味で、ジェイコブ・コリアーという人はいわば「たまたま地球のポップミュージックを聴いて育った異星人」のようなものであり、身体能力も優れてはいるだろうけれどもそれ以上にその使い方や発想の仕方自体が別次元に高度なのだと思う。本作収録曲でわかりやすいのは名曲「Moon River」の3分30秒あたりからのエクストリーム過ぎるコーラスワークで、このあたりはアカペラアレンジの常識(この人を聴いていると実にくだらないものに思えてくる)を知っていればいるほど笑える。和声も高音コーラスの動き方もTAKE 6などの系譜に連なるものではあるが、世界最高のアカペラバンドと言われるTAKE 6でさえここまではやらないというか。こういうアレンジを楽譜上で作り込むところまではいいとしてもその実演を要求されて対応可能な人がどれくらいいるかというと実に難しいところで、それに文句を言わずこなしてしまえる人材の確保という点でも彼の「ひとり多重録音」は選ばれるべくして選ばれた製作方式なのだろう。そうした環境におけるセルフしごきを通して作編曲および演奏表現力が鍛えられ続けてきた面もあるのだろうし、この良循環を通してこの人のミュージシャンシップは今後もさらに成長していくはずである。

これが2作目となる『Djesse』シリーズは、数々の偉大なミュージシャン(クインシー・ジョーンズスティーヴィー・ワンダーをはじめ無数の天才たち)から優れた才能と気質を認められたジェイコブが潤沢な製作費を与えられた上で世界中の優れたミュージシャンとコラボレートしまくる“音楽による地球一周”企画で、独特の神経質さを微かに伴う底抜けにポップな雰囲気と異常に高度な音楽構造が密接につながっているような在り方も含め文字通り前人未到の音楽になっている。本作も素晴らしい楽曲とパフォーマンスが目白押しで、マリの超絶シンガーであるウム・サンガレをフィーチャーした「Nebaluyo」からスティーヴ・ヴァイの変態ギターが乱舞する「Do You Feel Love」に至るクライマックスは圧巻というほかない。今後発表が予定されている『Vol.3』『Vol.4』も間違いなくとんでもない内容になるだろうし、既発作品を少しずつ咀嚼しながら楽しみに待ちたいところである。

 

 

空間現代『Palm

 

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Sunn O)))のスティーヴン・オマリーが空間現代を気に入り、自身のレーベルIdeologic Organから新作を出そうと提案してきたことをきっかけに製作されたという3rdフルアルバム。『ラティーナ』2019年9月号のインタビューでは本作について以下のような説明がなされている。
「野口:1作目はほぼ一発録りで作ったんだけれども、やっぱり音盤は副産物だなと…。だから2作目は、最初からライヴとは全然別としての音盤を目指し、全ての音を別々に録音した。ハイハットとかキックも全部1音ずつ。それらの素材をデスクトップ上で編集して組み立てるという作業です。生演奏に聴こえるように。
古谷野:当然、大変な手間がかかったんだけど、苦労のわりに効果があまりわからなかった(笑)
野口:そこで今回は、ややこしいことを考えず、シンプルに楽器の音を起点にしようと思ったわけです。タムの一打、ギターのワン・フレーズ、そういった一つの楽器の音からどうやって曲に膨らませてゆくか、という作り方だった。
山田:元々揃っていたものをズラしてゆくのではなく、セッションの初期段階からかなりのズレが3人の中で許容されているけど、それをアンサンブルの中でどう定着させてゆくのか…具体的には…。
古谷野:結局、何回もやって感覚的につかんでゆくしかない。
山田:だから、前はできたのに、なぜかできなくなったりもするし。
古谷野:1曲目「Singou」は、最初ギターとベースで作ったけど、どう絡んでいるのか自分たちも最初全然わからなかった。
野口:僕は今でもよくわからない。」
「山田:ある程度の計算はしつつも、間合いやズレを厳密には決めないで何度もやっていくうちに、だんだん固定化されてゆく感じかな。」
「野口:1作目と2作目は、切断や間や無音など、「ウッ」という感覚を多用している。何か変なことが起きているBGMとしても聞ける、しかしただの流し聴きはさせないぞ、というようなものを作ろうと話し合った。集中して聴くと、わずかの時間にいろんなことが起こっているけど、集中して聴かなくてもなんとなく面白い、みたいな。」
本作はまさにこの通りの音楽であり、何度聴いてもこれ以上のことは具体的にはよくわからない。もちろん繰り返し聴けば「このフレーズはここが最初でここが切れ目なんだろうな」ということは感覚的につかめてくるけれども、そこに決まった拍子のような規則性があるかどうかはわからないし、規則があったとしてもその読み取りが正確かどうか確定することもできない。本作のこうした在り方については佐々木敦
空間現代オフィシャルホームページ掲載の「コード・デコード・エンコード」という優れた作品評
http://kukangendai.com/palm-text/
で的確に指摘しているのでそちらを参照することをお勧めする。ここではそれとは別に、先掲インタビューの発言「BGMとしても聞ける」について個人的な補足をしておきたいと思う。

自分が本作を聴いていて実感することに「一線を大きく超えて複雑だと、あまり丁寧に取り組みすぎなくていいという心理的赦しのような感覚が生じやすくなる」というものがある。本作は上記のようにそもそも決まった拍子のパターンがあるかどうかも不明な(作った当人たちですらよくわからない部分があるというくらい複雑な)音楽なので、聴く側からしたら「そもそも考えるだけ無駄だから何も考えずに聞き流してもいいよな」という判断を「こういう聴き方は誠実ではない」とか「理解できないのは自分のプライドが許さない」などの抵抗感なしに導き出しやすくなるのである。とはいえノンビートのアンビエントとは異なりはっきりしたビートやBPMのある音楽(ギター・ベース・ドラムスのフリーではないアンサンブル)でもあるから「頑張れば正確に理解することも不可能ではないのでは」と思えるようにもなっている。徹底的に聴き込んでもいいし何も考えずに聞き流してもいい(それらが常時可換で気軽に移行を繰り返せる)難解で軽やかな音楽。こう書くとシンプルなコンセプトにも見えるが、実際に実現するのはおそろしく難しいし、個人による打ち込みではなく複数人による共同演奏で成し遂げるのはコンセプトの共有も含めほとんど不可能に近いことなのではないか。2006年の結成以来同一メンバーで活動し2016年には3人揃って京都に移住して自身のスタジオ/ライヴハウス「外」を運営し続けてきた彼らのようなバンドだからこそ生み出し得た作品であり、ほとんど前人未到の音楽なのだと思われる。今回はベスト20に入れなかったが、本稿で挙げた36枚もあわせた56枚の中で最も長く付き合う一枚になる可能性も高い。永遠に飽きることがないだろう素敵な謎に満ちた作品。

 

参考:9/14・15に「外」で開催されたMoe and ghosts×空間現代のライヴについて
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1172800688440524801?s=21
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1173167984753250305?s=21

 

 

ももいろクローバーZ『MOMOIRO CLOVER Z』

 

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ももクロは初期から「全ての楽曲で異なる音楽ジャンルを試みる」「一つ一つの楽曲の中で複数の音楽ジャンルを滑らかに接続する」活動を続けてきましたが、それが最も強力かつ不可解な形で達成されたのが本作(4人体制になってから初めてのアルバム)だと思います。現行ポップミュージックの音響基準に完全対応しつつ全曲で異なる音楽性を追求したアルバムで、一枚通しての謎のまとまり感や居心地は似た作品が見当たらない。The 1975やBRING ME THE HORIZONの近作に通じる無節操に豊かな作品で、彼女たちの声(そしてその源となる人間性)がなければ成立しなかっただろう傑作です。

本作についてはこちらでも詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1134115350008614913?s=21
所属レーベルEVIL LINEによるショーケース的フェスティバル観覧記録(7/15)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150685874348122112?s=21
本作リリース後に自分が初めて観た単独フルセットについて(12/7、大阪城ホール
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1203273476028555264?s=21

自分はこの単独フルセットを観るまでは本作を聴くにあたっての至適な観測ポジションのようなものをあまり掴めていなかったのですが、そこで3時間ほど過ごしてからは見違えるように手応えが増してうまく入り込めるようになりました。これはある意味大会場にこそ合う音楽で、聴く側が想定するスケール感がそこにうまくチューニングできて初めてわかるものがあるというか。室内リスニング向きの親密な感じもある一方で、アリーナ~スタジアムの規模にこそ見合うスケール感があり、そういう大会場で程よい距離を保ちつつ親密なまとまりを生むような表現でこそ真価を発揮する。そしてそれは現場を体験しなければ体で掴むことはできないわけです(ももクロ自体を体験するのが望ましいが、同規模であれば他アーティストのショウでも構わない)。また、本作の例えば「レディ・メイ」のじっくりタメつつ押していくノリと次曲「Sweet Wanderer」のゆったりくつろぐノリは、アルバムの構成的に滑らかに繋がっているので何も考えずに快適に聴き通してしまえますが、それぞれの曲が具体的にどういうテンションや時間感覚を備えているかということはライヴで演者が動いている様子をじっくり見て初めて明確に意識できるものでもあり(ダンスやステージ演出は楽曲のこのような感覚を明示するためのものでもある)、そういった観覧体験を経なければ音源の妙味を的確に把握するのは難しいというのもありますね。こうしたスケール感や現場の空間感覚はあらゆる音楽に関係することで、ベッドルームリスニングのモードでスタジアムクラスの音楽を聴いてもピンとこない部分はあるし(※寝ながらスタジアム体験の気分にチューニングして聴くことはできるしそれが至適な解釈姿勢になる音楽も多いという話)、その逆も言える。その両モードに対応し同時に成立させてしまえるビリー・アイリッシュのような音楽もある。以上のようなことを意識して聴くと理解が深まる作品だし、自分が最初ベッドルームリスニングのモードで接する“勘違い”をしてしまえるような声の不思議な魅力を改めて実感させてくれもする。得難く優れたアルバムだと思います。

 

 

MON/KU『m.p』

 

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2018年12月18日のThe Weeknd来日公演(オープニングアクトは米津玄師)に強く触発され、音楽経験がなく楽器も弾けない状態で勢いそのままにDAWDigital Audio Workstation:音源製作のためのシステム)を購入。翌月1月26日に完成しSoundCloudで公開された楽曲は「初めて」というのが到底信じられないハイクオリティなもので、Web上の音楽ファンの間で絶賛とともに歓迎されることになる。自分はこの曲を初めて聴いたとき「DIR EN GREYとトラップ~エレクトロニカをARCAやBORIS経由で融合したような音楽で作編曲も音作りも素晴らしい」と形容したが、それはあくまでおおまかな印象で、そうした比較対象の亜流に留まらない圧倒的なオリジナリティを既に確立していた。これ以後に発表された楽曲も全てが素晴らしく、同じスタイルを繰り返さない(そう意識しているというよりは好きなように作った結果たまたまそうなってしまう感じ)なのにも関わらず常に固有の空気感や力加減が保たれている。方向性はバラバラなのに一貫して唯一無二の味わいがあるため、聴き手は特定の曲調でなくその味わい自体を楽しむよう自然に仕向けられ、従ってどれだけ急な方向転換があろうとも失望させられることはない。理屈としては簡単な話だが、こんな短期間で圧倒的なクオリティとともに達成してしまえる人は滅多にいないわけで、評価の高さに確かに見合った稀有のアーティストなのだろうと思う。

既発曲についてはこちらで書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1089085822303821825?s=21

この人の音楽的バックグラウンドについては「MON/KU:私を作った55曲」
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/24004
(特に根幹と言える5曲には、ゴラン・ブレゴビッチ「Ederlezi」、フィッシュマンズ「ナイトクルージング」、テニスコーツとセカイ「てんぐ」、Bibio「The Ephemeral Bluebell」、フジファブリック「銀河」が挙げられている)
でかなり詳しく紹介されているのだが、それと実際に聴き比べても「なるほどそう言われてみれば」というくらいにしか思えないというのはある。膨大なインプットをエッセンスのレベルまで溶解した上で融合し、似てはいるが明らかに異なる成分に変えた上で緻密な多層構造に組み上げてアウトプットしているという感じの音楽なので、出てきたものから元の素材を安易に指し示すことがほとんど不可能だし、本人が「正解はこれだ」と言ったとしてもその自己分析が全体像を十分表しているとは限らないだろう。そのような巨大で異形の構造を極めて耳あたり良く聴かせてしまえるのがまた凄いところで、この仄暗くソフトな語り口や力加減は(直接お会いしたことはないですが)人徳のなせるわざとしか言いようがない。自身の納得できるクオリティさえ満たせればどんなスタイルで作っても素晴らしいものが出来るだろうし、今後もやりたい放題やり続けてほしいものです。

本作に関しては、既存曲を並べて最後に新曲を付け加えた構成ということもあってアルバム1枚としての流れまとまりはやや歪で、その点においては個人的にはあまりうまくないかなとも思うのだが、先述のような固有の空気感・力加減が美しく保たれていることもあって統一感はあるし、最後の曲から最初の曲に滑らかに繋がるので何度でも繰り返し聴き続けてしまえるようにもなっている。非常に優れたEPだし、これをふまえて構築されることになるだろうフルアルバムも期待しています。

 

 

MORRIE『光る曠野』

 

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いわゆるヴィジュアル系の領域における神にして日本のアンダーグラウンドシーンを代表する奇才の一人によるソロ名義新譜。同名義の前作『HARD CORE REVERIE』(2014)とCREATURE CREATUREの最新作『DEATH IS A FLOWER』(2017)の中間にあるような作品で、Boris(本作最終曲にも参加)を経由してV系とポストロック/ポストメタルを繋ぐポジションに位置しつつ孤高の音楽性をさらに鍛え上げた傑作です。ゴシックロックとフュージョンプログレッシヴロックを介して融合させるようなコード感覚はいわゆるプログレブラックの代表格(IHSHANやENSLAVEDなど)の上位互換とすら言える蠱惑的魅力がありますし、Z.O.Aの黒木真司をはじめとした達人を従えるバンドとしての演奏表現力も驚異的に素晴らしい。個人的にはアルバムの構成がやや生硬いのが気になってしまうためこの順位としましたが(特にソロ前作の輪郭の整い方との比較で)、これで全く問題ないと思う方もいるでしょうし、安価とはいえないCD(サブスク配信はおろかDL販売すらない)を買って聴く価値は十二分にあると思います。傑作であることは間違いないです。


本作についてはこちらでも詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1107219870855249922?s=21

 

 

NOT WONK『Down The Valley』

 

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初期エモとソウルミュージック(そして両者の中間としての?RADIOHEADなど)を接続する作編曲の良さはもちろん、バンドとしての演奏表現力がとにかく素晴らしい。自分は本作に伴うツアーの最終公演(7/14渋谷)を観ることができたが、各パート一音一音の鳴りがとことん艶やかで美しいだけでなく、勢いを保ったまま柔らかく音量を下げる緩急の(多要素にわたる)コントロールなど、3人編成のバンドでなければ描けない類の総体としての表現力の見事さに最初から度肝を抜かれたのだった。NOT WONKが凄いのはそうした緩急の持っていき方が限定されていないことで、息が合っているとはいえ別人同士の集まりな以上変化の幅が一致しない場合もあるのを当然の前提として、その場その場でたまたまできた波の形を受け入れつないでいく大局としてのコントロールが常に良い感じ。ミドルテンポで押していく「Of Reality」ではスタジオ音源になかったネオソウル的ヨレのリズムアンサンブルをテンポ変化を交えつつ美しくキメるなど、バンド全体として出来ることの幅が豊かで素晴らしく、本作収録の優れたパフォーマンスもそれがベストだというよりもたまたまこうなった形なのだと思わせてくれるのだった。その意味で、NOT WONKはハードコアパンクやジャズの優れたグループに共通する「音源よりもライヴの方が明らかに凄い」特性を最高の形で受け継ぐバンドであり、その真価は本作や過去作だけを聴いていてもわからないのだと言える。本作は今年屈指のロックアルバムであり聴く価値は高いけれども、それで満足せずできればライヴを体験しに行ってほしいと思う。圧倒的な勢いと衒いのない優しさの両立、特に弱音の鳴らし方の素晴らしさには大きな感銘を受けるはずです。


7/15渋谷公演の感想(素晴らしいインタビュー記事4本のリンクまとめ含む)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150376446398849024?s=20
12/7に地元苫小牧で開催された自主企画『Your Name』と、地域性を受け継ぐという話
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1209026490362286081?s=20

 

 

THE NOVEMBERS『Angels』

 

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もともと素晴らしい作品を作り続けていたバンドがさらに数段突き抜けた大傑作。曲単位で設定されたテーマ
(例えば3曲目「Everything」では「tears for fears的なリズムアプローチにL`Arc~en~Cielのピアノリフをオマージュしてユーミン的なソングライティングを当て込んだ」
https://twitter.com/THE_NOVEMBERS/status/1141344816787103746?s=20
とのこと)
のもとで元ネタとは別のエクストリームなポップソングを生み出してしまう手管が本当に素晴らしく、単にコンセプト作りや設計がクレバーというだけでなくそれらに頼りきらず縛られない自由な閃きや化学反応が生じているように思います。全9曲36分という簡潔な構成も絶妙で、何度でも気軽に聴き通せてしまい更にリピートしたくなる聴き味はこのアルバムデザインあってこそのものでしょう。NINE INCH NAILSBUCK-TICK、JAPANらの代表作に並ぶと言っていい一枚で、海外のゴシックロックには出せないV系~歌謡ロック由来と思しき柔らかさもたまらない。個人的にはコード進行の傾向が生理的な好みから微妙にずれる(もっと落ち着くものを求めてしまう)ために順位としてはこのくらいにせざるを得ませんでしたが、日本からしか生まれないタイプの世界的大傑作であることは間違いないです。

本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1105493099738886144?s=21

 

 

Ossia『Devil's Dance』

 

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「今年のベスト・ダブ・テクノ作品」との評判も高い1stフルアルバム。Ossiaはイギリス・ブリストルのポストダブステップコレクティヴYOUNG ECHOの一員で、そうした出自もあってかベルリン的な(Basic Channelのような)超ミニマルに徹するスタイルというよりもブリストルMASSIVE ATTACKPORTISHEADに連なるもの)寄りの微かにメロディアスなサウンドになっている。仄暗くくぐもった音響はアルバム全編を通しあまり変わらず均一な印象を保つが、そこに溶け込んでいる音楽要素は非常に豊かで、グライム、ステッパーズ的なレゲエ、ダブ、テクノ、ポストパンク~インダストリアル、クラブミュージック文脈でいうタイプのジャズ(レアグルーヴ寄りなやつ)など、似たようなフレーズを使っていてもその背景に出てくるものはトラックごとに変化し続ける。コンクリート打ちっ放しのフロアを連想させる硬い質感に妙な艶やかさを滲ませるサウンドもアルバム全体の構成も絶妙で、軽い気持ちで再生したら最後の「Vertigo」7分時点で出てくるサックスの音(冒頭から42分時点)まであっという間。非常に聴きやすく得体の知れない謎にも満ちた素晴らしいアルバムだと思います。

 

 

O Terno 『〈atrás/alén〉』

 

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近年のブラジル音楽に不案内な自分は本作を他の何かにうまくなぞらえて語ることができないので、音楽スタイルの形容についてはディスクユニオンのよくまとまっているレビュー
https://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245711560
などを参照していただくのがいいと思います。そういう状態で聴いて(ブラジル音楽の作編曲の高度さを知りつつ好みとしてはアメリカ音楽のブルース的引っ掛かりを好むこともあってかうまくのめり込みきれない)自分がまず興味深く感じたのは本作の不思議な居心地でした。最初はゆったりした時間の流れ方が少しかったるく思えたりもしましたが、その上で地味ながら滋味深いというか、隙間がありながらも終始身が詰まっている“常に美味しい”感じにどんどん納得させられていくのです。どこかTHE BEATLES「Sun King」(『Abby Road』後半メドレー序盤の最も穏やかな小曲)に通じる「eu vou」などはその好例で、この独特の微かに変な居心地や絶妙な湯加減には得意ジャンルを越えて楽しませてしまう力があると思います。そしてアルバム全体の上記のような流れのペースを「これはこういうもんだ」と把握した上で聴くと理屈抜きに効く度合いが段違いに増すわけで、「音楽は繰り返し聴かないとわからない時間芸術だ」ということを体感的にとてもよく示してくれる一枚になっていると納得させられるのです。実際アルバム全体の流れまとまりは完璧に良く、坂本慎太郎とデヴェンドラ・バンハートがナレーションを務める7曲目「volta e meia」を真ん中に据える構成も見事にキマっていると感じます。そして本作はアレンジやサウンドプロダクションの作り込みも一見薄いようでいて非常に緻密で、何も考えずに聴き流せてしまうシンプルさと意識して聴き込むほどに新しいものが見えてくる奥行きとが実に鮮やかに両立されています。涼しい顔をしているけれども滅茶苦茶構築的な音楽。末永く付き合いじっくり理解を深めていきたいと思わせてくれる傑作です。

 

 

小袋成彬『Piercing』

 

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12/18という年末ギリギリのタイミングで発表されたにも関わらず多くの音楽ファンの年間ベストアルバム選に入った2ndフルアルバム。自分も完璧な傑作だと思います。ソランジュやJPEGMAFIAが今年の新譜で提示したような「1曲単位ではつかみどころのない断片に思えるが数曲単位やアルバム単位では申し分なく美しいまとまりを示す」感じの構成(ストリーミングサービスが主流となった聴取環境でアルバムというアートフォームを聴かせきるための工夫でもあるでしょう)、フランク・オーシャンの歴史的名盤などを通して世界的に肯定されるようになったニューエイジ的雰囲気を伴うチルアウト(落ち着く気分)感の換骨奪胎、そうした要素を日本のフォーク~90年代J-POP的な歌謡メロディを駆使して統合する作編曲の見事さ、そしてそれを圧倒的な説得力と美しい節度をもって聴かせる極上の歌唱表現とトラックメイキング。何度でも気軽に聴き通せてしまう上に飽きない32分15秒という尺の絶妙さも含め、「今年の日本の音楽を代表する1枚」「日本のポップスにおける歴史的名盤」と言っても何の問題もないと思います。とにかく良すぎる。しかし、その上で個人的にはあまり素直にのめり込みたくはない成分や気配を含む作品でもあります。

こちらでも書いたように、
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1207505208722354177?s=20
小袋成彬の本作にはニューエイジ/ゴスペルソウルと90年代J-POPの日常感謝系ヒップホップ/メロコア的なもの(本稿のあいみょんの項で述べた「当時の売れ線J-POPに全く馴染めなかった」ことの最大の要因のひとつ)、言ってしまえばヤンキー的な気分が自然に融合し渋い深みを得ている感じがあります(野球部出身ということを考えればヤンキーというよりも体育会系的なノリというべきか)。
それはアルバムタイトルの『Piercing』
https://twitter.com/nariaki0296/status/1206934703795773442?s=20
https://twitter.com/nariaki0296/status/1206937471105339396?s=20
にもそのまま通じることであり、そういう感じを踏まえた上で前作
(ご本人から「上手くまとめて下さった」というコメントをいただきました)
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2018/12/25/222656
を振り返ってみるとさらに納得できもするし、そもそもヤンキーとか体育会系ということ自体は良し悪しとも全く関係ないのですが、それがニューエイジ的なものと混ざると個人的には身構えてしまう度合いがどうしても増すのかもしれません。
(そのあたりのことはカニエ・ウェスト『Jesus Is King』に関しての話で書きました)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1189584049364299776?s=20
これはもう個人的な性向とか主義の問題ですぐにどうにかなるものではなく、とりあえず今は相性があまり良くなくて残念だと思うほかないことではあります。これを書いている時点では発表からまだ2週間も経っていないわけだし、腰をすえて気長に付き合っていきたいですね。それだけの価値はありすぎるほどあると思いますし。

以上のようなことを踏まえた上で本作の特別なところを一つ挙げるなら「ヤンキー的な勢いがチルと同居している」ことですかね。『MUSICA』2019年12月号のインタビューで長谷川白紙が「(そろそろ)チルしてる場合ではない」と言っているように、ビリー・アイリッシュの1stフルアルバムやエモラップ近辺の作品など、2010年代中盤から最近にかけて大きなトレンドとなったチルアウト感覚から脱し新たな表現というか力加減を求める動きがこのところ明らかに増えてきているように思います。小袋成彬の本作は(本人が意識しているというよりもたまたま性向がそこに合ったのではないかという気がしますが)このような流れにぴったりはまるもので、そういう意味でも今年を代表する傑作と言っていいのでは。広く聴かれるべきアルバムです。

 

 

OPETH『In Cauda Venenum』

 

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『Watershed』以降(脱デスメタル路線)の集大成ともいえる大傑作。初期から培い使いまわしてきた特徴的音進行は依然として多用されているのだが、その並べ方が大きく変わったからなのか手癖感は過去最少。演奏や音響も素晴らしい仕上がりで、理想的なバランスを構築しつつ新境地に突入した傑作だと思います。OPETHから3枚選べと言われたら自分は『Blackwater Park』『Damnation』とあわせてこれを挙げますね。Suchmosの新譜を気に入った人などにも強くお薦めしたい一枚。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1178283162239004673?s=21

 

 

Pedro Kastelijns『Som das Luzis』

 

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ブラジル・ゴイアニア出身のマルチ楽器奏者/シンガーソングライター(現在はオランダ・アムステルダム在住とのこと)が5年の歳月をかけて完成させたという1stフルアルバム。70年頃のトロピカリズモ(ブラジル特有のサイケデリックなソフトロックのようなもの)が近年のインダストリアルサウンドやCANをはじめとするジャーマンロックなどのエッセンスを取り込んだ上で異様な個性を確立した趣の音楽性で、印象的なメロディに満ちた優れた歌もの構造を奇妙に歪んだアレンジ&音響で包む作編曲が驚異的。異常な層の厚さと単純な流れの良さを兼ね備えたアルバムで、TAME IMPALAやマック・デマルコに通じるいい湯加減と繰り返し聴くほどに新たな側面が見えてくる奥行きの深さが完璧に両立されている。パーツ単位で似ているものならばマルコス・ヴァーリ『Previsão Do Tempo』とかCAN『Future Days』とかPINK FLOYDの1stなど様々な作品を挙げることもできるが、そうした偉大な先達とも一線を画しつつ並ぶだけの格があるように感じられる。AMON DÜÜLの伝説的怪盤1st『Psychedelic Underground』にも通じる狂騒音響を底抜けの親しみ深さと両立する様子は「曲も含め概ね普通の顔つきをしている(“変態でーす”的アピールを全然しない)のにやけに唯一無二な存在感がある」感じで理屈抜きに惹き込まれるオーラに満ちている。Bandcampで発売された翌日12/6に当サイトのAlbum of the Dayに選ばれたのにもかかわらず現時点(12/30の20:30頃)で23人しか購入していないというのが信じられないほどの傑作。今後も(時間はかかりそうではあるが)間違いなく物凄い作品を生み出してくれるだろう奇才だし、ぜひ聴いておくことをお勧めします。


Bandcamp
https://pedrokastelijns.bandcamp.com/album/som-das-luzis-3

 

 

崎山蒼志『並む踊り』

 

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昨年大きな注目を浴び順調かつ正当に人気を増すなかで発表されたこの2ndアルバムは、良い意味で過渡期の傑作と言うべきものなのではないかと思う。前作の時点で萌芽していたビートミュージック/電子音楽への志向はさらに強まり、トレードマーク的に求められる超絶ギター弾き語りとの比率が収録曲数的にはほぼ半々となっているが、電子音響とギター弾き語りという層の厚さが大きく異なるスタイルが斑状に混在しているにもかかわらず流れつながりに違和感はないし(最初は気になってもすぐに慣れてしまえる)、曲の並びもとても良くアルバム全体としては不思議と綺麗な輪郭が描かれる。これはアルバムというパッケージに対する考え方がバラバラの小曲集から一枚全体で完結するトータル作品としてのものへ推移していった60年代後半~70年頃のロックなどに通じるもので、それにならってTHE BEATLESにたとえれば、1st『いつかみた国』は『Rubber Soul』、本作2ndは『Revolver』のようなものなのではないか。(そういえば「Tomorrow Never Knows」も「Video of Travel」も逆回転を駆使した曲になっている:「Video of Travel」は逆再生しても完璧に別曲として成立するしなかなか凄い歌詞も聴けるのでぜひ試してみることをお勧めする。)また、過渡期というのは本作と崎山蒼志個人に限った話ではなく、ここで共演し今後の音楽シーンで崎山と並ぶキーパーソンになっていくことが間違いない3名(君島大空、諭吉佳作/men、長谷川白紙)が一堂に会したという歴史的意義についても言えることで、その意味で本作はたとえばミルトン・ナシメントの名盤『Clube Da Esquina』(街角クラブ)にも通じる意義深いアルバムなのだとも思う。
インタビュー記事を読むぶんには崎山蒼志は従来の弾き語り形式以外にもやりたいことが多いようで(君島大空との対談で言っていたハードコア+メタルのようなものなど)、今後も音楽的は様々に変化していくだろうが、雑多なスタイルをそのまま並べつつ全体としてはうまくまとめ上げた本作のような構成力があればどんな方向性に手を出しても優れた作品を生み出していけるだろうし、聴き手の側は何も心配する必要はないと思う。その時々に好きなことをやるのが表現力の面でも一番いいわけだし、どんなものがきても楽しく聴かせていただきたいと思う次第です。


本作や驚異的なライヴパフォーマンスについては以下の記事などでたくさん書きました:
3人の共演者について(リアルサウンド寄稿)、その他インタビュー記事へのリンクなど
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1189329470051799040?s=20
昨年発表の1stアルバムについて
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2018/12/25/222656
曽我部恵一との共演イベント(3/21)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1108564261221990402?s=21
フジロック3日目(7/28)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1155419214175358976?s=20
初めて観た単独公演(11/10、長谷川白紙および諭吉佳作/menとの共演)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1193415941452787714?s=21

 

 

Suchmos『THE ANYMAL』

 

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「STAY TUNE」などのシティポップ寄りビートミュージック曲で人気を集めたバンドがそうした路線を鮮やかに捨てた挑戦作。これが本当に素晴らしい内容で、60年代末あたりのハードロック/プログレッシヴロックリバイバルとも言えるスタイルなのですが、当時はありえなかった(離れたシーンを現代から俯瞰したからこそ一緒の視野に入れられる)要素の組み合わせがこのバンドならではの渋く爽やかな音遣い感覚のもとで美味しくまとめられています。PINK FLOYDやTHE BANDといったブルースベースのロックをソウルミュージックがかった神奈川のセンスで昇華した感じの一枚で、ジャーマンロック(10分におよぶ大曲「Indigo Blues」でのASH RA TEMPELからCANを経由してPINK FLOYDに繋がるような神秘的展開など)や陳信輝~SPEED, GLUE & SHINKIなど70年代日本のニューロックの混沌を損なわず極上の歌モノにまとめた趣も。同じメンバーで続けてきたロックバンドにしか生み出せない“クセのあるまとまり”的珍味に満ちたアンサンブルも素晴らしい。過去作に惹かれたファンにとってはビートミュージック要素(コード感などに注目しなくても楽々ノレるわかりやすい取っ掛かり)をほとんど排除した本作はキツイという意見も多いようですが、ライヴを観る限りでは本作の曲は過去曲と違和感なく並んでいましたし、時間をかけて受容されていくタイプの作品なのではないかと思います。個人的好みからすれば最高の音楽。このバンドに対し「しょせん流行ものでは」的なイメージのある人こそ聴いてみてほしい大傑作です。発表から数ヶ月経過した時点でのインタビューでは本作の音楽性に良い意味で全くこだわりがなさそうな様子が示されていましたし、今後もその時々の志向/嗜好に応じて素晴らしい作品を生み出し続けてくれそうで楽しみです。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1110577415447695360?s=21
本作に伴う単独公演ツアーの感想(5/26神戸)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1132605374329106432?s=21

 

 

THANK YOU SCIENTIST『Terraformer』

 

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アメリカ・ニュージャージー州出身のプログレッシヴロックバンドの3rdフルアルバム。メンバーは7人編成(ボーカル、ギター/フレットレスギター/シタール/シンセ/プロデュース、エレクトリックバイオリン、ベース/テルミン/ミュージックソー、ドラムス、サックス、トランペット)で、ドラムスとベースまわりにはDREAM THEATERあたりにも通じるメタリックなアタック感があるけれどもギターサウンドは分厚くなくここだけみればメタル的ではないという独特のバランスをとっているが、これは管と弦の音色が映えるスペースを残しつつアンサンブル全体の機動力をほどよく軽やかに高めるための工夫なのかもしれない。作編曲的には「プログレッシヴデスメタル的和声感覚を独自消化した現代ビッグバンドジャズ」という感じで、CYNIC~EXIVIOUSやANIMALS AS LEADERSとSNARKY PUPPYやティグラン・ハマシアンあたりを足して割らないようなスタイルなのに吸収不良を起こしていないのが実に良い。なにより素晴らしいのがリードメロディの充実で、圧力はないが柔らかくしなやかなボーカル(どこにでもいるようでいて個性的な声質がとても良い感じ)による歌メロをはじめアルバムの全編において印象的な(それでいて胸焼けさせられることのない)美旋律が間断なく連射される。それを邪魔せずに絡む副旋律も魅力的なものばかりで、リードパートを同時に4人は動かせる編成がポリフォニックなアレンジのもとで最大限に有効活用されているように思う。4曲目「Son of a Serpent」のギターソロ(現代ジャズ以降のfudjentという趣)の最後に柔らかく勇壮な管&弦が入ってくるところなどは“格好良すぎてズルいだろ”というくらいで、その後のバイオリンのピチカートなどさりげない小技も実に効果的。普通の編成では不可能な美しい反則技を堪能しまくれる一枚になっている。収録時間は約84分とかなりの長尺だが楽曲は後半の方が強力で、聴き疲れせずダレもせずにどんどん満足感が増していく心憎い構成が楽しめる。いわゆるプログレフュージョン近傍のここ20年ほどの歴史を網羅するような内容となった本作はメタル系音楽メディアの年間ベスト企画でも挙げられる機会が多く、理屈抜きの楽しさと高度な構造の両立が広く評価されている感がある。ライヴの方が凄そうなタイプの(たとえばFARMERS MARKETあたりを連想させる)バンドだし、日本でも知名度を増してぜひ来日公演を行ってほしいものです。

 


Tyler, The Creator『IGOR』

 

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ヒップホップ~ソウルミュージック史上の歴史的名盤という評価が早くも固まりつつある傑作。「初回はアルバム全体を徹底的に集中して聴き通せ、携帯をチェックしながらとかテレビを観ながらとかはダメだ、それ以降は好きにしてくれ」と本人が言うとおり全体の構成は文句なしに素晴らしく、輪郭を綺麗に磨き抜かれてはいないごつごつした感じこそが唯一無二のまとまり感に繋がっている印象もあります。山下達郎「Fragile」を引用した(サンプリングではなく自ら演奏しなおした)「GONE GONE / THANK YOU」ばかりが注目されますが全体的に非常に興味深い音楽性で、仄かにブラジル風味のある系統の70年代ソウル(スティーヴィー・ワンダーリオン・ウェア)にジャーマンロックや初期SOFT MACHINEのような朦朧とした酩酊感覚が加わった趣もあるし、68~71年頃のプログレッシヴな英米ソフトロック(または73~75年頃のMPB)のリズム的な足腰を超強化した感じもあります。そしてそうした例えができる一方で音作りや和声進行には独特のクセがあり、豪華な客演陣の音をほとんど誰かわからないくらい変調させる(それにより作品全体の統一感を増す)処理なども含め、他では聴けない素敵な謎に満ちた一枚になっていると思います。非常に聴きやすく汲めども尽きせぬ深みもあるという点でも理想的な、異形で美しいポップミュージックの大傑作です。


本作についてはこちらでも書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1129337479230705664?s=21

 

 

Uboa『The Origin of My Drepression』

 

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あまりこういう書き方はしたくないのだが、本作およびそれに関するここの話は閲覧注意。圧倒的に素晴らしい作品であり、極端な音楽性にも関わらずきわめて聴きやすく優れたポピュラリティをも持ち合わせている楽曲集なのだけれども、扱われているテーマは重く厳しすぎる。感情の起伏がショートしたアパシー状態とそれでも拭いきれない絶望的な解放感への欲動がモザイク状に混在する音楽であり、そういった雰囲気が明晰に解きほぐされた形で提示されているために気軽に手を出せてしまい気付いたときは後戻りできないところまで来てしまうおそれもある。そうした効果を(おそらくは)浅ましい自意識の見せびらかしや害意とは無関係に生み出せているところも含め真に優れた音楽だと思うし、このような音響表現を冷静な洞察とともに成し遂げることができた(成し遂げざるを得なかった)魂のありかたに思いを馳せざるを得ない作品でもある。そうしたことを踏まえた上で一度はじっくり聴いてみてほしい傑作です。

UboaことXandra Metcafeの生い立ちについてはこのインタビュー
http://swordfishblog.com/2019/04/interview-xandra-metcalfe-of-uboa-2019/
で詳しく述べられているので、本作に惹かれ繰り返し聴くようなことがあればぜひ読んでほしいと思う。トランスジェンダーとしての在り方、ステージ上で裸になるパフォーマンス(禁忌とフェティシズムを兼ね備える矛盾を示すもの:哲学者ジョルジョ・アガンベンの著作『ホモ・サケル』で議論される「剥き出しの生」=いかなる権利も奪われた状態を示す問題がこの矛盾を説明するものとして腑に落ちるとしている)、音楽的な影響源(インダストリアル、ハードコア、グラインドコア、ノイズ、ドゥーム/スラッジ、ブラックメタル、SophieやARCA、ENDONのような近年のアーティスト/バンド)、そして本作のアルバムジャケット(薬物過剰摂取による自殺に臨んだ際にスマホカメラの反転処理をし忘れていて“最後の自撮り”に失敗した写真)と死生観の話など。
本作に関連して特に重要なのは以下のくだりだろう。

In my life, my music is what Lacan might called a “sinthome”, a symptom that holds my world together. Think of it like a foundation for a building; my music is that foundation. I don’t do it because I enjoy it or need to “express myself” (all art is encrypted communication, but mine is not consciously so in intention) but rather it is something that allows me to exist, keep psychosis at bay and allow relations to other people. When Uboa collapses, I collapse. I suspect this is the case with many other mentally-unstable artists too.
Xandraにとって音楽は存在の基礎であり、世界との関係性を保つよすがとなるものである。Uboa(音楽表現を行うにあたっての別人格)が崩壊したら自分も崩壊する。

I am not aware of any message consciously. I wanted to expose what a suicide attempt is like, like the phenomenological angle of it. Hence the cover – that could of been the last thing I saw before I died, nothing glorious, but something boring and accidental (the photo was taken because I forgot to flip the camera for a selfie). One thing I discovered is the element of the Real when it comes to trying to die – there seemingly is *nothing* there that pushes you from non-suicidal to suicidal. There is suffering, then an act. Death isn’t distant or special, but constant possibility. The everydayness of death and suicide is present directly in the LP – there is no mystical element behind it, no objet petit a, just drive. It’s terrifying; the only thing scarier than death is its plainness and total lack of representability (either symbolically or through the imagination).
本作は何らかのメッセージを発するためのものではなく、自殺という行為がいったいどんなものなのかということを現象面から描写しようと試みたものである。実際に自殺してみてわかったのは、自殺していない状態と自殺するということの間にはおそらく何もなく、両者は離れているものでもその間を分かつ特別なものがあるわけでもない。Objet petit a(ラカンの言うところの欲動の対象、人間が一生を通じて追求するもの)など存在しない単なる運動。死は恐ろしいことではあるが、表現能力がまっさらに消え失せてしまうことの方がさらに恐ろしい。

本作では、以上のような意図や冷静で切実な姿勢のもと、テーマに関する一連の過程がこのうえなく饒舌に洗練されたアンビエントパワーエレクトロニクスをもって描写される。静から動へそしてまた静へ滑らかに移行する力加減の表現力はこの上なく見事で、響きの最も艶やかな部分のみを捉え美しく磨き抜いた音色を細部に配置する手際もどこまでも鮮やか。特に凄いのがトレモロサウンドの処理で、アルバム全編の中央に配置されたショートカットグラインド的な2分弱の電子ノイズ曲「Please Don`t Leave Me」における絶叫とシンセウェーヴの高速同期には強烈な身体的快楽があり、その曲調にこのタイトルをあてているのにあざとさが感じられないのがまたどこまでも痛ましい。作編曲・音作り・演奏・雰囲気表現すべてが完璧な、それでいて何も考えずに肯定することが躊躇われる傑作。

個人的にはやはり本作は日常的に気軽に楽しむには重すぎるので「年間ベスト」に入れることはできなかった。(音響ポルノ的に消費してしまえる機能性もある音楽だし作り手としてもそれを許容するところが全くないわけではないと思うが、やはりそれは失礼すぎるだろう。)しかし、高く評価されなければいけない傑作なのは間違いないし、こういう表現を求める人に届いてほしい作品でもある。不必要に哀れむのはよくないし、過剰に持ち上げたりもすべきではない。ほどよい敬意をもって真摯に接したい素晴らしいアルバムです。

 

 

 

VAURA『Sables』

 

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メタルシーンに属しつつニューウェーヴ~ポストパンクや現代ジャズなどへ自在に越境する達人4名によるバンドが6年ぶりに発表した新譜。前2作はDEAFHEAVENの爽やかさを損なわずアヴァンギャルド方面に大きく寄せたような特異な音楽性でしたが、この3rdフルでは「ブラックメタルのコード進行をJAPAN『Tin Drum』(ポストパンク的な音楽形式のもと無調寄りの音遣いを耽美的な歌モノで魅力的に聴かせた歴史的名バンド)のスタイルに落とし込む」ことで異形のポップスを生み出してしまっています。メタルの領域内ではあまり注目されなさそうな音楽性ですが、ニューヨークの音楽シーンの凄さやメタルという音楽カテゴリの面白さを示す最高の好例の一つだと思います。あらゆるジャンルの音楽ファンに聴いて(そして首をかしげて)みてほしい傑作です。


参加メンバーの関連作や本作の具体的な音楽性についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1123200964112994304?s=21

 

 

WASTE OF SPACE ORCHESTRA『Syntheosis』

 

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フィンランドの地下メタルシーンを代表する(知る人ぞ知る)名バンドORANSSI PAZUZUとDARK BUDDHA RISINGの合体バンドによる1stフルアルバムで、後者のラフな混沌を前者のタイトな構成力でまとめる感じの方向性が完全に奏功。同郷のCIRCLEやUNHOLYといった何でもありバンドの気風を最高の形で継承発展する大傑作です。作編曲・演奏・サウンドプロダクション全てが著しく優れたアルバムで、4曲目「Journey to the Center of Mass」における29拍子ベースリフ&3拍子系の上物フレーズ(29拍と30拍の絡みで1周期ごとに1拍絡むポイントがズレる)のような仕掛けを全く小難しく感じさせず[集中しつつ忘我に至る]的感覚の源としてしまうのがまた見事。カルトでマニアックな内容ながら道筋の滑らかさキャッチーさはポストメタル方面の作品の中でもトップクラス。エクストリームメタルの歴史における金字塔になりうる一枚です。


本作についてはこちらで背景も含め詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1115571744855560192?s=21

 


WILDERUN『Veil of Imagination』

 

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OPETH『Still Life』とデヴィン・タウンゼンド『Terria』をBAL-SAGOTH経由で接続強化したような音楽で、渋く雄大な作編曲や演奏は全編超強力。各所でのインタビューによると、BLIND GUARDIANやMR.BUNGLE、THE CUREやFLEET FOXESなどからも影響を受けているとのことで、本作の出音からするとそういう色合いは正直あまりよく見えないのだが(2015年発表の前作ではTURISASやKEEP OF KALESSINにも通じるヴァイキングメタル~メロディックブラックメタル的な曲調が主体で、EMPERORの1stに影響を受けたというのも確かに頷ける)、以上のような要素が隠し味として活きているからこそOPETHやデヴィンなどに似ていながらも並び立つようなオリジナリティと存在感を確立することができているのだろう。MANILLA ROADや90年代BLACK SABBATHのようなエピックメタル系統を未踏の領域に押し進めるような音進行の錬成も素晴らしい。圧倒的なわかりやすさとほどよい渋さを絶妙に両立した傑作だと思います。


本作についてはこちらで詳しく書きました
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1190233714300579840?s=21

 

 

 

2019年・年間ベストライヴ

【2019年・年間ベストライヴ】

 

 

 

[Best20]

 

 


・ライヴに参加した後は当日の内に必ず数十分かけて感想をまとめています。そうすることで、(終盤よりも印象に残りにくい)序盤や中盤の流れも含め、全体を思い出して俯瞰することができるようになります。また、考えをまとめながら細部を吟味することで、現場ではあまり気にしていなかった要素にも注意を向けられるようになり、もやもやした後味をかみくだくための手掛かりが得られることもあります。

翌日になると、終演後のある種の昂奮状態が落ち着いてきて、あまり刺激的でない、「地味ではあるが味わい深い」要素の方にも注意が向きはじめます。この段階になると、ライヴの全体像をバイアスの少ない状態で見渡せるようになってきます。「余計なことを考えず満足することはできなかったが、なにかもやもやした手応えがくすぶり続ける」ような場合は、一晩寝かせることで、そうしたもやもや感がうまく受け入れられたり、そうするための気付きが得られる場合もあるのです。

このようにして数日経つと、ライヴの全体像を把握した上で、それをちょうどいい立ち位置から吟味できるようになります。ここでは、この状態での評価や思い入れを比較し、ランキングをつくっています。「音楽や演奏、音響や演出の出来映え」そして「自分が終演直後にどれだけ満足できたか」ということはもちろん、「自分がそれを通してどのような気付きを得られたか(=そういう気付きを与えてくれる興味深い要素がどれだけあったか)」ということなども考え、総合的な手応えの多寡を感覚的に比べたものになっています。

・複数回観たものは、その中で最も良いと思えた公演ひとつを選んでいます。

・各公演名の下にあるのは直後の感想ツイート(紐付け)へのリンクです。一般的なブログ記事より長いものも多いです。

 

 

 

 

 


第1位:NEUROSIS@Electric Lady Land(2/15)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1096402293488939013?s=20

 


 

 


第2位:折坂悠太(重奏)@梅田SHANGRI-LA(6/1)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1134851617356886016?s=20

 


 

 


第3位: NOT WONK@渋谷WWW(7/14)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150376446398849024?s=20

 


 

 


第4位:嵐@東京ドーム(12/25)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1209818606046830593?s=20

 


 

 


第5位:VOIVOD@渋谷O-WEST(1//18)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1086234784546795520?s=20

 

 

 

 


第6位:Flume@海浜幕張

(8/18、SUMMER SONIC 2019)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1163050427958484992?s=20

 

 

 

 


第7位:堂本剛@平安神宮(9/13)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1172446284789116934?s=20

 


 

 


第8位:君島大空(合奏形態)・colormal@京都METRO(11/17)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1196032429489827840?s=20

 

 

 

 


第9位:岡村靖幸@Zepp Namba(11/14)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1191323462930849793?s=20

 


 

 


第10位:Moe and ghosts × 空間現代@京都 外(9/15)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1173167984753250305?s=20

 


 

 


第11位:THA BLUE HERB@京都 MUSE(8/27)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1166302782111903745?s=20

 


 

 


第12位:THE 1975@海浜幕張

(8/16、SUMMER SONIC 2019)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162310713878044674?s=20

 


 

 


第13位:BROCKHAMPTON@新木場 STUDIO COAST(8/15)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1161930996494684160?s=20

 


 

 


第14位:崎山蒼志@苗場スキー場(7/28、FUJI ROCK FESTIVAL

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1155419214175358976?s=20

 


 

 


第15位:black midi@京都METRO(9/7)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1170284432764235778?s=20

 


 

 


第16位:THE CURE@苗場スキー場

(7/28、FUJI ROCK FESTIVAL

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1155491687226957825?s=20

 


 

 


第17位:Kamasi Washington@Billboard Live Osaka(9/4、2nd set)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1169257666788524032?s=20

 


 

 


第18位:星野源@京セラドーム大阪(2/3)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1091965635095977986?s=20

 


 

 


第19位:BTS@ナゴヤドーム(1/13)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1084398655224696834?s=20

 


 

 


第20位:BRING ME THE HORIZON@Zepp Osaka Bayside(11/18)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1196396455134515202?s=20

 


 

 

 

 

[各要素Best3]

 

 


〈パート別プレイヤー〉

声:

折坂悠太

ILL-BOSSTINOTHA BLUE HERB

Camila Meza

 

 


ギター:

Daniel Mongrain(VOIVOD)

山内弘太(折坂悠太-重奏)

君島大空

 

 

 

ベース:

鈴木渉(ENDRECHERI)

AYA(坂本慎太郎

Miles Mosley(Kamasi Washington)

 


鍵盤:

BIGYUKI

Gakushi(ENDRECHERI)

André Mehmari

 

 

 

打楽器:

石若駿

Felipe Contientino(Antonio Loureiro Trio)

Tony Austin(Kamasi Washington)

 

 


管楽器:

ENDRECHERIホーンセクション

Kamasi Washington

若林一也(Z.O.A. 仮想の人)

 


 

 

〈フロントマン〉

 

 


ILL-BOSSTINOTHA BLUE HERB

Janelle Monáe

Oliver Sykes(BRING ME THE HORIZON)

 


 

 

 

〈音響〉

 

 


2/15:NEUROSIS・CONVERGE@名古屋 Electric Lady Land

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1096339837613797376?s=21

 


 

 

 

 

〈イベント・フェスティバル〉

 

 


7/15:EVIL A LIVE 2019@パシフィコ横浜 国立大ホール

(特撮・ももいろクローバーZ・The Dirty Dawg・TeddyLoid・ドレスコーズ・B.O.L.T・清竜人イヤホンズサイプレス上野とロベルト吉野月蝕會議

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150685874348122112?s=21

 


8/18:SUMMER SONIC 2019 3日目@海浜幕張

(JAIN・Perfume・BLACKPINK・BROCKHAMPTON・Neneh Cherry・FKJ・Flume)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162941961134735360?s=21

 


7/26・27・28:FUJI ROCK FESTIVAL 2019 3日目@苗場スキー場

渋さ知らズ・BANDA BASSOTTI・HIATUS KAIYOTE・HYUKOH・崎山蒼志・平沢進+会人・THE CURE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1155310468367470593?s=21

 

 

 


 

【参加したLive一覧】(計68ヶ所、のべ135組)

 

 

 

 


1/13:BTS@ナゴヤドーム

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1084398655224696834?s=21

 

1/16:BIGYUKI@Billboard Live Osaka

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1085538379037429762?s=21

 

1/18:VOIVOD@渋谷 O-WEST

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1086234784546795520?s=21

 

1/20:cali≠gari@umeda TRAD

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1086930970513571840?s=21

 

2/3:星野源@京セラドーム大阪

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1091965635095977986?s=21

 

2/15:NEUROSIS・CONVERGE@名古屋 Electric Lady Land

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1096339837613797376?s=21

 

2/24:米津玄師@サンドーム福井

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1099573802734825472?s=21

 

3/2:米津玄師@大阪城ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1101764600943398915?s=21

 

3/5:NAPALM DEATH・EYEHATEGOD・MISERY INDEX・MELT-BANANA@梅田 Club Quattro

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1102860653310533635?s=21

 

3/20:THE NOVEMBERS@名古屋 Club Quattro

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1108341938732720128?s=21

 

3/21:曽我部恵一・崎山蒼志@青山 月見ル君想フ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1108564261221990402?s=21

 

3/21:DOWNLOAD JAPAN 2019@幕張メッセ

JUDAS PRIEST・SLAYER・GHOST)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1108617611611267073?s=21

 

3/23:cali≠gari@中野サンプラザ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1109359332745871360?s=21

 

3/24:・・・・・・・・・@東京キネマ倶楽部

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1109737825652494336?s=21

 

3/27:有安杏果@なんばHatch

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1110829581307510787?s=21

 

4/7:さかいゆう@大阪国際交流センター

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1114806523534778368?s=21

 

4/8:Guinga & Mônica Salmaso@Billboard Live Osaka

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1115228338442788864?s=21

 

5/5:こんがりおんがく祭@大阪城野外音楽堂オシリペンペンズ坂本慎太郎cero

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1124935107612008453?s=21

 

5/26:Suchmos@神戸ワールド記念ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1132605374329106432?s=21

 

5/29:Tom Misch@松下IMPホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1133776101816188928?s=21

 

6/1:折坂悠太(重奏)@梅田Shangri-La

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1134851617356886016?s=21

 

6/9:岡村靖幸@ロームシアター京都 サウスホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1137692982465843200?s=21

 

6/10:ENDRECHERI@中野サンプラザ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1138000069406253056?s=21

 

6/22:deadman・RAZOR・LIPHLICH@名古屋 BOTTOM LINE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1142337089691717632?s=21

 

7/14:NOT WONK・踊ってばかりの国@渋谷 WWW X

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150325658637107200?s=21

 

7/15:EVIL A LIVE 2019@パシフィコ横浜 国立大ホール

(特撮・ももいろクローバーZ・The Dirty Dawg・TeddyLoid・ドレスコーズ・B.O.L.T・清竜人イヤホンズサイプレス上野とロベルト吉野月蝕會議

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1150685874348122112?s=21

 

7/26・27・28:FUJI ROCK FESTIVAL 2019@苗場スキー場

1日目(Janelle Monáe・スガシカオ・Mitski・THOM YORKE TOMORROW'S MODERN BOXES)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1154672165561626624?s=21

2日目(UNKNOWN MORTAL ORCHESTRA・DYGL・ALVVAYS・AMERICAN FOOTBALL・SIA)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1154987790943129600?s=21

3日目(渋さ知らズ・BANDA BASSOTTI・HIATUS KAIYOTE・HYUKOH・崎山蒼志・平沢進+会人・THE CURE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1155310468367470593?s=21

 

8/15:BROCKHAMPTON@新木場 STUDIO COAST

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1161930996494684160?s=21

 

8/16:SUMMER SONIC 2019 初日@海浜幕張

(Sam Fender・PSYCHEDELIC PORN CRUMPETS・Sabrina Carpenter・THE 1975・B'z)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162214838170292225?s=21

 

8/16:Spotify JPN on Stage in MIDNIGHT SONIC@幕張メッセ

MGMTSEKAI NO OWARINCT 127・R3HAB)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162362051689209857?s=21

 

8/17:NF in MIDNIGHT SONIC

THE CINEMATIC ORCHESTRAAKUFEN・FLOATING POINTS(DJ)・Taylor  Mcferrin)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162725045963128833?s=21

 

8/18:SUMMER SONIC 2019 3日目@海浜幕張

(JAIN・Perfume・BLACKPINK・BROCKHAMPTON・Neneh Cherry・FKJ・Flume)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1162941961134735360?s=21

 

8/27:THA BLUE HERB@KYOTO MUSE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1166302782111903745?s=21

 

9/4:Kamasi Washington@Billborad Live Osaka

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1169257666788524032?s=21

 

9/6:black midi@心斎橋CONPASS

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1169941189534961664?s=21

 

9/7:black midi@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1170284432764235778?s=21

 

9/10:IMMOLATION・BROKEN HOPE・DEFILED@Live House Pangea

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1171355441508470785?s=21

 

9/13:堂本剛@平安神宮 特設舞台

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1172446284789116934?s=21

 

9/14:Moe and ghosts × 空間現代@京都 外

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1172800688440524801?s=21

 

9/15:André Mehmari@大津フィガロホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1173095546489163776?s=21

 

9/15:Moe and ghosts × 空間現代@京都 外

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1173167984753250305?s=21

 

9/22:京都音楽博覧会2019@梅小路公園芝生広場

(Homecomings・Camila Meza & Shai Maestro・折坂悠太(重奏)・never young beachNUMBER GIRL

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1175602884244717569?s=21

 

9/22:MAGMA@サンケイホールブリーゼ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1175693654012256257?s=21

 

9/23:People In The Box@京都MOJO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1176055689036222465?s=21

 


10/8:ENDRECHERI@Zepp Namba

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1181548938681184256?s=21

 


10/13:KOHH@THE PINK

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1183365071570759685?s=21

 


10/23:THE REAL GROUP@Billborad Live Osaka

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1186973333209763840?s=21

 


10/24:CRCK/LCKS・Attractions@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1187321109516935170?s=21

 


11/2:WXAXRXP DJS@京都METRO

(Ken'ichi Itoi・ONEOHTRIX POINT NEVER・SQUAREPUSHERBIBIO・原 摩利彦)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1190632795380387840?s=21

 


11/4:岡村靖幸@Zepp Namba

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1191323462930849793?s=21

 


11/5:BATTLES・平沢進+会人@梅田Club Quattro

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1191658987155906561?s=21

 


11/7:池田亮司@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1192397165894615041?s=21

 


11/8:池田亮司@ロームシアター京都 ノースホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1192745582588116992?s=21

 


11/10:Madmans ESprit・明日の叙景・lantanaquamara

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1193405229716230144?s=21

 


11/10:崎山蒼志@神田明神ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1193415941452787714?s=21

 


11/10:POISON IDEA・ROCKY & The SWEDEN・CRUDE

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1193468776773120000?s=21

 


11/13:EMPEROR・DEAFHEAVEN@なんばHatch

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1194541923727335425?s=21

 


11/15:坂本慎太郎@味園ユニバース

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1195323648422211586?s=21

 


11/17:君島大空(合奏形態)・colormal@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1195988267176353792?s=21

 


11/18:BRING ME THE HORIZON@Zepp Osaka Bayside

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1196396455134515202?s=21 

 


12/2:Antonio Loureiro Trio@神戸 100BAN Hall

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1201446889100439552?s=21

 


12/3:Z.O.A 仮想の人@京都 磔磔

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1201800077511028736?s=21

 


12/5:U2@さいたまスーパーアリーナ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1202533192126758913?s=21

 


12/7:ももいろクローバーZ@大阪城ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1203273476028555264?s=21

 


12/13:cali≠gari@心斎橋DROP

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1205786468850925568?s=21

 


12/25:嵐@東京ドーム

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1209818606046830593?s=21

2019年・年間ベストアルバム記事リンク集(随時更新)

【2019年・年間ベストアルバム記事リンク集】(随時更新)

 

 

 

各媒体から発表された2019年「年間ベストアルバム」記事のリンク集です。

(英語メディアの場合は元記事でなく日本語の説明付きで整理してあるものを選びました)

備忘録としてここに載せておきます。

 

 


なお、海外の《音楽雑誌・サイト》に関しては、集計サイト

Album of The Year

 

https://www.albumoftheyear.org/ratings/6-highest-rated/2019/1

 


が概ね網羅してくれています。

英語に抵抗がない方はこちらも読むことをお勧めします。

 

 

 

《音楽雑誌・サイト》

(Web掲載分のリンク)

 

 

 

 


Mojo(75)11月発行(1月号掲載)

 


http://amass.jp/128182/

 


Decibel(Metal 40)11/12

 


http://amass.jp/127985/

 


Rough Trade(100)11/13

 


http://amass.jp/127972/

 


Uncut(75)11/14発行(1月号掲載)

 


http://amass.jp/128417/

 


BBC Radio 6 Music(10)11/25

 


http://amass.jp/128495/

 


Revolver(Metal 25)11/25

 


http://amass.jp/128499/

 


Time(10)11/27

 


http://amass.jp/128591/

 


Bleep(10)11/28

 


http://amass.jp/128654/

 


Consequence of Sound(50)12/2

 


http://amass.jp/128770/

 


Guardian

ベストソング(20)12/2

 


http://amass.jp/128786/

 


ベストアルバム(50)12/6

 


http://amass.jp/129512/

 


ベスト・アフリカンポップソング

 


http://amass.jp/129670/

 


Paste(50)12/2

 


http://amass.jp/128787/

 


Stereogum

オールジャンル(50)12/3

 


http://amass.jp/128824/

 


ハードコア(10)

 


http://amass.jp/129304/

 


Loudwire(Metal 50)12/3

 


http://amass.jp/128825/

 


The Wire(50)12月発行(1月号掲載)

 


http://amass.jp/128883/

 


Rolling Stone(50)12/5

 


http://amass.jp/128927/

 


メタル(10)

 


https://rollingstonejapan.com/articles/detail/32713

 


吉田豪のベストソング10

 


https://rollingstonejapan.com/articles/detail/32836

 


Kerrang!(50)

 


http://amass.jp/129797/

 


NME(50)公式日本語訳

 


https://nme-jp.com/blogs/85047/

 


Brooklyn Vegan

Stephen O'Malley(11)12/5

 


http://amass.jp/128944/

 


New York Times(Jazz 10)

 


http://amass.jp/129012/

 


Pitchfork

ベストソング(100)

 


http://amass.jp/129046/

 


ベストアルバム(50)

 


http://amass.jp/129086/

 


ロック(30)

 


http://amass.jp/129142/

 


エレクトロニック・ミュージック、エクスペリメンタル

 


http://amass.jp/129344/

 


メタル(14)

 


http://amass.jp/129399/

 


読者セレクト(アルバム・ソング各50)

 


http://amass.jp/129523/

 

 

 

Billborad

ベストアルバム(50)

 


http://amass.jp/129097/

 


K-POPソング(25)

 


https://www.billboard.com/articles/news/international/8547126/the-25-best-k-pop-songs-of-2019-critics-picks

 

 

 

NPR(アルバム・ソング各25)

 


http://amass.jp/129150/

 


Resident Advisor

ベストアルバム(40)

 


https://jp.residentadvisor.net/features/3567

 


ベストトラック(55)

 


https://jp.residentadvisor.net/features/3566

 


ベストミックス

 


https://jp.residentadvisor.net/features/3565

 

 

 

Bandcamp(100)

 


https://daily.bandcamp.com/best-of-2019/the-best-albums-of-2019-100-81

 


https://daily.bandcamp.com/best-of-2019/the-best-albums-of-2019-80-61

 


https://daily.bandcamp.com/best-of-2019/the-best-albums-of-2019-60-41

 


https://daily.bandcamp.com/best-of-2019/the-best-albums-of-2019-40-21

 


https://daily.bandcamp.com/best-of-2019/the-best-albums-of-2019-20-1

 


ototoy

 


https://ototoy.jp/feature/2019122801

 


Prog(20)

 


http://amass.jp/129238/

 

 

 

Cover Me

ベストアルバム(20)

 


http://amass.jp/129243/

 


ベストソング(50)

 


http://amass.jp/129336/

 


Metal Hammer(20)

 


http://amass.jp/129334/

 


SPIN(10)

 


http://amass.jp/129384/

 


SOUL TRACKS

ベストソング(75)

 


http://amass.jp/129735/

 

 

 

柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

 


https://note.com/elis_ragina/n/ndc9a815e7a43

 


https://note.com/elis_ragina/n/n295822ede992

 

 

 

Real Sound

 


鳥居咲子(韓国ヒップホップ)

 


https://realsound.jp/2019/12/post-465611.html

 


村尾泰郎(USインディ)

 


https://realsound.jp/2019/12/post-465831.html

 


渡辺志保(ヒップホップ)

 


https://realsound.jp/2019/12/post-473198.html

 


柴那典(日本語の音楽表現)

 


https://realsound.jp/2019/12/post-475552.html

 

 

 

FNMNL

 


https://fnmnl.tv/2019/12/28/89102

 


bounce

2019年の100枚

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23916

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23922

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23942

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23943

 


ベストソング

洋楽

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23853

 


邦楽

 


https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/23883

 


Quetic

インディ・ロックのDJ(村田タケル)が選ぶ2019年ベストトラック15選

 


https://qetic.jp/music/indierock-besttrack-191225/342116/

 

 

 

RBAN

真鍋大度

 


https://www.arban-mag.com/article/47310

 


石若駿

 


https://www.arban-mag.com/article/46517

 

 

 

 


ABYSS

様々なアーティストの“印象に残った5曲”

 


https://avyss-magazine.com/2019/12/26/12039/

 


https://avyss-magazine.com/2019/12/27/12042/

 


https://avyss-magazine.com/2019/12/28/12046/

 


xxxmag

 


https://xxsmag.com/?p=1842

 

 

 

Jet Set Records

様々なアーティストの年間ベスト選がまとめられています

 


https://www.jetsetrecords.net/feature/485

 

 

 

only in dreams

 


http://www.onlyindreams.com/interview/2019/12/250000/

 

 

 

ディスクユニオン

BRASIL MPB/SAMBA

 


https://diskunion.net/latin/ct/news/article/1/85714

 


JAZZ/INST

 


https://diskunion.net/latin/ct/news/article/0/85712

 


ARGENTINA/URUGUAY/CHILE

 


https://diskunion.net/latin/ct/news/article/1/85774

 

 

 

LOS APSON?

 


http://www.losapson.net/chart2019/

 


RECONQUISTA

 


https://www.reconquista.biz/SHOP/264597/list.html

 

 

 

OMOTE TO URA

邦楽

 


http://omotetoura.jp/2019-best-album-by-omotetoura-japan/

 


洋楽

 


http://omotetoura.jp/2019-best-album-by-omotetoura/

 

 

 

Voices of "usen for Cafe Apres-midi” Crew

 


https://note.com/usen_apres_midi/n/n9d333669fa5f

 


アンテナ

 


https://kyoto-antenna.com/post-36370/

 


https://kyoto-antenna.com/post-37271/

 


Sleep like a pillow

 


http://www.sleep-like-a-pillow.com/best-shoegaze-albums-2019/

 


梵天レコード

 


https://peckinpah.jp/2019/12/31/bonten-best2019/

 


naniwametal

 


https://naniwamtl.exblog.jp/27920041/

 

 

 

The Sign Magazine(50)

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_41-50/

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_31-40/

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_21-30/

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_11-20/

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_6-10/

 


http://thesignmagazine.com/sotd/50-best-albums-of-2019_1-5/

 


TURN(25)

 


http://turntokyo.com/features/the-25-best-albums-of-2019/

 

 

 

 


《各種サービスのランキング》

 

 

 

Spotify

 


http://amass.jp/128767/

 

 

 

 

 

 

 


《音楽雑誌・サイト》

(出版されたものについての各公式ページ)

 

 

 

 

 

 

 

《個人サイト・ブログ》

(基本的には説明文付きのもの・発表日順)

 


年間ベストツイートまとめ

 


https://togetter.com/li/1441391

 

 

 

 


とかげ日記(11/26)

ベストアルバム

https://ameblo.jp/yoyo0616/entry-12549134302.html

 


ベストソング

 


https://gamp.ameblo.jp/yoyo0616/entry-12555003008.html#click=https://t.co/80Z4P2BaQF

 


青の時代(12/5)

 


http://daumier-smith.hatenablog.com/entry/2019/12/05/185432

 


Take A Little Walk With Me(12/5)

 


https://coimk324echo.hatenablog.com/entry/2019/12/05/192345

 


ノベルにはアイデンティティしかない

邦楽(12/4)

 


http://noveltootakatohe.com/2019japanbestalbum/

 


洋楽(12/5)

 


http://noveltootakatohe.com/2019overseaalbum50/

 


おひとりさまOL紗奈の私的アルバムレビュー(12/9)※現代ジャズ方面のコアなラインナップです

 


https://mochizukisana.com/2019-best10/

 

 

 

Quantum of Solace

洋楽(12/11)

 


https://redhotshow.hatenablog.com/entry/2019/12/11/214109

 


邦楽(12/15)

 


https://redhotshow.hatenablog.com/entry/2019/12/15/212327

 

 

 

SUIGOYA(12/12)

 


https://12xuooo.blogspot.com/2019/12/aoty-2019.html

 


ブック、ロックときどきカレー(12/12)

 


https://www.bookrockcurry.com/entry/2019/12/12/2019%E5%B9%B4_%E7%A7%81%E7%9A%84_%E6%B4%8B%E6%A5%BD%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B010

 


SIKEI-MUSIC

ベストトラック(20)12/13

 


http://sikeimusic.hatenablog.jp/entry/2019/12/13/121200

 


ベストアルバム(20)12/15

 


http://sikeimusic.hatenablog.jp/entry/2019/12/15/121200

 


雉虎白note(12/14)

 


https://shirokijitora.hateblo.jp/entry/2019bestmusic

 


それでも人生は続く。(12/14)

 


http://vibechant.hatenablog.com/entry/2019/12/14/2019%E5%B9%B4%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0

 


サウンド・オブ・コンフュージョン(12/15)

 


http://0smdn.hatenablog.com/entry/2019/12/15/2019%E5%B9%B4_%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0

 


かつまの音楽日記(12/15)

 


http://blog.livedoor.jp/fj26ktm/archives/21161903.html

 


blue_panopticon's diary(12/16)

 


https://blue-panopticon.hatenablog.com/entry/2019/12/16/160745

 


泣きながら一気に書きました(12/16)

 


https://tmykinoue.hatenablog.com/entry/2019/12/16/191542

 


橋本(12/19)

 


https://note.com/hsmt_i/n/nf00885d46a7e

 


hashimotosanの日記(12/20)

 


http://miwazugirai.jugem.jp/?eid=814

 


Takeshi(12/20)

EP

 


https://note.com/takashistroke9/n/nda697cbc82a6

 


NEIGHBORHOOD(12/20)

前半

 


https://note.com/nbhparty/n/na45a56bca5ee

 


後半

 


https://note.com/nbhparty/n/n538dff97d91c

 


A4 COPYPAPER(12/20)

 


http://a4copypaper.blogspot.com/2019/12/2019-25.html

 


YMN(12/20)

 


https://youmakemenavy.blue/2019/12/20/2019%E5%B9%B4%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0-%E5%89%8D%E7%B7%A8-south-penguin%E3%80%81tempalay%E3%80%81no-buses/

 


AP(12/20)

 


https://note.com/apriltherealdeal/n/nf9367d1cfb97

 


Toru Hashimoto (Suburbia)Blog(12/21)

 


http://th-suburbia.jugem.jp/?eid=131

 


WITHOUT SOUNDS(12/21)

 


https://slapsticker.blog.fc2.com/blog-entry-446.html

 


THE SECRET GARDEN(12/21)

 


https://skye.themedia.jp/posts/7470228/

 


warzawa(12/22)

 


https://wrszw.net/top-50-albums-of-2019/

 


'n'Roll Music(12/22)

 


http://first-eye.com/2019/12/22/2019%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E3%80%80%E6%B4%8B%E6%A5%BD%E7%B7%A8/

 


Bã(12/22)アルゼンチン音楽2019年の25枚+25

 


https://bamudaba.tumblr.com/post/189809130919/25-discos-de-2019ar-25

 


メタルDUNE(12/22)

 


https://note.com/metaldunne/n/n4f9813fac938

 


https://note.com/metaldunne/n/nc02ad453a99c

 


https://note.com/metaldunne/n/nc4517869388f

 


YOSHI(12/23)

 


https://note.com/yoshihiphop/n/n7fbe66c66cb1

 


sgsw(12/23)

 


https://note.com/tba_eric/n/ne9a9e0d5523f

 


kalappo(12/23)

 


https://note.com/kalappo_070418/n/ne9a9da8c6f6f

 


梅雨の頃の音色(12/23)

 


https://an-eastern-music-blog.hatenablog.com/entry/2019/12/23/224243

 


偏愛音盤コレクション序説(12/24)

 


http://abortedeve.blog.jp/archives/1076620816.html

 


xkilldozerx(12/24)

 


https://note.com/killdozer/n/n8fab6d4183b0

 


1T(12/24)

邦楽

 


https://note.com/ongakuonomatope/n/n6acb8bd55298

 


洋楽

 


https://note.com/ongakuonomatope/n/n8d971f8684b4

 


近藤真弥(12/24)

アルバム

 


https://note.com/masayakondo/n/n4a011829367b

 


トラック

 


https://note.com/masayakondo/n/n64b6ee18e9f0

 


nettyu(12/25)

 


http://akiu.hatenablog.jp/entry/2019/12/25/121200

 


Leo Okagawa(12/25)

 


https://prtcll.tumblr.com/post/189860866425/30-music-of-2019

 


ワニウェイブ(12/25)

 


https://note.com/waniwave/n/ndda80a246dd7

 


とっぴんぱらりのぷう(12/25)

 


https://note.com/dot_harai/n/n94efd533fe33

 


https://note.com/dot_harai/n/nd211223c942a

 


Art Music Satellite(12/25)

 


http://artmusic-satellite.com/2019/12/25/post-14376/

 


Sitakke Records(12/26)

 


https://sitakke-pinocchi-records.tumblr.com/post/189863252391/best-albums-of-2019-prog

 


魂のダンス(12/26)

 


http://tacchi0727.hatenablog.com/entry/2019/12/26/160331

 


π-p@N.(12/26)

 


https://note.com/0706538/n/n49c73c530724

 


CollectoneNotes.(12/26)

 


https://collectone.jp/blog/2019/12/1176/

 


SUGAROCK(12/27)

 


https://www.ysugarock.com/bestalbum2019

 


おとにっち(12/27)

 


https://www.ongakunojouhou.com/entry/2019/12/27/204853

 


道草オンラインマガジンonfield(12/27)

 


https://ameblo.jp/onfield2012/entry-12554924141.html

 


アララ(12/27)

 


https://note.com/alala119/n/n31f7c493471f

 


あかかけけけ(12/27)

 


http://blog.livedoor.jp/ankake21/archives/31148628.html

 


イメージは燃える朝焼け(12/28)

 


https://ryota-sekiguchi.com/2019/12/28/best-prog-2019/

 


illuminative waves(12/28)

 


https://note.com/illuminativewave/n/nc18c5f1b33f2

 


夢の三角木馬(12/28)

 


http://oz-tk.hatenablog.com/entry/2019/12/28/035114

 


m7d(12/28)

 


https://note.com/mizktznd/n/n869e32828e24

 


ばびろーん(12/28)

 


http://tomoshibi294.blog.fc2.com/blog-entry-2900.html

 


chapter22(12/28)

 


http://blog.livedoor.jp/chapter22/archives/10166006.html

 


blog non grata(12/29)

 


https://lassiorchai.hatenablog.com/entry/2019/12/29/220749

 


にんじゃりGang Bang(12/29)

 


https://fuckyeahabocado.tumblr.com/post/189936190846/2019%E5%B9%B4%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0

 


DOGMUSICMAN(12/29)

ベストソング

 


https://note.com/theono/n/n0795e5ec84bc

 


https://note.com/theono/n/naae30cab4cdf

 


https://note.com/theono/n/n97a6d07bbf40

 


ベストアルバム

 


https://dogonodog.tumblr.com/post/189950592570/2019-best-albums-10

 

 

 

悲観停止(12/30)

 


https://drinkerchild.hatenablog.com/entry/2019/12/30/150336

 


チャプ・マネジメント(12/30)

 


https://note.com/tyabmgmt/n/n104aec8069ca

 


ぐらいんどこあせーるすまん(12/30)

 


http://blog.livedoor.jp/nekropunk/archives/56256560.html

 


sharikko(12/30)

 


https://note.com/sharikko/n/n254fb9724a39

 


AFTERGROW(12/30)

 


http://afterglow-m.blogspot.com/2019/12/2019_30.html

 


ブンガクブ・ケイオンガクブ(12/30)

 


http://ystmokzk.hatenablog.jp/entry/2019/12/30/221407

 


http://ystmokzk.hatenablog.jp/entry/2019/12/31/155035

 


異類(12/30)

 


http://iruikonintan.hatenablog.com/entry/2019/12/30/221620

 


K4ZUY4(12/30)

 


https://note.com/suzumedai_/n/n38e90f426e6e

 


あさってからでもいいかな…(12/31)

 


http://blog.livedoor.jp/hr_nonbiri2i_ihm974/archives/10166679.html

 


My First JUGEM(12/31)

 


http://snkj6.jugem.jp/?eid=7

 


大和田俊之(12/31)

 


https://m.facebook.com/tohwada/posts/10221051661944213

 


ANOKTHUS(12/31)

 


https://note.com/anokthus/n/nf548a55ab881

 


さこれた(12/31)

 


https://note.com/sakoreta0301/n/n1216b64d4268

 


ボヨヨン岬(12/31)

 


http://blog.livedoor.jp/sakuku992/archives/52112954.html

 


peedog(12/31)

 


http://hugallmyf0128.hatenablog.com/entry/2019/12/31/230034

 


軽蔑(12/31)

 


https://note.com/contort_me/n/n2846b439354a

 


鴎庵(12/31)

 


https://kamomelog.exblog.jp/30652728/

 


PUBLIC IMAGE REPUBLIC(12/31)

 


http://youthofeuphoria.blog65.fc2.com/blog-entry-749.html?sp

 


http://youthofeuphoria.blog65.fc2.com/blog-entry-748.html?sp

 


現場主義です(12/31)作品ではなく人の10選

 


http://nagai0128.hatenadiary.jp/entry/2019/12/31/070000

 

 

 

よろすず(1/1)

 


https://note.com/yorosz/n/n034d0cf57d70

 


https://note.com/yorosz/n/n99f27fcc9ee0

 


https://note.com/yorosz/n/n48226a0525e7

 


http://listening-log.hatenablog.com/entry/2020/02/19/182321

 

 

 

伊達さん(1/1)

 


https://note.com/sus9_s/n/n4c86d032ad35

 


DIES IRAE(1/2)

 


http://blog.livedoor.jp/needled_2407/archives/52191868.html

 


MARUNOUCHI MUSIK MAGAZINE(1/2)

 


http://sin23ou.heavy.jp/?p=13692

 


Everything's Ruined(1/2)

 


http://blog.fantomas.kill.jp/?eid=928709

 


ヨーグルトーン(1/2)

 


https://muimix.hatenablog.com/entry/20200102/1577938745

 


もやしのスタジオ(1/3)

 


https://moyashi-rengou.hatenablog.com/entry/2020/01/03/020143

 


高橋アフィ(1/4)

 


https://note.com/tomokuti/n/nf56cab897114

 


TECHNOLOGY POPS π3.14(1/4)

 


http://reryo.blog98.fc2.com/blog-entry-1070.html

 


Hospice(1/4)

 


http://hospice.blog.jp/archives/56270510.html

 


Culthouse diaspora(1/5)

 


http://culthouse.hatenablog.com/entry/2020/01/05/231010