【残す100枚】(2018.7.1 暫定版)

【残す100枚】(2018.7.1 暫定版)

 

 

 

中山康樹(音楽評論家)の発言に「コレクション100枚の真理」という話があります。

「『集める』ことと『聴く』ことが無理なく並存できる限界は、せいぜい100枚までではないかと思います」

中山康樹「超ジャズ入門」(集英社新書、2001)p166より引用)

というものです。

 


「100枚」というのが適切な数字かどうかは場合によると思いますが、これだけ限定された枚数に絞るということは、「自分にとって本当に大事な作品はどれなのか」考えるきっかけを与えてくれるものであり、実際やってみると、かなり面白い結果が得られます。

 


というわけで、「2018年7月1日の時点における『この100枚』」を選んでみました。

所持アルバムの総数は(リストは作っていますがカウントは途中で放棄してまして)5000枚+α程度でしょうか。(全てフィジカルコピーです。)そこからぴったり100枚。次点なども作らず、厳密に選びぬきました。

はじめの3枚以外は、思い入れの多寡を問わず単にアルファベット順で並べています。

 


「この100枚それぞれについて何かしら書く」ことを今年の目標としたいと思います。

 


それでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


MESHUGGAH:Nothing(remix)

 


聖飢魔Ⅱ:The Outer Mission

 


PUGS:SPORTS?

 

 

 

A PERFECT CIRCLE:Eat The Elephant

 


AT THE GATES:To Drink from The Night Itself

 


Allan Holdsworth:Secrets

 


Anderson .Paak:Malibu

 


AREA:1978

 


ATHEIST:Unquestionable Presence

 


THE BAND:Music from Big Pink

 


THE BEATLES:Revolver

 


THE BEACH BOYS:Pet Sounds

 


BLACK SABBATH:Vol.4

 


Bob Dylan:Blood on The Tracks

 


BUCK-TICK:No.0

 


cali≠gari:12

 


COIL:The Ape of Naples

 


CONFESSOR:Condemned

 


CORONER:Grin

 


Curtis Mayfield:There’s No Place Like America Today

 


CYNIC:Focus

 


D`Angelo:Voodoo

 


Dan Weiss:Starebaby

 


DARK TRANQUILLITY:We Are The Void

 


David Bowie:★

 


DISCHARGE:Why

 


DISHARMONIC ORCHESTRA:Fear of Angst

 


DØDHEIMSGARD(DHG):A Umbra Omega

 


Esperanza Spalding:Emily's D+Evolution

 


EXTOL:The Blueprint Dives

 


EYEHATEGOD:Take as needed for pain

 


FLEURETY:Department of Apocalyptic Affairs

 


Frank Zappa:One Size Fits All

 


Fripp & Eno:No Pussyfooting

 


G.I.S.M.:DETESTation

 


GENESIS:Selling England by The Pound

 


gibkiy gibkiy gibkiy:不条理種劇

 


Glenn Gould:(J.S.Bach)The Goldberg Variations〈81〉

 


GORGUTS:Colored Sands

 


Hermeto Pascoal & Big Band:Natureza Universal

 


じゃがたら:ニセ予言者ども

 


JAPAN:Gentlemen Take Polaroids

 


Jim O'rourke:Simple Songs

 


Jim O'Rourke:sleep like it's winter

 


Jimi Hendrix:Electric Ladyland

 


Jlin:Black Origami

 


JUDAS PRIEST:Screaming for Vengeance

 


KILIING TIME:Skip

 


KING:We Are KING

 


KING CRIMSON:In The Court of The Crimson King

 


KING KRULE:The OOZ

 


KIRINJI:愛をあるだけ、すべて

 


Manuel Gottshing:E2-E4

 


Marvin Gaye:I want you

 


MASSIVE ATTACK:Protection

 


MAUDLIN OF THE WELL:Leaving Your Body Map

 


Mats & Morgan:[schack tati]

 


MESHUGGAH:Koloss

 


三上寛:Bang!

 


Miles Davis:Nefertiti

 


Milton Nascimento:Milton(76) 

 


3776:3776を聴かない理由があるとすれば

 


ももいろクローバーZ白金の夜明け

 


MOODYMANN:Mahogany Brown

 


MORBID ANGEL:Alters of Madness

 


MORRIE:Hard Core Reverie

 


No Lie-Sense:Japan's Period

 


岡村靖幸:家庭教師

 


岡村靖幸:幸福

 


大森靖子:TOKYO BLACK HOLE

 


大槻ケンヂ:Underground Searchile-スケキヨ

 


PARLIAMENT:Mothership Connection

 


Peter Hammill:From The Trees

 


Peter Ivers:Terminal Love

 


Phew:ニューワールド

 


PRINCE:Sign of The Times

 


Sam Cooke:One Night Stand!

 


佐井好子:蝶のすむ部屋

 


Sen Morimoto:Cannonball!

 


SLEEP:Dopesmoker

 


SLINT:Spiderland

 


SOFT MACHINE:3rd

 


SPEED, GLUE & SHINKI:Eve

 


Steve Reich:Music for 18 Musicians〈'76〉

 


SWANS:The Glowing Man

 


Syd Barrett:The Madcap Laughs

 


TELEVISION:Marquee Moon

 


THA BLUE HERB:Sell Our Soul

 


Thelonious Monk:Thelonious Himself

 


Thighpaulsandra:The Golden Communion

 


THE 3RD & THE MORTAL:In This Room

 


TRIPTYKON:Melana Chasmata

 


ULVER:The Assassination of Julius Caesar

 


宇多田ヒカル:初恋

 


VAN DER GRAAF GENERATOR:Still Life

 


VED BUENS ENDE…:Written in Waters

 


THE WAYNE SHORTER QUARTET:Without A Net

 


やくしまるえつこ:Radio Onsen Eutopia

 


ゆるめるモ!:YOU ARE THE WORLD

 


米津玄師:BOOTLEG

 

 

【2017年・年間ベストアルバム】(短評未完成)

【2017年・年間ベストアルバム】(短評未完成)

 

・2017年に発表されたアルバムの個人的ベスト20です。

 


・評価基準はこちらです。

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2014/12/30/012322

個人的に特に「肌に合う」「繰り返し興味深く聴き込める」ものを優先して選んでいます。

 


・これはあくまで自分の考えなのですが、ひとさまに見せるべく公開するベスト記事では、あまり多くの作品を挙げるべきではないと思っています。自分がそういう記事を読む場合、30枚も50枚も(具体的な記述なしで)「順不同」で並べられてもどれに注目すればいいのか迷いますし、たとえ順位付けされていたとしても、そんなに多くの枚数に手を出すのも面倒ですから、せいぜい上位5~10枚くらいにしか目が留まりません。

(この場合でいえば「11~30位はそんなに面白くないんだな」と思ってしまうことさえあり得ます。)

たとえば一年に500枚くらい聴き通した上で「出色の作品30枚でその年を総括する」のならそれでもいいのですが、「自分はこんなに聴いている」という主張をしたいのならともかく、「どうしても聴いてほしい傑作をお知らせする」お薦め目的で書くならば、思い切って絞り込んだ少数精鋭を提示するほうが、読む側に伝わり印象に残りやすくなると思うのです。

以下の20枚は、そういう意図のもとで選ばれた傑作です。選ぶ方によっては「ベスト1」になる可能性も高いものばかりですし、機会があればぜひ聴いてみられることをお勧めいたします。もちろんここに入っていない傑作も多数存在します。他の方のベスト記事とあわせて参考にして頂けると幸いです。

 


・ランキングは暫定です。3週間ほどかけて細かく練りましたが、今後の聴き込み次第で入れ替わる可能性も高いです。

 

 


[年間Best20]

 

 

第20位:DIABLO  SWING ORCHESTRA『Pacifisticuffs』

 

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スウェーデンの通称「アヴァンギャルドメタル」が5年ぶりに発表した4th。19世紀あたりのクラシック音楽や20世紀序盤のビッグバンドジャズを世界各地の歌謡曲と混ぜ合わせつつ独自の味わいに熟成するやり口が過去最高にうまくいった傑作で、一枚モノとしての流れまとまりの良さと容易に底をつかませない不思議な引っ掛かりが絶妙に両立されています。ついリピートしてしまうアルバムで、とりあえず20位ということにしましたが、今後の聴き込み次第ではもっと上位に食い込む可能性が高い気もします。

 


DIABLO SWING ORCHESTRAは「アヴァンギャルドメタル」と呼ばれ「奇怪で変態なセンスが凄い」的な扱われ方をすることが多いですが、その音楽性はべつにアヴァンギャルド(前衛的)ではありませんし、演奏面をみれば3rdアルバム以降は「スウィング」してさえいません。使われる和声はオールドスクールといってもいいくらいオーソドックスなものばかりですし(20世紀初頭以降の近現代クラシックや1960年代以降のモード/フリージャズあたりで用いられる複雑なコードは一切出てこない)、初期ドラマー(2ndアルバムの冒頭で「全ての打音の響きが美しく3連に割れている」完璧なひとりスウィングを提示)が抜けてからはスクエアな(3連感がない or 分割ビート感覚を“響きの処理”で提示できていない)ドラムスが全体のグルーヴ強度を損なう状態が続いていて、他のパートの完璧なリズム処理をいまいち活かせずにいます。2012年に発表された3rdアルバムはそうしたアンサンブルの関係性が最も悪い形で現れた作品で(録音に参加したドラマーはすぐに脱退)、作編曲の幅やポップソングとしての強度は前2作より大きく増したものの、先述のような演奏面に魅力を見出していたファンにとってはかなり厳しい内容になってしまっていました。本作(土台は2016年の7~10月に録音)の完成にかなりの時間がかかってしまったのはそういうアンサンブル構築に取り組まざるを得なかったせいもあるのではないかと思われます。邪推ですが。

 


このような「スクエアなドラムスが完璧にスウィングする他パートの足を引っ張る」傾向は本作でも散見されるのですが(1曲目のカントリー・パートにおけるベースが先導する最高のグルーヴなどに顕著)、その上でこれはこれでとてもうまくまとまっているのではないかという気もします。「歯車の目が微妙に粗く滑らかに噛み合いきらないながらも基幹ビートの流れは外さずしっかり寄り添う」感じのドラムスは作編曲の「歌謡曲的ないなたさ」をひきたて、ベースその他を土台として聴いたときには「滑らかに流れすぎないほどよい引っ掛かり」を感じさせてくれるのです。本作から交代した女声ボーカルも非常に良い味を出していて、エキセントリックで音程も微妙に雑だった(というかビブラートが雑で暴力的な印象を押し出していた)前任者とは異なるスムース&キュートな歌い回しで自然なまとまりの良さを高めています。そうした演奏により提示される作編曲は先述のような“歌謡曲を土台にしたクラシック/ジャズのミクスチュア”スタイルを唯一無二のかたちで完成させたもので、明晰で滑らかな構成力と何度聴いても底が知れない素敵な謎を見事に両立できています。気づいたら聴き通せてしまっていてその上で独特のもやもやした余韻が残り、それでいて不快なモタレ感などはない。非常に優れたアルバムなのではないかと思います。

 


かく言う私も、はじめはこのドラムスの(2ndまでと比べての)硬さが気に入らなくて「やっぱり戻しきれなかったか」「あまり積極的に聴き込まなくてもいいかな」と思ってしまったのですが、独特の引っ掛かりを保ちながら滑らかに流れていく聴き味についリピートさせられているうちに「これって意外と良いんじゃね?」と感じさせられ、気がついたらどんどん聴き込んでしまっている次第です。初期作を好む人やジャズファンなどにはクリーンヒットしない内容だと思いますが、わりとそちら寄りの自分でもじわじわ気に入りいつの間にかOKを出せていたりしますし、聴いてみる価値は結構高いのではないかと思います。

 

 

第19位:CIRCLE『Terminal』

 

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フィンランドの自称“NWOFHM(New Wave of Finnish Heavy Metal”バンド(1991年結成)による33枚目のフルアルバム。一言でいえば「ULVERの1stとKYUSS的ストーナーロックを70年代後半~80年代のHR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)や初期のPINK FLOYD、70年付近のジャーマンロックなどのエッセンスをたっぷり染み込ませつつすっきりまとめた」感じの仕上がりで、驚異的に豊かな音楽性を滑らかな展開とともに呑み込ませる構成力が素晴らしい。聴きやすく聴き飽きにくい大傑作になっています。

 


CIRCLEは一応「メタル」を自称してはいるものの音楽性の幅は異常に広く、プレゼンテーションのスタイルはアルバム毎に大きく変わります。たとえば『Alotus』『Sunrise』はともに2002年発表ですが、前者が「初期ASH RA TEMPEL+HAWKWIND+ストーナーロック」(このバンドに大きな影響を受けたというORANSSI PAZUZUによく似ている)という感じなのに対し、後者は70年代後半のHR~80年代のHMを土台にした比較的ストレートなスタイル。2013年の『Incarnation』では、バンドは作編曲のみを担当し演奏を外部に委託する形で「INCARTATIONやBOLT THROWER、時にVENOM~BATHORYラインを連想させる個性的な音進行を、ANTEDILUVIANあたりに通じるブラッケンド・デスメタル的な音作りで仕上げた」感じの極悪エクストリームメタルを提示するも、翌2014年の『Leviatan』では、「ULVERの2ndとOPETH『Damnation』を混ぜ合わせたようなアコースティック形式のもと、Violeta Päivänkakkaraのようなフリーフォーク風味や、SOFT MACHINEに通じる欧州ジャズ的音遣い、Marcos Valleなどブラジルの高度なポップス(MPB)的な要素も巧みにちりばめる」感じのスタイルを示しています。様々なジャンルの美味しいところを理解し無節操に融合させてしまう音楽性はよくある「雑食」音楽など爪先にも及ばない深みと広がりを持っていて、いわゆるHR/HMのシーンから出発しながらもあらゆるものを取り込んでしまう(HR/HM的感性がなければ生まれないなんでもありスタイルの)素晴らしい作品を生み続けているのです。この点、WALTARIやMOTORPHYCHO、ULVERあたりにも通じる「シーン本流から遠いところにいるからこそ文脈を無視しあらゆるものをすんなり融合させられる」バンドの好例と言えるかもしれません。

(メタルシーンの奥深くで脱メタル的な探求をし続けているためシーン内からもシーン外からも注目されにくくなり十分な知名度を得られていない、というところも含め。)

そしてその実力は世界的にも超一流です。

 


本作『Terminal』はそうした広大な音楽性が可能な限りシンプルな構成のもと聴きやすく整理されたハードロックの大傑作で、OPETH『Heritage』をストレートに解きほぐし強化したような趣もあります。時にMANILLA ROADやDEATH SSのようなエピック/カルトメタル(NWOBHM的な艶やかなパワーコード感覚を土台に個性的な捻りを加える、メタルシーンからしか生まれない滋味に満ちたスタイル)を匂わせながらも全体の仕上がりはメジャー感十分。フィンランドの音楽特有の臭みをもつ歌謡曲感覚(日本の歌謡曲に通じつつ異なるタイプの出汁感覚)も鼻につきすぎない絶妙なバランスで料理されていて、異物感を至上の珍味として呑み込ませることができる作品になっています。一部のマニアックな(メタル外も含む)音楽メディアが年間ベストに取り上げているのも納得の仕上がり。入門編としても良い一枚です。

 

 

第18位:Minchanbaby『たぶん絶対』

 

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〈メモ〉

 


デスメタルに通じるリズム構成、COILに通じる蠱惑的な雰囲気

柔らかく生温い危険さ

へらへらした鬱感

ふらふらした立ち姿から捨て身で襲いかかってくるような・キレたりはしなさそうだけどいつ刺してくるかわからないような(沈み込んだところで安定しながら力みなくギリギリ平静を保っているかのような)危うさに満ちている

筋力などに頼らない・こけおどし感がないからこその・病んだ体を抱え続けているのが普通になっているような恐ろしさに満ちている

 

 

 

第17位:Kurt Rosenwinkel『Caipi』

 

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第16位:フィロソフィーのダンス『ザ・ファウンダー』

 

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第15位:Calvin Harris『Funk Wav Bounces, Vol.1』

 

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第14位:Jacob Collier『Pure Imagination』

 

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第13位:gibkiy gibkiy gibkiy『in incontience』

 

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いわゆる名古屋系周辺の達人集団による2ndフルアルバム。書き譜/即興の間を漂っていた1stに比べ緻密な構築傾向を強めた作品で、超強力な作編曲&演奏を楽しめる大傑作になっています。

 


これは個人的な話なのですが、HR/HMプログレッシヴロック方面から音楽を聴き始めた自分は「ヴィジュアル系」というものに微妙な偏見を持っていた期間が長くありました。見栄えや“世界観”作りにばかり気を遣っていて音楽的実力はそうでもない、特に演奏技術は貧しいものが多いのではないか、というふうに。これはメタル~プログレ方面の音楽メディアがそういう偏見(ある意味正しい面もある)を持ち読者にも積極的に伝えていたせいもあるのですが、それを鵜呑みにして自分の耳で触れようとしていなかったのも良くなかったと思います。ふとしたきっかけで聴いたcali≠gariの卓越した音楽性はこうした偏見を一気に崩してくれましたし(作編曲の素晴らしさはもちろん、超一流のベース、そしてこちら方面にありがちな“響きの浅さ”が全くない完璧な発声のボーカルが何より大きなインパクトを与えてくれた)、DEAD END~Morrieソロ~CREATURE CREATUREは、いわゆるプログレッシヴ・ブラックメタル(IHSAHNやENSLAVED)やMESHUGGAHに通じる薫り高い暗黒浮遊感(ゴシックロックとKING CRIMSONフュージョン的なアウト感覚を加えるとこういう音遣いが生まれるのでしょう)を独自のやり方で使いこなす高度かつ個性的なスタイルで大きな感銘を与えてくれました。そうした流れから今年初めてちゃんと触れたBUCK-TICKは20枚ものフルアルバムを全て異なる音楽性の傑作に仕上げる(ゴシックロック版BEATLESまたはROLLING STONESともいえる)超絶的な“バンド力”で本格的にハマらせてくれましたし、そうしたメジャーどころだけでなく、sukekiyoの新譜(「ARCTURUS(2nd)+中期OPETH+KATATONIA+UNEXPECT的なスタイルを強力な演奏で柔らかく仕上げる」ような感じ)をはじめ、ややアンダーグラウンドなところにも素晴らしいバンド/作品が数多く存在することがわかってきました。音楽メディアから“正当な評価”を得られていないだけで、実力・広がりともに他ジャンルと比べても何の遜色もない凄いシーンなのだということがやっと理解できましたし、今からでも積極的に掘っていきたいと思っています。

 


gibkiy gibkiy gibkiyのこの新譜はそうしたシーンの中でも出色の大傑作で、複雑で奇怪な音楽性を独特の親しみやすさとともに楽しめる内容になっています。VED BUENS ENDE~VIRUSやLENGSELといった(ノルウェーの初期ブラックメタル~激情ハードコアの中でも特にアヴァンギャルドで尖った)バンドの音遣いを別方面から独力で編み出したような音遣いは強力無比で、7・13・15といった複合拍子の嵐を自然に繋げキャッチーな引っ掛かりを生んでしまう構成力も素晴らしい。そうした作編曲をかたちにする演奏表現力も圧倒的で、ライヴの凄さはCYNICやDOOM(日本)のような超一流にも一歩もひけを取りません。ヴィジュアル系というもの一般に抵抗のある方が聴けば一撃で偏見を打ち砕かれるでしょうし、日本にいればこれほどのバンドのライヴを容易に観られるという現況も実に恵まれているのではないかと思います。機会があればぜひ体験してみてほしいバンドです。

 


7拍子と13拍子が交錯する展開から4拍子系の滑らかな終盤につながる構成が本当に素晴らしい。名曲です。

https://m.youtube.com/watch?v=i8HIpX-jEf0

 


第12位:jjj『Hikari』

 

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〈メモ〉

 


ヒップホップの聴き方:ラップとトラックの結節点を見出して基幹ビートの流れをつかみ、そこからはみ出る出音は程よくいいかげんに受け容れる

 


PUBLIC ENEMYPete Rock & C.L. Smooth、A TRIBE CALLED QUESTあたりだけ聴きかじってハマれなかった経験

(サンプリングフレーズを無造作に並べたトラックは聴き手が意識的に基幹ビートを読み取りその繋がりを一曲を通して把握し続けなければうまくノルことができない:作り手自身はその流れを把握することができている(トラックの出音としては繋がりを作ることができきっていない・またはあえてそれを作っていない):その繋がりを解釈し示すのがラップで、そこを通してトラックを聴くことにより全体の流れが把握しやすくなる)

各パートの響きの干渉不足~パサつく音響:↓で書いたものをここで先に示す

 


D' Angeloや所謂新世代ジャズ

THA BLUE HERB

MASSIVE ATTACK

などとの比較

 


パート間の響きの干渉が少ない(もしくは全くない)隙間のある(ある意味デジタル的でもある)音響が、一定の基幹ビートの流れのもとに密着せず並列され、パサついた鳴りのもとまとめられている

このアルバムの場合は各パートがきっちり“小節線を越えて繋がる”(サンプリングフレーズをそれらの繋がりを考えず無造作に並べるというのではおそらくなく繋がりが客観的にしっかり感じ取れる)ように調整されているし、バスドラの一音一音が地面に食い込む引っ掛かりなど、各パートが基幹ビートによく絡みグルーヴするさまがはっきり描かれている

そうした“パート間の絡みは薄い”“パート単位の引っ掛かりは強い”2要素が絶妙なバランスで組み合わされ、スッキリ感と確かな手応えをトラック単体で(ラップを通さずに聴いてもよくわかる形で)表現することができている

 

 

 

第11位:Peter Hammill『From The Trees』

 

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第10位:Phew『Voice Hardcore』

 

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第9位:FLEURETY『The White Death』

 

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第8位:Nina Becker『Acrílico』

 

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第7位:米津玄師BOOTLEG』  

 

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〈メモ〉

 

醒めてはいるが冷めてはいない

(シニカルだがクールではない)

沈み込みながら燃え上がる

(ブラックミュージックの感覚)

いわゆるシティポップをそのままやったりしていない

(系統的には近いものの外している・同じような参照元から独力で別物を作り得ている)

メロウでウェットだけどだらしなく泣き崩れない

 

ロマンティシズムとそれに溺れ切らない恥じらい(シャイさ・自嘲・自制(客観的視点)などの伴う美意識)

:「orion」などを〈アルバムの流れの中で〉聴くと(嫌味なく)そういう感覚が映えているのがわかる

 

日本のポップミュージックシーンにも定着したループミュージックから自然に反復感覚を得てきた面もある?

(アメリカのブラックミュージックもチェックしてはいるがそれらを受容する下地としても:アメリカのそれらがブルースの“濃い味”を減らしてきた傾向とあわせ“両側から近い所に到着した”というふうな流れもあるかも:その上でブルース側からはアプローチできない“滑らかな動きの方がベース”な仕上がり(特にリードフレーズのライン):こういう塩梅は成り立ちとしてある意味岡村靖幸あたりに通じるところもあるかも)

 

語数が多く滑らかに繋がるけれども“結節点”だけをみると結構粘っこい引っ掛かりがあるかもしれない歌メロ(クラシカルでブルージー?英国ロック的なものなどとは質が異なる)

(隣り合う白鍵を高速で渡っていく(半音進行の少ない)動きがメインなのに決して安易にドミナントモーションを起こさない(飛び石状の要石音程に装飾音を加えている」という解釈もできる?):これはバッキングのフレーズについても言える?フレーズ一つ一つの引っ掛かりは強くないのにそれぞれが“切れ込む”角度や絡み合う位置関係が独特なためか妙に個性的で美味しい手応えが生まれている:文節一つ一つはそこまで特殊ではないが“書き入れるポイント”に独特の冴え・センスが感じられる)

ロングトーンがやたら良い

 

BOOTLEG』とは『Rubber Soul』みたいなもの(“まがいもの”:自分なりのソウルミュージック:誤解と誤読を通して新たに独自のものを作ってしまう)

 

ワイルド&ジェントル(前者が勝つ)&朴訥:野生の狼(少し人馴れしてる)

感情が溢れ出るようなところでもこぼれきらない

(「テンションが上がるところもあるが上がりきらない/すぎない」その具合が独自のマナーで美しく完成されている)

非常に滑らかな輪郭を持っているんだけど線が荒そう・不器用そう(器用だけど不器用な感じも残って/伴っている)

ブルース~フィールドハウラー的なラフさと都会的な洗練や落ち着き(~気の小ささ?)が(部分的に完成された自信・誇り高さと)自然に併立されている:俯き気味で堂々とした“ロック”

 

フォーク寄り(そこまで近いわけでもない?)からアメリカの最近のブルース感覚への接近?

(音響やリズム/グルーヴのスタイルを参照してはいるが音遣い感覚はそこまで寄せていない?)

 

響きの素晴らしさ自体もたまらないが、個人的にはそれと同じくらい上記のような佇まい/雰囲気/テンションの在り方が心地よく思える:逞しいが決して暑苦しくならない、真摯でわざとらしさがなくそれでいてシリアスになりすぎない気安さが常にある(ツッコミどころのある親しみやすい美丈夫という感じ):そういう意味で「この声がなければ成立しない」音楽ではある(響きの魅力の面でもキャラクタの面でも)

 

「かいじゅうのマーチ」のような曲を少しもあざとくなく飄々と(リリカルでウェットだけどべたつかない感じで)歌える性格/バランス感覚/美意識が見事だし、楽器としての良さやそれをうまく扱う技術だけでなくこういう資質があり活かされているからこその歌と言える

 

Orion」:そういえばビョークVespertine』風?

 

 

こういう素晴らしい作品が人気のあるアーティストにより発表されてガンガン放送されるというのはとても良いことだと思う

 

「こんなふうに歌ったら聴き手によく刺さるだろう」というような“人目を伺う”感じが殆ど感じられない:自分の美意識に奉仕しひたすら自分を納得させようとした結果できるものを提示し得ている(無理に客に合わせようとしていない):それこそが最も“純度の高い”(聴き手にとっても美味しい)ものになるということをおそらく自覚している(または「それで売れ得た」という展開からそういうスタイルを貫くことができている):「わかりやすく泣き落とししてみせる」というような見せ方ではなく響きそのものの圧倒的な美味しさがキャッチーさの源になっている妙な雑味を加えない純度の高さ~深み奥行きとファーストインパクトの強さを両立することができている

 

ヒネているところはあるかもしれないが底抜けに素直で親しみ深い(音遣いや音響からくる感覚:例えばBUCK-TICKなどは“育ちが良いけど屈折している”感じがあり、それはこの音楽の佇まいとは異なっている:そういえばこういう“素直”な感じは(質は異なるものの)ブラックミュージックに通じるものでもあるかも)

口下手だけど気負いなく人懐っこい感じ

 

音楽的なバックグラウンドとか複雑な作り込み云々に興味がなくても楽しめる“(ほどよく)わかりやすくてキャッチー”な仕上がりが見事だし、その意味において“優れたポップミュージック”に最も必要な条件を見事に満たしている

 

LOSER

イアン(カーティス)

カート(コバーン)

 

砂の惑星

ボーイズドントクライ

 

 

 


第6位:Pierre Kwenders『MAKANDA at the End Space, the Beginning of Time』

 

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第5位:MORBID ANGEL『Kingdoms Disdaned』

 

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第4位:Jlin『Black Origami』

 

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第3位:KING KRULE『The OOZ』

 

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第2位:Hermeto Pascoal & Big Band『Natureza Universal』

 

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第1位:ULVER『The Assassination of Julius Caesar』

 

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〈メモ〉

 


・いつでも何度でも聴ける個人的相性の良さ

 


15枚目のフルアルバム。1993年のデビュー以来ロック周辺のあらゆる音楽を探求してきたバンドの一つの到達点で、膨大な情報量を手際よく整理しわかりやすく聴かせる“歌モノ”スタイルが最高の成果を挙げています。作編曲・音響構築・演奏表現いずれも完璧な仕上がりで、アルバム一枚単位での流れまとまりも素晴らしい。聴きやすく聴き飽きにくいポップミュージックの大傑作です。

 

 

 

歴史云々は別記事

http://progressiveundergroundmetal.hatenablog.com/entry/2017/05/05/205455

に任せ、「個人的にはこのアルバムがULVERの全カタログをうまく吟味するためのマインドセットを導き立脚点になってくれた」というような“感覚面”から作品やバンドについて語る

:『Wars of The Roses』など発表当時はあまりピンとこなかった作品を「なるほどこう聴けばよかったのか」とうまく呑み込む手がかりを与えてくれた作品でもある

ニューウェーヴなど音楽的な構成要素そのものへの回路開発を導くこの作品の“一般的効用”、そうした要素を料理するこのバンドならではのやり方への慣れを生むきっかけ、「あまりシリアスすぎる捉え方をしなくていいんだ」という視角・前面に出ていなくて見えにくくなっていた雰囲気要素を発見させてくれる仕上がり)

「入門編」=単に口当たりが良く接しやすいというだけでなく“理解の糸口”を与えてくれるものとしての1stステップ

その大事さを改めて実感させられる

:「自分は咀嚼力があるから『これは渋めだけど大傑作で聴き込んでいくとここに行き着く』というのをいきなり聴いても大丈夫なはず」と思ってしまうことはよくあるけれども、結局のところ「入門編」から入った方がそういうものの理解もしやすくなるし、それが“最短距離”になるのではないかと思う

 

 

 

MESHUGGAHと同じくらい「どんな時にでも気軽に聴き通せ、ふと思い出して聴きたくなり、しかも全く聴き飽きない」という点において個人的に極めて稀なアルバム

 

 

 

アメリカやイギリスのビートミュージックより『E2-E4』あたりの方が確かに近い(質感や雰囲気からして)

 

 

 

同年末に発表された映画サウンドトラック『Riverhead』(14thアルバム)で静かで不穏な電子音響を探求したのちに発表された本作『The Assassination of Julius Caesar』(2017年・15th)は、バンド史上初めてオリジナルのオーソドックスな“歌モノ”だけで占められた作品になりました。Kristofferの伸びやかな歌声が全曲でフィーチャーされた本作では、『Childhood's End』で切り拓かれた“沈み込みすぎない”雰囲気がさらに垢抜けたかたちで表現されており、過去作からは想像できないくらい気安く親しみやすい感じになっています。しかしその上で“能天気で頭が悪そう”な印象はありません。『Shadows of The Sun』にも通じる暗い叙情が常に仄かに漂っており、飄々としながら深い思索にふける優れたバランス感覚が生まれているのです。こうした雰囲気表現はもちろん、歌モノとしての構成の明快さとアレンジの層の厚さを兼ね備えた作編曲も最高で、全ての面において“聴きやすさ”と“聴き飽きにくさ”が完璧に両立されています。徹底的に洗練されたプレゼンテーション能力のもと、自分のやりたいことを曲げずにわかりやすく伝えきる。ポップミュージックのスタイルでなければ作れない音楽ですし、その一つの理想形を示した大傑作と言えます。

 


本作において特に興味深いのがビート/グルーヴの作り方です。先述のようにULVERはロック周辺のあらゆる音楽を探求してきましたが、いわゆるブラックミュージックに関しては直接影響を受けた形跡が見当たりません。『Themes from William Blake's The Marriage of Heaven And Hell』でのトリップホップ、『Childhood's End』でのサイケ/アシッドフォーク(アメリカのルーツミュージック要素を多分に含む)など、ブラックミュージックの“近傍”を通ってきてはいるのですが、ブルースやヒップホップといったブラックミュージックそのものをしっかり咀嚼している様子は殆どないのです。

(『Perdition City』収録「Catalept」の黒っぽさゼロなブレイクビーツなどを聴くと特にそう思えます)

これはビートミュージックの世界においては不利な要素となる場合が多いですが、本作ではむしろ完全に良い方向に働いているように思います。ブラックミュージックの“無限に割れつつ噛み合っている”緻密で高機動なものとは異なり、もっと“勘”や“間”に頼った上でたわみながらしっかり揃い密着する感じがある。『ATGCLVSSCAP』においてはこの感覚が締まりなくたわむ方向に寄っていて完全にうまく機能してはいなかったのですが、締まったビートとアンビエントの中間にあるような性格を示し、両方の曲調を違和感なく並べることに大きく貢献していました。本作『The Assassination of Julius Caesar』ではそうしたグルーヴがほどよく引き締められた形に仕上げられており、クラシックや欧州テクノなどを通ってこなければ生まれない“非黒人音楽”系ビートミュージックの一つの極みに達しているのではないかと思います。ブラックミュージック由来の定型BPMスタイルとクラシック周辺由来のアンビエント感を殆ど理想形な形で融合した本作のトラックは全篇素晴らしく、特に最終曲「Coming Home」3分35秒頃からの“たっぷりタメるが全くモタらない”4つ打ちキックは究極のビートの一つと言えるでしょう。(私が聴いてきた全ての音楽の中でもベストの一つです。)こうした演奏/音響面でも比類のない成果が示された逸品です。

 


DEPECHE MODEや80年代PINK FLOYDなどに通じつつ独自の世界を作り上げることに成功した本作は、個人的にはULVERの最高傑作だと思います。全ての音楽ファンに聴いてみてほしい一枚です。

【2016年・年間ベストアルバム】(短評未完成)

【2016年・年間ベストアルバム】(短評未完成)

 

・2016年に発表されたアルバムの個人的ベスト20です。

 


・評価基準はこちらです。

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2014/12/30/012322

個人的に特に「肌に合う」「繰り返し興味深く聴き込める」ものを優先して選んでいます。

 


・これはあくまで自分の考えなのですが、ひとさまに見せるべく公開するベスト記事では、あまり多くの作品を挙げるべきではないと思っています。自分がそういう記事を読む場合、30枚も50枚も(具体的な記述なしで)「順不同」で並べられてもどれに注目すればいいのか迷いますし、たとえ順位付けされていたとしても、そんなに多くの枚数に手を出すのも面倒ですから、せいぜい上位5~10枚くらいにしか目が留まりません。

(この場合でいえば「11~30位はそんなに面白くないんだな」と思ってしまうことさえあり得ます。)

たとえば一年に500枚くらい聴き通した上で「出色の作品30枚でその年を総括する」のならそれでもいいのですが、「自分はこんなに聴いている」という主張をしたいのならともかく、「どうしても聴いてほしい傑作をお知らせする」お薦め目的で書くならば、思い切って絞り込んだ少数精鋭を提示するほうが、読む側に伝わり印象に残りやすくなると思うのです。

以下の20枚は、そういう意図のもとで選ばれた傑作です。選ぶ方によっては「ベスト1」になる可能性も高いものばかりですし、機会があればぜひ聴いてみられることをお勧めいたします。もちろんここに入っていない傑作も多数存在します。他の方のベスト記事とあわせて参考にして頂けると幸いです。

 


・ランキングは暫定です。3週間ほどかけて細かく練りましたが、今後の聴き込み次第で入れ替わる可能性も高いです。

 

 


[年間Best20]

 


第20位:amiinAAvalon

 

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  音楽的に未曾有の爛熟期にある昨今のアイドルシーンが生み出した一つの到達点。シンフォニックロック~アニソンやゲーム音楽を始めとした多彩な音楽要素が、緻密な演奏/音作りのもと、聴きやすく表現力豊かな歌モノに纏められています。掛け値無しの大傑作です。

 


  ロックなどの“自作自演”音楽を至上とする音楽ファンからは蔑まれることが多いですが、少なくとも日本のアイドルシーンは、伝統的にハイクオリティな音楽的実験の場として機能し続けてきました。優れた職業作家による卓越した作詞作曲はもちろん、アレンジの面でも興味深い試みがなされてきたのです。

近田春夫の名著『気分は歌謡曲』で繰り返し語られる郷ひろみ筒美京平曲などはその好例ですし、一時期以降のSMAPの曲がアメリカのジャズ/フュージョンシーンのトッププレイヤーを贅沢に召集して製作されているのもよく知られた話です。

こうした製作姿勢は主に「アイドルの比較的未熟な歌唱力をカバーするために楽曲/バックトラックを高品質に仕上げなければならない」商業上の必要からくるものなわけですが、それとは別に「アイドルそのものの魅力からすれば音楽はオマケだから何やっても許される」という側面もあると思われます。

前面に立つアイドルに強力な魅力があるから、音楽的に多少一般的でないことをやってもファンは金を出してくれる。また、アイドル本人の音楽的頓着がそこまで強く(出せ)ないため、運営の姿勢にもよるが、製作者の(隠し味的に仕込むやり方も含め)主張が活かされやすい…という傾向はあるはずです。

特に80年代以降のポップスシーンでは、そうした音楽的実験が人知れず繰り返されてきました。YMO人脈が大挙して参加した郷ひろみの名盤/奇盤『比呂魅卿の犯罪』

http://reryo.blog98.fc2.com/?no=290

はその代表例。作編曲・演奏の両面において個性と品質を両立したものが多いのです。

そうした傾向が一気に広く認知されるきっかけになったのがももいろクローバー(~ももいろクローバーZ)です。複数ジャンルにわたる多様な音楽要素を1曲の中に詰め込み強力な勢いとともに提示するジェットコースター的な作編曲スタイルは、アイドルシーン外の音楽ファンにも大きな衝撃を与えました。

こうした高度で個性的な楽曲が、一流のロックミュージシャンをも上回る圧倒的なパフォーマンスで示される…というスタイルは、百戦錬磨の音楽ファン・そんなことに興味のない人々(アイドル志望の女の子たち含む)の両方に強力にアピールし、昨今の“何でもあり”な状況を生む下地になっていくのです。

このような傾向は、アイドルポップスの作り手となる職業作家/プレイヤーそしてアイドル運営の人達にも大きな影響を与えました。自分の趣味を全開にしてもそれを受け入れてくれる(むしろ「個性と品質を両立する」ものこそを求める)ファンが増え、音楽的実験をやりやすい環境が整っていきます。

BiSやBABYMETALはハードコア~ヘヴィメタルの要素を“本家”以上に活かしたサウンドと作編曲でコアファンを大量に取り込みましたし、ゆるめるモ!BELLRING少女ハートといったグループも、サイケ~プログレニューウェーブ方面の要素を融合させて素晴らしい作品を連発しました。

また、ここ3~4年をみても、3776、Maison book girl、sora tob sakana、ヤなことそっとミュート、フィロソフィーのダンスといった(他ジャンルの超一流と同等以上に張り合える)素晴らしいグループが数多く存在し、音源・パフォーマンスの両面で著しく素晴らしい成果を示し続けています。

amiinAもそうした素晴らしいグループの一つです。音楽担当の製作グループnanolineは、↓(南波一海のインタビュー集『ヒロインたちのうた』p206より)にある通り、ファンに音楽に詳しい人が多いということを知ってから“本腰を入れる”ことを決め、優れた音源を作り続けてきました。

 

 

 

  本作『Avalon』はamiinA(あみいな)が結成4年目に発表した1stフルです。先掲の記事にもある通り、CorneliusスーパーカーbjörkSIGUR RÓS、ARCADE FIREあたりと比較される要素が多いのですが、そのまとめ方と味わいには優れた個性があります。プロデューサー齊藤州一によれば、nanolineの3人は異なる音楽志向をもつものの、クラムボン菅野よう子を好む点では共通しているようです。

https://ototoy.jp/feature/20170610004

確かに「この2組をシンフォニックなハードロックに寄せた」という感じで大体説明できる気もします。

プログレッシヴロック(UKやミスターシリウスのようなシンフォニックなやつ)、小室哲哉ビーイング、日本のフォーク、アニソン、『Dance Dance Revolution』のようなクラブミュージック寄りのゲーム音楽。そうした要素が独自のバランスでうまく溶かし合わされているのです。

本作では、そうした雑多な音楽要素が固有のブルース感覚に昇華され、安易に解決しない独特の引っ掛かり感覚を生んでいます。

たとえば「lilla」(ベースはBABYMETAL神バンドのBOH)

https://m.youtube.com/watch?v=cTbQfOR8Fyg

では、同一コード反復の上で豊かな表情が描かれていきます。

そうした構成の楽曲をうまく聴かせられるのは、演奏や音作りの素晴らしさによる所も大きいと思われます。全体の質感や空気感はわりと均一なのに、音色や力加減は微細に変化し続ける。その結果、表情の豊かさと統一感が見事に両立されていきます。これはアルバムの流れ纏まりの良さにも言えます。

元気だけど力押しにならない不思議な落ち着きがあり、シリアスな雰囲気を前面に出す場面でも深刻になりすぎない。そうした得難い力加減は2人の歌い回しがあってこそのものでもあります。

ライヴでは相互補完的なダンスが加わりさらに凄くなります。

https://m.youtube.com/watch?v=ow5ywi92nZ0

本作では、こうした音遣いや演奏の魅力が一枚を通して様々な形で描かれていて、繰り返し聴き込むほどにそれに対応する回路が開発されていきます。一聴した時点ではそこまでピンとこなくても、聴き返すほどに良いと思える度合いが増していく。聴きやすさと耐聴性を兼ね備えた、実に優れたアルバムです。

 


  先にも少し述べたように、昨今のアイドルシーンから生み出される音楽~製作物全般は、製作陣はもちろんアイドル自身にとっても「自発的に打ち込む」対象となってきています。優れたアイドルに魅了され、自分の意思でアイドルを志す人材が増える…という流れが生まれ続いてきているのです。

アイドルとは「技術より人間力が勝る」「人間的な深み・プレゼンテーション能力で勝負する」存在だということが広く認知され、そうした要素が客からも本人からも積極的に求められるようになる。その結果、器に魂を入れる役割を担うアイドルの自発性や人間的力量の水準が明らかに増してきています。

そうしたことが未曾有の爛熟をもたらしているのが今のアイドルシーンであり(最盛期を過ぎているか否かはわからない)、その音楽的/表現的な豊かさは、60年代末のロックシーンや70年代末のパンク~ニューウェーブシーン、80年代末の各種地下音楽など、歴史上の様々な金脈にも劣りません。

もちろん良いことばかりではありませんが(山師的な運営がもたらす害なども多い)、素晴らしい作品やライヴが量産される土壌としての豊かさは、今の日本の音楽シーン全体をみても屈指と言えるでしょう。本作『Avalon』はそうしたアイドルシーンが生み出した到達点の一つ。お薦めの大傑作です。

 

 

 

第19位:Solange『A Seat at The Table』

 

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   ブラックロック/ヒップホップ以降の黒人音楽における「非黒人音楽要素を積極的に取り込む」路線のひとつの到達点。複雑な和声とアンビエントな音響を絶妙に活かした作編曲&演奏は勿論アルバム全体の構成も素晴らしい。大傑作です。

 


  「ロック等の白人音楽は黒人音楽のパクリから生まれた」という言説があります。これは確かに事実で、ブルースなどをベースに黒人音楽領域で構築されたロックンロールがなければ以降のロックの広がりはありません。しかし、こうしたパクリは一方通行ではなく、黒人音楽側も多くのものを吸収しています。

「ヒップホップのビートが生まれるにあたっては(ジェイムズ・ブラウンなどを核に据えつつ)KRAFTWERKYMOのような“テクノポップ”の影響も極めて大きかった」という話は有名ですし、その後もロック方面の音源(AC/DCやSLAYERなども)を積極的にサンプリングしています。

そういうサンプリング構成や引用音源(→小節線のまたぎ方が滑らかでない・引用音源の演奏自体が整っていない)から生まれた「基幹ビートの流れは滑らかだが出音は“ヨレ/訛”る」トラックの味は、卓越した技術を持つジャズやソウルミュージックの音楽家達にも大きな影響を与えていきます。

ディアンジェロラファエル・サディーク周辺発の「ネオソウル」やロバート・グラスパー以降の「新世代ジャズ」はそうしたヒップホップの“ヨレ/訛り”感覚を優れた演奏技術により人力でコントロールしようとするもので、ここで得られた成果が以降の黒人音楽をさらに鍛えていくのです。

こうした流れの背景にあるのがヒップホップの「サンプリング音源を見つけるためにあらゆる音楽を無節操に掘る」姿勢です。例えば、FLYING LOTUSSOFT MACHINEやGENTLE GIANTといった70年代英国プログレッシヴロックを好んで聴くことを公言しています。

また、昨年の年間ベストアルバム企画で1位を獲得しまくったフランク・オーシャン(アンビエントR&Bの旗手とされる)は、音源付属のマガジンで↓のような嗜好を示しています。

https://genius.com/a/frank-ocean-lists-his-favorite-songs-in-boys-don-t-cry-magazine

CUREや冨田勲スティーヴ・ライヒなど、影響源は多岐に渡りますね。

また、この記事

http://thesignmagazine.com/sotd/radiohead-mitsutaka-nagira-1/

ではRADIOHEAD(CANやライヒなどをルーツに持つ)からジャズやクラシックへの影響が示されています。ケンドリック・ラマーの一昨年作でも「Pyramid Song」が参照されるなど、少なからず影響はあるようです。

こうした「黒人音楽側も非黒人音楽から積極的に吸収する」動きは、一定の音楽的嗜好に縛られる傾向もあるものの(SOFT MACHINEライヒ~極初期フュージョンの音遣い感覚が好まれる:ジャジーヒップホップやハウスで多く引用されてきた影響か)、豊かな成果と蓄積を生んできました。

昨年はそうした蓄積が(またちょっと異なる所から現れたFKA Twigsやインディーロック方面もおそらく意識しつつ)一気にメジャーシーンに反映されるようになった年だと思います。複雑な和声や特殊な音響を用いた聴きやすく奥深いポップスを作り、それで勝負する…という傾向が強まっています。

その好例が先掲フランク・オーシャン『Blonde』やビヨンセ『Lemonade』です。元々アメリカのシーンは「品質と個性で勝負する」傾向があり、チャート上位作は売上と音楽的充実度が両立される場合が多いのですが、昨今オルタナティヴR&Bがその多くを占めるようになってきた感があります。

 


  ソランジュ(ビヨンセ実妹)の本作『A Seat at The Table』もこうした流れを代表する傑作です。

http://bmr.jp/feature/168657

全米1位を取るだけでなく、批評面でもTIMEの年間ベスト2位など各所で高く評価されています。豪華な客演陣を完璧に使いこなした内容は見事の一言です。

本作では、先述のような欧州ジャズ~ライヒ~初期フュージョン路線を完全に独自の形に熟成した味わい深い音遣い感覚、それに通じるポストロック的(↑のラインとルーツは共通)音響、“間”を活かした逞しいビートなどが絶妙に融合されています。

このインタビュー

http://www.thefader.com/2016/09/30/solange-knowles-a-seat-at-the-table-interview

にもあるように、核となる12曲(他9曲は間奏)は最初にできた約30曲から厳選されたもので、そうした作業を通し全体の構成を磨き抜いていったからか、アルバムの流れまとまりは完璧な仕上がりになっています。各曲の表情は異なるが全体としては美しい球を描く…という感じです。

この「一枚全体の流れまとまりが完璧」というのは少なくとも10年ほど前までの黒人音楽のアルバムでは意外と稀だったことで(70年代の歴史的名盤も構成は洗練されきっていない場合が多い)、こうした面においても“白人音楽”の名盤からの影響が少なからずあるのかもしれないという気はします。

こうしたポストロック的オルタナティヴソウル路線ではミシェル・ンデゲオチェロのような偉大な先達が既に大傑作を残していますが、本作の音楽的達成・雰囲気表現・アルバムとしての構成力はそうした作品群に引けを取らない(どころか上回りさえする)ものです。聴きやすさも奥深さも素晴らしいですね。

先掲記事にもあるように、歌詞~楽曲のテーマは複雑な/深刻な社会事情を反映したものも多いのですが、硬く融通のきかない様子を前面に出すことはなく、

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/876123379715014656?s=21

のような力加減を保ちながら“柔らかい戦闘性”を親しみやすく示し続けていきます。

こうした姿勢&マナーが全編に行き渡った本作は、アンビエントな音響に浸り心地よく聴き流せるBGMとしても、繰り返し吟味できる優れた珍味/美味としても、稀有の深みと耐聴性をもった大傑作になっています。聴けば聴くほど嫌味なく染み込み、どんどん良いと思えるようになるアルバム。お薦めです。

 


  なお、「アンビエント」というのは「ふわふわ漂う音響」などの音作りやその居心地を指す表現として広く使われるものですが、ここでは「聴き流しモード⇄聴き込みモードの移行を随時スムーズに行える」音楽の環境も指しています。気分次第でどちらのモードにも(無意識的に)移れる音楽というわけです。

個人的には、この“聴き流し~聴き込みモード間の自由移行”こそがサティ「家具の音楽」~イーノ「アンビエント・ミュージック」の一つの真髄なのではないかと思います。「聴き流しても聴き込んでもいい」と思わせ負荷なくそうさせうる環境がその音楽にある、だからこそ聴き手がそうできる…というか。

ソランジュの本作は全編優れた歌モノですが、その上で「聴き流していた状態からふと気が向いて聴き込み始めることができ、またいつの間にか聴き流し始めることもできる」環境を常に備えています。その意味で“真に”優れたアンビエント音楽なのではないか、と個人的には思うわけです。本当に良いです。

 

 

 

第18位:BUCK-TICK『アトム未来派No.9』

 

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第17位:Bon Iver『22, A Million』

 

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第16位:網守将平『SONASILE』

 

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第15位:SWANS『The Glowing Man』

 

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第14位:カーネーション『Multimodal Sentiment』

 

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第13位:David Bowie『★』

 

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第12位:Moe and ghosts × 空間現代『Rap Phenomenon』

 

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第11位:No Lie-Sense『Japan's Period』

 

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第10位:Anderson .Paak『Malibu』

 

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第9位:大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』

 

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第8位:MESHUGGAH『The Violent Sleep of Reason』

 

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第7位:坂本慎太郎『できれば愛を』

 

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第6位:KING『We Are KING』

 

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第5位:DISHARMONIC ORCHESTRA『Fear of Angst』

 

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第4位:gibkiy gibkiy gibkiy『不条理種劇』

 

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第3位:Esperanza Spalding『Emily's D+Evolution』

 

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第2位:ももいろクローバーZ白金の夜明け

 

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第1位:岡村靖幸『幸福』

 

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紐付けツイートINDEX 2018

【紐付けツイートINDEX(2018)】



長文連続ツイートのアタマに飛ぶリンクです。

2014年版
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/01/24/143837
2015年版
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/01/24/171743
2016年版
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2016/01/02/180842

2017年版

http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2017/01/08/004730

(ここのリンクから見れない場合は、Twilog
http://twilog.org/meshupecialshi1
をご参照いただけると幸いです。)


〈ライヴレポート〉

1/11:SLEEP・Mutoid Man@Umeda Trad

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/951395723148345344

 

1/12:SLEEP・BORIS@恵比寿Liquidroom

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/951749896872239104

 

1/13:SLEEP・Nepenthes・Mutoid  Man@下北沢GARDEN

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/952097216780316672

 

1/14:Phew@六本木Super Deluxe

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/952472696654147585

 

3/11:『唐獅子株式会社』+曽我部恵一@京都みなみ会館

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/972680601781223424?s=21

 

3/15:『アンチェイン』+向井秀徳@京都みなみ会館

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/974217938705072128?s=21

 

4/1:Alvin Lucier Ever Present Orchestra@京都大学西部講堂

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/980352345732038656?s=21

 

4/4:cali≠gari@ディファ有明

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/981511928798314496?s=21

 

4/8:BUCK-TICK@なら100年会館 大ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/982944979428392961?s=21

 

4/21・22:ももいろクローバーZ@布引グリーンスタジアム

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/987518140513841153?s=21

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/988016044945039360?s=21

 

5/3:CITY OF CATERPILLAR・heaven in her arms・killie・folio@京都GATTACA

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/991956728722870272?s=21

 

5/10:カルメン・マキ&AS@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/994521492573507584?s=21

 

5/11:Hermeto Pascoal e Grupo@梅田SHANGRILA

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/994874338796032000?s=21

 

6/2:TAICOCLUB '18@長野県 こだまの森

(Nai Palm・Lone・スチャダラパー・DAOKO・FKJ・Mouse On Mars・EGO-WRAPPIN'・6*3*N/A・Kiasmos DJ)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1002870664494108673?s=21

 

6/9:岡村靖幸@ロームシアター京都 サウスホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1005370225410240514?s=21

 

8/12:爆音映画祭 2019 特集 タイ/イサーン VOL.3 プレイヴェント ~ピン・プラユック・スペシャル~@WWW X

(Khun Narin's Electric Phin Band・ROVO・stillichimiya・MONAURAL MINI PLUG・SOI48)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1028537521951584257?s=21

 

8/16:QUEENS  OF THE STONE AGE@新木場STUDIO COAST

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1030024513440735232?s=21

 

 8/17:HIGHER BROTHERS@新木場STUDIO COAST

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1030416077098893312?s=21

 

8/17:SONICMANIA 2018@幕張メッセ

(DORIAN CONCEPT・NINE INCH NAILS・THUNDERCAT・FLYING LOTUS

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1030426106166267904?s=21

 

8/19:SUMMER SONIC 2018@海浜幕張

(KNOX FORTUNE・ENDRECHERI・Zion T・ゆるめるモ!・Jorja Smith・Tom Misch・CHANCE THE RAPPER・George Clinton & PARLIAMENT FUNKADELIC

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1030995380706525184?s=21

 

8/20:Sen Morimoto@渋谷SPACE ODD

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1031473882266365953?s=21

 

8/22:COSMO PYKE@Billboard Live Tokyo

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1032223438763483136?s=21

 

9/14:核P- MODEL@Zepp Namba Osaka

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1040636331859169281?s=21

 

9/17:Laraaji@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1041622082549821440?s=21

 

10/3:三浦大知@神戸国際会館こくさいホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1047453780474650624?s=21

 

10/5:小袋成彬@心斎橋Music Club JANUS

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1048172682800316416?s=21

 

10/7:Stephen O'Malley@京都 外

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1048820101162528769?s=21

 

10/19:坂本慎太郎@ユニバース

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1053271374179926021?s=21

 

10/21:全感覚祭@堺:国道26号周辺

(青葉市子・killie ・THE NOVEMBERS原田郁子LOSTAGE・GEZAN)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1053876297099730944?s=21

 

11/3:FESTIVAL de FRUE@つま恋リゾート 彩の郷

(illy B's Organism Session〈Billy Martin with Shahzad Ismaily、Joachim Cooder、Bruno Pernadas〉・YEK〈Mohammad Reza Mortazavi & Burnt Friedman〉・NELS CLINE'S TRIO HADARRO〈feat. Chris Lightcap & Tom Rainey〉・Bruno Pernadas・Sam Gendel〈with Shazad Ismaily & Joachim Cooder〉・Theo Parrish

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1058589051006021632?s=21

 

11/17:Jim O'Rourke「sleep like it's winter」@青山 WALL & WALL

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1063701378701287430?s=21

 

11/18:Peter Hammill@新宿PIT INN

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1064143875550236673?s=21

 

11/19:三浦大知@オリックス劇場

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1064490800136896512?s=21

 

11/23:BUCK-TICK@Zepp Osaka Bayside

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1065934075771346951?s=21

 

11/28:宇多田ヒカル@大阪城ホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1067758863867236352?s=21

 

11/29:DORIAN CONCEPT@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1068090813521903618?s=21

 

12/4:中村佳穂BAND@磔磔

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1069922720211562496?s=21

 

12/9:KING CRIMSON@大阪国際会議場メインホール

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1071687633422606338?s=21

 

12/12:Bridget St. John・林拓と波@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1072792933412220928?s=21

 

12/14:Louis Cole@京都METRO

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1073512235564060672?s=21

 

12/23:港町ポリフォニー2018 EXTRA(藤原さくら・折坂悠太・青葉市子)@湊川神社 神能殿

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1076685552722706432?s=21

 

12/27:aTak 2018 -音楽大忘年会-(黒田卓也 aTak Band・ceroものんくる・ラミーFUNK!)@渋谷WWW X

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1078297727828553731?s=21

 

 

〈その他〉

 

1/21:ももいろクローバーZ有安杏果卒業公演)AbemaTV視聴感想

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/955024747925970944

 

2000年代以降の“ブラックメタル/暗黒ブルータルデスメタル”再評価

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/965185212953985024

 https://twitter.com/meshupecialshi1/status/981941705384476672?s=21

 

BUCK-TICK『No.0』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/973635210855170048?s=21

 

JUDAS PRIEST『Firepower』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/974638177590767617?s=21

 

SOLEIL『My Name is SOLEIL』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/979697227974156288?s=21

 

代代代『戌戌戌』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/988769789609848832?s=21

 

よくわからないからこそ良いという話

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/996354697358327809?s=21

 

cero『POLY LIFE MULTI SOUL』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/996541497452343297?s=21

 

AT THE GATES『To Drink From the Night Itself』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/998038588691398658?s=21

 

〜に聴きたい9枚

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/997084526932193283?s=21

 

Dan Weiss『Starebaby』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1000721515795496962?s=21

 

HOWLING SYCAMORE『Howling Sycamore』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1002587560936333314?s=21

 

KIRINJI『愛をあるだけ、すべて』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1007989782159347712?s=21

 

OKSENNUSを聴け!!

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1008674359953592320?s=21

 

TOXIK『Ⅲ Works』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1009811320923811840?s=21

 

上半期ベスト記事更新履歴

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1012924664547401728?s=21

 

三浦大知『球体』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1017437974064058370?s=21

 

小袋成彬『分離派の夏』について

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/988720215977410561?s=21

 

ULVERのようなバンドを“今から”評価することの難しさ、図式化に終始することの危うさ、音楽を聴き込むということなど

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1019508284309397504?s=21

 

Nao'ymt『矢的直明 2014』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1020351225680801792?s=21

 

ピッチフォークなどで評価されやすいメタルの傾向、そういう評価の仕方が生み出しうるジャンル内外の溝

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1020998228685148162?s=21

 

好きな2枚組アルバム9選

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1023216674130952195?s=21

 

ENDRECHERI『HYBRID FUNK』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1027247778953457665?s=21

 

自分が「エモい」という言葉を好まない・極力使わないようにしている理由

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1028002686241624064?s=21

 

FLYING LOTUSゲーム音楽方面から聴く、ブラックミュージックの脱ブルース志向、プログレとブラックミュージック間の溝を埋めるものとしてのBrainfeeder作品群

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1029805312461565952?s=21

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1042298111543042049?s=21

 

「文章だけでどんな音かわかるようにする」ことの意義、実況=翻訳

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1032061545780408320?s=21

 

MESHUGGAHをクラブミュージック〜ヒップホップ的観点(リズムの取り方)から聴く

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1043093113764380672?s=21

 

 

旧世代HR/HM(ハードロック/ヘヴィメタル)ファンと近年のメタルファンの好みの違い

(先掲「ピッチフォークなどで評価されやすいメタルの傾向〜」の続き)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1051669708276039680?s=21

 

「インダストリアル・ブラックメタル」は90年代時点で存在していたという話、『666 International』をクラブミュージック方面から解釈する

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1054766766503555072?s=21

 

Antonio Loureiro『Livre』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1055457447240851458?s=21

 

復活後の筋肉少女帯を聴く

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1059332625326792704?s=21

 

中村佳穂『AINOU』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1060211431906324485?s=21

 

YOB『Our Raw Heart』、メタルシーンの「次世代に引き継ぐ」環境・機能

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1064919988417388544?s=21

 

ゴスペルとメタルは相性が良いのか

https://twitter.com/elis_ragina/status/1067362114212265985?s=21をうけた話)

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1067392717594877952?s=21

 

THE 1975『A Brief Inquiry Into Online Relationships』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1069256317464801281?s=21

 

複数パートを同時に聴き繋げることによりアンサンブル全体の基幹ビートの流れが把握しやすくなるということ

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1071363031118995456?s=21

 

崎山蒼志『いつかみた国』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1071399506170671104?s=21

 

IMPERIAL TRIUMPHANT『Vile Luxury』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1073187551366660096?s=21

 

サブウーファーの是非、アナログとデジタルそれぞれの場合について

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1074347863000244224?s=21

 

星野源『POP VIRUS』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1074974459310690305?s=21

 

DEAFHEAVEN『Ordinary Corrupt Human Love』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1075350246278934533?s=21

 

長谷川白紙『草木萌動』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1075732022499237889?s=21

 

cali≠gari『14』

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1076124536368553985?s=21

 

年間ベスト記事リンク集に関する話

https://twitter.com/meshupecialshi1/status/1067589637898563584?s=21

 

 

【残す100枚】(2018.1.1 暫定版)

【残す100枚】(2018.1.1 暫定版)


中山康樹(音楽評論家)の発言に「コレクション100枚の真理」という話があります。
「『集める』ことと『聴く』ことが無理なく並存できる限界は、せいぜい100枚までではないかと思います」
中山康樹「超ジャズ入門」(集英社新書、2001)p166より引用)
というものです。

「100枚」というのが適切な数字かどうかは場合によると思いますが、これだけ限定された枚数に絞るということは、「自分にとって本当に大事な作品はどれなのか」考えるきっかけを与えてくれるものであり、実際やってみると、かなり面白い結果が得られます。

というわけで、「2018年1月1日の時点における『この100枚』」を選んでみました。
所持アルバムの総数は(リストは作っていますがカウントは途中で放棄してまして)5000枚+α程度でしょうか。(全てフィジカルコピーです。)そこからぴったり100枚。次点なども作らず、厳密に選びぬきました。
はじめの3枚以外は、思い入れの多寡を問わず単にアルファベット順で並べています。

「この100枚それぞれについて何かしら書く」ことを今年の目標としたいと思います。

それでは。







MESHUGGAH:Nothing(remix)

聖飢魔Ⅱ:The Outer Mission

PUGS:SPORTS?



Allan Holdsworth:Secrets

Anderson .Paak:Malibu

AREA:1978

ATHEIST:Unquestionable Presence

THE BAND:Music from Big Pink

THE BEATLES:Revolver

THE BEACH BOYS:Pet Sounds

BLACK SABBATH:Vol.4

Bob Dylan:Blood on The Tracks

BUCK-TICK:或いはアナーキー

cali≠gari:12

COIL:The Ape of Naples

CONFESSOR:Condemned

CORONER:Grin

THE CURE:Pornography

Curtis Mayfield:There’s No Place Like America Today

CYNIC:Focus

D`Angelo:Voodoo

DARK TRANQUILLITY:We Are The Void

David Bowie:★

DISCHARGE:Why

DISHARMONIC ORCHESTRA:Fear of Angst

DØDHEIMSGARD(DHG):A Umbra Omega

Esperanza Spalding:Emily's D+Evolution

EXTOL:The Blueprint Dives

EYEHATEGOD:Take as needed for pain

FLEURETY:Department of Apocalyptic Affairs

Frank Zappa:One Size Fits All

Fripp & Eno:No Pussyfooting

G.I.S.M.:DETESTation

GENESIS:Selling England by The Pound

gibkiy gibkiy gibkiy:不条理種劇

Glenn Gould:(J.S.Bach)The Goldberg Variations〈81〉

GORGUTS:Colored Sands

Hermeto Pascoal & Big Band:Natureza Universal

じゃがたら:ニセ予言者ども

JAPAN:Gentlemen Take Polaroids

Jim O'rourke:Simple Songs

Jimi Hendrix:Electric Ladyland

Jlin:Black Origami

JUDAS PRIEST:Screaming for Vengeance

KILIING TIME:Skip

KING:We Are KING

KING CRIMSON:In The Court of The Crimson King

KING KRULE:The OOZ

キリンジ:ペイパードライヴァーズミュージック

Manuel Gottshing:E2-E4

Marcos Valle:Vento Sul

Marvin Gaye:I want you

MASSIVE ATTACK:Protection

MAUDLIN OF THE WELL:Leaving Your Body Map

Mats & Morgan:[schack tati]

MESHUGGAH:Koloss

三上寛:Bang!

Miles Davis:Nefertiti

Milton Nascimento:Milton(76) 

3776:3776を聴かない理由があるとすれば

ももいろクローバーZ白金の夜明け

MOODYMANN:Mahogany Brown

MORBID ANGEL:Alters of Madness

MORBID ANGEL:Kingdoms Disdaned

MORRIE:Hard Core Reverie

Nina Becker:Acrílico

No Lie-Sense:Japan's Period

岡村靖幸:家庭教師

岡村靖幸:幸福

大森靖子:TOKYO BLACK HOLE

大槻ケンヂ:Underground Searchile-スケキヨ

PARLIAMENT:Mothership Connection

Peter Hammill:From The Trees

Peter Ivers:Terminal Love

Pierre Kwenders:MAKANDA at the End Space, the Beginning of Time

Phew:ニューワールド

PRINCE:Sign of The Times

Sam Cooke:One Night Stand!

佐井好子:蝶のすむ部屋

SLEEP:Dopesmoker

SLINT:Spiderland

SOFT BALLET:Million Mirrors

SOFT MACHINE:3rd

SPEED, GLUE & SHINKI:Eve

Steve Reich:Music for 18 Musicians〈'76〉

SWANS:The Glowing Man

Syd Barrett:The Madcap Laughs

TELEVISION:Marquee Moon

THA BLUE HERB:Sell Our Soul

Thelonious Monk:Thelonious Himself

Thighpaulsandra:The Golden Communion

THE 3RD & THE MORTAL:In This Room

TRIPTYKON:Melana Chasmata

ULVER:The Assassination of Julius Caesar

VAN DER GRAAF GENERATOR:Still Life

VED BUENS ENDE…:Written in Waters

THE WAYNE SHORTER QUARTET:Without A Net

やくしまるえつこ:Radio Onsen Eutopia

ゆるめるモ!:YOU ARE THE WORLD

米津玄師:BOOTLEG
 
 

2017年・年間ベストライヴ

【2017年参加したLive(知り合いのものは除く)】


[Best20]

・ライヴに参加した後は、帰宅後かならず数十分かけて感想をまとめています。そうすることで、(終盤よりも印象に残りにくい)序盤や中盤の流れも含め、全体を思い出して俯瞰することができるようになります。また、考えをまとめながら細部を吟味することで、現場ではあまり気にしていなかった要素にも注意を向けられるようになり、もやもやした後味をかみくだくための手掛かりが得られることもあります。
翌日になると、終演後のある種の昂奮状態が落ち着いてきて、あまり刺激的でない、「地味ではあるが味わい深い」要素の方にも注意が向きはじめます。この段階になると、ライヴの全体像をバイアスの少ない状態で見渡せるようになってきます。「余計なことを考えず満足することはできなかったが、なにかもやもやした手応えがくすぶり続ける」ような場合は、一晩寝かせることで、そうしたもやもや感がうまく受け入れられたり、そうするための気付きが得られる場合もあるのです。
このようにして数日経つと、ライヴの全体像を把握した上で、それをちょうどいい立ち位置から吟味できるようになります。ここでは、この状態での評価や思い入れを比較し、ランキングをつくっています。「音楽や演奏、音響や演出の出来映え」そして「自分が終演直後にどれだけ満足できたか」ということはもちろん、「自分がそれを通してどのような気付きを得られたか(=そういう気付きを与えてくれる興味深い要素がどれだけあったか)」ということなども考え、総合的な手応えの多寡を感覚的に比べたものになっています。

・複数回観たものは、その中で最も良いと思えた公演ひとつを選んでいます。

・各公演名の下にあるのは直後の感想ツイート(紐付け)へのリンクです。一般的なブログ記事より長いものも多いです。

 

第1位:戸川純 with Vampillia@梅田Club Quattro(1/20)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/822447861702852608


第2位:Hermeto Pascoal e Grupo@渋谷WWW X(1/7・2nd set)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/817722247502667776


第3位:WALTARI@梅田amHALL(9/16)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/908993579522998272


第4位:THA BLUE HERB@奈良ネバーランド(12/9)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/939570878240604160


第5位:gibkiy gibkiy gibkiy@梅田Zeela(9/8)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/906106858942865408


第6位:ANIMALS AS LEADERS@梅田Club Quattro(2/15)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/831833362952187904


第7位:Heiner Goebbels × Ensemble Modern@京都芸術劇場 春秋座(10/27)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/923857139386392576


第8位:MICHAEL SCHENKER FEST@さいたまスーパーアリーナ(10/15:LOUD PARK 2017)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/919548110853963777


第9位:THE DILLINGER ESCAPE PLAN@渋谷Cyclone(10/28)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/924234735710216193


第10位:有安杏果@大阪オリックス劇場(7/2)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/881471594857615361


第11位:SLAPP HAPPY@大阪MUSE(2/27)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/836149901390049281


第12位:岡村靖幸@オリックス劇場(11/23)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/933668840277282818


第13位:山下達郎@大阪フェステバルホール(6/2)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/870638562466611200


第14位:BUCK-TICK@お台場野外特設会場J地区(9/24)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/911909485781721088


第15位:MESHUGGAH@さいたまスーパーアリーナ(10/15:LOUD PARK 2017)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/919480255139606528


第16位:cali≠gari@日比谷野外音楽堂(9/23)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/911507558841573377


第17位:G.I.S.M.@名古屋Red Dragon(8/9)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/895268383175737345


第18位:MAMMAL HANDS@京都METRO(11/30)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/936216393434808320


第19位:BORIS@代官山UNIT(12/28)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/946360615337000961


第20位:The Quartet NL.(Han Bennink・Benjamin Herman・Peter Beets・Ernst Glerum)@大阪 守口文化センター エナジーホール(9/4)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/904641370555539456

 

[各要素Best3]


〈パート別プレイヤー〉

声:
戸川純
Devin Townsend
石井秀仁

ギター:
Michael Schenker
Tosin Abasi(ANIMALS AS LEADERS)
平沢進

ベース:
Itibere Zwarg(Hermeto Pascoal e Grupo)
村井研次郎(cali≠gari

打楽器:
Ajurina Zwarg(Hermeto Pascoal e Grupo)
Fabio Pascoal(Hermeto Pascoal e Grupo)
Han Bennink

管楽器:
Jota P.(Hermeto Pascoal e Grupo)
Jordan Smart(MAMMAL HANDS)
宮里陽太(山下達郎バンド)


〈フロントマン〉

ILL-BOSSTINOTHA BLUE HERB
岡村靖幸
Hermeto Pascoal


〈音響〉

大阪フェスティバルホール(6/2:山下達郎
渋谷WWW X(1/7・8:Hermeto Pascoal e Grupo)


〈イベント・フェスティバル〉

10/15:Loud Park17@さいたまスーパーアリーナ
(MICHAEL SCHENKER FEST・SABATON・MESHUGGAH・CRADLE OF FILTH・BLACK STAR RIDERS・DEVIN TOWNSEND PROJECT・LOUDNESS・APOCALYPTICA・OUTRAGE・BLACK EARTH・CRY VENOM)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/919364361969221634

 

[参加したLive一覧](計40ヶ所)

1/7・8:Hermeto Pascoal e Grupo:渋谷WWW X(1st・2nd set)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/817621417864806401

1/20:戸川純 with VampilliaVampillia・VMO@梅田Club Quattro
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/822383262966218752

2/15:ANIMALS AS LEADERS@梅田Club Quattro
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/831833362952187904

2/27:SLAPP HAPPY@OSAKA MUSE
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/836149901390049281

3/10:Lee Ritenour & Japanese Friends@大津市民会館 大ホール
Lee Ritenour寺井尚子本田雅人神保彰・Melvin Davis・Otmaro Ruíz)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/840230161047945216

3/12:ARCTURUS・1349・RISE OF AVERNUS・SIGH@下北沢GARDEN
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/840831151392542721

3/14:ほぼほぼフェス@豊洲PIT
生ハムと焼うどんprediaゆるめるモ!
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/841599030522142720

4/10:ALCEST・Vampillia@心斎橋CONPASS
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/851370225110966272

4/22:ももいろクローバーZ@ひこね市文化プラザ グランドホール
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/855744174972207104

5/4:岡村靖幸@Zepp Tokyo
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/860103090258665472

5/8:鱧人@京都 Live Spot RAG
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/861580578671415296

5/21:EP-4 5・21[re-imagined]@京都UrBANGUILD
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/866220679988887553

5/25:BRAHMAN@滋賀U★STONE
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/867670273864024066

6/2:山下達郎@大阪フェステバルホール
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/870638562466611200

7/2:有安杏果@オリックス劇場
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/881471594857615361

7/7・8:cali≠gari@心斎橋FANJ Twice
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/883258356051263488

7/9:平沢進@Zepp Namba Osaka
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/884056244364783616

7/16:clammbon@滋賀U★STONE
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/886573572432420865

8/4:SIGUR RÓS@Zepp Namba Osaka
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/893504354044436481

8/9:G.I.S.M.・WARHEAD・九狼吽@名古屋Red Dragon
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/895220013874925568

8/19:SUMMER SONIC 2017(1日目)@海浜幕張
(ベッドイン・ミオヤマザキ大森靖子神様、僕は気づいてしまった・HYUKOH・UVERworld・KEHLANI・BLACK EYED PEAS・Calvin Harris・Juana Molina
HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER@幕張メッセ
(Matthew Herbert・THE HORRORS・ST. VINCENT・MOGWAI・BEAK>)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/898723809921875968

9/2:cali≠gari@umeda TRAD
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/903886521106817028

9/4:The Quartet NL.(Han Bennink・Benjamin Herman・Peter Beets・Ernst Glerum)@守口文化センター エナジーホール
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/904641370555539456

9/8:gibkiy gibkiy gibkiy・ZIZ@梅田Zeela
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/906106858942865408

9/16:KORPIKLAANIFIDDLER'S GREEN・WALTARI@梅田amHALL
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/908993579522998272
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/909775177709318144

9/23:cali≠gari@日比谷野外音楽堂
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/911507558841573377

9/24:BUCK-TICK@お台場野外特設会場J地区
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/911867277489795072

10/15:LOUD PARK 2017@さいたまスーパーアリーナ
(MICHAEL SCHENKER FEST・SABATON・MESHUGGAH・CRADLE OF FILTH・BLACK STAR RIDERS・DEVIN TOWNSEND PROJECT・LOUDNESS・APOCALYPTICA・OUTRAGE・BLACK EARTH・CRY VENOM)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/919364361969221634

10/24:池田亮司×Eklekto「music for percussion」@ロームシアター京都 サウスホール
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/922769177475256320

10/27:Heiner Goebbels × Ensemble Modern『Black on White』@京都芸術劇場 春秋座
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/923857139386392576

10/28:THE DILLINGER ESCAPE PLAN@渋谷CYCLONE
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/924234735710216193

11/3:FESTIVAL DE FRUE@つま恋リゾート 彩の郷
(DC/PRG・BaBaZuLa with Nourah・Vessel with Pedro Maia・The Master Musicians of Joujouka)
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/926322806257627136

11/23:岡村靖幸@オリックス劇場
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/933668840277282818

11/30:MAMMAL HANDS@京都METRO
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/936216393434808320

12/9:THA BLUE HERBLOSTAGE@奈良NEVERLAND
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/939519865819348992

12/26:cali≠gari@恵比寿LIQUIDROOM
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/945634178783068160

12/28:BORIS@代官山UNIT
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/946360615337000961

 

 

【#ふぁぼされた数だけ自分の好きなCDアルバムを紹介する】21〜30

【#ふぁぼされた数だけ自分の好きなCDアルバムを紹介する】21〜30

ツイッター上の↑タグにのって軽い気持ちで紹介を始めたら思いのほか長くなってしまいました。そのまま流すのも勿体ないのでここにまとめておくことにします。


《目次》


21:PINK FLOYD『Wish You Were Here』
22:近田春夫『電撃的東京』
23:VOIVOD『Killing Technology』
24:OPETH『Ghost Reveries』
25:Sam Cooke『One Night Stand! Live at The Harlem Square Club』
26:ちあきなおみ『百花繚乱』
27:THE DOORS『Strange Days』
28:人間椅子黄金の夜明け
29:DARK TRANQUILLITY『We Are The Void』
30:MASSIVE ATTACK『Protection』

 

 

 


21:PINK FLOYD『Wish You Were Here』

 

 

Wish You Were Here [Discovery Edition] by Pink Floyd (2011)

Wish You Were Here [Discovery Edition] by Pink Floyd (2011)

 

 

 

大ヒット作『狂気』で全てを吐き出した後、難産を経て作られたアルバム。英国ブルースロックの薫り高い音遣い感覚を最高度に熟成された形で味わえる一枚で、メロウながら安易に泣き崩れない渋い叙情が素晴らしい。大傑作です。

シド・バレット脱退後のPINK FLOYDは、バレットが作り上げた神秘的なイメージを受け継ぎつつ、長尺の構成で深いニュアンス表現をするスタイルに移行していきました。
(短編集でなく長編小説を描くようになった感じ)
そうした“発展的な”スタイルは、同時期に台頭してきたバンド達とあわせて「プログレッシヴ・ロック」と呼ばれ、ロックシーンにおける「優れた技術・楽理を援用した高度な楽曲構築」「様々な音楽要素の積極的な吸収・融合」などの傾向を生みました。
そうした「プログレッシヴ・ロック」のバンドにはテクニカルな演奏&複雑な曲構成を過剰に志向するものも少なからずありましたが、このPINK FLOYDにはそういう傾向は一切なく(技術的制約もあって)、シンプルながら非常によく練られた“楽曲の良さ”で勝負するスタイルを貫いていました。
1973年の『The Dark Side of The Moon』(邦題:狂気)はそれが最も成功した大傑作で、アルバム1枚43分の長さを「全部で1曲」として繋げた上で徹底的に快適に聴き通せる構成にしています。全世界で5000万枚を超えるという売上はそうしたわかりやすさの賜物でしょう。

PINK FLOYDの長尺曲がこれほど聴きやすく高い没入感を生むものになっているのは、作編曲における卓越した構成力はもちろん、バンドの(技術的には頼りないが)優れた演奏表現力による所が大きいです。
名曲「Echoes」はその好例ですね。
https://m.youtube.com/watch?v=NtyOisjwvD8
まず、音色・音響センスの良さ。キーボード担当のリチャード・ライトは技術的に優れたプレイヤーでなく派手なソロも弾きませんが、「Echoes」の最初の一音はこの長尺曲以外では聴けない深く壮大な雰囲気を一発で形作ってしまいます。こうした音選びのセンスがなければこの雰囲気は絶対に生まれません。
これは他メンバーも同様で、「無闇に弾きまくるのではなく磨き抜かれた音色のみを配置することでニュアンス表現の密度を高く保つ」ことが常にできているのです。『狂気』収録の名曲「The Great Gig In The Sky」(ボーカルはゲスト)はそうした表現力があってこそのものでしょう。
https://m.youtube.com/watch?v=T13se_2A7c8
また、アンサンブルの独特の質感も固有の雰囲気表現に大きく貢献しています。一音一音をタイトに刻むのでなくのっぺり引き伸ばしながらなんとなく繋がっていくようなグルーヴは「のびきったソバが汁気をたっぷり吸った状態で絡みついている」感じのものですが、これが長尺の曲構成には実によく合います。
普通のコンパクトな歌モノの4倍くらい“気の長い”時間感覚で流れる長尺曲には、一瞬一瞬ガッツリ締まるタイプの緊張感ある演奏よりも、あまりテンションが上下せずなんとなくダラダラ流れていくタイプの演奏の方がよく合うのです。PINK FLOYDのグルーヴは後者で、実に良い味を出しています。

本作『Wish You Were Here』(邦題:炎〜あなたがここにいてほしい)は、そうしたグルーヴ感覚やテンション展開が特に美味しい形で纏められた大傑作です。他の代表作のような野心や勢いは前面に出ていませんが、内省しつつくよくよしすぎない感じの雰囲気が実に好ましい。浸れます。
PINK FLOYDは(The OrbやKLFに影響を与えたこともあってか)「アンビエント」という形容をされることもあるようですが、明確な展開のある作編曲はそうしたもの一般とは異なります。本作の芯になる名曲「Shine On You Crazy Diamond」はその好例でしょう。
https://m.youtube.com/watch?v=R0sw2CgysWY
PINK FLOYDの音遣いの芯になっているのは「英国ブルースロック」です。ブルースの乾いた粘り気をクラシック音楽などの水気で程よく溶かした(ジミヘンあたりの系譜にもある)音遣い感覚。PINK FLOYDは、音楽史上でも屈指といえるこの旨味を最高度に熟成したバンドの一つなのです。
その最大の原動力となっているのがデヴィッド・ギルモアのギターです。ブルースマイナーペンタトニックとハーモニックマイナーの美味しい所を最も良い按配で使い分けるリードはフレーズも音色も最高。先掲「Shine On You Crazy Diamond」ではそれをひたすら堪能できます。
そうしたフレージングは、常にメロウで艶やかな“泣き”の表現をしながらも安易に“解決”して“泣いて済ます”ことがなく、渋く穏やかな潤いを保ち続けます。「Shine〜」は廃人となったバレットへの想いがモチーフなのですが、そこに過剰な感情の動きはなく、“淡々と悼む”ような趣があります。
もう終わったことであり、今さらセンチメンタルになりすぎはしない。“泣いて気持ちよくなる”ために掘り起こすような嫌らしいこともない。しかし、忘れられない大事なものとして常に頭の片隅に在り続ける。諦観と追憶、少し乾いているがふいに胸を焦がす…という趣の渋い情感にしみじみ酔わされます。
今の自分はPINK FLOYDを頻繁には聴きませんが、先述のような「英国ブルースロック」の味わいは音楽を意識的に聴き始めた頃に最も強く染みたもので、今でも最大のツボの一つです。そのツボの開発に最も大きく影響したのがこのバンドで、やはりそれなりの思い入れがあるのかもしれません。
本作は、そうした「英国ロック」のエッセンスを最も良いバランスで体現するものの一つだと思います。聴き手の感情を揺らしすぎず、メロウにこびりつく音遣いで渋い叙情に浸らせてくれる。何度でも繰り返し聴き続けられる極上の美酒ですね。プログレに抵抗感のある人もぜひ聴いてみてほしい大傑作です。

 

 

 

22:近田春夫『電撃的東京』

 

 

電撃的東京

電撃的東京

 

 

 

1978年発表。歌謡曲の名曲をグラムロック/パンク風にアレンジしたカバー集なのですが、出来上がったサウンドは後のNWOBHMに酷似しています。内容の良さは勿論、同時代の音楽シーンの変遷を考えるにあたっても非常に興味深い資料。大傑作です。

近田春夫は常に時代の1歩先を行く優れた音楽家/評論家で、内田裕也系ロックンロールやニューウェーブ、ヒップホップやゴアトランスといった音楽の(再)評価〜導入を積極的に進める活動で日本の音楽シーンに(裏から)大きな影響を与えてきました。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E7%94%B0%E6%98%A5%E5%A4%AB
そうした音楽活動と並行して行われてきた音楽評論は優れたものばかりで、『POPEYE』で連載していた「THE 歌謡曲」や『週刊文春』連載の「考えるヒット」などは膨大な知識と卓越した文章力に裏打ちされた充実の仕事になっています。
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/416354660X/ref=mp_s_a_1_2?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&qid=1499253065&sr=8-2&pi=AC_SX236_SY340_QL65&keywords=%E8%BF%91%E7%94%B0%E6%98%A5%E5%A4%AB+%E6%AD%8C%E8%AC%A1%E6%9B%B2&dpPl=1&dpID=51K9HA0X0HL&ref=plSrch
この『電撃的東京』はその「THE 歌謡曲」での評論を実演した大傑作で、筒美京平や津倉俊一、加瀬邦彦、川口真といった名作曲家の作品が取り上げられています。
原曲(森進一)
https://m.youtube.com/watch?v=sCN2Y2fWBV4
電撃的東京版
https://m.youtube.com/watch?list=PLvCF2fagbOTytXmLS6lQwMmmmNS6aSJQ0&v=6okdy9dFS2g

それで興味深いのが本作のサウンド。「SEX PISTOLSを激しくした風になった」という仕上がりは、卓越した演奏表現力もあってかパンクというより高速ハードロック、もっというなら80年代頭のNWOBHMNew Wave of British Heavy Metal)に近いのです。
その最高の実例が冒頭を飾る「ついておいで」。異常に艶やかなギターが滑らかに殴りかかるイントロからの流れはIRON MAIDENの疾走曲やANGEL WITCHの同曲に通じるものが非常に多いです。こうしたサウンドがHR/HMシーンとは全く異なる場所から現れたのは非常に興味深いです。
この『電撃的東京』を初期パンクとNWOBHM(パンクの荒い質感や勢いを取り込んだメタル)の間においてみると色々納得いくものがありますね。
SEX PISTOLS
https://m.youtube.com/watch?v=yqrAPOZxgzU
IRON MAIDEN
https://m.youtube.com/watch?v=E8gsH--0RzA
その意味では本作は最高のメタルパンクと言えますし(いわゆるクサレメタルのファンは必聴)、英国ロックと日本の歌謡曲の音遣い感覚の共通点とか、「パンクとメタルが(対立していると言われながらも)音楽的に非常に近い所にいる」ことを考えるにあたっての非常に良い資料でもあります。お薦めです。

ちなみにSEX PISTOLSの1stは非常に面白い作品で、分厚く固い音作りは後のメタルやハードコアに通じますし、「Bodies」では後のゴシックロックやBLACK FLAG的な音遣いを先取りしています。聴き込む価値のある傑作です。
https://m.youtube.com/watch?v=BOoDdD1fHFU

 

 

 

23:VOIVOD『Killing Technology』

 

 

Killing Technology [12 inch Analog]

Killing Technology [12 inch Analog]

 

 

 

HR/HM・ハードコア・プログレッシヴロックなど膨大な音楽要素を他に類を見ない配合で融合させたバンドの3rd。奇怪で魅力的な不協和音フレーズや個性的な旨みに満ちた演奏など全てが素晴らしい。後続への影響も絶大な大傑作です。

VOIVODが結成されたのは1981年。一般的にはスラッシュメタルのシーンで語られるバンドですが、他に類を見ない強力な個性を保ちながらアルバム毎に大きくスタイルを変える(しかもその上で質の高さを保ち続け周囲を納得させる)活動により、メタルシーンに限らず大きな影響を与えてきました。
VOIVODメンバーがインタビューなどで明らかにしている影響源には以下のものがあります。
(英語版Wikipediaの参考記事集などで確認)


PINK FLOYD
(「PINK FLOYDがキーボードでやっていることを(ギターで)真似しようとした」という発言あり)
LED ZEPPELINGRAND FUNK RAILROAD
ALICE COOPER
KING CRIMSON、YES、GENESIS
VAN DER GRAAF GENERATOR、HAWKWIND
BIRTH CONTROL、NEKTAR、RUSH
KILLING JOKE、BAUHAUS
U2、LORDS OF THE NEW CHURCH
SWANS、Einsturzende Neubauten
MOTÖRHEAD、RAVEN、TANK、JUDAS PRIEST
KREATOR、METALLICA、SLAYER、VENOM
DISCHARGE、GBH、DRI、SOD、BROKEN BONES
CORROSION OF CONFORMITY、SEX PISTOLS
RAMONES
バルトークストラヴィンスキー
ショスタコーヴィチ


ハードロックやプログレッシヴロックから音楽を聴き始め、ハードコアパンクやニューウェーブ〜ジャンク/エレクトリック・ボディ・ミュージックなども貪欲に掘り下げつつ、そうしたもののエッセンスを巧みに融合させてしまったという感じです。
この3rdはそうした音遣い感覚が最も即効性溢れる形で示された大傑作です。
https://m.youtube.com/watch?v=Jl_231xbN9E
半音(特に♭5th)を巧みに組み込んだフレーズ/ルート進行とメタル的なパワーコードの“曖昧で広がりのある響き”を組み合わせるリフには悶絶モノの格好良さがあります。
こうした音遣い感覚は数々の天才的な音楽家に絶大な影響を与えてきました。OPETHやCARBONIZED〜THELION、VED BUENS ENDE〜VIRUSなど超一流のバンドもVOIVODがなければ存在しなかったかもしれません。
(参考:OPETHインタビュー
http://www.hmv.co.jp/news/article/1505080018/
4thの1曲め「Experiment」
https://m.youtube.com/watch?v=DGmaresjBhY
などはOPETH(の「Deliverance」あたり)と直接つながるものがあります。第3期KING CRIMSONとBAUHAUSのようなゴシックロックの暗黒浮遊感を一体化させてしまう咀嚼力・視野の広さは驚異的です。
こうした豊かな素養・個性の逞しさは演奏にもよく表れています。5thのデモ音源
https://m.youtube.com/watch?v=4v8wYAMvpkY
ではその最初の到達点が示されています。全パートが他にない味を持った名人な上、バンド全体の噛み合いも実に素晴らしいのです。
先述のような音楽性の主幹となるPiggy(故人)のギターは奇怪で艶やかなコード感覚とロックンロールの格好良さ(MOTÖRHEADに通じる感じ)を両立する最高級品で、VOIVODといえば彼ばかりが言及される傾向もありますが、他のパートも同等に素晴らしく、全くひけをとりません。
豊かな響きを飄々とした佇まいから繰り出すSnakeのボーカルはVOIVODの音楽全体が醸し出す雰囲気に「これ以外は考えられない」というくらい合っていますし、ハードコア的な“鈍く跳ねる”質感を保ちながら多彩なリズムパターンを繰り出すAwayのドラムスも唯一無二の魅力に満ちています。
そして個人的に最も推したいのがBlackyのベース。歪んだ音色によるごつごつした質感をキープしながらビートに常に滑らかに密着する演奏は極上で、こういうスタイルのベーシストとしては世界最高のプレイヤーなのではないかと思います。脱退・復帰・脱退を経て現在不在なのが本当に勿体ないです。
こうした個性的な名人達によるアンサンブルが(各人の得意分野が活きる形で)最初に完成した5thでは、HR/HMのみならず全ての音楽ジャンルにおいて最高の珍味の一つと言える演奏が聴けます。ギターとベースの対位法的絡み合いが奇怪でのほほんとした雰囲気を生む場面等、全てが味わい深いです。
今回メインとして挙げた3rdではこのようなアンサンブルはまだ模索段階なのですが(テンポの速さや急変度合いがAwayのドラムスにうまく合っていない気がする)、不協和音フレーズの強烈な格好良さや凄まじい勢いといった訴求力の高さを考えると「この一枚」としてはやはりこれになると思います。

VOIVODの以上のような音楽性はアンダーグラウンドなメタル(〜近接した分野のハードコアパンクなど)では非常に高く評価されているのですが、メインストリームの音楽シーンからすると十分に認知されているとは言い難いです。しかし、歴史的な存在感や影響力には絶大なものがあります。
ハードロック/ヘヴィメタルやハードコアパンク、プログレッシヴロックや近現代クラシック、そしてニューウェーブ〜ジャンク〜エレクトリック・ボディ・ミュージック。これほど広く豊かな音楽のエッセンスを咀嚼し融合させわかりやすく提示する…ということができたバンドはジャンル問わず稀です。
その意味で、VOIVODは(メタルシーンに限らず全ジャンルにおいて)音楽史上屈指の卓越した“ミクスチャー”バンドだと言うことができます。作編曲も演奏も他にない個性と練度に溢れた素晴らしい音楽。この3rdアルバムはその優れた入門編と言える大傑作です。ぜひ聴いてみてほしいですね。

ちなみに、Piggyの逝去で一度活動停止したVOIVODですが、現在は同郷カナダを代表する天才Daniel Mongrainと共に活動を続けています。↓は彼のバンドによる極上カバー(ベースはBlacky)。これも素晴らしいテイクです。
https://m.youtube.com/watch?v=2B1OC4nwSkI

 

 

 

24:OPETH『Ghost Reveries』

 

 

ゴースト・レヴァリーズ

ゴースト・レヴァリーズ

 

 

 

70年代ロック・欧州フォーク・90年代以降のデスメタルなど膨大な音楽要素を比類のない巧みさで融合させるバンドの2005年発表8th。スウェーデンとイギリスの中間という趣の音遣い感覚が前面に出た作編曲&演奏など全てが素晴らしい。大傑作です。

OPETHは「プログレッシヴ・メタル」と呼ばれるバンドの一つですが、そうしたものの多くが陥りがちなスタイル(歪な複合拍子を連発する演奏/曲構成で“頭の良さそうなサーカス”的爽快感を演出するもの)とは一線を画します。演奏技術も素晴らしいですが、それ以上に表現力や音楽的豊かさに優れています。
OPETHの主幹ミカエル・オーカーフェルトは重度の音楽マニアで、インタビューなどで好んで影響源を語る一方その内容は媒体によって大きく変化します(相手に合わせる感じ)。

参考↓(英語記事邦訳集)
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2015/11/02/201339

OPETHの影響源】
(インタビューで確認できているもの)

DEEP PURPLE、RAINBOW、BLACK SABBATH
WHITESNAKESCORPIONS

‪CAMEL、PINK FLOYDKING CRIMSON、‬
‪YES、VAN DER GRAAF GENERATORGENESIS

DREAM THEATER、Steven Wilson関連‬
‪(RUSHはあまり好きではない)‬

‪Bert Jansch(PENTANGLE)、Nick Drake
‪Jerry Donahue(FAIRPORT CONVENTION)‬
‪Jackson C. Frank ‬

JUDAS PRIEST(2ndなど初期を特に愛する模様)‬
‪IRON MAIDEN、KING DIAMOND‬

‪MORBID ANGEL、VOIVOD、BATHORY、‬
CELTIC FROST、DEATH、SLAYER‬
‪AUTOPSY、ENTOMBED‬

‪FLOWER TRAVELLIN BAND(日本)や‬
‪70年代のイタリアンロック・ジャーマンロック、‬
‪60年代サイケなど、随時購入して好きだと言っているものも無数に存在する‬


基本的には70年代のハードロックやプログレッシヴロックを好みつつ、90年代頃以降のエクストリームメタル(74年生まれでスウェーデンの初期デスシーンにリアルタイムで接す)などにも平行してハマる。その結果、(かけ離れたものとされる)両者を自然に融合させてしまえるようになったわけです。

例えば、出世作5th『Blackwater Park』('01)の1曲め
https://m.youtube.com/watch?v=vK-wm3Gstqk
では、MORBID ANGELとVOIVODの暗黒浮遊感を完璧に融合させたような音遣いが堪らないドゥーミーなデスメタルが、欧州70年代フォークの最も薫り高い部分に通じる静謐なパートを挟んで披露されます。
こうした(一般的にはかけ離れたものとされる)雑多な音楽要素をエッセンスのレベルで掴み自然に融合させてしまうセンスが、10分に渡る長尺の構成を全くダレずに聴かせる作編曲の構築力&演奏表現力によって最も望ましい形で活かされる…というのがOPETHの基本的な音楽スタイルです。
一時期までのOPETHは先掲のような「ゴシカルなデスメタルとフォークを70年代プログレッシヴロック的な長尺構成のもと融合させる」という形式を取ることが多かったですが、その中で7th『Damnation』('03)のように大きくフォーク方面に寄ったアルバムも作っています。
https://m.youtube.com/watch?v=qEaf9LqIUZQ
OPETHというと「デスヴォイスとクリーントーンを巧みに使い分けるなど“静と動の対比”が凄いバンド」というイメージが強いようですが、豊かな音遣い感覚の味/魅力は一貫しています。だからこそ、先掲のように大きくスタイルの異なる展開/曲を並べても違和感なく聴かせることができるわけです。
こうした音遣い感覚は、芯の部分は一貫しているのですが、「どの要素をどういった比率で用いるか」という配合は長年の活動のなかで微妙に変化し続けています。初期はスウェーデンらしい滑らかな進行感が主だったのですが、時期が後になるにつれ英国ロック的な引っ掛かりが増していくのです。
例えばこれは10th『Heritage』('11:デスヴォイスを完全に封印したことで賛否両論となったアルバム)の4曲め。
https://m.youtube.com/watch?v=Qx1Pqpn75xk
「RAINBOWを意識した」という発言が示すように、先掲曲に比べ英国ハードロック的な引っ掛かりある音遣いに寄っています。
この10thはそれまでのデスメタル要素(≒わかりやすい刺激分)が完全に排除されたということで昔からのファンにだいぶ批難されたアルバムなのですが、個人的には「味の質がかなり変わった」こともそうした反応の原因になっている気がします。
https://m.youtube.com/watch?v=lgyaVQ_XZA4
この10thの「英国ロック的な引っ掛かりが増えた」音遣いの傾向は、実は本作8thから既に前面に出てきていました。その点においては「急に変化した」わけではないのですが、デスメタル的なアタック感も大きく減退したことにより、以前からのファンが好んで聴ける要素が一気に減ったのだと思われます。
そういった話の8thにおける好例が「Beneath The Mire」↓。デスメタル的な激しいパートとフォーキーで静かなパートが交錯する構成は過去曲に通じますが、音遣いは英国的な粘り気のあるものに寄っています。OPETHはこういう変化を続けてきたバンドなのです。
https://m.youtube.com/watch?v=QlT1sRHf34M

ここで繰り返し用いている「音遣い」という表現は「フレーズやコードの使われ方の傾向」全体を指すものですが、そうしたものの流れが生み出す「“解決”しなさ」の質(=ブルース感覚の質、引っ掛かり感覚)にもフォーカスしています。そして、その音遣い感覚は地域によって一定の傾向がみられます。
例えば、同じ初期デスメタルをみても、スウェーデンものの音進行は「滑らかに流れ最低限の引っ掛かりを残す澄明な感じ」、フィンランドものは「日本の歌謡曲に通じる“涙がこびりつく”粘り気がある感じ」で、後者の方が引っ掛かりが強めになる傾向があります。ノルウェーは両者の中間という感じです。
同じ北欧地域でもこうした音遣い感覚にはかなりはっきりした違い&傾向がみられます。このタグ付け企画で取り上げてきた「英国ロック」的な音遣いも同様です。ノルウェースウェーデンフィンランドの中間前者寄りだとしたら英国は後者寄り、ただしその3者とは根本的に異なる部分もある感じです。
このような音遣い感覚は(膨大な資料をちゃんと楽理的に分析した上で傾向を示すべきとは思いますが)ある程度の量&質を聴くことによりそれぞれの違いが感覚的に/具体的にわかるようになり、それに対応する“回路”もどんどん培われていきます。
(「音楽の好み」の根幹に関わる重要な要素と思います)

これは個人的な話ですが、それなりに多くの音楽に接してきた結果、自分の好みに本質的なレベルでハマる音遣い感覚は日本・スウェーデン・英国のものだということがわかって“しまい”ました。結局の所、自分が育った場所(音楽的文化圏&実際に住む地域)に好みが決められてしまうのだと思います。
こういう話はOPETHのミカエルにも言えるのではないかと思います。生まれ育ったスウェーデンの音遣い感覚(BATHORYファンというのはその点でも納得できる)に加え、70年代英国ロックや90年代アメリカのデスメタルにハマったことでその音遣いを“本質的な好み”としてきたのでしょう。
先述の「活動時期が後になるにつれてスウェーデンより英国的な音遣い感覚が前面に出てくる」というのは、こうした“好みの感覚”が成熟し変化してきたことによるものなのではないかと思います。こういった面に注目して聴くといろいろ掴めて面白いです。

本作『Ghost Reveries』(8th)は、そうしたスウェーデン〜英国志向がほどよく絡み合いつつ絶妙な異物感(溶けきらなさ)を残しているアルバムです。冒頭の大名曲「Ghost of Perdition」でもそうした配合の音遣い感覚がよく発揮されています。
https://m.youtube.com/watch?v=MDBykpSXsSE
本作においては、先述のような音遣い感覚を下地にした作編曲が、素晴らしい演奏表現と極上のサウンドプロダクションのもと理想的な形で具現化されています。最後を飾るバラード「Isolation Years」のサビ裏で“静かに泣く”ギターはその好例。最高と言うほかないです。
https://m.youtube.com/watch?v=KDpyzdhUktg
多彩なフレーズ構成を一音一音念のこもった音色表現で形にし、大きな変化を滑らかに繋げてしまう。ミクロ&マクロのコントロール能力があるからこそ可能な音楽なのでしょう。
↓は最高のVOIVOD〜KING CRIMSONオマージュですね。
https://m.youtube.com/watch?v=2kKNT3PdDkE
本作で脱退してしまう初期〜中期の名ドラマーMartin Lopezはそうした表現力に大きく貢献しています。武骨ながら豊かな音色表現と粘りある艶やかなリズム処理はOPETHの音楽に絶妙な引っ掛かりを加えていました。この点、以降の作品では聴けない素晴らしい味のあるアルバムと言えます。
OPETHのアルバムは全て傑作なのでどれから聴いても基本的には問題ないとは思いますが、先述のような音遣い感覚の変化を考えると、ちょうど中間に位置する本作から入ればどの作品にもうまく接することができるようになると思います。お薦めです。
https://www.metal-archives.com/bands/Opeth/38

ちなみに自分が一番好きなのは先掲の“問題作”10th『Heritage』です。演奏&音響の表現力ではNo.1と思いますし、音遣い感覚の質や成熟度といった面ではこれが最も相性が良いですね。単純な刺激や解りやすさは微妙ですが、こういう味わいの深さ面白さは最高級。こちらもお薦めです。

 

 

 

25:Sam Cooke『One Night Stand! Live at The Harlem Square Club』

 

 

ハーレム・スクエア・クラブ1963(期間生産限定盤)

ハーレム・スクエア・クラブ1963(期間生産限定盤)

 

 

 

歌の神様が早逝の2年前(32歳直前)に遺した大傑作。下町の黒人客が集まるクラブでの生録音で、ゴスペル〜ソウルミュージック〜ロックンロールの真髄が最高の盛り上がりとともに収められています。究極のライヴアルバムの一つです。

サム・クック(1931-64)は音楽史上最高のシンガーの一人です。完璧な発声と徹底的に洗練されたフレージング、溢れる情感に裏付けられた陰翳深い表現力。心技体すべてを最高度に併立した歌唱は、アレサ・フランクリンオーティス・レディングなど数々の名歌手に絶大な影響を与えています。
晩年に遺した「A Change Is Gonna Come」
https://m.youtube.com/watch?v=wEBlaMOmKV4
は黒人音楽の歴史を代表する名曲で、歌詞の内容・完璧なパフォーマンスにより膨大なカバー・バージョンを生み続けています。最高音A#での完璧な脱力&響きの豊かさをはじめ、発声技術だけとってみても金字塔と言える名演です。
サム・クックの素晴らしさは、いかなる時でも響きの芯(喉頭=声帯のある空間=原音ができる場所を直接効率よく扱うことで生まれる中域のクリアな響き成分)を完璧に維持し、それを曲の求める雰囲気に最適な力加減でコントロールできる所にあります。
以下、それについて少し具体的に触れていきます。

↓はサムがソロ活動前に在籍していたゴスペルグループSOUL STIRRERSの後期音源で、Paul Fosterとのダブルリード構成になっています。2人の発声の違いがわかりやすく示されているこのテイクを用いて簡単に説明していきます。
https://m.youtube.com/watch?v=4VqxXmwpg8o
まずは先攻のポールから。低〜高全帯域にわたって豊かな響きを確保できていて優れたボリューム感があり、パワフルなのに柔らかい質感とあわせ素晴らしい包容力を生んでいますが、響きの芯(中域のクリアな鳴り)は不明瞭で、音程の上下に合わせてそのあたりの構成成分が不安定に揺れる傾向があります。
それに比べ後攻(33秒〜)のサムは、全ての帯域が完璧にクリアな響きで構成されていて(響きの芯をスムーズに外に通すことができている)、どんなに音程が上下しても響き全体の構成成分がブレることがありません。この“旨み成分だけを純粋に抽出する”超絶的な技術/状態維持が彼の持ち味なのです。

歌/声のサウンドを評価するために広く用いられている表現に「声量」がありますが、これは少し危うい要素をはらんでいます。「声の響き全体のボリューム感」をおおまかに「声量の大/小」で表すことはできるものの、その声の響きがどういう成分/状態になっているか表すことはできないからです。
例えば、低〜中〜高域まで全ての帯域がバランスよく分厚い声も、低域が極端に痩せている一方で高域がやたら膨らんでいる声も、ともに「声量がある」という形容をされてしまうことが少なからずありますが、それぞれの響きの構成状態は全く違いますし、そこから生まれる味や表現効果も大きく異なります。
これは先のポール/サムのスタイルの違いについても言えることで、「声量=ボリューム感の大小」といったおおまかで曖昧な印象ではポールの方が上にとられることが多いかもしれませんが、響きのバランスの良さ/洗練度/充実度ではサムの方が比べものにならないくらい上なわけです。
こうした話(〜発声技術を磨く方法)については↓に具体的に書いています。
http://closedeyevisuals.hatenablog.com/entry/2016/06/12/172821
大事なのは「声量」ではなく「響きの状態」。サム・クックが史上最高のシンガーの一人と言われるのは、こうした面での練度/コントロールが最高級に素晴らしいからなのです。

本作『One Night Stand!』はそうした最高の技術が凄まじい勢いと共に味わえる大傑作です。
https://m.youtube.com/watch?v=yBfsUCahFlo
スタジオ音源では洗練された白人向けポップスのみで勝負していたサムが、黒人客で埋め尽くされたクラブ公演で“本性”を剥き出しにしています。
ゴスペルベースのソウルミュージックを(1963年当時の基準ではあり得なかったくらいハードな)ロックンロールに寄せたラフなスタイルは激しい勢いに満ちていますが、同時に“客を置いてけぼりにしない”包容力や親密さにも溢れています。
こうした「手と手を取り合って燃えていく」盛り上がりは優れたゴスペル音楽にそのまま通じるもので、約38分のフルセットを絶妙なペースで走り抜ける構成力/ダイナミクスコントロールと併せ、聴くものに過不足ない充足感をもたらしてくれます。一枚のアルバムとして完璧な、文句なしの大傑作です。
本作は録音された当時「白人向けソウルをメインとするサムのイメージから外れる」という理由から長くお蔵入りにされていました。それが1985年に発表されると大絶賛と共に受け入れられることになります。
山下達郎は当時「途中で中断できないからフルでラジオオンエアせざるを得ない」という発言をしています)
そうした絶賛/印象変化の背景には、スムースに洗練されすぎたサムのスタジオ音源が後のパワフルなソウルミュージック基準からすると物足りなく思われていた状況があり、実際現在でも本作ばかりが(特にロック方面のリスナーからは)評価される傾向があるのですが、それはそれで勿体ない気がします。
たとえば、本作の翌年(晩年)に録音・発表された名ライヴ盤『At The Copa』は裕福な白人客向けクラブでの演奏を収録したもので、本作に比べると確かにわかりやすい勢いには欠けるのですが、抑えた力加減で自分の意思を通そうとする雰囲気には本作より数段“戦闘的”な姿勢や深みが感じられます。
そうした“胸の内に強い意思を秘めつつ搦め手で戦っていく”洗練されたポップスには本作にない素晴らしい味わいがありますし、そしてそれは本作とあわせて聴くことにより初めて見えてくるものなわけです。そうした優れた作品群にアクセスするための入門編としても本作は最適ですね。超お薦めです。

〈大事なのは「声量」ではなく「響きの状態」〉という話に関連して。いわゆるウィスパーヴォイスは「声量はないけど響きの芯は充実している」ものの好例です。こうした響きが大音量のバッキングの上で埋もれないのはクリアな響きがあるからです。
https://m.youtube.com/watch?v=yaOL3PFB4dM

 

 


26:ちあきなおみ『百花繚乱』

 

 

百花繚乱

百花繚乱

 

 

 

世界最高のシンガーの事実上の最終作。歌詞/楽曲の奥行きを何十倍にも深める超絶的な歌唱表現力が、「日本のAOR」をキーワードに製作されたという多彩な名曲のもとで存分に展開されています。音楽的な充実度・アルバムの完成度ともに比類なき大傑作です。

ちあきなおみ音楽史上最高のシンガーのひとりです。発声技術は完璧に開発されたものではありませんが、歌詞や楽曲を徹底的に読み込み適切な音色・力加減で形にする表現力では(少なくともこの人の路線では)右に出るものがありません。この点、全ての楽器奏者と比べても最高レベルだと思います。
ちあきなおみの凄さがわかりやすく示された音源を選ぶなら「朝日のあたる家」ライヴテイクがまず挙がるのではないかと思います。
https://m.youtube.com/watch?v=tFOfiiLbnYs
パワーと奥行きが驚異的な序盤&終盤の響き、そして抑えめに深い陰翳を描き出す中盤。どこまでも素晴らしいです。
ちあきなおみは歌詞や楽曲を徹底的に読み込み、没入して“そこで生きる”表現ができるのですが、同時にそうした自分を俯瞰する視点を忘れません。膨大な感情情報を溢れさせながらそれに溺れず、不自然に整えず適切にコントロールできてしまう。発声技術は勿論“表現技術”がこの上なく見事なのです。
「歌うときは感情を込めるのが大事」という話がよく言われますが、単に感情を込めるだけではそれは音に表れず、他者には伝わりません。「感情の変化を音色や力加減の変化にそのまま伝える」そして「そうした変化を自分自身が“初めて観て知り”、反応してさらなる変化を生んでいく」ことが大事です。
このように、「自分の出している音が自分の感情を表しているか確認しながら表現を構築していく」ことこそが「音楽で表現する」ということであり、それにあたっては瞬発力(その場で音色を選び適切に出す力)と俯瞰力(曲全体の構成を把握し音色変化の流れをコントロールする力)の両方が重要になります。
ちあきなおみはそうした瞬発力&俯瞰力がこの上なく優れたシンガーで、どんな楽曲でも“本当の意味で”(技術・表現の両面において)歌いこなすことができてしまいます。歌詞を“文字通り”でない音色で歌うことで複雑なニュアンスを生む“対位法”的解釈なども絶品です。
https://m.youtube.com/watch?v=WsAYvdcwYjU
そして、単に技術と解釈力が優れているだけでなく、本人自身が得体の知れない深みを持っているシンガーでもあります。↓はNHK紅白歌合戦での伝説的名唱/怪唱「夜へ急ぐ人」(友川カズキ作)。
https://m.youtube.com/watch?v=AVdTlxjB7vw
正気と狂気の境目を掴ませない圧巻のパフォーマンスです。
ちあきなおみは、そうした最高の表現技術と人間的深みに裏付けられた歌唱力を用いて(歌謡曲畑に属しつつ)あらゆるジャンルの楽曲を歌いこなしてきました。先掲「夜へ急ぐ人」収録の『あまぐも』(楽曲:友川カズキ河島英五、演奏:ゴダイゴ)はジャズがかったロックの大傑作でもあります。

本作『百花繚乱』(1991)は、結婚後実質的に休止していた歌手活動を約10年ぶりに再開したテイチクレーベル期の最後に発表されたアルバムであり、実質的な最終作でもあります。この翌年に夫と死別したちあきなおみは全ての芸能活動を休止。現在に至るまで一切表舞台には出てきていません。
そして本作は“実質的な引退作”となったのが本当に惜しい大傑作なのです。ジャズ/フュージョン的和声を効果的に(嫌味なく)活用したロック寄りポップス、クラシカルで美しいバラードなど、音楽的な広がりとアルバム全体の統一感(構成・雰囲気の流れまとまりなど全て)が見事に両立されています。
こうした紹介企画で他人様の記事を持ってくるのもアレですが、ちあきなおみの本作『百花繚乱』についてはブログ『満月に聴く音楽』における宮本隆さんのこの上なく素晴らしい評論があるので、興味を持たれた方はぜひ読んでいただきたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/stillgoo/e/215b48b16c3fe499242ac0fae2f1283c
この記事に付け加える形で書いておきたいのが、本作は今の時代の耳で聴いても決して古くないということです。歌謡曲ならではの“安易に流れずこびりつく”タッチを残しながらも手際よくビートに乗るリズム処理は見事ですし、バッキングも全パート“技術と表現力を両立する”極上の歌伴をしています。
そして、70年代ソウルミュージックの最も美味しい部分に80年代以降のジャズ/フュージョン要素を(教科書的な定型に陥らない優れた解釈のもと)滑らかに溶け込ませた音遣いなどは、昨今言うところの「シティポップ」的な観点からみても大いに歓迎されるものなのではないかと思います。
作編曲と演奏のクオリティの高さ、音楽的な広がりと流れまとまりの良さ、そして比類なく素晴らしい歌唱表現力。本作『百花繚乱』は、ちあきなおみという音楽の神様の持ち味がとても親しみやすく示されている一枚です。じっくり聴き入り深く感動することも楽しく聞き流すこともできる大傑作。お薦めです。
なお、「世界で一番うまいシンガーを選べ」と言われたら私は即答でちあきなおみを挙げます。発声技術に関しては鍛錬で勝つこともできますが、この解釈力とアウトプットの(迫力と節度を両立した)素晴らしさは誰も越えられないでしょう。一度は生で聴きたいですが、やはり難しいでしょうね。残念です。

 

 

 

27:THE DOORS『Strange Days』

 

 

まぼろしの世界

まぼろしの世界

 

 

 

ネガティヴなことを豪快に肯定する表現志向で絶大な影響を与えた名バンドの2nd。彼らの作品の中では一枚モノとしての完成度が突出して高く、神秘的で親しみ深い雰囲気が最高の形で示されています。暗く陽気なポップミュージックの大傑作です。

DOORSは60年代後半のロックシーンを代表するアメリカのバンドで、ジム・モリソン(ロック史を代表する破滅型の天才ボーカリスト)の優れた歌唱&作詞、そしてレイ・マンザレクのオルガンによる蠱惑的なフレーズ&音色表現により、同時代以降の音楽家などに絶大な影響を与えました。
パティ・スミスやTELEVISION(ニューヨークパンクの源流)、イギー・ポップSTRANGLERSやCURE(ポストパンク〜)といった70年代以降の最重要アーティスト達にも決定的な影響を与えていますし、日本でも灰野敬二遠藤ミチロウ大槻ケンヂなど多くの才能が影響下にあります。
DOORSが同時代以降の人々に大きな影響を与え続け得た理由は幾つかあると思われますが、その中でも特に大きなのが「ネガティヴなことを豪快に肯定した」ということでしょう。エディプス・コンプレックスを題材に破滅を歌った名曲「The End」はその好例です。
https://m.youtube.com/watch?v=JSUIQgEVDM4
ジム・モリソンのボーカルは「フランク・シナトラのようなクルーナータイプのバリトンを絶叫スタイルに寄せた」感じのもので、豊かな響きで叫ぶ時も全力では吠えない独特の力加減があります。パワフルに弾ける爽快感と深くこびりつく憂鬱な気分が極めて自然に繋がっているのです。
こうした“力強い脱力感”がオルガンの蠱惑的なサウンドと“クラシカルなブルース”的音遣い(PINK FLOYDにも通じる)と組み合わさることで、独特の神秘的で親しみ深い雰囲気が生まれます。こうした音楽性は代替不可能な魅力に満ちています。
DOORSの作品(特に1st)においては、このような雰囲気・力加減とともに「ここではないどこかへの希求」が描かれているように思います。望郷、薄く漂う絶望感、そしてそれを乗り越えようとする逞しさや意欲。名曲「The Crystal Ship」はその好例でしょう。
https://m.youtube.com/watch?v=bU1sLx1tjPY
正気を保ちながら深淵を見通し分け入っていこうとする高揚感が(冒険小説の主人公に通じるような素直て稚気あふれる佇まいのもと)全編で漂っている。
その「正気を保ちながら」というのが(本人たちの意識はともかく)傍目からは「うまくいくか心配」な危うさとともにあるように見えるのも一つの醍醐味かもしれません。
そうした「豪快に深淵に分け入っていく」雰囲気はやはりジム・モリソンの鷹揚なボーカルによる所が大きいですね。基本的にはアジテーターで(意識的な部分とそうでない部分がある)、テンションが低くパワフルな歌い回しで気軽に柔らかい闇に包み込んでいく。唯一無二のキャラクタだと思います。

本作2ndは、DOORSのそういった持ち味・表現志向が最も良いバランスでまとめ上げられた大傑作です。1stは得体の知れない深み&インパクトは凄いものの曲展開は未洗練で、3rd以降は曲のまとまりは良いもののアルバム全体の構成は滑らかでない。2ndは両者の良い所を併せ持っています。
2〜3分の曲×9個→11分の大曲という構成も、その大曲がPINK FLOYD的な構築美を(前作最後の「The End」がボブ・ディラン的長尺フォーク曲のようなつくりなのとは一転して)勝ち得ていることもあって、流れまとまりは文句なしに良いと思います。
DOORSの音楽特有の「夜の街の灯火を遠くにみながら、正気と狂気の境目のヒリヒリした神経刺激に身を焼かれている」というふうな「朦朧としつつ強烈に(半)覚醒する」気分が、過不足なく洗練されたポップススタイルのもと(それでこそ可能な表現として)最高の形でまとめ上げられている内容なのです。
DOORSは3rd以降も充実した活動をして聴く価値が高いです。
(「Not To Touch The Earth」は後のポストパンクやブラックメタルに通じる〈Ⅰ→Ⅰ#→Ⅰ〉進行のベースが興味深い)
https://m.youtube.com/watch?v=7AfMf70gxbY
しかし、やはりアルバムとしての出来は最初の2枚ですね。そこから入るのが良いと思います。
ちなみに、2ndの最後を飾る名曲「When The Music's Over」は、ロック以降の音楽においてはおそらく初めてブラストビートが用いられたものとしても非常に興味深いです。(7分17秒〜20秒)
ドラマーはジャズ出身なので、そちら方面にあった手法を活かしただけなのかもしれませんが。
https://m.youtube.com/watch?v=YkKRU1ajKFA
などなど、DOORSの音楽は今の耳で聴いても非常に興味深い(というか時代を超えてトップクラスと言える)要素に満ちた金脈で、特に本作2ndにはそうした魅力が最高の形で収録されています。「暗い音楽を聴きたいけど気分が沈むのはちょっと」という人も是非聴いてみてほしい大傑作。お薦めです。

ちなみに、遠藤ミチロウスターリンなど)“最後のバンド”THE ENDの作品では、DOORSの名曲の数々が原曲に勝るとも劣らない格と微妙に異なる(ミチロウさん達にしか出せない)味とともに見事にカバーされています。こちらも大推薦です。
https://twitter.com/meshupecialshi1/status/675305969262268416

 

 

 

28:人間椅子黄金の夜明け

 

 

黄金の夜明け(UHQCD)

黄金の夜明け(UHQCD)

 

 

 

日本が誇る最高のハードロックトリオによる3rdフル。BLACK SABBATHKING CRIMSONなど英国ロックの滋味を完璧に換骨奪胎する作編曲、そして個性と技術を両立する超一流の演奏は、この路線では右に出るものがありません。著しく充実した大傑作です。

人間椅子青森県弘前高校の同級生だった和嶋慎治(ギター)と鈴木研一(ベース)によって結成されたバンドで、ドラムスの交代を経つつ堅実な活動を続けてきました。大きく注目されることはなかったものの、発表した作品はいずれも稀有の傑作です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/人間椅子_(バンド)
人間椅子の影響源は70年代〜80年代前半イギリスのHR/HM(↓の記事に詳しい)やプログレッシヴロック(HR寄りのもの:特にKING CRIMSON)で、そうした嗜好を一貫して保ちつつ非常に豊かな音楽をつくり続けてきました。
http://realsound.jp/2014/08/post-1109.html
人間椅子が驚異的に優れているのは、そうした英国ロックの偉大なバンドの特徴的な要素(フレーズやコード進行など)をわりとはっきり引用しているのに「比較対象を考えるなら真っ先に挙がるのは人間椅子自身」というくらい引用元を意識させないオリジナリティを確立しているところでしょう。
たとえば、BLACK SABBATH「After Forever」イントロとKING CRIMSON「The Great Deceiver」アウトロあたりの音遣いを融合させ、その両者にない豊かな音遣い感覚を組み合わせることにより、参照元にもない味を生み出してしまうのです。
本作1曲め「黄金の夜明け」イントロの〈和音階(囃子や民謡由来のもの?)+RUSH〉的な音遣いにより極めて薫り高い暗黒浮遊感を生み出す場面などはその好例でしょう。英国ロックから獲得した豊かで混沌とした味覚が、日本(の東北)ならではのセンスによって卓越した個性に昇華されているのです。
こうした「何かに似ているのに確固たるオリジナリティがある」境地に達し得たバンドは実は稀です。本作収録曲でいうと「独裁者最後の夢」はIRON MAIDEN、「わ、ガンでねべが」はKING CRIMSONをモロに連想させるのですが、その上で人間椅子自身の個性が完全に勝っています。
こうしたことが可能になるのは、「特徴的なフレーズを引用しつつそこに他の豊かな音楽要素を肉付けすることにより、そのフレーズを引用元とは“別の文脈”で活かせている」からだと思われます。
(このあたりはヒップホップの巧みな編集にも通じるかも。)
エッセンスの汲み取り方が深く巧みなのです。
例えば、70年代KING CRIMSONは蠱惑的といえるくらい強力で特徴的な音遣い(特にロバート・フリップのスケール遣い)で一世を風靡し、後続に絶大な影響を与えましたが、そうした後続の多くはそうした特徴的なスケールのみを引用し、そこに伴う“下味”の部分を疎かにする傾向があります。
喩えていうなら「スープの上に浮かんでいる具だけに注目し、スープの深く豊かな味わいを無視してしまっている」感じ。具(=特徴的なフレーズ)だけを引用し単体で/裸で使うため、味わいに奥行きがなくなり、そうしたフォロワー同士の間に違いがみられない没個性状態になってしまっているのです。
人間椅子が見事なのは、そうした「具」を割とそのまま持ってきながらもそれに伴う「スープ」を独自のセンスで作り上げ、引用元とは異なる形での“完璧な正解”を導き出してしまっている所です。英国ロックや日本の土着音楽など大量の素材を溶け合わせた音遣いには引用元に劣らず豊かな滋味があります。
9分に及ぶ大曲「水没都市」はその最高の好例でしょう。歌が入るパートなどは明確に70年代KING CRIMSONを連想させますが、そこに「亜流でつまらない」「不純物が混じっていて楽しめない」感じは全くなく、むしろ本家よりも良い瞬間も多い。KCインスパイア系最高峰の名曲ですね。
本作3rdフルは以降のアルバムと比べそうした「引用元がはっきり残っている度合」が大きめで、それにもかかわらず完璧に個性を確立している実に稀有な在り方を存分に味わうことができます。こうした作編曲の巧みさはOPETHあたりと並んで世界最高峰と言えるのでは。本当に凄いバンドです。
そしてそうした作編曲に劣らず凄いのが驚異的な演奏表現力です。優れた個性と卓越した技術を兼ね備えたギターとベースは共に(少なくともHR/HMの世界では)最高レベルの名人ですし、ボーカルも他では聴けない唯一無二の味がある。そしてドラムスも上手い。演奏面だけみても稀有の魅力があります。
ベース&リズムギターの「ビートにぴったり丁寧に貼り付きながら細かいニュアンスを出していく」リズムアンサンブルはうますぎてビビるレベルですし(「リズム感のないベースなんて」という自嘲は到底納得できないものがある)、色艶と正確さを完璧に両立するリードギターにもたまらない味があります。
遅いテンポでの“間を完全に活かしつつ滑らかに歩む”アンサンブルは「ドゥーム成分9割・スラッジ成分1割にIRON MAIDEN的なグルーヴを加え隙なくガッシリ固めた」感じですし、BLACK SABBATH「Symptom of Universe」のようなゴツい疾走パートも極上です。
そしてそこにのるボーカルも極上です。鈴木研一の声質(中低音メインのしゃがれ声)は全ての音楽ジャンルをみても似た者のいない最高の珍味ですし、それに比べればプレーンな和嶋慎治の伸びやかな歌い回しにはどこか不健全な“文士的な”佇まいがあり、両者が互いを実にうまく引き立てあっています。
ドラムスは何度も交代していますがいずれも優れた味と個性を持った実力者で、本作3rd参加の上館徳芳はコージー・パウエル的パワーヒットを重視した手数を増やしすぎないスタイルでこの路線に絶妙にハマっています。というふうに、初期の作品ながら全パートが著しく充実した仕上がりになっています。
というふうに、人間椅子は作編曲と演奏表現力の両面において極上の味をもつハードロック・トリオで、その個性とクオリティは世界的にみても最高レベルといえるものがあります。本作3rd『黄金の夜明け』はその入門としても良い大傑作(後半の展開には慣れが要る部分もありますが)。お薦めです。

 

 

 

29:DARK TRANQUILLITY『We Are The Void』

 

 

WE ARE THE VOID

WE ARE THE VOID

 

 

 

2010年発表の9th。活動20年目にして遂に独自のゴシック/ブルース感覚を確立した一枚で、唯一無二の薫り高い個性が提示されています。所謂メロディックデスメタルに抵抗がある人にこそ聴いてほしい傑作です。

DARK TRANQUILLITYがカテゴライズされることが多いメロディックデスメタルメロデス)と呼ばれるジャンルは、90年代のHR/HMシーンで大きな人気を博す一方で、コアなメタルファンからはかなりの抵抗感を示されてきました。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%AB
メロデス登場の背景となった北欧(特にスウェーデン)の初期デスメタルシーンでは、スカンジナビア・ハードコアの“すっきり流れる一方で常に渋みを伴う”音遣い感覚に、CARCASS的な暗黒浮遊感、そして欧州フォーク〜クラシック音楽的な振幅の大きい美旋律を加えるスタイルが育まれてきました。
そうした初期デスメタルの名バンド(DISMEMBERやENTOMBEDなど)は最近のハードコアパンクシーンにも大きな影響を与える強力な魅力を持ったものばかりで(先述のような音遣い感覚はもちろん硬く躍動感のあるグルーヴなども)、これはコアなメタルファンにも歓迎されることが殆どです。
このような「それ以前のスラッシュ/ハードコアの渋みを残したまま美旋律を導入した」北欧デスメタルも所謂メロデスに括られることが多いのですが、現在広く認知される(そしてコアファンから敬遠される)タイプのメロデスは、美旋律の導入を優先する余り先述の“渋み”を失っていることが多いです。
具体例はあえて挙げませんが、特に90年代後半に日本盤が乱発された類のメロデスは、クラシカルなスケール(ハーモニックマイナー主体で殆ど半音を使わない)の薄味演歌的フレーズと安易な解決(ドミナントモーション)を連発するコード進行が極めて多く、そのワンパターンで底の浅い構造が様々な層から批判されてきました。
そうした傾向は「メロデス」と最初に呼ばれるようになった幾つかのバンドより後に登場した(フォロワー的な)バンド群にかなりはっきり共通し、先述のようなスタイルの「わかりやすく刺激は強いものの味の質が単調で浅い」感じが悪い意味でジャンル全体の特徴として認識されてしまうことになりました。
このような抵抗感は名サイト『Thrash or Die!』
http://www.geocities.co.jp/Broadway/4935/hm.html
のレビューにおける評価の分かれ方でもよく示されています。実際、スラッシュメタル/ハードコアを愛する優れた耳からすればそうした評価は正当で、私も良くも悪くも大きな影響を受けました。
しかし、全ての「メロデス」バンドがそうしたワンパターンなスタイルに陥っていたわけではありません。ARCH ENEMYはそこに分類されつつ最初から一線を画す音遣い感覚を備えていましたし、IN FLAMESSOILWORK等はそこに分類されつつ優れた拡張/発展を繰り返してきました。

メロデス」第一世代に数えられるDARK TRANQUILLITYもそうした優れたバンドの一つです。1991年結成のこのバンドは、雰囲気表現や音遣い感覚の好みが非常にはっきりしていて、それをより深く豊かに描くために作品毎に試行錯誤を繰り返す、という活動を一貫しやり通してきました。
2nd『The Gallery』('95)の冒頭を飾る名曲「Punish My Heaven」も、単旋律のパターンは限られていますが、そこに肉付けされるコードの流れは独特の滑らかになりきらない引っ掛かりを持っています。その上で、90年代前半の北欧地下シーン特有の冷たく澄明な雰囲気が見事です。
この初期の混沌とした(ヴィジョンはあるが手法を見つけられていない)表現志向が最初に飛躍したのが4th『Projector』('99)です。専任鍵盤奏者(以降ずっと重要な役割を担う)が加入したこともあり、固有のゴシック感覚が大きく花開くことになりました。
その4thと続く5th『Haven』('00)
で試したゴシカルな音遣いに巧みなキメを連発するメタル的展開美を加えた6th『Damage Done』('02)は、音遣いの混沌とした渋みは増したものの、卓越した作編曲と音楽史上最高のデスヴォイス音色表現(歪み声でない“普通の”超一流シンガーをも上回る表現力がある)を堪能できる傑作になっています。
そうした流れを踏まえた上でバンド史上最も重要な転換点となったのが7th『Character』('05)でしょう。複雑かつ効果的な展開のもとでの攻撃的な勢いが評価された傑作ですが、実は「スウェーデン(の初期デスメタル)とノルウェー(のブラックメタル)の音遣い感覚を巧みに融合した」一枚でもあります。
OPETHの項でも触れた「地域特有の音遣い感覚」が、DARK TRANQUILLITYならではの薫り高いゴシック感覚を注入されつつエッセンスのレベルで自然に融合されている。その意味で、本作は他に類を見ない傑作なのです。
この7thでは、上記のように抽出・融合されたエッセンスが割と“ダシのみ”の形で(だからこそはっきりと)提示されているのですが、その一方でゴシカルなミドルテンポ展開が蠱惑的な「The Endless Feed」
https://m.youtube.com/watch?v=0jNgM30oNoY
のようにそれまでにない引っ掛かりを生む(半音を効果的に活かした)作編曲もなされています。
このあたりから、このバンドの「コードの流れには独特のセンスが反映されているのに単旋律の作り方がオーソドックスでそれが足枷になっている」傾向がうまくほぐれてきた気がします。次作8th『Fiction』('07)はそうした展開が一気に花開いた傑作です。
この8thでは全曲で異なる曲調/雰囲気表現が試され、その全てで優れた成果が挙げられています。バンドの新たな代表曲『Empty Me』
https://m.youtube.com/watch?v=EjezXS5OLhY
の全く底が浅くない男泣き感覚などは過去作になかったものですし、その上で文句なしに素晴らしい仕上がりになっています。
以上のような試行錯誤を通して到達したのが本作9th『We Are The Void』('10)です。コアなデスメタル/ブラックメタルに通じる半音進行や“フレーズの飛躍”が泣きの進行にうまく取り込まれ、このバンドにしか出せない深く薫り高いゴシック感覚を生み出しています。
最後を飾るブラックメタル的パワーバラード「Iridium
https://m.youtube.com/watch?v=vzVDt1xYFsM
はこのバンドにしか作れない名曲でしょう。固有の優れたヴィジョンと20年に渡る試行錯誤を通し培った音遣い感覚は、優れたゴシック音楽としても欧州ならではのブルース音楽としても最高級品だと思います。

DARK TRANQUILLITYの影響源として確認できるのは↓などで、確かにアタマの4バンドは成る程その通りなのですが、それらをそのまま組み合わせればこういう音楽ができるかというとそんなことは全くありません。もっと多くのインプットと独自の探求があればこその個性なのだと思います。

DARK TRANQUILLITYの影響源】

(web上のインタビュー記事で確認できたもの)
(上にあるものほど頻出:重要度が高い模様)


KREATOR、SABBAT(UK)、DEPECHE MODE
HELLOWEEN

CRADLE OF FILTHRAMMSTEIN、TOOL、NECROMANTIA

METALLICA、FORBIDDEN、TESTAMENT、DESTRUCTION、DEATH ANGEL
RAVAGE〜ATHEIST、MORBID ANGEL、
NIHILIST、DR. SHRINKER、FATAL、VARATHRON、MERCILESS、SINDROME、ASSASSIN、THANATOS、ATROPHY、
SCANNER、SDI、NOT FRAGIL、
VARATHRON、ZEMINAL、INTOXICATE
MERCIFUL FATE、IRON MAIDEN、
BLIND GUARDIAN、CRIMSON GLORY

60〜70年代のプログレッシヴロック
(GOBLINのサントラ作など)


Mikael Stanne(2016)の人生の3枚
http://www.metalpaths.com/interviews/2016/11/26/interview-dark-tranquility-mikael-stanne/
クラシック音楽から一枚
モーツァルトやベートーベンあたり)
Jeff Buckley『Grace』
・ATHEIST『Unquestionable Presence』

〈キーボードの使い方〉
DEPECHE MODEや80年代シンセポップなどに想を得た(他の多くのメタルバンドがやるようなクラシカル/アトモスフェリックなのとは一味違う)手法

〈その他〉
・2nd『THE GALLERY』の日本盤ライナーノーツなどではMANOWARやDREAM THEATERの名前も挙げられている
・『BURRN!』誌の来日ツアー同行記では「ミカエルがカラオケで歌ったTHE DOORSは絶品だった」という話なども披露されていた


先述のような個性の確立度とアルバム全体の統一感という点では9thがベストと思いますが、DARK TRANQUILLITYは以降も素晴らしい音楽を作り続けています。10th『Construct」('13)収録の「Uniformity」
https://m.youtube.com/watch?v=BolGeBNPK1w
は私がこのバンドで最も好きな大名曲。悶絶級の美しさです。
昨年発表された最新作11th『Atoma』('16)も、アルバム全体の印象は地味ですが、このバンドにしか出せない味わいがより成熟した形で示された優れた作品だと思います。
8th以降はメロデス嫌いな人でも抵抗感の出にくい音遣いが主ですし、聴く価値は高いです。

DARK TRANQUILLITYが素晴らしいのは全ての作品において徹底的な“表現志向”を貫いている所です。作編曲や技術が優れているのは当然として、そこから深く豊かな表現力を生み出すことを最も重視し、それを常に達成し続ける。このようなバンドはメタルシーンに限らず意外と稀です。
そして、そうした活動を通して培われた「スウェーデンの暗く澄明な湿り気に溶かし込まれた薫り高いゴシック/ブルース感覚」は、他の音楽では聴けない最高の艶味を与えてくれます。
(個人的には最も惹かれるものの一つです。)
本当に素晴らしいバンドですし、ぜひ多くの人達に聴いて頂きたいです。

ちなみに、CARCASSの名盤4th『Heartwork』('93)はメロデス扱いされることも多いですが、「70年代HR〜80年代NWOBHMグラインドコアの暗黒浮遊感」的コード感は一般的な意味でのメロデスとは異なります。近いけれど別物と見るべきでしょう。

 

 

 

30:MASSIVE ATTACK『Protection』

 

 

Protection

Protection

 

 

 

1994年発表。ソウル/ファンク〜ジャズ〜レゲエをヒップホップ以降の感覚で融合した先達の2ndフルで、個性と品質が最高度に両立されている大傑作です。夜と朝が出会う時間帯にこれほど合う音楽も稀なのでは。理屈抜きに良いです。

MASSIVE ATTACKは「トリップホップ」「ブリストルサウンド」の先駆けとされるグループで、ヒップホップのグルーヴ展開(ほどよく揺れながら長いスパンで流れ続ける)と音響感覚(硬くラフにこすれながら付かず離れず絡む)を巧みに活かした音楽性で周囲に絶大な影響を与えました。
80年代初期には基本的なスタイルが確立されつつあったヒップホップでは、KRAFTWERKYMOといったエレクトロポップをはじめとした“非黒人音楽”が積極的にサンプリングされ、旧来の黒人音楽(タイトに磨き抜かれたグルーヴ)とは異なる“ヨレ”“訛り”が巧みに取り込まれていきました。
こうした非黒人音楽からの影響は音遣い面でも顕著にありました。黒人ブルース的なものと比べると“解決”を多用する薄めの(しかしそれならではの形で熟成された)引っ掛かり感覚が、JBあたりの同じく薄めに洗練されたブルース感覚と融合され、長尺をもたれさせない音遣い感覚を生んでいったのです。
そうやって生まれたヒップホップならではの“グルーヴの流れ方”(≒フロウ:基本的にはラップがバックトラックを乗りこなす質感を指す言葉だけど音楽全体に通じるものでもある)は、それでなければ作れない素晴らしい“居心地”を生み出す手段として、他の多くのジャンルに絶大な影響を与えてきました。
MASSIVE ATTACKは以上のようなスタイル/感覚を他の多様な音楽要素と融合した先駆けで、様々なビートミュージックが作り出す“効き目”を深く理解し掛け合わせる見事な作編曲〜トラックメイキング(この2つは同時並行:不可分に繋がっている)により不世出の傑作を多数生み出しています。

1st『Blue Lines』('91)はソウルミュージック/ファンク(SLY AND THE FAMILY STONEあたりの感じ)とレゲエ寄りダブを中心に多様な音楽要素を溶かし込んだ大傑作(歴史的名盤)で、ブルース的な強めの引っ掛かりはあるものの、それが欧州ならではの水気を加えてうまく解きほぐされています。
また、3rd『Mezzanine』('98)はニューウェーブ〜ゴシックロックの音遣い感覚とギターサウンドを大胆に導入した大傑作で、先述の豊かな音楽要素・グルーヴ感覚があって初めて可能な音響空間、そして抽象的ながら明快な曲展開により、欧米のロックシーンにも絶大な影響を与えました。
その間に発表された本作2nd『Protection』('94)は、両者の中間といえる音楽性を最高度に突き詰めたものになっています。レゲエ的な音進行が背景に引っ込む一方でダブ的な音響処理がより巧みに活用され、夜の深い時間に合うジャズ的なサウンドと見事に溶け合わされているなど。
収録曲はスタイルだけみるとビートも音進行もバリエーション豊かなのですが、雰囲気の質や空気感・テンション・基本的な人柄には確かな統一感があります。強力な曲ばかりなのに一枚聴き通した直後に残るのは「アルバム全体としての印象」。流れまとまりも抜群に良く、堪らなく居心地が良いです。
STEELY DAN『Aja』やMiles Davis『in a silent way』に通じる薫り高い雰囲気が、微細な緊張感が漂い続けるのに全く息苦しくならない(極上のソファ的な)空気感と、朦朧としつつ感覚の一部が冴えるような半覚醒感と共に、最高に洗練された形で示されています。
ローリング・ストーン誌はこの『Protection』を「朝の4時に都会をドライブする時に最適な音楽」として「全時代における最もクールなアルバム」のトップ10に入れたらしいですが、その評価には完全に納得できるものがあります。深夜に聴く音楽としてこれほど美味しいものも稀でしょう。
単に居心地が良いだけでなく、FUNKADELICとゴシックロックをレゲエ/ダブを媒介に接続しハウス化したような「Spying Glass」やGONG系サイケをスローなヒップホップにしたような「Eurochild」など、危険なものもある。洗練された闇という趣の雰囲気が堪らないです。
3rdの明確な展開/物語性も大変良く、わかりやすく引き込む訴求力が非常に好ましいですが、そういうのがはっきり前面に出ていないのに雰囲気の流れまとまりは実によい2ndの方が、何も考えず没入させられる(途中で考え始めてもいくらでも聴き込める)快適さは上。自分はこちらの方が好きですね。

という感じで、個人的には「深夜に聴く音楽」(特に“起き続けつつ気分を安定させる”ためのもの)としてはトップクラスに重宝するアルバムです。BUCK-TICK『SEXY STREAM LINER』や佐井好子『蝶のすむ部屋』あたりの雰囲気が好きな方なんかはドツボでしょう。お薦めです。